「最近、プロジェクトマネージャーに抜てきされた」
「プロジェクトマネジメントの経験がないから、何から始めたらよいか分からない…」
「初心者にも分かるように、プロジェクトマネジメントの基本を教えて!」
「プロジェクトマネジメントってそもそも何か分からない」「どんなスキルが必要なのか分からない」「どうやって学べばよいか分からない」といった悩みを抱える方は多いと思います。
そこで本記事では、「プロジェクトマネジメント入門」と題して、初心者の方を対象にプロジェクトマネジメントとは何か・必要なスキル・資格・本などを紹介します。
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この記事の目次
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの計画を立て、プロジェクトメンバーの人数や配置を決め、プロジェクト全体をコントロールする、一連の流れを指す言葉です。
具体的には、計画の立案・人員リソースの確保・タスクの割り振り・問題点の洗い出しといった業務を行います。
プロジェクトマネジメントの目標は、効率的に業務を管理してプロジェクトを成功に導き完了させることです。
そのため、プロジェクトが成功するか否かは、プロジェクトマネジメントの質で決まるといっても過言ではありません。
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プロジェクトマネージャーとは
プロジェクトマネージャーとは、プロジェクトマネジメントを行う役職のことです。
プロジェクトマネージャーの任務とは、計画・進捗・コスト・リソース(人・物)・時間・リスクといった制約条件を管理しながら、プロジェクト完了までチームをリードすること。
成果物の完成から逆算してスケジューリングを行うため、適切な指示出しやクライアントへの進捗報告しなど、「リーダーシップ」や「ビジネススキル」を要求されます。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト全体の舵取り役ともいえる存在であり、プロジェクトの行く末を左右する、責任重大な役職です。
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PMBOKとは
プロジェクトマネジメントは、かつてはベテランの勘や個人のセンスといった、属人的な側面が多く見られました。
しかし、現在は「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」という、プロジェクトマネジメントの知識を体系的にまとめた考え方を使うのが一般的です。
PMBOKとは、「QCD」(品質・コスト・納期)管理のため、「立上げ」「計画」「遂行」「コンロール」「集結」の「5つのプロセス」を敷き、 そのために必要な知識を「10個の知識エリア」として分類した、プロジェクトマネジメントの考え方。
そして、10個の知識エリアは以下の通りです。
- スコープマネジメント
- リスクマネジメント
- コミュニケーションマネジメント
- ステークホルダーマネジメント
- 統合マネジメント
- スケジュールマネジメント
- コストマネジメント
- 品質マネジメント
- リソースマネジメント
- 調達マネジメント
PMBOKについて詳しく学びたい方は、プロジェクトマネジメント協会 (PMI)が監修する「PMBOKガイド」の購入をご検討ください。
スコープマネジメント
スコープマネジメントは、プロジェクトの成否に影響する最重要項目とも言われています。
スコープとはプロジェクトの範囲を意味し、目標達成のため成果物とタスクを定義します。その定義は必要に応じて常に見直されます。
リスクマネジメント
リスクマネジメントとは、リスク管理のことです。
リスクはチャンスも包括することが多いため、避けてばかりいるのではなく、上手くコントロールしながら管理、調整しなければなりません。
また、想定できるリスクの予防もおこないます。
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コミュニケーションマネジメント
コミュニケーションマネジメントとは、ステークホルダー(利害関係者)との適切なコミュニケーションをおこなうことです。
ステークホルダーマネジメント
ステークホルダーマネジメントとは、ステークホルダー(利害関係者)にとって必要な情報を収集し、保管・伝達を管理することです。
プロジェクトマネジメントの基本【初心者必見】
「効果的なプロジェクトマネジメントを実践したい!」
もしあなたがそう思い立っても、初心者なら何から始めたら良いのか見当もつかないでしょう。
そこで本章では、初心者向けにプロジェクトマネジメントの基本を3つ紹介します。
- 「課題管理」「スケジュール管理」「成果物管理」の3つをおさえる
- QCDは目的ではなく基本
- 成果物から逆算して考える
これらの内容について解説します。
「課題管理」「スケジュール管理」「成果物管理」の3つをおさえる
「課題管理」「スケジュール管理」「成果物管理」の3つは、プロジェクトマネジメントの軸となるポイントなので、必ずおさえましょう。
「課題管理」とは、プロジェクトテーマやゴールを設定する「インプット」の作業。
「どのようなソリューションを提供するか」を決定する段階なので、解決しなければいけない課題を洗い出します。
「できていない」「分からない」「決まっていない」など、課題をひとつひとつ丁寧に洗い出していきます。それに基づき、次に遂行すべき「タスク」を決定します。
課題を洗い出したら、次は「スケジュール管理」です。それぞれの課題ごとに解決策となるタスクを選択したら、スケジュールに当てはめていきましょう。
設定したタスクをひとつひとつ実行していくと、想定したプロジェクトの産物(アウトプット)ができあがります。このアウトプットの管理が「成果物管理」です。
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QCDは目的ではなく基本
プロジェクトマネジメントは、「QCD=品質・納期・予算」を守ることと定義されがち。
しかし、プロジェクトマネジメントは単に予算や納期を守って、成果物を作成すれば良いというわけではありません。
それは当たり前に求められる内容で、プロジェクト遂行の基本でしかないからです。
ビジネスとして製品やサービスを提供するのなら、QCDは第一の目的ではなく「当然保障されるべきもの」なのです。
産業が興ったばかりの時、黎明期においては、求められるサービスの質はQCDさえ守っていれば良かったことが分かります。
しかし顧客が求める品質はどんどん高くなります。QCDのみを追求した製品では顧客は満足せず、カスタム化などで高付加価値化できないと評価しなくなるという現象が起きてきます。
このように、プロジェクトマネジメントは「変化」に対応できなければなりません。
QCD管理だけではなく、顧客のニーズに合ったものを納品することが、本来のプロジェクトマネジメントの目的となります。
成果物から逆算して考える
「課題管理」「スケジュール管理」「成果物管理」を実行する際は、「成果物」を先に設定し最終形をイメージしたうえで、工程を構築することも重要。
例として「お弁当作り」に当てはめてみます。「課題管理」に相当する、お弁当作りに関する課題の洗い出しをまず行いましょう。
- おにぎりかサンドイッチか
- メインのおかずは昨夜の唐揚げでよいか
- サブのおかずを調理する時間がない
次に、課題解決のためのタスクを洗い出しましょう。
- 時間がないのでおにぎりにする
- まだ涼しいのでメインのおかずは昨夜の唐揚げで大丈夫
- サブのおかずは、自然解凍のきんぴらごぼう
次に、家を出る時間から逆算してお弁当を作る計画を立てるのが「スケジュール管理」です。
そして、出来あがったおかずをお弁当につめましょう。おかずが多ければ、おにぎりはラップにくるみ外に「格納」します。このお弁当詰めが「成果物管理」です。
プロジェクトマネジメントの手法7つ
プロジェクトマネジメントをより効率的におこなうために活用できるものはたくさんあります。
プロジェクトマネジメントにおいて代表的な手法は、以下の7つです。
- カレンダー
- ガントチャート
- PERT(アローダイヤグラム)
- タイムライン
- WBS
- マインドマップ
- 進捗管理
これらの手法について解説します。
カレンダー
「カレンダー」は、最も導入しやすいスケジュール管理手法です。日常的に使っている方も多いでしょう。
プロジェクトのタイムスケジュールを、カレンダーにわかりやすく表記します。納期までの期間を逆算できるように、見やすく工夫しましょう。
ガントチャート
出典元:ビズサプリ NEC
「ガントチャート」とは、プロジェクトの進捗管理画面を「見える化」したものです。
細かく作業別に階層を作成でき、かつ全体の進捗状況を表示できます。
担当者、開始日、終了日を入力して、共有機能でプロジェクトチームメンバー全員にシェアすることも可能です。今、多くの業種でプロジェクトマネジメントに活用されつつあります。
PERT(アローダイヤグラム)
「PERT(Program Evaluation and Review Technique)」とは、プロジェクトの各工程にかかる日数を見える化したもので、「アローダイヤグラム」とも呼びます。
上図は、納豆かけご飯を作る工程のPERT図になります。
このようにPERTを用いると各タスクの相互関係や順序が明瞭になり、フローの問題点も把握しやすいです。
タイムライン
「タイムライン」は、文字通りプロジェクトのタスクを時系列で表示できるツールです。
タイムラインを使用すると、いつタスクに着手する必要があるかが明確に可視化されます。
ただ、タイムラインにはタスクの相互依存関係やステータスの表示に制限があります。
タスクが複雑になり相互関係の把握が重要になる場合には、ガントチャートの方が使い勝手が良く人気です。
WBS
出典元:株式会社システムインテグレータ
「WBS(Work Breakdown Structure)」は、作業分解構成図を意味します。
上図は「カツサンドを作るプロジェクト」を、細かな作業(Work)に分解(Breakdown)した構成図(Structure)です。
このように、WBSはプロジェクトに包括される作業の洗い出しにとても役立ちます。
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マインドマップ
「マインドマップ」は、その柔軟性から細やかなタスク管理が可能となるため人気のプロジェクトマネジメントツールです。
写真やリンクをマップに置くことも可能。複雑なプロジェクトをより細分化して分かりやすくし、問題点を洗い出したり分析したりしたい場合に効果的です。
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進捗管理
「進捗管理」は、プロジェクトなかのタスクそれぞれの進行状況を追求し、チームメンバーの業績も視覚化できるツールです。
タスクの進捗状況と責任者の明確化に重点を置いており、各タスクの進み具合を%で表すため、完成までの距離感を読むことができます。
プロジェクトマネジメントに必要なスキル
プロジェクトマネジメントに必要なスキルは、以下の3つです。
- プロジェクトを俯瞰できる広い視野
- 想定される課題を見抜く力
- 信頼を築くコミュニケーション能力
これらのスキルについて解説します。
プロジェクトを俯瞰できる広い視野
通常は、複数のワーキンググループが、同時にプロジェクトマネジメントを行います。
各ワーキンググループの動きは完全に独立しているわけではなく、相互作用しています。
そのため、図らずとも自分のグループの判断が他のワーキンググループの進行に良くない影響をもたらしてしまうことも。
そういった場合には、うまく軌道修正を図れる能力が要求されます。これは、プロジェクト全体を俯瞰でき、それぞれのプロジェクトの特性を理解していないとできない判断です。
このように、プロジェクトマネージャーには全体を見渡すことのできる広い視野が必要です。
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想定される課題を見抜く力
各ワーキンググループメンバーは、正しいと思ってプロジェクトを進めていきますが、判断を間違えることもあります。
そんなケースを想定してつまづきポイントを事前に抑え、未然に防ぐようメンバーに働きかけることができなければなりません。
成果物の「手戻り」が発生するのを防ぐためにも、想定される課題を見抜く力は必要です。
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信頼を築くコミュニケーション能力
相手に合わせたコミュニケーションが図れる能力も、プロジェクトマネジメントで必須。
なぜならプロジェクトマネジメントの職務では、多くの利害関係者(ステークホルダー)とやり取りしなければならないからです。
具体的には、役員から一担当者まで、営業から開発の現場までと、実に幅広いです。
それぞれの立場において、関心ごとも理解度のレベルも違うことを理解したうえで、納得できる説明をする能力が求められるでしょう。
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プロジェクトマネジメントに役立つ資格
プロジェクトマネージャーになるのに特別な資格は必要ありません。
しかし、プロジェクトマネジメントに関連する資格を取得しておいた方が、基礎が身についているので、仕事に入りやすいでしょう。
プロジェクトマネジメントに役立つ資格は、以下の3つです。
- プロジェクトマネージャ試験
- PMP®資格
- P2M資格
本章では、これらの資格について紹介します。
プロジェクトマネージャ試験
「プロジェクトマネージャ試験(PM)」は、高度IT人材としてのプロジェクトマネージャーに足る知識・スキルを証明する国家試験です。
本試験は、情報処理技術者試験の高度試験に該当し、情報処理技術者試験の中でも最難関レベルに位置しています。
実際、IPAの「統計情報」を参照すると、令和2年度10月実施の試験における応募者数は9,672名、そのうち合格者数は948名、合格率は15.1%でした。
一方で、IT業界における本試験の認知度は高く、資格保有者になると市場価値の高いIT人材として活躍できるでしょう。
取得を目指す場合は、基礎固めとして「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」から取得していくことをおすすめします。
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PMP®資格
出典元:一般社団法人 PMI日本支部
「PMP®資格」は、アメリカの非営利団体「プロジェクトマネジメント協会(PMI)」が認定している、プロジェクトマネジメントに関する国際資格・民間資格です。
グローバルかつ業界をまたいだ、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルであることを証明できます。
ただし、本資格の取得には実務経験が必要なため、プロジェクトマネジメント未経験の方は受験できません。
P2M資格
出典元:特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会
「P2M資格」は、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が認定しているプロジェクトマネジメントに関する民間資格です。
P2M資格試験の種類と受験資格は、以下の通り。
- PMC資格試験:PMC講習会修了者
- PMS資格試験:なし
- PMSプログラム試験:PMC資格登録者
- PMR資格試験:PMS資格登録者、3年以上のプロジェクト実務経験
プロジェクトマネジメント未経験でも受験できる反面、プロジェクトマネージャ試験と比較すると認知度は低いです。
プロジェクトマネジメントの学習におすすめの本8選
本章では、プロジェクトマネジメントの学習におすすめの本を8冊紹介します。
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プロジェクトマネジメントの基本 この1冊ですべてわかる
プロジェクトマネジメントの標準についてまとめた、入門書として適切な一冊。
実際に「製品開発」「新規事業」「経営革新」の場においておこなわれたプロジェクトマネジメントの活用事例もまとめてあるので、プロジェクトマネジメントについて基礎から新たに学びたい人におすすめです。
マンガでわかるプロジェクトマネジメント
初心者にも分かりやすいPMBOKの解説書。
マンガのストーリーを追いながら、楽しく知識を得ることができます。
いちばんやさしいPMBOKの本
PMP(Project Management Professional)所持者のSEでありながら、対空戦闘指揮装置の修理要員として自衛隊に勤務していたという異色の経歴を持つ著書によるPMBOK指南書。
こちらも初心者向きの内容で「いちばんやさしい」という謳い文句通り難解な言葉もないため、プロジェクトマネジメントの入門書として最適の一冊です。
エンジニアとしてキャリアを積んで、そろそろプロジェクトマネージャーを目指したい人にもおすすめです。
人月の神話【新装版】
1964年にIBMの開発マネージャーとしてソフトを開発したフレデリック P. ブルックスが、プロジェクトマネジメントの問題点と対策についてまとめた一冊。
「最も多くの人が読んだプロジェクトマネジメントの本」とも謳われる良著です。
クリティカルチェーン―なぜ、プロジェクトは予定どおりに進まないのか?
「プロジェクトの遅れ」を物理学者である著者が科学的に分析するとともに、著者エリヤフ・ゴールドラット氏が考案した「制約条件の理論」に基づいたプロジェクトマネジメント手法を紹介している一冊。
小説形式で、非常に読みやすくなっています。
ピープルウエア
主題はなんと「メンバーのやる気」。マネジメントコンサルタントの著者が綴ったエッセイ。
日本語副題「やる気こそプロジェクト成功の鍵」から、著書を通して著者の言わんとする内容が偲ばれます。
外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント
本書は、プロジェクトマネジメントにおける「プロの技術」をまとめた一冊。
プロジェクトの成否の半分は「人選」で決まる、「勝てるプロジェクトの見極め方」など、目から鱗の内容が豊富に詰まっています。
世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント
アマゾンジャパンが2015年10月に選出した「オールタイムベストビジネス書100」の中で、唯一プロジェクトマネジメント関連で選出された一冊。
「ある程度経験のある人なら、スラスラ読めるレベル」「PMP対策とするならば、合わせてPMBOKガイドを読む必要がある」などのレビューがありました。
世界中のプロジェクトマネジメントのプロから賞賛される著書の日本語版です。
プロジェクトマネジメントの基本をおさえて仕事に活かそう
プロジェクトマネジメントとは何か・必要なスキル・資格・本などを紹介しました。
初めてプロジェクトマネジメントを経験するときは、計画の立案や人員配置などのさまざまなタスクを並行して行うため、非常に大変だと感じるでしょう。
実際、プロジェクトマネージャーに与えられる裁量は大きく、マネジメント能力・論理的思考・コミュニケーション能力などをフル活用して業務を遂行します。
そのため、降りかかる責任は大きい反面、ビジネスパーソンとして大きく成長できる絶好の機会でもあります。
プロジェクトマネジメントは、さまざまな業界・職種で応用できますから、基本をおさえて自分の仕事に活かしてみてください。
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