企業のHPや広告などでよく目にする「エンジニアリング」という言葉。
「エンジニア」という言葉は知っていても、「エンジニアリング」についてはよくわからない人も多いのではないでしょうか。
日本語におけるエンジニアリングの言葉の意味は非常に幅広いため、まずは概要を簡単に理解することから始めましょう。
そこでこの記事では、エンジニアリングとは?について、言葉の意味や種類、設計やエンジニアとの違いなどを解説します。
近年人気のITエンジニアリングについても解説するので、IT業界に興味がある人もぜひ参考にしてください。
この記事の目次
エンジニアリングとは?を簡単に解説
エンジニアリングとは、英語の「Engineering」に由来する言葉で、直訳すると「工学」。
工学とは、数学・化学・物理学などの知識を工業生産に応用する学問を指し、もっと簡単にいうと「社会貢献のための技術の開発・改善」です。
日本におけるエンジニアリングは、欧米よりも定義が広いといわれています。海外では、エンジニアリングはおもに数学や科学の技術を活用する学問です。
一方、日本では人文社会科学(人や社会について研究する学問)の知識も活用しながら、工業や社会に貢献する学問とされています。
以下では、エンジニアリングの目的や設計・エンジニアとの違いなどを解説。
エンジニアリングの目的
一般的に、エンジニアリングの目的は、新しい科学技術の開発や既存の技術の改善を通して、より住みやすい社会や便利な世の中を構築することです。
例えば、テレビや洗濯機などの家電、インターネットやスマートフォンなどの通信機器、電車や飛行機などの交通手段に至るまで、エンジニアリングは介在しています。
つまり、この便利な現代社会はエンジニアリングのおかげで成り立っていると言っても過言ではありません。
エンジニアリングとは「社会をより豊かにするための技術」とも理解できるでしょう。
エンジニアリングと設計の違い
エンジニアリングと混同しやすい言葉として「設計」があります。
設計とは、コトバンクによると以下のような意味です。
構造物の構造を、実際の生産に必要かつ十分な程度に決定し、その結果を設計図、仕様書、取扱い説明書などとして表現する営為をいう。
引用元:コトバンク
前述したように、エンジニアリングは「社会貢献のための技術の開発・改善」だと説明しました。開発・改善のためには、前段階となる「設計」なくして成り立ちません。
つまり、設計はエンジニアリングの中にある一工程であり、設計はエンジニアリングの目的を達成するために非常に重要な工程なのです。
エンジニアリングとエンジニアの違い
「エンジニア(Engineer)」とは、「技師」や「技術者」を表す言葉。エンジニアリングを生業とする人・エンジニアリングに関する知識・技術を持った人を指します。
エンジニアの具体例としては、IT業界で働くシステムエンジニア(SE)やプログラマー(PG)、メーカーなどで機器を開発するメカニカルエンジニアなど。
エンジニアについては、以下の関連記事でも解説しているので、参考にしてください。
エンジニアリング業務はおもに6種類
エンジニアリングは、具体的に取り組む分野によって「◯◯エンジニアリング」と呼び分けられています。ここでは、おもなエンジニアリングを6つ紹介。
- ITエンジニアリング
- 機械エンジニアリング
- プラントエンジニアリング
- 化学エンジニアリング
- シビルエンジニアリング
- レコーディングエンジニアリング
ITエンジニアリング
ITエンジニアリングとは、IT(Information Technology:情報技術)を研究開発する分野です。
企業の業務効率化や利益向上のためのシステム開発、コミュニケーション活性化やより便利な社会を実現するためのサービスやアプリの開発などを行います。
様々なサービスのIT化により、近年ますます重要度が高まっているITエンジニアリング。AI(人工知能)やビックデータの活用など、今後さらなる発展が期待されています。
IT業界については、「IT業界がよくわかるIT業界地図を紹介!業種・職種・課題を理解し就職・転職に役立てよう」で詳しく解説しています。
IT業界への就職・転職を検討している方は、合わせてチェックしてみてください。
機械エンジニアリング
機械エンジニアリングとは、工場などの機械や設備に関連する分野です。自動車や家電、日用品などのものづくりに必要な機械の設計、部品、調達、制作、保守などを行います。
この分野で働く技術者を機械系エンジニアと呼び、彼らは製図や力学、金属加工などの具体的に携わる設備に応じた専門知識を持っています。
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プラントエンジニアリング
プラントとは日用品や自動車、石油など様々なものを製造する工場設備一式のことを指します。プラントエンジニアリングとは以下のような設備に関連する研究開発を行う分野です。
- 日用品を製造する工場の機械設備の設計・施工
- 下水や処理などを行う施設の保守
- 産業で必要な建設資材の調達
- 建設現場の工程管理・品質管理
この分野で働く技術者が「プラントエンジニア」で、彼らは土木、電気、化学、機械などそれぞれの分野に特化した技術や知識を持っています。
化学エンジニアリング
化学エンジニアリングはプラントエンジニアリングの一種であり、化学技術を駆使して産業を支える研究分野です。
具体的には、石油や鉱物などを扱う設備の設計や管理、工場や設備の建設工程における安全管理などを担当します。
そのほかには、新しい素材やエネルギー開発など、化学技術を用いた研究を行います。
シビルエンジニアリング
シビルエンジニアリングとは、道路や鉄道、水道などの生活インフラに関連する研究分野で「市民のための工学」と訳されます。
ダムの建設、河川の管理、道路の修繕など、私達の生活に深く関わる設備の設計・建設・管理などを行います。
より安全で安定性のある設備の提供を目指すだけでなく、環境保全やその土地の景観や風土にあわせた都市開発なども取り組みの1つです。
一般市民の目からも「見えやすい」分野であることから、そこに従事するエンジニアもやりがいや社会貢献の実感を持ちやすいでしょう。
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レコーディングエンジニアリング
レコーディングエンジニアリングとは、音響機器を用いた楽曲制作を専門的に行う分野です。
具体的には、楽曲制作や録音の現場で、音響機器の調整や操作を行ったり、専用のツールなどを用いて編集を行ったりします。
ミキサー、プロセッサー、シンセサイザーなどを扱う技術に加えて、音楽的な感性・クリエイティビティも必要とされる分野です。
裏方としてレコーディングエンジニアリングに従事する人の他に、アーティストとして自身も音楽活動を行っている人もいます。
エンジニアリングを仕事にする3つのメリット
エンジニア職とは、エンジニアリングに携わる技術者の総称です。さまざまな職種がある中で、エンジニア職につくメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、エンジニアリングを仕事にする3つのメリットを解説。
- 社会への貢献度が高い
- 需要が高い
- 手に職をつけられる
社会への貢献度が高い
エンジニア職は分野に応じて「◯◯エンジニア」と呼び分けられていますが、いずれのエンジニア職も社会への貢献度が高いことが特徴です。
システムの開発、工場の運営、プラントの開発、都市開発など、いずれの事業も技術なければ、実現できません。
作った製品を世の中に広める広報職や営業職ももちろん企業にとって重要ですが、ものづくりをする際にはまず技術者が必要なのです。
あらゆる事業の根底を支えるエンジニア職は、それだけ社会への貢献度が高く、やりがいも大きい職種と言えます。
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需要が高い
技術職は企業活動に欠かせない人材であることから、いずれの業界においても需要が高い傾向があります。
一方で、日本はIT人材の不足が叫ばれており、年々需要が高まってきています。
需要が高いということは、それだけ多くの会社から求められているということなので、転職や就職においても、色々な会社から選ぶことができるでしょう。
エンジニア職の中で特に需要が高いのがITエンジニアです。近年のIT化の波によりIT業界は慢性的な人材不足の状態。
プログラミング未経験者であっても、基礎知識を身につけることで就職できるチャンスがあります。ITエンジニアのおすすめ理由は後述します。
手に職をつけられる
手に職をつけられるのも、エンジニア職に就くメリットの1つ。
特に設備や建設に関係する業務の中には、特定の資格を持つ人しか行えないものや、各現場で最低1人以上は有資格者が必要なものもあります。
技術力や資格を身につけることで、自身の市場価値を高められるので、転職でも有利な立場に立つことができるでしょう。
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近年ITエンジニアリングが注目される6つの理由
数あるエンジニア職の中で、最近特に目指す人が多いのがITエンジニアです。これには、IT系人材の需要の高さやIT業界への将来性の高さなどの他に、いくつかの理由があります。
これから技術職を目指すならITエンジニアがおすすめの理由を6つ解説しましょう。
- 慢性的なIT人材不足
- 未経験からでも目指せる
- 男女の差がない
- 将来性が高い
- 平均年収が高い
- 場所や時間にとらわれずに働きやすい
慢性的なIT人材不足
日本は現在、慢性的なIT人材不足にさらされています。経済産業省の調査によれば、2030年には最大約79万人ものIT人材が不足するとの試算もあるほどです。
こうした状況に加えて、テクノロジーの急速な発展が進む中、企業は生産性向上や経営活動の効率化などに向けて、IT技術の導入は不可欠。
そのため、IT企業に関わらずあらゆる業界でIT技術を持つ人材を確保したいのです。こうした背景から、ITエンジニアリングはこれから先も注目されるでしょう。
未経験からでも目指せる
エンジニア職の中には、大学や大学院の専門学部で数年間学ばなければ就けない職種も多い一方、ITエンジニアは文系出身者や他業界からでも目指しやすい特徴があります。
エンジニア転職をゴールとする社会人向けのプログラミングスクールも数多くあり、数週間~数ヶ月の集中的なトレーニングで、未経験からIT業界への転職も目指せます。
プログラミングスクールについてはこちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひあわせて参考にしてください。
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男女の差がない
パソコンを使って仕事をするIT業界は、基本的に力仕事や危険な仕事がなく、男女でパフォーマンスに差が出づらいです。
また、IT業界には、実力主義の企業や女性が働きやすい環境作りに積極的な企業が多いことから、女性の管理職や経営者も他業界に比べて多い傾向があります。
このような状況から「仕事も家庭も頑張りたい」「キャリアをしっかりと築きたい」と考える女性を含めて、多くの人が他業界からIT業界への転職を決めています。
将来性が高い
将来性の高さもITエンジニアが人気の理由の1つ。様々な技術の発展により、これまでは人が行っていた作業を機械やシステムが代わりに行うことも多くなってきました。
AI(人工知能)などの発達によって「10年後にはなくなる」とも言われる仕事もあります。その一方で、そもそも機械化や自動化の研究開発を行うITエンジニアの需要や期待度が高まっているのです。
平均年収が高い
IT業界は他の業界を比べて年収の水準が高いことでも知られています。
求人ボックスによると、ITエンジニアの平均年収は484万円(2023年8月末時点)。
これは、新卒エンジニアから経験豊富なベテランエンジニアまでを含む平均値。しかし、それでも日本全体の会社員の平均年収よりも高いです。
この背景にあるのは「エンジニアリングを仕事にする3つのメリット」でも解説したように、IT系人材の高い需要がもたらしています。
IT業界は、現時点ですでに需要に対して供給が間に合っていない人手不足の状態。
これに加えて、今後さらに需要が高まることを予測して「高い給与を支払ってでも人材を確保しておきたい」と考える企業が多いのです。
場所や時間にとらわれずに働きやすい
ネットとパソコンがあれば働けるITエンジニアは、場所や時間にとらわれずに働きやすい点も魅力の1つです。
地方や海外からテレワークで働いたり、独立してフリーランスエンジニアとして自由に働いたりすることも可能。
時間や場所に融通がきくため、家事や育児、介護など家庭の都合にもあわせやすいのもメリットです。
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エンジニアリングは私たちの生活に不可欠
本記事では、エンジニアリングとは?について、言葉の意味や種類、設計やエンジニアとの違いなどを解説しました。
「工学」を意味するエンジニアリングは、化学やITなどの技術力を駆使してよりよい世の中を作り出すことを目指す学問です。
鉄道や電気、水道などの生活インフラ、生活を豊かにするインターネットやスマートフォンなどの電子機器や家電は、全てエンジニアリングによって作り出されたものといえます。
そして、数あるエンジニアリングの中で注目が集まっているのが、ITエンジニアリングです。
ITエンジニアはスクールなどで学習すれば未経験からでも転職・就職可能なので、これから技術職を目指す人はぜひ検討してみましょう。
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