「システムエンジニアとして働いているけど、他の分野に挑戦したくなった」
「SEから異業種転職する際、活かせるスキルや選択肢は何だろう?」
このように考えているシステムエンジニア(SE)の方は多いかもしれません。
本記事では、システムエンジニアが異業種転職する際に活かせるスキルや選択肢、異業種転職の前にやるべきことなどを解説。
システムエンジニアから異業種への転職を考えている方は必見です。
この記事の目次
異業種への転職が活発化
システムエンジニアからの異業種転職に関わらず、現在の転職市場では異業種・異業界への転職を目指す人が増えつつあります。
そこで本章では、日本における異業種転職の現状を以下のポイントで簡単に解説します。
- ミドル人材の異業種転職は2年間で15%増加
- 「IT・インターネット系」への転職が目立つ
ミドル人材の異業種転職は2年間で15%増加
エン・ジャパンの「ミドル世代の異業種転職」調査(2023年)によると、30代〜40代のいわゆる「ミドル人材」の異業種転職が活発化しているようです。
転職コンサルタント178人に聞いた上記の調査では、「担当したミドル人材の中で、異業種企業への転職を実現した人はいたか」の問いに対して、「はい」と回答したのは62%。
2021年と比較して15%増加したことが分かりました。
「転職」は同業種・同職種で行うものというイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかし実際には、業種の垣根を超えて移動する人も多いのです。
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「IT・インターネット系」への転職が目立つ
エン・ジャパンの同調査で、「ミドルの転職者の、転職前の業種で多い上位3つは?」という問いに対するTOP3の結果は、以下の通りでした。
- メーカー(65%)
- IT・インターネット(50%)
- 流通・小売・サービス、コンサルティング(41%)
また、「ミドルの転職者はどのような業種への異業種転職が多いですか?」という問いに対するTOP3の結果は、以下の通りでした。
- IT・インターネット(74%)
- メーカー(66%)
- コンサルティング(54%)
どちらの質問に対しても「IT・インターネット」「メーカー」「コンサルティング」が上位TOP3に入ってくる結果となりました。
異業種転職としては、「IT・インターネット」への転職が多いようです。
転職市場におけるIT人材不足の現状
転職市場で、IT人材はどの程度不足しているのでしょうか。また具体的にどのようなスキルを持ったIT人材が不足しているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
- 2030年には最大約79万人のIT人材が不足との予測も
- DXを推進できる人材が不足
- 従来の業務システムの開発・運用向け人材も足りない
- 内部育成か外部からのスカウトが必要
2030年には最大約79万人のIT人材が不足との予測も
経済産業省が2019年3月に発表した『IT人材需給に関する調査』によると、2018年時点のIT人材の総数は約103万人。この時点で、すでに約22万人の人材不足が指摘されました。
同資料では、高位シナリオの場合は2030年に最大約79万人のIT人材が不足すると予測しました。
- 高位シナリオ:約79万人
- 中位シナリオ:約45万人
- 低位シナリオ:約16万人
DXを推進できる人材が不足
近年はクラウドコンピューティングやIoT、ビッグデータ、ブロックチェーンなど数多くの先端技術に注目が集まっています。
これらを用いて、企業の業務プロセス全体を改善し、人々の生活全体を良い方向に導こうとする考え方を「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と呼びます。
経済産業省の「今後のIT人材等に関するWEBアンケート調査」によると、今後特に重要性を増すと予測される先端IT技術は「ビッグデータ」「IoT」「人工知能」の3つ。
これらの先端技術は、今後産業界を大きく変革する可能性が高いです。
しかし「十分な知識を持った人材の不足」「その技術を用いた製品・サービスを具体化できる人材の不足」が見込まれているのも現状。
「ビッグデータ」「IoT」「人工知能」に「ロボット」を加えた4ジャンルは、質量ともにさらなる人材不足に陥る可能性が非常に高いです。
SEとして既に身につきたスキルに加え、AI(人工知能)やIoTを学ぶことで他のエンジニアに差をつけることができます。積極的に先端技術を吸収しましょう。特に「技術力に自信がない」場合は学習を止めてはいけません。
従来の業務システムの開発・運用向け人材も足りない
多くの企業では、従来の業務システムの企画・開発・運用向けの人材も十二分に確保しているというわけではありません。
慢性的な人材不足の中で、産業構造の変化が一層浮き彫りに。IT人材の重要性がさらに増してきているという状況です。
IT人材に求められるスキルとは、大きく分けて3つ。
- プロデューサー:人や組織を動かすプロジェクトマネジメント能力
- デベロッパー:実践的な技術力、高いプログラミングスキルが求められる
- デザイナー:アイデアをプロトタイプやモックへと落とし込むスキル、UI/UXに関する知見が必要
これら3つのスキルをすべて持ち合わせた人材は、圧倒的少数です。
現実的には企業はこの3つのタイプから「自社に最も足りない人材」を都度都度判断し、人手の確保に動くことになります。
内部育成か外部からのスカウトが必要
企業がIT人材を確保する際の選択肢は、内部育成か外部からのスカウトの大きく分けて2つ。
内部育成の場合は、社内の技術者の配置転換や、ITに適性があると思われる社員に研修を施すことで人材を確保することになります。
採用コストが発生しない代わりに、金銭的にも時間的にも「育成コスト」がかかるのがデメリット。また育成には失敗のリスクも。
外部から優秀な技術者を引き抜く場合は、高額の給与など好条件を提示する必要があります。
しかし技術者の確保に成功すれば、自社のデジタルトランスフォーメーションを迅速に進められる上、採用と育成にも好影響があります。
その技術者の知人らをリファラル採用で、採用できる可能性があります。かつその技術者を中心にマニュアルを整備することで、新人育成を効率よく進められるからです。
システムエンジニアが異業種転職で活かせるスキル
ここでは、システムエンジニアが異業種転職に活かせるスキルを3つ紹介します。
- 分析力
- プログラミングスキル
- コミュニケーション能力
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分析力
システムエンジニアに任される重要な仕事の1つが、顧客の要望をヒアリングし問題点とその解決策をまとめる「要件定義」のフェーズ。
要件定義に誤りや認識のずれがあると、その後の基本設計やテスト、納品に多大な影響が出ます。
よってシステムエンジニアには、顧客の要望をしっかり聞き出し、最適な解決策を導き出すスキルが求められます。
こうした分析力は、他業種でも活かすことができる能力です。
プログラミングスキル
システムエンジニアの異業種転職で最大の強みとなるのは「プログラミングスキル」。
システムエンジニアとして実践的なビジネス経験を積んだIT人材は、異業種では少数派。
SIer以外に転職しても、Webアプリケーション開発やスマホアプリ開発に技術を生かせます。
日常業務の中でもRPAや人工知能、チャットボット、マクロなどを使って業務を自動化し、生産性を高めることができるでしょう。
コミュニケーション能力
また、プログラミングスキルがあることで、社内外とのやり取りも円滑化できます。
マネジメント層がしばしば直面する課題の1つが「エンジニアとのコミュニケーション」。
管理職からすれば、エンジニアの使う専門用語が理解できない。エンジニアからすれば自分の話がなぜ通じないのかが分からない。
このようにして管理職とエンジニアの間には、溝が生まれやすいです。
SEから異業種に転職した場合、こうした溝を埋める橋渡し役を担うこともできます。
システムエンジニアが異業種転職する際の選択肢
ここでは、システムエンジニアから異業種に転職する際の選択肢を解説します。
- Webエンジニア
- 社内SE
- ITコンサルタント
- フリーランス
- 全くの異業種への転職は避けよう
Webエンジニア
SEからWebエンジニアへの転職は、もっとも一般的な選択肢です。一般的にWebエンジニアは、自社サービスのWebアプリケーション開発を行うエンジニアを指します。
WebエンジニアとSEの大きな違いは、「自社サービスの開発をするのか」「クライアントからの請負で開発をするのか」について。
Webエンジニアは、社内でのやり取りがメインで、請負よりもスピード感を持った開発が可能。
ABテストやPDCAサイクルの検証もしやすく、新たな言語やフレームワークの導入もしやすい傾向にあります。
請負開発は自社サービス開発に比べ、より安定性を持った開発が求められます。バグやセキュリティホールを可能な限り排除することが必要です。
そのため新たなフレームワークや技術の導入は、開発事例が出揃い、技術の検証が済むまではしづらいと言えます。だからこそ、SEの仕事は「要件分析」「要件定義」が重視されます。
Webエンジニアに転職した場合、SIerでの業務に慣れているSEはスピード感についていくのに苦労するケースもあります。
仕事の進め方に戸惑うケースもあるでしょう。しかし、コードを書くことが好きであれば親和性が高い職種です。
社内SE
社内SEとは、既存システムの保守・運用や社内でのITサポート、社員からの質問対応などを主に担当するエンジニアです。
社員のパソコン関係のトラブルシューティングを行うこともあります。
顧客対応が発生するケースは少なく、スケジュールや納品期限も柔軟に設定しやすいです。
また納品先が社内となるため直に感想やFBを受けることができ、成果が見えやすいのも特徴。こうした理由から、社内SEは人気が高いポジションの1つです。
社内SEは、所属する企業が成果を上げるための「IT技術を活かしたバックアップ」の役回り。
そのため「単に言われた仕事をこなす」だけではなく、積極的に他部署とコミュニケーションをとる姿勢が求められます。
他部署の社員からヒアリングをしたり、雑談をする中で気づく「システムの改良すべき点」も多いものです。
厳密な要件定義があるSEに比べて、社内SEはコミュニケーション能力や柔軟性が問われるポジションと言えるでしょう。部署横断的な仕事が好きな方に、特に向いています。
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ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、企業の経営課題を解決するための対策提案からシステム開発までを一気通貫で行う業務。
詳細な業務内容は、クライアントや「解決すべき課題」によって変わり、企業の経営課題の解決に「システム開発」が必要であれば、開発を行います。
既存システムの改修や運用体制の見直しが必要であれば、ITコンサルタントはディレクションを全面的に見直すことになるでしょう。
SEとITコンサルタントの大きな違いは、「業務範囲の広さ」と「経営視点」です。
ITコンサルタントの業務範囲は「アナリスト」的でもあり「デベロッパー」的でもあります。マーケターやディレクターの業務にも関連性が深いです。
これらの業務をITコンサルタントが一人で担うのが現実的に難しく、コンサルタントはスペシャリスト数名を組織しチームで協力して、経営課題の解決に取り組むのが一般的。
このことから、ITコンサルタントには強いリーダーシップも必要です。
また、経営視点の重要さも欠かせないポイントです。
ITコンサルタントの提案は、業務改善に繋がるものであることはもちろん「コストパフォーマンス」や「ROI」にも優れたものでなくてはいけません。
「現場は楽になるかもしれないが、必要経費がかかりすぎる」という提案は、必ずしもクライアントのためにはなりません。
「SEとしての経験を足がかりに、経営サイドでのキャリアを積んでいきたい」
「企業の業務改善全般のプロセスに携わりたい」
上のようなキャリアプランを描いている方は、ITコンサルタントへの転職を前向きに検討すると良いでしょう。
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フリーランス
フリーランスエンジニアは、個人事業主として独立。企業から業務委託案件の発注を受けて、開発を行うエンジニアです。
フリーランスの魅力は、「自分の働き方を、自分で決められる」こと。
仕事は在宅ワークが主となり、出社時間・退勤時間は自分で決められます。
正社員にありがちな副業規定も特にないため、複数クライアントから同時に仕事を受けることも可能です。
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全くの異業種への転職は避けよう
前述の通り、SEの技術や分析能力は他業種でも活かせます。
しかし「全くの異業種に転職しても活かせるか」は別問題。何の関係性もない業種にいきなり転職すると、苦労する可能性が高いです。
特に弁護士や弁理士、税理士をはじめとする「士業」への転職は慎重にしましょう。資格取得に要する勉強時間が非常に長い上、士業は人余りの傾向が強く、顧客獲得のハードルも高いです。
SEからの転職を考える際は、既に持っているスキルと「次の仕事」のシナジー効果をしっかり考え抜いて決断しましょう。
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システムエンジニアが異業種転職する前にやるべきこと
ここでは、システムエンジニアが異業種転職する前にやるべきことを3つ紹介。
- スキルの棚卸し
- スキルの磨き直し
- キャリア相談
スキルの棚卸し
それまでの業務を通じて、培ってきたスキルを棚卸しましょう。
以下の3つを自分に問いかけてください。可能な限り客観的に、具体的な数値やデータ、過去の実績に基づいて検討してください。
- 仕事を通じて達成したことは何か
- 自分が得意とする業務は何か
- 苦手な業務にどのように向き合ってきたか
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仕事を通じて達成したことは何か
自分が業務で残した具体的な成果は何かを考えてください。
例:クライアントに業務効率化ツールの導入を提案。システム開発から導入までを一括サポートし、人力で1時間かかる作業を5分に短縮。年間で1000万円近い人件費の削減に成功。
自分が得意とする業務は何か
「自分が他者よりも優れている点は何か」を具体的に考えましょう。
例:高級言語だけでなく、C言語をはじめとする低級言語のプログラミングが可能。IoTなど省電力性と処理性能が両方求められるシーンでは、高級言語にこだわらずにCで開発できる。用途に応じたフレームワークの使い分けもできる。
苦手な業務にどのように向き合ってきたか
どのような人にも、得意なことと苦手なことがあります。
得意な業務に専念し、生産性を最大に高めることは理想的な働き方。ただ、実際には苦手な業務にしっかりと向き合うことも大事です。
例:コーディングは得意だが、クライアントからのヒアリングや要件定義が苦手。そのため、事前にヒアリングシートを作成。MTGで全てをヒアリングするのではなく、事前に「重点的に聞きたいポイント」を洗い出しておく。MTG時間を最小に抑えることで、業務効率化した。
スキルの磨き直し
上の3つの項目に対して「特に答えられることがない」「自分の強みがわからない」「これといった成果もない」といった場合。
この場合は、転職活動よりも「スキルの磨き直し」を優先しましょう。
上の3つの項目に答えられないということは、アピール出来る要素が無いこととほぼ同義。
例えばプログラミングスクールに通い、オリジナルサービスを開発。開発したサービスを採用サイドに提出すると「企画力」と「技術力」を同時にアピールできます。
サーバーサイドからフロントエンドまで一気通貫で手がけられる技術があると評価されるため、Webエンジニアや社内エンジニアの内定を獲得しやすいでしょう。
キャリア相談
異業種への転職には、リスクがつきものです。
「スキルの棚卸」と「仕事選び」を同時に進めると、徐々に自分の気持ちに迷いが生まれて「自分が本当にやりたい仕事は何だろう」と悩んでしまうこともあるでしょう。
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キャリアカウンセラーに正直に悩みを打ち明けることで、自分の脳内が少しずつ整理されていきます。自分の長所や足りないスキル、今からやるべきことがクリアになるでしょう。
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異業種転職するなら戦略的な転職活動が重要
システムエンジニアが異業種転職する際に活かせるスキルや選択肢、異業種転職の前にやるべきことなどを解説しました。
システムエンジニアには、プログラミングスキル・分析力・技術者とのコミュニケーション力などの能力が備わっています。
こうした能力を活かせる職場に転職すれば、さらなるキャリアアップを図れるはずです。
異業種転職では自分の強みを把握し、戦略的な転職活動を行いましょう。
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