「学校の先生になりたいが、年収はどれくらいだろう?」
「平均年収が高い教員の種類は何だろう?」
「教師を目指す上で必要なことも知りたい」
教師になって生徒たちの成長をサポートしたいという方は多いでしょう。一方で、学校の先生の年収・給料は一体どれくらいなのか気になると思います。
実際、教師は地方公務員の1職種なので、年収について声高に主張する人は少なめ。そのため、給料の実態を把握するのは難しいかもしれません。
そこで本記事では、教師の年収はどれくらいなのか、小学校・中学校・高校別で紹介します。これから教師を目指す方は、給与面も踏まえて考えてみてください。
※記事内の情報は2024年4月執筆時の内容です。
この記事の目次
教師の給料の平均
さっそく、小学校・中学校・高校などの教師の給料の平均について、以下の流れで紹介。
- 教師の初任給
- 小・中学校教師の給料
- 高校教師の給料
- 特別支援学校教師の給料
地域や最終学歴によって異なりますので、参考としてご覧ください。
給料データは、総務省の以下のデータを参照。
教師の初任給
2022年の総務省データによると、教師の初任給の平均は以下の通りです。
小・中学校教師 | 高校教師 | ||
大卒 | 短大卒 | 大卒 | 短大卒 |
20.9万円 | 18.6万円 | 20.9万円 | 18.4万円 |
初任給は大学卒で約20万円ほどであり、民間の大卒サラリーマンと大差はありません。
小・中学校教師の給料
2022年の総務省データによると、小・中学教師(幼稚園教育職含む)全体の平均年収は約658.6万円(基本給与約490万 + 賞与約168.6万円)という結果でした。
これは日本の平均年収と比較すると、約200万円ほど高いです。また、2022年の厚生労働省データによると、小・中学校教員の年齢別の平均年収は以下。
年齢 | 平均年収 |
20〜24歳 | 約385.8万円 |
25〜29歳 | 約466.0万円 |
30〜34歳 | 約630.1万円 |
35〜39歳 | 約681.5万円 |
40〜44歳 | 約793.0万円 |
45〜49歳 | 約885.3万円 |
50〜54歳 | 約953.1万円 |
55〜59歳 | 約1,001.5万円 |
60〜64歳 | 約810.1万円 |
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高校教師の給料
2022年の総務省データによると、高校教師全体の平均年収は約695.1万円(基本給与約518.6万円 + 賞与約176.5万円)という結果でした。
これは日本の平均年収と比較すると、約250万円ほど高いです。また、2022年の厚生労働省データによると、高等学校教員の年齢別の平均年収は以下のとおり。
年齢 | 平均年収 |
20〜24歳 | 約351.5万円 |
25〜29歳 | 約438.2万円 |
30〜34歳 | 約541.1万円 |
35〜39歳 | 約648.2万円 |
40〜44歳 | 約731.9万円 |
45〜49歳 | 約792.4万円 |
50〜54歳 | 約834.2万円 |
55〜59歳 | 約908.5万円 |
60〜64歳 | 約753.4万円 |
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特別支援学校教師の給料
特別支援学校では、児童生徒6人につき教員1人が必要です。綿密な教育が必要となる現場であり、教師は生徒の教育にあたって専門性が求められます。
『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、特別支援学校教諭を含む「その他の教員」の平均年収は約483万円でした。
教師は都道府県管轄の公務員として扱われるため、地方公務員の給与表に準じます。給与は「級」と「号」によって決まるため基本的に勤続年数によって昇給します。
校長や教頭などの管理職以外は全教員同じ業務をしていると判断されるので、組織上明確な「上司」「部下」という区分はありません。
ただ、年功序列の職業ということもあり、世間一般の上下関係は存在するかもしれません。
教師で年収1000万円は目指せる?
前述した、教師の年齢別の平均年収を参考にすると、年齢が高くなるごとに平均年収は上昇。このことから、教師は年功序列型の仕事といえます。
教師で年収1,000万円を目指す場合は、50代でかつ教頭や校長などの上位役職のポジションにあれば、十分目指せるのではないかと思われます。
逆をいえば、IT企業のように20代〜30代でバリバリ活躍して年収1,000万円プレイヤーになる、というのは教師の世界では現実的ではありません。
また、公立の常勤教師は基本的には副業が禁止。私立の常勤教師の場合は、法律上は問題ないものの、職場規定などで禁止している学校も少なくありません。
そもそも、教師は授業・クラブ活動・保護者対応・年間行事の計画・各種研修など、多忙を極める仕事の代表格。副業に充てる時間を捻出するのも難しいのが現状です。年収を上げるためには、大量の業務をこなしていくことも求められます。
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教師になるには
教員免許の取得など、教師になるためのステップについて解説します。
- 教員免許を取得する
- 教員採用選考試験に合格する
また、教師になる上での注意点も合わせて紹介。
教員免許を取得する
教師になるには、教員免許取得が必須です。
教員免許を取得するには、教職課程のある大学または短期大学に入学し、必要な科目を習得。教職課程修了後、各都道府県教育委員会に教員免許の授与申請を行い取得します。
教員免許で代表的なものは「普通免許状」で、以下の3つに区分されます。
- 大学の教職課程を経て授与される「一種免許状」
- 短期大学の教職課程を経て授与される「二種免許状」
- 大学院で修士の学位をとることで授与される「専修免許状」
いずれも、全国の都道府県で取得後10年間は有効です。
普通免許状のほかにも、「特別免許状」や「臨時免許状」などがあります。
特別免許状は、教員免許がなくとも専門的な知識・経験を持った人を教員として学校に迎える際に授与される免許状です。
臨時免許状は、助教諭や養護助教諭の免許状として授与されます。
特別免許状と臨時免許状は教育職員検定に合格することで授与され、教育職員検定を受けた都道府県でのみ有効。特別免許状は10年、臨時免許状は3年が有効期間です。
普通免許状は学校種別毎に分かれており、幼稚園・小学校・中学校・高校に応じた免許を取得しなければなりません。
中学校・高校の場合は、さらに教科ごとに免許が分類されるので、自分が希望する教科の免許を取得することになります。以下で、中学校と高校のおもな科目を紹介します。
中学校
国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、保健、技術、家庭、職業、職業指導、職業実習、外国語(英語、ドイツ語等)、宗教
高校
国語、地理歴史、公民、数学、理科、音楽、美術、工芸、書道、保健体育、保健、看護、看護実習、家庭、家庭実習、情報、情報実習、農業、農業実習、工業、工業実習、商業、商業実習、水産、水産実習、福祉、福祉実習、商船、商船実習、職業指導、外国語(英語、ドイツ語等)、宗教
大学によって履修できる科目が異なるので、特定の科目の教諭になりたいのであれば、大学選びの際に確認するようにしましょう。
教員採用選考試験に合格する
公立校の教員になるためには、教員免許の取得後、各都道府県または政令指定都市教育委員会が実施する教員採用選考試験に合格しなければなりません。
試験内容は「筆記試験」「面接試験」「論文試験」「実技試験」の4つの試験となることが一般的です。筆記試験では一般教養、教職教養、専門教養などが問われます。
音楽や英語、美術などの教員を目指す場合、筆記試験だけでなくピアノの演奏や英会話の能力などの実技試験も重要です。
私立校と国立大学付属校の場合、学校や法人単位で採用が行われるため、試験内容はそれぞれで異なります。
国立大学付属校の場合、教育委員会からの人事交流で採用されることが多く、直接採用は少ない傾向にあるようです。
また、私立校の場合は一般企業の採用試験同様、適性検査を受けた受験者の中から選ばれた受験者が面接に進み、採用に至るケースも。
残業や休日出勤が多いことに注意
教師の仕事は授業を行うだけではなく、翌日の授業準備、職員会議や研修など様々な業務をこなす多忙な職種。
これらの業務は授業の合間を縫って行います。しかし、部活動などで時間が不足してしまうケースも多く、必然的に勤務時間外に残業して対応することも多いです。
土日や休日も出勤して、部活動の指導や大会参加をすることもあります。
また、夏休みなどの長期休暇中も通常通り出勤して業務を行います。夏休みがあるのが子どもたちだけであり、先生は仕事をします。長期休暇中は授業が無いため他の業務に集中する時間が取れることが多いです。
このように教師は多忙で時間がいくらあっても不足するため、仕事量を減らすにはいかにして業務を効率化させるかが重要になるでしょう。
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教員の人手不足が深刻な科目
近年では、教員の人手不足が大きな問題となっています。そこで本章では、教員の人手不足が申告な科目について解説しましょう。
- 情報科の教員は全国的に人手不足
- 新設・必修化されて間もない科目
情報科の教員は全国的に人手不足
高校では2003年から「情報」科目が必須科目。そして、2022年からは情報社会やプログラミングの基礎について学習する「情報Ⅰ」が必修化されました。
これにより、他の科目以上に情報科の教員は人手不足の状態となっています。特に地方では、そもそも教員数が少ない上に、ITスキルを身につけていて、児童生徒に教えられる教師となるとさらに限られてしまいます。
これは情報科自体が比較的新しく作られた科目で、教員免許を持っている人が少ないことに起因しています。
また、情報科の教員採用試験では情報科以外の教員免許所有が採用条件となることも。そのため、他の科目と比較して応募者が少ないことも原因にあるようです。
情報系の大学から教員の道に進もうとする人も少ないので、今後も教員の人手不足が続くことが見込まれています。
新設・必修化されて間もない科目
2020年度から、全国の小学校でプログラミングと英語が必修化されました。
英語に関しては、「グローバル人材の育成」という観点で小学校から英語に慣れ親しむことで、外国語に関する障壁を少なくする狙いがあると考えられます。
プログラミングに関しては、小学校段階から論理的思考力の向上や問題解決力の育成を推進していくことが文部科学省の方針です。
そのため、これからますますITスキルに注目が集まるでしょう。
子供向けのプログラミング教室が習い事で人気となっていることからも注目の高さがうかがえます。学校以外で子供がプログラミングに触れる機会も多くなるでしょう。
そのため、これから教師を目指す人は、プログラミングスキルを身につけていると貴重な戦力になりうるかもしれません。
なお、専門の教師がいない代わりに、専門教師と同等のスキルあるいは資格を持った教師や講師が授業するというケースもありえるでしょう。
もし勤めた先に情報科の教師がいなかった場合、臨時で受け持つ、あるいは補佐することも考えられますので学校側にとって非常に有用な人材になれます。
これから小学校の教員を目指すには
小学校の教員を目指すなら、従来の科目に加えてプログラミングを学んでおくのがおすすめです。
- プログラミングを学んでおこう
- プログラミングスクールに通うのがおすすめ
プログラミングを学んでおこう
情報科の教員の不足や、プログラミング必修化に伴い、これからの教育現場ではますますプログラミングスキルを持つ教師が必要になってきます。
特に小学校教育では、教師にITスキルの向上が求められるでしょう。
そのため教員の採用試験を受ける前までにプログラミングの知識や、ある程度のITスキルは身につけておくことをおすすめします。
授業でプログラミングを教えることがなかったとしても、業務を効率化したり、論理的に考えたりする能力は日常の実務においても役立つはずです。
自分の仕事効率化だけではなく、学校環境の校内インフラの整備や、職場業務効率化のためにITを活用する場面がこれまで以上に多くなるでしょう。
働き始めると学習時間を十分に取れないので、プログラミングやITスキルについて教師生活を始める前までに学習するのがベスト。
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Google Workspace for Educationに注目
近年は教育のICT化に伴い、教育現場へのデジタルツール導入が進んでいます。これに伴い、教員向け授業サポートツールである「Google Workspace for Education」を導入する教育機関も増加中。
これは、教師と生徒間の課題やり取りや、掲示板での質問などデジタルを活用した業務効率化の仕組みを構築できるツールです。
また、「Google Classroom」や「GAS(Google Apps Script)」と組み合わせることで、業務を電子化し、効率的な活動につながります。
Google Workspace for Educationは、私立校を中心に大学・高校・中学校で導入されており、特に高校で多く利用されているようです。
具体的な活用方法は、教師と生徒それぞれがスマホ・タブレット・PCをデバイスとしてクラウド上のサービスにアクセスし、ネットワークを介してコミュニケーションを図ります。
補助ツールであるGoogle Classroomを使いサービス上でクラスを作成すれば、生徒の情報管理を簡単に行えるでしょう。
課題の提示と提出、授業やテストのスケジュール、授業時間外の質問など、ツールを使うことでスムーズなコミュニケーションを実現。
蓄積されたログデータを活用して個々の生徒の状況リサーチが簡単になり、データ化された授業理解度を元に学習の遅れがちな生徒の分析を行い、各生徒のケアに役立ちます。
また、教員間のコミュニケーションについても効果を発揮。教師間での情報共有や横のつながりを強めるなど、教育現場における教員間の業務効率化を図れるでしょう。
クラウドでの利用となるため自治体が決めるセキュリティポリシー上、これまで利用できなかった学校も多くありました。
しかし、プログラミング必修化に伴い、今後はクラウドの活用も想定されます。これまではITスキルの高い教師が利用することの多かったツールですが、今後は学校標準として採用される可能性もあるでしょう。
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プログラミングスクールに通うのがおすすめ
効率よくプログラミングを学ぶなら、スクールに通うことをおすすめします。
プログラミング学習には実際にプログラム構築や動作確認が必要です。そのため、独学は非常に難易度が高く、習得に時間がかかってしまいます。
書籍の内容が理解できなかったり、プログラミングで躓いてしまったり、スキルを身につける前に挫折することも珍しくありません。
実際、プログラミング未経験で独学で学ぶ人の8~9割は挫折してしまう傾向。
試しに書店でプログラミング専門書を手に取ってみてください。大半の書籍は、テキスト講義とプログラミング演習の2本立て構成です。
プログラミング演習はPC上でのプログラミング作業が必要となるため、未経験者は環境設定の段階で頭を悩ますことになります。
しかしプログラミングスクールであれば、未経験者でも理解しやすいテキストや、挫折しない考えられたカリキュラムを用意しているので、効率的な学習が可能です。
また、教員試験の学習とプログラミング学習を並行して進めることは非常に大変。
プログラミングスキルはスクールに通って効率よく身に付け、万全の体制で教員試験の準備を進めることをおすすめします。
プログラミングスクールのおすすめは、以下の関連記事を参考にしてください。
教師を目指すなら年収を把握しておこう
教師は経験に応じて収入が増える職業です。公立校の教員であれば年功序列であり、勤務年数が長くなるほど年収が上がっていきます。
50代以上になると教頭や校長といった役職に就く人も増えるため、平均年収も高い水準。そのため、あらかじめ教師の年収・給料を把握しておくのも、目指す上での1つの要素になりうるでしょう。
また、小学校でプログラミング教育が必修化された影響で、今後は教育現場におけるプログラミング需要が高まります。
これから小学校の先生を目指すのであれば、プログラミングを学んでおくとよいでしょう。
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