多くの企業で終身雇用の廃止が続く中、現代の社会人ならば一度は経験するであろう「転職」。
転職エージェントや転職サイトが広く普及し、昔よりも転職活動でキャリアアップしやすい状況は整いました。
一方で、初めて転職活動する人にとってはわからないことも多いでしょう。
そこでこの記事では、転職活動を始める前に知っておきたい「転職とは」について就職活動と比較しながら解説します。
転職活動の流れやよくある疑問についても答えていきますので、転職を考えている人や転職活動中の人はぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
今さら聞けない「転職」とは?
転職とは、現在の職場や職業を離れ、新しい職業や職場に就くことを指します。
転職活動はその名の通り転職するための活動であり、具体的には自己分析や履歴書作成などの準備をしたり、面接を受けたりすることです。
同じ意味の言葉として「キャリアチェンジ」と表現することもあります。
転職に至る理由は人それぞれですが、以下のような理由で行う人が多いです。
- 年収など労働環境などの改善したい
- もっとスキルを活かしたい
- 手に職をつけたい
- より将来性のある職業や業界に就きたい
- 人間関係に問題がある
- 結婚、出産、介護などの事情がある
以下では、類似用語との違いを解説していきます。
就職との違い
時々「転職」と「就職」を混同してしまう人もいます。
就職とは、これまで職に就いたことがない学生などが、初めて企業に正規雇用で入社し、職に就くことを指します。
そのため「就職活動」という言葉は、新卒の大学生や大学院生に対して使います。またアルバイトやパートは正規雇用ではないので、就職ではありません。
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再就職との違い
また、新しい職場に就職することを意味する言葉に「再就職」もあります。転職と再就職の違いは、前の仕事と次の仕事との間に失業期間があるかどうかです。
再就職は、前の職場を退職し、一定の失業期間を経た後に仕事に復帰することを指します。失業期間中は、出産・育児・留学・療養などを送る人が多いです。
一方、転職は失業期間を経ず、前職の退職後すぐに次の職場で働き始めることを意味します。
退職との違い
退職とは、現在の職場を一身上の都合により辞めること。退職は職を辞することそのものを表し、転職は現在の職場を辞めて別の企業に就くことまでを指します。
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転職のメリット
スキルアップやキャリアアップなどの前向きな動機で転職するケースの他に、ストレスや過労など何らかの事情で仕事を続けられなくなり、やむを得ず転職するケースもあります。
転職の動機は様々ですが、転職することで以下のようなメリットが期待できるでしょう。
- 希望の会社や職種の仕事に就ける
- 年収や福利厚生などの条件が良くなる
- ワークライフバランスが整う
- 仕事への満足度ややりがいが高まる
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転職のリスク・デメリット
転職は、よりよい社会人生活を手に入れるチャンス。
しかし、転職すれば必ず前職で抱えていたすべての問題が解決するわけではありません。仕事を変えることには、リスクやデメリットもあります。
- 希望の仕事に就けない
- 年収や勤務時間などの条件が悪化する
- 新しい職場の人間関係があわない
このように、新しい職場が転職前に期待していたものと異なることも。
一度入社した会社をまたすぐに退職することは、自身のキャリア形成において悪い影響を及ぼすこともあるかもしれません。
そのため転職活動は慎重に、かつ戦略的に進めることが重要です。
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就職活動と転職活動の違いを比較
転職活動と就職活動には、選考プロセスや応募できる企業などに違いがあります。
大学生の就職活動と同じようなスケジュール感覚で望むとうまくいかない可能性が高いため、違いをしっかりと把握しておきましょう。
ここでは、以下のポイントで転職活動と就職活動の違いを解説。
- 行う時期
- 選考スケジュール
- 応募できる企業・ポジション
- 求められる人材
行う時期
新卒の大学生を対象にした就職活動には「就活解禁日」と呼ばれる明確な開始日があります。
例えば、2024年3月卒業・修了予定者の採用活動については、関係省庁が経済団体などに対して以下のようなルールを要請しました
- 広報活動の開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 採用選考活動の開始:卒業・修了年度の6月1日以降
- 正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降
※参考元:内閣官房ホームページ
通年採用を行う企業もありますが、多くの企業でこの日を基準とした採用選考が行われます。
このため、就活生は必然的に足並みを揃えて就職活動を行うことになるのです。
一方、転職活動には企業や学生が足並みを揃えるための「解禁日」はありません。
企業は時期を問わず、退職により欠員が出たタイミングや、規模拡大により人員を補強したいタイミングで募集を行います。
転職希望者も、時期に関係なく自分に都合のよいタイミングで転職活動を開始できるのです。
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選考スケジュール
一般的に、転職活動の選考プロセスは就職活動よりも短く、短期間で行われます。
就職活動ではエントリーシートや履歴書による書類選考に始まり、適性検査・グループ面接・個人面接が複数回と、応募から内定獲得まで半年程度かかることが通常。
一方、転職活動では応募から内定獲得までは平均して2〜3ヶ月、早い場合だと1~2週間で決まることもあります。
1つ1つのプロセスに時間がかかる就職活動と違い、面接結果が数日以内に返ってくることも多いため、転職希望者は1ヶ月などの期間で集中的に活動を行うことになります。
応募できる企業・ポジション
就職活動で応募できるのは、新卒採用を行っている企業です。
また、新卒入社は配属先などが決定していない状態で内定が出ることが多く、入社後の研修などを経て、適性を考慮して配属先が決定します。
エンジニアなどの技術職では、職種が指定されているケースも。
一方、転職活動で応募できるのは、そのタイミングで求人を出している企業のみです。
タイミングが合わなければ、希望する企業の募集がそもそもなかったり、採用枠が早期に埋まって募集が短期間で終了してしまったりすることもあります。
転職を強く希望する企業や職種がある場合は、本格的な転職活動を始める前から定期的に求人をチェックするのがセオリーです。
そして、どのような時期にどのような求人が出ているかを見るとよいでしょう。
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求められる人材
一般的にまだ社会人経験のない就職活動では、学生時代の経験や志望理由などから判断するポテンシャル採用が行われます。
学業やサークル活動など、学生時代に取り組んだことを聞くことで、コミュニケーションスキルや自己管理能力、社会人としての基本マナーがあるかどうかを判断します。
一方、転職活動では行われるのは即戦力採用。前職の経験をふまえて、募集しているポジションで仕事をこなすだけの能力があるかどうかを見ます。
就職活動のように、業界・職種未経験でも熱意があれば採用されるチャンスがある、というわけにはいかきません。
求人によっては「実務経験2年以上」などの条件が設けられていることも。
なお、転職活動でも「未経験可」となっている求人もあるので、必ずしも「転職=経験者採用」というわけでもありません。
また、一般的に新卒入社してから3年未満の人を対象とする「第二新卒」では、未経験でも応募できる求人も比較的多いとされています。
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転職活動は何から始める?基本の流れ
様々な事情で転職をした場合、何から始めたら良いのでしょうか?「思い立ったが吉日」と企業を探して応募するのではなく、一つずつやるべきことを順番に行いましょう。
ここでは、転職活動における基本的な流れを4ステップで紹介します。
- スケジュールを立てる
- 準備を整える
- 選考を受ける
- 退職・入社の準備をする
【STEP1】スケジュールを立てる
まずは転職の準備から採用選考、内定確定、退職や入社までのスケジュールを立てます。
転職活動の各フェーズでかかる時間の目安は、以下の通りです。
- 準備期間(自己分析・書類作成・企業研究など):約1ヶ月
- 選考期間(応募・面接など):約1~2ヶ月
- 入社期間(内定獲得・条件交渉・退職手続きなど):約1~2ヶ月
この時間はあくまで目安なので、準備開始から1ヶ月で内定を獲得するスピード転職を行う人もいれば、数ヶ月かけて少しずつ転職活動を行う人もいます。
注意点としては、一度内定が出て入社を承諾した後は、速やかに入社することが求められることが多いことです。
そのため、内定が出ればすぐに現職の会社と退職の交渉ができるように、あらかじめ準備を整えておくことが重要でしょう。
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【STEP2】準備を整える
スケジュールが決まったら、実際に準備に着手します。
これまでの仕事を振り返りながら自身のスキル・資格を整理したり、自己分析で企業選びの軸を決めたりします。
自己分析・キャリアの棚卸し・情報収集などは一人でできるものの、誰かにサポートをしてもらいたい人はキャリアカウンセラーの活用もおすすめです。
何人もの転職希望者・転職成功者を見てきたカウンセラーが、あなたのスキル・経験や現在の転職市場の状況などをふまえて、客観的な意見を出してくれます。
IT業界への転職に興味がある方には、テックキャンプの無料カウンセリングがおすすめ。
エンジニア転職やIT業界に関する小さな疑問にも丁寧に答えてくれるので、気になる方はぜひ利用してみてください。
【STEP3】選考を受ける
準備が整ったら、いよいよ企業に応募し、採用選考を受けましょう。
中途採用は新卒の就職活動のような「エントリー期間」が決まっていません。採用枠が埋まったり応募が多数集まったりすると、そこで募集を締め切ることもあります。
採用プロセスも、履歴書を送ったらすぐに企業から返事が返ってきて、数日後に面接といったスケジュールで進むことも珍しくありません。
複数企業の選考を同時並行で進めるのは、体力的・精神的につらいかもしれません。
しかし選考プロセスを乗り越えることが転職成功の鍵ですから、現職の仕事を上手く調整しながら、できる限りスピード感を持って望みましょう。
【STEP4】退職・入社の準備をする
選考の結果、無事に内定を獲得したら、給与や入社日などの条件を確認します。
中途採用では、内定後できるだけ速やかな入社を求められます。かといって、焦って回答する必要はありません。
もっとも、現在の職場が繁忙期だったり、頼りにされている存在ならば、上司から「退職は少し待ってほしい」と引き止められることもあるはずです。
あなたの退職によって今の職場の同僚や上司に迷惑がかからないよう、仕事のスケジュールを見ながら退職日と入社日を決定しましょう。
退職日・入社日が決まった後は、現在の仕事の引き継ぎや新しい会社との契約、保険や年金の手続きなどがあります。
やることが多く忙しくなる時期なので、週末や休日の予定は空けておくのが無難。
転職に関するよくある質問まとめ
転職は、あなたのキャリアにとって良くも悪くも大きな変化となります。
転職後に「こんなはずではなかった」「前の会社のほうが良かったかもしれない」となってしまわないよう、小さな疑問も予め解消しておくことが大切です。
ここでは、転職に関する7つの疑問について回答します。
- 転職は何回まで行ってもいい?
- 同じ職種で会社を変えることは転職に入る?
- アルバイトやパートも転職に入る?
- 退職のタイミングはどう決めればいい?
- 転職活動は在職中・退職後のどちらがいい?
- 応募する企業はどう選べばいい?
- そもそも転職するかどうか迷っている場合は?
転職は何回まで行ってもいい?
日本の社会人の転職の平均回数は、20代で1回、30代で2回、40代で3回程度。
人によっては、30代前半で新卒で入社した会社も含めて、3社(転職2回)以上の経験があるのも決して珍しくはありません。
あまりに多すぎる転職は、キャリアにとってマイナスになる可能性も。
具体的には、20代では3回、30代では5回ほどの転職経験があると、転職の面接で採用担当者から理由を詳しく聞かれるはずです。
しかし、転職回数への価値観は応募する企業や業界、転職理由によってさまざま。
労働環境の改善やスキルアップなどの正当な転職理由がある場合には、転職回数が平均よりも多くてもマイナスに影響する可能性は低いでしょう。
ブラック企業からの転職も、正当な理由の1つ。もし現職で長時間労働やパワハラ、給与未払いなどの問題を抱えているのであれば、迷わず転職を決断しましょう。
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同じ職種で会社を変えることは転職に入る?
結論からいうと、同じ職種で会社を変えることは転職に「入ります」。転職とは、「職種を変える」ではなく「職場を変える」という意味合いだからです。
ちなみに、同じ会社内で職種が変わったり社内異動が発生したことで勤務地が変わることは、「転勤」といいます。
アルバイトやパートも転職に入る?
アルバイトやパートの経験は、一般的な認識では転職回数のうちに入りません。
転職は正規雇用(正社員)の回数でカウントするのが基本なので、非正規雇用ではカウントされにくいです。
ただし、転職履歴書にアルバイト経験を記載すること自体は問題ありません。むしろ、アルバイト経験が転職の判断材料に加えられることもあるでしょう。
退職のタイミングはどう決めればいい?
退職のタイミングは基本的に転職者本人が決定します。転職活動をして内定が出たらすぐに退職する人もいますが、次のような時期を狙って退職する人も多いです。
- 1つのプロジェクトが終わったタイミングなどの業務の切れ目
- 6月末、12月末などのボーナスの支給後
- 年末や年度末
- 繁忙期に入る前または繁忙期が過ぎた後
今の会社に不満がある場合、「1日でも早く退職したい」という気持ちになるでしょう。
しかし、その会社で働く同僚や上司に迷惑がかかるような辞め方は、社会人としてのマナーだけでなく、会社の業務に悪影響を与えてしまいます。
自身の希望と仕事の状況などをすり合わせながら、円満退社できるように努めましょう。
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転職活動は在職中・退職後のどちらがいい?
転職活動は精神的、体力的にも負荷がかかるので、今の仕事を辞めてから集中的に取り組みたい、と考える人もいるでしょう。
しかし、一般的に転職活動は在職中に行うほうがメリットが多いとされています。
具体的には、在職中は今の会社からの収入があるので、経済的な不安を感じることなく転職活動に取り組めます。
一方で、在職中は平日の昼間の時間帯は働いているため、書類の準備、キャリアカウンセラーとの面談、面接などは週末や平日の夜に行う必要がある点がデメリットです。
離職中は面接などの予定の調整がしやすい一方、退職してこれまでもらっていた給与がなくなると、家賃や水道光熱費などでお金が減っていくことに焦ってしまう可能性も。
退職後の収入面に不安があるなら、働きながら転職活動しましょう。
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応募する企業はどう選べばいい?
転職サイトを見ると、多数の企業の様々な求人情報を閲覧できます。同じ業界内での転職であっても、たくさんある企業から自分にあった企業を選ぶのは難しいもの。
かといって、手当たり次第に応募するのはあまり賢明ではありません。
選考プロセスが進んでいる途中で「この会社は自分にはあっていないかも」と感じて選考を辞退すると、それまでにかけた時間が無駄になってしまいます。
転職活動をよりスムーズに進めるためには、就活の軸を持つことが重要です。
業務内容・給与・人間関係・勤務地など、あなたが職場の良し悪しを判断する上でのポイントを整理し、その基準に当てはめながら企業を選びましょう。
そもそも転職するかどうか迷っている場合は?
そもそも転職すべきか迷っている場合は、現在の仕事の不満などを書き出し、今の会社でそれを解消する手段があるかどうかを考えます。
例えば、給与が低いことが不満な場合、昇格・昇給や営業成績によるインセンティブなどで改善できる見込みがあるかを見ます。
入社して数年程度の新入社員の年収はどの会社でも同じようなものなので、焦って転職したところで年収が上がらない可能性も。
仕事内容に不満があれば、異動や配置換えができないか上司に相談してみましょう。
「やりがいがない」「仕事が楽しくない」という場合は、仕事を楽しくする方法を探したり、仕事は仕事と割り切って今の仕事を続ける選択肢もあります。
判断に迷った場合は、キャリアカウンセリングを利用してみるのもおすすめ。キャリアや転職市場に精通したカウンセラーが客観的な意見をくれます。
キャリアカウンセリングについては「キャリアカウンセリングとは?相談内容や受けたい人がやるべきことを解説」で解説しているので、参考にしてみてください。
IT転職ならテックキャンプがおすすめ
転職とは何か・就職活動の違い・転職の流れ・よくある疑問などについて解説しました。
転職活動は書類選考・面接・内定といった基本的な流れは新卒の就職活動と同じ。しかし、細かなスケジュールや応募できる企業などで違いがあります。
自身や今の会社にとって都合のよい退職日から逆算して、転職活動の準備を進めましょう。
転職活動では、キャリアカウンセラーなどのプロの意見も参考にするのもおすすめです。
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