社会問題の一つとされる人手不足の中でも、ひときわ深刻なのがIT業界のエンジニア不足。
政府の試算によると、2030年には約79万人もの人材が不足するという結果が示されたほど、状況は深刻なのです。
そこで本記事では、ITエンジニア不足の現状とその理由について解説します。
また、転職市場におけるITエンジニアの求人倍率や、未経験からITエンジニアに転職する方法なども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
※記事内の情報は2023年12月執筆時の内容です。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
この記事の目次
「IT業界でエンジニアが不足している」は嘘?本当?
この章では、経済産業省によるIT人材不足に関するデータ、ITエンジニア不足が見込まれる分野、ITエンジニア不足に対する企業や政府の対策について解説します。
経済産業省によると2030年には約79万人のIT人材が不足
経済産業省の調査(2019年3月)によると、2030年にはIT人材(主に情報サービス業、ITサービス・ソフトウェアなどを提供する企業、ITを活用する一般企業の情報システム部門などに所属する人材)の不足数が最大で約79万人になるという試算が出ています。
出典元:経済産業省
2018年時点での経済成長に伴うIT需要の伸びを基準にした場合には約45万人、低位シナリオ(需要が伸びなかった場合)でも約16万人の人材が不足する見込みです。
以上のデータから、IT業界では今後も慢性的なエンジニア不足が見込まれることがわかります。
ITエンジニア不足が見込まれる分野
IT業界で急成長している分野では、IT人材の中でも特にエンジニア不足が見込まれます。
例えば、ネットワークエンジニアやクラウドエンジニアといったインフラ関連や、スマートフォン(iOS・Androidエンジニア)関連など。
あるいは、先端技術のAI(人工知能)関連やデータ分析なども挙げられます。
さらに、セキュリティ関連のような、高度な専門技術を必要とする分野のエンジニアも不足する可能性が高いでしょう。
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ITエンジニア不足への企業や政府の対策は?
ITエンジニア不足への対策として、企業では採用年齢の引き上げや待遇改善を打ち出し、人材の確保に努めています。
また、政府により2020年度から小学校、2021年には中学校でのプログラミング教育が必修化されたのも記憶に新しいでしょう。
“あらゆる活動でコンピュータ等を活用することが求められるこれからの社会では、コンピュータ を理解し、上手に活用していく力を身に付けることは、これからの社会ではどのような職業に就くとしても極 めて重要”
必修化の第一の目的は「プログラミング的思考」を身につけることですが、将来的なIT人材不足への対策としても期待されています。
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IT業界でエンジニアが不足している理由
IT業界でエンジニアが不足している理由として、IT業界の急成長やIT技術の急速な変化、少子高齢化のほか、仕事がキツいイメージが定着していることが挙げられます。
IT業界が急成長している
矢野経済研究所による『国内企業のIT投資に関する調査(2023年)』では、国内民間IT市場規模は毎年、微弱ながらもプラスで推移している成長分野であることがわかります。
出典元:株式会社 矢野経済研究所
これは、先進企業をはじめデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資活性化や、政府のICT投資による景気活性化が行われるであろうことなどを根拠にしています。
特にコロナ禍はITを利用した非接触のコミュニケーションが求められるなど、飛躍的にITのニーズが高まった時期でもありました。
そして、2024年以降はコロナの影響も徐々に落ち着きが見え始めています。
海外旅行が解禁され始め、日本には外国人観光客も戻り、インバウンド需要が回復しつつあります。新卒採用を凍結していた企業も再開する事例がありました。
経済回復に向かう流れも含めた上で、IT業界は今後も成長していくものと予想されます。
IT技術の急速な変化
ITエンジニア不足の原因として、IT技術の急速な変化も挙げられます。
たとえば、私たちの生活に欠かせなくなったスマートフォン。初代iPhoneが2007年に発売されてから約15年で、世界は大きく変化しています。
ネットワーク技術はもちろん、アプリやWebサービスを提供するための新しい技術も必要不可欠になりました。
このように、IT業界は必要とされる技術のアップデートが早いため、人材が不足しがちといわれています。
少子高齢化による人材不足
IT業界に限ったことではありませんが、少子高齢化による人材不足も原因として挙げられます。
労働人口の減少にともない、企業は定年の延長や再雇用などの対策を打っていますが、根本的には解決されていません。
IT業界も例外ではなく、人材不足に悩まされています。
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ITエンジニアは仕事がキツいイメージがある
ネット上の書き込みなどから、ITエンジニアは長時間労働や深夜までの残業といったマイナスなイメージを持たれるようになりました。
そして現在も、少なからずそのイメージが残っているようです。
しかし、労働環境に関しては企業によるところが大きく、社員のワークライフバランスを尊重している会社も多く存在しています。
また、働き方改革法案の施行によって、長時間労働の改善に取り組む企業も増えており「仕事がキツい」というイメージも変化しつつあります。
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IT人材不足の今こそエンジニアを目指そう
IT業界の人材不足は、求職者にとってはチャンスでもあります。ここでは、エンジニアとしてIT業界を目指すべき理由を3つのポイントで説明します。
- コロナ禍でもITエンジニアの有効求人倍率は高い
- ITエンジニアは将来性と可能性に満ちた職業
- ITエンジニアに年齢は関係ある?
コロナ禍でもITエンジニアの有効求人倍率は高い
ITエンジニアの求人倍率(求職者1人あたりの求人数)は高く、コロナ禍においても他の職種を大きく上回ります。
出典元:転職ならdoda(デューダ)
実際、2023年10月度のエンジニア(IT・通信)の求人倍率は、全体が2.42であるのに対し9.98と約4倍という結果。
求職者1人に対して求人が約10件もあるという、いわゆる売り手市場です。
このようにITエンジニアは、就職・転職希望者にとって有利な職種といえるでしょう。
また、今回のような社会的な危機に際しても安定した需要が見込まれることから、ITエンジニアは安定性のある職種とも考えられます。
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ITエンジニアは将来性と可能性に満ちた職業
ITエンジニアには、将来性・専門性が高く自由な働き方もできるという特徴があります。
以下で理由を3つ解説していきます。
- ITスキルは専門性が高く代替されにくい
- 年収が他職種より高め
- 自由な働き方がしやすい
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ITスキルは専門性が高く代替されにくい
ITエンジニアに求められるITスキル(プログラミングスキルなど)は、簡単には身につけられません。時間や勉強に必要な費用などがかかります。
最先端の技術を扱う専門性の高い職業であるため代替されにくく、市場価値の高い職業といえるでしょう。
年収が他職種より高め
DODAの調査(2023年12月4日時点)によると、「IT/通信」全体の平均年収は446万円と、ビジネスパーソン全体の平均年収である414万円を約30万円上回ります。
また、ITエンジニアとしての経験を経た後に、ITコンサルタントやITシステムアナリストなどの、より上流の職種にステップアップすれば、さらなる年収アップも期待できます。
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自由な働き方がしやすい
ITエンジニアは、コンピューターとネットワーク環境があればどこでも仕事ができるので、自由な働き方がしやすい職業です。
企業に就職してリモートワークで働いたり、フリーランスとして自宅や好きな場所で働くこともできるでしょう。
コロナ禍でリモートワークが定着した昨今、さらにITエンジニアが働きやすい環境になってきているといえます。
また、英語を始めとした外国語も学ぶことで、外資系企業・日本企業の海外法人・海外で働くという選択肢も。
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ITエンジニアに年齢は関係ある?
一般的には、IT業界は年齢に対して比較的オープンな傾向にあり、年齢よりも経験やスキルが重視される傾向にあります。
もっとも以前は「エンジニア35歳定年説」といったものがありました。
これは、35歳を超えると体力の低下や管理職へのステップアップを望まれることなどから、エンジニアとして働くのは35歳がラインという通説のことです。
しかし現在はこうした通説は消えつつあり、その人が持つスキル・経験・学習能力・コミュニケーション能力などを総合的に判断し、適材適所を判断する傾向が高まっています。
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未経験からITエンジニアに転職する方法
未経験からITエンジニアに転職するには、プログラミングの技術が欠かせません。
この章では、プログラミングを学び転職を実現する方法を紹介します。
- 本やサイトでプログラミングを独学
- 職業訓練校を利用する
- 転職サポートのあるプログラミングスクールに通う
本やサイトでプログラミングを独学
プログラミングの知識は、独学で身につけることも可能。
代表的な方法としては、本を読みながら学ぶ、Progateやドットインストールなどの学習サイトを利用するという2つの方法が挙げられます。その中でもおすすめは、学習サイトの利用です。
なぜなら、本は情報が古くなってしまう可能性が高く、常にアップデートを続けているオンライン学習サイトを利用した方が、最新の知識を得やすいでしょう。
本も学習サイトも自分のペースで進められるのがメリット。その一方で、一旦どこかでつまずくとそのまま挫折しやすいというデメリットがあります。
また転職活動にあたっては、転職エージェントや転職サイトを利用して自分をアピールしていかなければいけません。
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職業訓練校を利用する
職業訓練校を使って、プログラミングを学ぶことができます。
ハローワークに認めてもらうなど一定の条件は付きますが、無料または給付金をもらいながらプログラミングの学習が可能。
ただし、学べるスキルが少ない、転職サポートがないなどのデメリットもありますので、注意が必要です。
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転職サポートのあるプログラミングスクールに通う
転職サポートのあるプログラミングスクールに通えば、より確実に未経験からITエンジニアになることが可能。
ITエンジニアとして必要なスキルの習得はもちろん、受講後に転職が決まるまで面接や履歴書作成の対策、求人の紹介などサポートしてくれるので安心です。
費用はかかりますが「転職できなかった場合は全額返金」など、手厚い保証を提供しているスクールもありますので、検討してみることをおすすめします。
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IT業界のエンジニア不足は転職のチャンス
本記事では、IT業界のエンジニア不足の現状とその理由、人材不足の今こそITエンジニアを目指すべき理由などを解説しました。
IT業界の人材不足の原因は、業界の急成長、技術の変化の早さなどさまざまですが、この状況は求職者にとってはチャンスでもあります。
今の仕事の将来性に不安がある、今の収入では将来が不安などの悩みがあれば、ITエンジニアに転職する道もぜひ考えてみてください。
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