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客先常駐エンジニアとは?メリット・デメリットや働き方改善の方法を解説

更新: 2021.06.09

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「客先常駐エンジニア」についてネットでは「辛い」「地獄」といったネガティブな声から「楽しい」といったポジティブな声などさまざまな意見が発信されています。

客先常駐エンジニアとは、エンジニアを必要とするお客様に対して、お客様の会社に常駐して技術的な労働を提供するエンジニアのことです。未経験者でも採用されやすい職種であるというメリットがある一方、給料面やスキルアップの面でデメリットもあります。

本記事では、客先常駐エンジニアについて、以下のポイントに沿って解説していきます。

  • 客先常駐エンジニアとは
  • 働き方のメリット・デメリット
  • キャリアアップや転職

客先常駐とは

客先常駐とは、技術者を求める企業に派遣されて業務を行うことです。

本章では客先常駐について解説します。

技術者を求める企業に常駐して業務を行うこと

客先常駐とは、技術者を求めている企業に派遣され、その会社に常駐してシステム開発を行う働き方のことです。

客先常駐として働いているエンジニアは「客先常駐エンジニア(客先常駐型システムエンジニア、客先常駐SE)」と呼ばれます。

派遣されるエンジニアは契約期間中、自分が入社した会社ではなくお客様となる会社に出勤します。
自社に出社する頻度は低く、月に一度報告書を提出するために出社する、といった程度です。

客先常駐はSESの一種

客先常駐はSES(システムエンジニアリングサービス)と呼ばれる委託契約の一種で、エンジニアを派遣している会社と受け入れる会社間での契約内容によって分類されます。

業務請負とは、その名の通り特定の「業務」の遂行を「請け負う」ものなので、派遣されたエンジニアが提供するのは成果物です。

そのため、常駐期間中の仕事の指示は客先ではなく派遣元の会社であり、支払われる報酬は成果物の対するものです。
業務請負は一般的に、お客様先でなければ作業環境や開発環境がない、という場合に行われます。

特定派遣とは、成果物ではなく労働力を提供するために結ばれる契約です。仕事の指示は客先の社員によって出されます。
今回の記事で解説している「客先常駐エンジニア」とは、この特定派遣によって派遣されたエンジニアを指します。

最後の偽装請負ですが、これは業務請負という形態ではあります。しかし、仕事の指示は客先の社員によって出される、というもので、本来は違法な働き方です。
一見すると特定派遣と同じような働き方をしていますが、偽装請負は本来は業務請負であるため、報酬は労働そのものではなく成果物に対して支払われます。

客先常駐と派遣社員の違い

客先常駐と派遣社員の違いは雇用形態の違いです。

客先常駐は正社員

客先常駐SEと派遣社員は雇用されている会社とは別の会社で働く点は同じですが、客先常駐SEは「派遣社員」ではなく「正社員」として扱われます。

そのため、保険や年金といった福利厚生制度を正社員と同様に受けられます。しかし、人件費削減のため定時退社となる場合が多い派遣社員に比べて、残業が発生しやすいといった点もあります。

また、客先常駐SEと派遣社員は雇用契約期間も異なります。派遣社員は、まず人材派遣を行っている派遣会社に登録を行い、その会社に派遣先の企業や業務内容を紹介されます。その後、条件が合致すると派遣会社と雇用契約を結びます。

雇用契約を結ぶ期間は派遣契約によって定められた期間で、派遣期間が終了すると雇用契約も終了します。つまり、次の派遣先が決まるまで給与は発生しません。

一方客先常駐SEの場合、自社(派遣元)の会社に正社員として入社した後、客先の担当者との面談などを経て、派遣されます。

派遣期間が終了するとその会社からは離れる点では一般派遣と同じですが、雇用契約は派遣終了後も継続されます。

したがって仮に常駐先が決まらず待機の状態であっても、その間の給与は支払われます。

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客先常駐エンジニアのメリット

客先常駐エンジニアとして働くメリットについて紹介していきます。

大きく分けて5つのメリットがあります。

いろんな会社で様々な仕事を経験できる

客先常駐のメリットは多くの会社、部門、プロジェクトなどで様々な仕事を経験できることです。

客先常駐として一つの会社や現場に常駐する期間は数ヶ月から長くても数年ほど。関わる仕事によってプログラミング言語や使用するツール、仕事の進め方なども異なります。

またマネジメントの方法や会社の雰囲気、コミュニケーションの取り方なども現場によって様々であるため、一つの会社や部門に留まって仕事をするよりも、より多くの経験を積むことが出来ます。

未経験者でも採用されやすい

客先常駐エンジニアはIT業界の人手不足の背景もあり、未経験者も含め採用されやすい業種です。

どのような形態でもいいのでエンジニアとして働いてみたい、と考えているのであれば、客先常駐エンジニアとして職を見つけることは比較的ハードルは低くなります。

しかしながら、客先常駐としての就職についてはスキルアップやキャリアアップの点で問題視されているところもあるため、ご自身の将来プラン等を踏まえて求人内容をよく見て応募することをおすすめします。

残業が少ない

客先常駐SEは派遣社員と比べて残業が発生しやすい傾向にありますが、客先(常駐先)の正社員に比べると残業が少なく済む場合が多いです。

客先常駐SEが定時を超えて労働した場合、受け入れ先の企業は給料に残業時間分の賃金を上乗せして支払う契約が結ばれていることが一般的です。

したがって、客先の会社としては人件費を削減するために残業をさせないように調整する傾向があります。

しかし、実際にどれくらいの残業を行うかについては派遣先の企業・部署・チームによって様々です。

定時で業務が完了させられるように仕事の量を管理する現場もあれば、繁忙期などの場合は客先の正社員と一緒に客先常駐SEも遅くまで残業をしなければいけないこともあります。

残業が出来ないような事情がある場合は、派遣前に自社に相談しておく必要があるでしょう。

たくさんの人に会える

客先常駐エンジニアは数ヶ月~数年ごとに職場が変わるので、より多くの人と出会い、コミュニケーションを取り、人脈を広げる機会があることもメリットの一つです。

新しい客先で出会った人と仲良くなって休日にどこかに出かけたり、一緒にビジネスを立ち上げたり、また常駐先で出会った人の結婚した、というケースもあります。

初対面の人と関わることが苦手、という方によっては定期的に職場が変わる環境は少し不向きかもしれませんが、IT業界内の様々な会社や部門とコネクションを持つ機会を得られることは、客先常駐ならではの魅力です。

引き抜かれることがある

客先での働き方が認められれば、正社員として引き抜かれる可能性もあり、引き抜かれた先の企業の規模によっては、現在の働き方より給料がアップする可能性もあります。

しかし、実際に引き抜きをされるためには、よほど優秀であると認められない限り難しいのが現状です。

加えて、仕事における能力面だけでなく、業務時間や休憩時間での他の社員との付き合い方などの人柄や現場での人間関係も重要になってきます。

お客様との飲み会などに参加するなど、プライベートな時間もある程度会社のために費やす必要があるでしょう。

客先常駐エンジニアのデメリット

次は客先常駐エンジニアとして働くデメリットです。

場合によっては、客先常駐することが負担になってしまうこともあります。デメリットまでよく理解しておきましょう。

休むためには自社と客先両方に連絡

 

雇用されている会社と働いているオフィスが異なるため、もし急な事情や体調不良で会社を休まなければならなくなった場合、自社と客先両方に連絡を入れなければいけません。

休んでいる間の仕事の調整など、契約の内容や一緒に常駐する自社社員の人数などにもよりますが、手間がかかる場合が多いです。

また、新しい客先に入ったばかりの頃は、仕事に慣れていない、客先の社員との人間関係がまだ出来上がっていないという理由から、休みづらいと感じる人もいるようです。

スキルアップにつながらない可能性がある

客先常駐エンジニアは様々な現場を経験できる一方、実際にスキルアップに繋がるような仕事を担当できるかは派遣先によって異なります。

大手企業の場合、クライアントへのヒアリングや仕様書の作成などシステム開発の上流工程や導入したシステムの運用面などを担当できるかもしれません。

そうした経験があれば、将来受託開発を行う会社のシステムエンジニアやITコンサルタントなど別の職種へキャリアアップできる可能性もあります。

しかし、大手企業の下請けとなってコーディングなどの開発業務を受け持つ会社になると、設計書に従って作業する部分を担当する事もあります。

さらに、バグチェックのためのテストケースをひたすら実行するなど、プログラミングのスキルアップにつながらない場合もあります。

特に新卒など未経験で入社した場合は、高度なスキルを要しない現場に派遣されることも多いようです。プログラミングなどの開発に関わるスキルを積めないまま、仕事をする状態が続いてしまうかもしれません。

十分な教育が受けられない可能性がある

客先常駐は技術者を求める現場にサービス提供者として出向き、お客様の要望を満たすことが目的です。

客先の社員にとっては、客先常駐SEはある程度「仕事ができる」という期待感を持って受け入れているはずなので、客先の社員が客先常駐SEに対して業務に必要な知識等の教育を十分に施してくれるとは限りません。

客先へは一人で派遣されることもあるため、業務を進める上でわからないことは自分から周りの人に質問をする必要があります。

客先の業務の方法や流れを理解し、上手く仕事をするためには自ら考え、進んで知らないことをキャッチアップをしていく積極性が必要になります。

給料が上がりにくい

客先常駐SEは給料が上がりにくい傾向があります。

理由として、契約期間が決められていることで継続的な昇級が見込みにくい、ということがあります。

ある現場で仕事をこなせるようになっても、そこで契約が打ち切られてしまうと、また他社で一からキャリアを積み上げていく必要があり、長期的に実績を積み上げていくことができないという背景があります。

大きな成果に繋がりそうなプロジェクトに参加していたとしても、契約期間が終了すれば途中でプロジェクトから外れてしまう、ということもあり得ます。

給料は仕事内容とも関係しており、開発案件を一人で任せてもらえるようなスキルを持ったエンジニアであれば単価も上がります。しかし、コーディングやテスターなど作業的な業務のみを行う場合は単価は先述したエンジニアより下がります。

現場での評価を上げ、給料を上げるためには自発的に勉強してスキルを身につけるといった積極的な行動が求められます。

年齢とともに仕事の数が限られる

客先常駐エンジニアは、40代、50代と年齢が上がるにつれて仕事の機会が減っていく現状があります。

エンジニア一人に対する人件費は年齢を共に上がっていくため、コストを抑えたい会社はより単価が安い20代~30代前半のエンジニアに仕事を依頼することが多いです。

IT業界では「プログラマ35歳定年説」が唱えられています。これは若いプログラマの方が需要があるという背景があった上で、35歳くらいを境目として自分で手を動かしてコーディングをする立場から、開発チームやプロジェクトのマネジメント側に回りたい、と考える人が多いためです。

40代、50代になっても客先常駐SEとして働き続ける場合、例えばネットワークやインフラといった得意分野を持ち、高い賃金に見合うサービスを提供するか、そうでない場合は低い賃金で働くかになります。

後者の場合、結果として同年代と比べて年収が低い傾向があります。

自社への帰属意識がなくなる

客先常駐SEが自社(派遣元となる会社)に戻るのは、月1回など一定期間ごとに報告書を書いて会社に提出する時くらいで、勤務時間のほとんどを客先で過ごしますため、自社への帰属意識が薄れてくるというデメリットもあります。

大きなミッションに向かって社員一丸となって努力する、という環境がないため、自身のスキルアップやキャリアアップなどの個人的な目標設定がないと、仕事に対するモチベーションが下がってしまうこともあります。

また、確かに自社社員との関わりがなくても業務は行なえますが、派遣先の企業や部署などは自社の担当者と相談して決定します。そのため、業務や現場の希望を通してもらうためにも自社社員と日常的にコミュニケーションを取っておくことは大切です。

その他、自社社員との関わりがほとんどない代わりに、日々業務を共に行う客先社員と仲良くなることが多いようです。

しかし、せっかく築いた客先社員との信頼関係や友人関係も、契約期間の終了と共に終わってしまうため、長期的に深い人間関係を築くことができないこともあります。

人間関係を重視して仕事をしたい、という方には少し不向きな働き方かもしれません。

客先常駐は働きにくいと感じるSEが多い

メリットもある客先常駐という働き方ですが、エンジニア・プログラマーの間では賛否両論。

やや否定的な意見の方が声が強いようです。その背景には、以下のような理由があります。

スキルアップにならず低賃金労働の会社もある

メリット、デメリットのある客先常駐エンジニアですが、勤務形態や給与の問題から、客先常駐は働きにくい・長く続けにくいと感じているエンジニアは多いようです。

給与や仕事内容が常駐先の企業に左右されることが理由の一つで、大手企業であれば一つの開発案件を設計から開発・テストまで担当したり、仕様書を作成したりと上流工程を担当することもあります。

しかし、下請けの会社になるとコーディングやテストなど作業的な業務が増え、賃金も低くなってしまうことがあります。

全ての現場はそうであるわけではありませんが、中にはITスキルを必要としない雑務に近い作業をエンジニアが行っているケースもあるそうです。

エンジニアが「こういう仕事をやりたい」「こういうプロジェクトに関わりたい」と思った時、自社社員であれば教育や個人の成長も見越してポジションに抜擢されることはありますが、客先常駐SEに求められるのは即戦力です。

求められる人材になるためには外部の勉強会に参加するなど、自らスキルを上げる努力が必要です。

スキルアップをしていかないと仕事がなくなるかもしれない、という不安定さがある一方で、特定のプログラミング言語や技術を長期的に極めていく(スキルアップしていく)ことが難しい環境や、昇給がされにくいこともあります。仕事を辞めてしまう人も多くいるようです。

お客様は自分ではなく客先の会社

客先常駐SEとしての立場も働きづらさを感じることと関係しています。

客先常駐をするシステムエンジニアにとって、出先の会社はサービスを提供するお客様に当たります。
そのため、客先の指示に従って受け身で業務を行うのではなく、自ら考え、判断しながら進め、お客様の求める水準のサービスを提供しなければいけません。

また、複数名で同じ客先・現場に赴くこともありますが、自社社員が一人だけ、という環境もあります。そういった場合は、業務を円滑に進めるためにも客先の社員との人間関係をいち早く築き上げなければいけません。

わからないことがあったときに教えてくれる人や助けてくれる人がいない中で成果を出すことを求められる、というプレッシャーや、常駐先が変わるごとに人間関係を構築し直さなければならない、という状況も、働きづらいと感じる原因になっています。

問題の多い業務形態だが実在する

客先常駐という働き方はIT業界では広く採用されているのが実態ですが、問題も多いことからIT業界の中で疑問視する人も多くいます。

「客先常駐エンジニアは正社員なのに実際の働き方は派遣社員と変わらない」
「仕事の成果へのプレッシャーを考えると派遣社員の方が精神的に楽で働きやすい」

という意見もあります。

また、求人募集の時点では客先常駐としての勤務であることを説明をしていない会社もあるようで、知らずに入社してしまうエンジニアもいます。
派遣元となる会社としては、人材を派遣することで収益を得られるので、自社で開発するためのサーバーやパソコンなどの設備を自社で整える必要はありません。
固定費を抑えられることから客先常駐エンジニアの派遣を積極的に行う会社もありますが、これまでに解説したような賃金や教育、スキルアップの観点から異を唱えるエンジニアの声も大きいです。

もし客先常駐に不満があるのならば

現在、客先常駐エンジニアとして働いている方の中には、雇用形態や賃金に不満を感じている方もいることでしょう。

あまりにも耐えられない状況であるのならば、行動を起こすことが重要です。

自社に相談する

もし客先での業務内容等に不満がある場合はどのように対処すればよいでしょうか。
一つの手段として、自社内で勤務する部門への異動を相談してみることです。

自社内でもシステム開発などを担当しているエンジニアはいるはずなので、その採用枠が空いていないかといったことを相談してみるとよいでしょう。
相談時点で枠が空いていなくても、将来欠員が出た時に異動が実現する可能性もあります。

転職する

自社に相談しても現状が変わらないようであれば、転職を考えることも手段の一つです。

スキルアップが期待できない環境で働き続けることは、あなたのキャリアにおいて有益なものにはならないでしょう。
特に、40代、50代になった時にプロジェクトマネージャーなど上流工程を担当する役職に就きたいと考えているのであれば、スキルアップのためにも早めに転職をすることをおすすめします。

客先常駐以外の働き方を希望するのであれば、自社製品の開発や受託開発を行う会社のシステムエンジニアやプログラマ、セールスエンジニアなどの職種の募集をチェックしてみましょう。

IT系職種の分類や仕事内容については、次の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

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この記事を書いた人

石田ゆり
元システムエンジニア・コンサルタント。ERPパッケージソフトウェア会社にて設計から開発、品質保証、導入、保守までシステム開発の一通りの業務を経験し、その面白さと大変さを学ぶ。働く人々を支援するバックオフィス系システム・業務効率化ツール等に特に興味あり。趣味は旅行、ヨガ、読書など。

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