ここ数年、IoTという言葉をニュースやWebで目にすることが増えています。
IoTとは、簡単に言うと、モノをインターネットにつなげて社会をより便利にする、という世界観を実現するための技術です。
IoTという言葉自体はアメリカが発祥であり、ドイツなどでも先進的な取り組みが進んでいました。しかし、日本でも欧米にキャッチアップすべく、IT企業や製造業を中心にさまざまなシステムやサービスが開発されています。
このような時代背景もあり、IoTエンジニア等に関連する職種の新卒・転職求人の数が増えています。
「IoTに興味はあるが、そもそもどんな仕組みなのかわからない」
「将来的にIoTを使ったデバイスの開発に携わりたいが、必要なスキルなどがわからない」
「IoTエンジニアになるための方法がわからない」
IoTをより深く知りたい、IoTエンジニアになりたいと考えている皆さんはこんな不安を抱えていませんか。
IoTは今後の社会を担う技術ですし、AI(人工知能)も含めて有望な市場であることは間違いありません。IoTエンジニアはその中心になる人材といえるでしょう。
この記事では、将来性の高いIoTエンジニアになるために必要な知識やスキルを解説します。
この記事の目次
この記事のまとめ
IoTエンジニアとは
IoTという言葉自体が新しいので、IoTエンジニアの仕事の内容も、なかなか想像できないかもしれません。
まずは、IoTやIoTエンジニアについておおまかに解説します。
IoTとはモノとインターネットをつなぐ技術
IoTとは「Internet of Things」の略称です。直訳すると「モノのインターネット」という意味になります。
ひと昔前の時代ではインターネットといえば、ヒトがパソコンやケータイ電話などを使って接続するものでした。
IoTはあらゆるモノをインターネットに接続し、さらに便利に使えるようにするための一連の技術のことを指します。
IoTを活用したソリューションを実現するために、デバイスの製作、システムの組み込み、セキュリティなどの保守、アプリケーションの開発、AIの開発などを行うのがIoTエンジニアの仕事です。
IoTの領域はハードウェアからソフトウェアまで非常に幅広く、全てを一人でこなすことは実質的に不可能です。
IoT関連ソリューションは複数の担当エンジニアの協力により開発がすすめられます。自分自身が開発スキルを持ち合わせていない分野でも、他の担当エンジニアと連携するためには関連知識を求められます。
IoTと関連のある技術要素
IoT関連ソリューションを実現するには、IoTと隣接した技術要素が不可欠です。
IoTで収集された大量のデータは、非常に高速なコンピュータによりデータ処理されます。更に高速データ処理の際には、AIを活用したテクノロジーを用いて効率よく分析し、パターン化できるかが非常に重要になっています。
ここでは、IoTと関連が深い技術要素であるビッグデータ、AI(人工知能)、機械学習、クラウドコンピューティングについて解説します。
まずビッグデータとは、従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群の事です。さまざまな種類・形式が含まれる非構造化データ・非定型的データであり、さらに、日々膨大に生成・記録される時系列性・リアルタイム性のあるようなものを指します。(出典:IT用語辞典)。
AI(人工知能)とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムのことをいいます。具体的には、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのことです(出典:IT用語辞典)。
機械学習とは、言語やゲームなどをはじめとした人間の様々な知的活動の中で、人間が自然と行っているパターン認識や経験則を導き出したりするような活動を、コンピュータを使って実現するための技術や理論、またはソフトウェアなどの総称です(出典:IT用語辞典バイナリ)。
クラウドコンピューティングとは、従来は手元のコンピュータで管理・利用していたようなソフトウェアやデータなどを、インターネットなどのネットワークを通じてサービスの形で必要に応じて利用する方式をいいます(出典:IT用語辞典)。
IoTエンジニアに必要な知識・スキル
では、幅広い領域にまたがるIoTエンジニアにはどのような知識やスキルが必要とされるのでしょうか。
まず、接続されるセンサーやIoTデバイスを操作するための組み込みシステム系の知識が必要とされます。加えて、そのセンサーやデバイスをインターネットに接続するためのネットワークやクラウドコンピューティングの知識も必須です。
そして、一般的にパソコンをインターネットに接続する際には必ずウィルス対策ソフトを利用します。IoTもインターネットに接続する以上、これからはセキュリティ対策が必須になります。
現在IoT分野では提供する側もエンドユーザ側もセキュリティ対策が二の次になっているケースが多く、今後IoTエンジニアにはセキュリティの知識が求められるでしょう。
IoTではモノのデータを収集できますが、そのままでは何の意味もなしません。そのデータを解析することによってはじめて有益な情報となるのです。そのためにはAI(人工知能)や機械学習の知識は必須です。
IoTで集められたセンサーから得られたデータどうしたら良いでしょうか?データは分析され、有益な情報として見える化(企業活動においてデータから得られる問題を客観的に把握しやすい形にして共通認識させること)が必要です。
見える化を実際に具体化するには当然スマートフォンやタブレットで表示し、利用者が確認できる様にしなければいけません。この様なアプリケーションの知識も必須です。
前章でIoT関連ソリューションは複数の担当エンジニアの協力が必須と解説しました。元来システムエンジニアにはコミュニケーション能力が必要とされます。
IoTではハードウェアとソフトウェア等、異なる領域にまたがる連携が必要となるだけに、より一層高いレベルでのコミュニケーション能力が求められます。
IoTエンジニアとは、1つの分野のみを専門的に担当するエンジニアではなく、ハードウェアからソフトウェアまでシステム開発に関わる複数の分野をまたいで担当することができるフルスタックエンジニア(複数のスキルを持っているシステムエンジニア)といって良いでしょう。
IoTエンジニアの求人が多い業界
では、IoTエンジニアの求人が多いのはどんな業界なのでしょうか?
やはり、IoTエンジニアの求人が多いのはメーカー系でしょう。特に、自動車メーカーや医療系精密機器メーカーなど、IoTやAIの導入に積極的な企業で関連の求人が多いようです。こういった動きは金融系など他の業界にも拡大していくと考えられます。
加えて、IT企業では今後急速に需要が拡大する有望な分野としてIoTやAI(人工知能)に注目しています。また、起業家や投資ファンドなどもこの分野にいち早く着目し、先進的な技術を柱としたベンチャー企業を数多く立ち上げているのです。
この様な背景もあり、IoT関連システムの開発に必要とされるIoTエンジニアは更に求人が増えることでしょう。
IoTエンジニアになる方法
ハードウェアとソフトウェア開発の両方の知識が必要とされるIoTエンジニア。どんな手順で必要なスキルを身につけたら良いのでしょうか?
まずはプログラミングスクールに通い、基礎技術としてソフトウェア開発の知識を学び、システムエンジニアを目指しましょう。その後、ネットワークやインフラ、ハードウェアを扱うエンジニアに転職し、業務の中でIoTの関連知識やスキルを身につけると良いでしょう。
可能であれば、実際にIoTを活用した企業に入社し、社内の異動によってIoTエンジニアを目指すのが効率的な方法です。社内の異動であれば、その企業で求められるIoTエンジニアがどの様な知識を求められるのか、より明確に分かるはずです。
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ここからは、IoTエンジニアについてさらに詳しく解説していきます。
IoTとは
IDC Japanによれば、日本国内のIoT市場だけで、6兆2232億円(2015年)にもなり、さらに2020年には13兆7595億円まで拡大するとの見通しもあります。
IoTとは「Internet of Things」の略称です。直訳すると「モノのインターネット」という意味です。
しかし、「IoTはモノがインターネットにつながっていること」と単純に受けとめてしまうとIoTの本質を理解することは難しいでしょう。
IoTはセンサーやIoTデバイスを経由して様々なモノのデータを収集することを可能にします。今まで、インターネットに接続するなど考えもつかなったモノまでその対象となります。
欧米を始め、日本でも既に実現している事例として「スマートゴミ箱」があります。
公共施設やアミューズメント施設などには数多くのゴミ箱が設置されています。そのゴミ箱にゴミがあふれることがない様、清掃などのメンテンナンスを多くの人手で行っています。
「スマートゴミ箱」はゴミ箱に荷重センサーを取り付けることで、一定の重さになったら清掃員に知らせが届きます。清掃員からすると、今まで知りえなかったゴミの滞積状態を把握し、より積滞したゴミ箱を優先して作業することによって、効率的に作業することが可能になるのです。
モノをインターネットに接続する、IoTによって従来のアナログな世界がデジタル処理できる対象となり、より生活を便利にすることができるのです。
IoTの主な仕組み
では、IoTとはとはいったいどんな仕組みなのでしょうか?
IoTでは、接続されるモノに内蔵されたセンサーが様々なデータを取得できます。
センサーと言っても種類は様々です。人感センサー(人を感知するセンサー)、温湿度センサー、加速度センサー(スピードを感知するセンサー)などがあります。
センサーが取得したデータはネットワークを通じてアプリケーションやクラウドに送られ、蓄積されます。蓄積されたデータは必要に応じて加工され、分析されます。
企業は分析によって得られた様々な情報を業務の効率化や事業の判断に活用することができるのです。
企業が注目するIoTの価値
企業にとってのIoTの具体的な価値はなんでしょうか?
近年IoTを活用としようとする企業は増えてきています。企業側が注目しているIoTの価値を見てみましょう。
・「モノとインターネットがつながること」により、モノを持ち歩いたり、使うための手順を踏まなかったりしなければいけなかったものが、インターネットにつながることで効率化されます。
・モノが提供する多くのデータを蓄積し、そのデータの分析が行えることによって、「ビッグデータの蓄積」が可能になります。
「モノとインターネットがつながること」と「ビッグデータの蓄積」を組み合わせたサービスをインターネットに接続することにより、その企業は「顧客への新たな付加価値の提供や課題解決」を実現できるのです。
IoTの技術を活かして開発されたモノの例
先ほどのゴミ箱の事例以外にIoTやAIの技術を活かして開発されたモノの例を見てみましょう。
スマートスピーカー
AIを搭載したスピーカーのことです。スピーカーに向かって話しかけると、AIアシスタントが反応し、様々なアクションを起こします。
スピーカーとインターネットがつながることにより、これまでスマートフォンなどのデバイスを使って行っていたアクションを、スピーカーに話しかけることでできるようになります。
スマートスピーカーができることとしては、以下の様なものがあります。
- ニュースを読み上げる
- 指定した音楽を流す
- クラウドに買い物用のメモを残す
- ロボット掃除機などの家電を操作する
- 調べ物をする
家電がスマートスピーカーと連動する為には、通信機能を備え、様々なデータのデジタル処理が必要とされます。今後はIoT関連の社会的なプラットフォームが拡大する中で、従来のアナログ家電がスマート家電へ急速に置き換わって行くことでしょう。
多くの家電メーカーが次のIoT時代のプラットフォームをにらみ、デジタル対応が可能なスマート家電の開発を積極的に進めているのです。
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ドローン
無人の航空機のことです。コントローラーで操作して、ドローンを飛ばすことができます。
最近テレビや動画で見る機会も多いのではないでしょうか。人間が踏み込めない地域や上空などからカメラ撮影を行うときにドローンはとても有効です。
ドローンの定義はあいまいなようですが、遠隔で操作ができるカメラのようなデバイスがドローンといえるでしょう。ドローンは昨今注目を集めており、企業に限らず個人でも購入する人が増えています。
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Amazonダッシュボタン
出典:Amazon
Amazonで日用品をボタン1つで注文できるデバイスがAmazonダッシュボタンです。
見た目は小さなボタンですが、1プッシュでネット注文の手続きなどを省いて注文ができます。これもIoTを使ったサービスです。
IoTトイレ
多くの社員が働くオフィスビルを構える企業や多くの利用者を抱える駅、商業施設などで導入されているサービスです。
トイレの個室のドアなどに設置されたセンサーから利用状況データを収集、加工し、スマートフォンのアプリで混雑状況を知らせることができます。
企業側のIoTトイレの導入目的は、勤務している社員や顧客満足度の向上、メンテナンスなどの業務の効率化なのです。
IoTエンジニアは深刻な人材不足
急速に需要が拡大しているIoT分野ですが、その反面 IoTエンジニアは深刻な人手不足が続いています。
そもそも、エンジニア業界そのものが人手不足といえますが、IoTを実現するには、センシング(センサーを使って温度や動きなどを感知すること)、ネットワーク、データ分析、フィードバックなど、それぞれの分野での専門知識が必須となります。
特にIoT関連のシステム開発に一元的に対応できるエンジニアが少ないことも人手不足のひとつの要因といえます。
IoTに手を出せない企業も多い
平成28年度情報通信白書によると、日本におけるIoT導入状況(2015年)は20%程度とアメリカの半分程度であり、決して普及が進んでいるわけではありません。
その要因は、自社におけるIoT関連の人材・設備不足にあります。また、IoTに関する理解不足からIoTを導入しようにも手を出せない企業も多い様です。
しかし、IoTエンジニアを1人雇えば全ての開発ができるようになるわけではありません。IoTを活用したシステム開発は多くの技術者は元より、自社で解決できない場合、関連業務を委託する取引先も必要となります。
現実的なビジネス環境として、取引のある企業だけで開発ができない以上、IoT関連のシステム開発に足を踏み出せない企業も多くあるのです。
IoTエンジニアになるために必要な知識・能力
それでは、IoTエンジニアになるために必要な知識や能力はどんなものがあるのでしょうか?
デバイスを操作するための組み込み系の知識
IoTエンジニアになるには、デバイスを操作するための組み込みシステム系の知識が必要となります。
当然センサーをモノに組み込むためには、ソフトウェアの知識だけでなくハードウェアの知識も必要です。
デバイスにセンサーなどを組み込むのは、システムがきちんと動作するように精密な作業が求められるのです。
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ネットワークの知識
デバイスをインターネットにつなげたり、スマホやコンピュータ経由で接続したりするためにもネットワークの知識が不可欠です。
パソコンでインターネットを利用する場合、Wi-Fiや携帯電話によるモバイル通信が一般的です。
しかし、IoTにおける通信はBlutoothなど、最近は特に無線系の通信規格は多岐にわたります。どのような通信の方法であっても対応できるように知識をつけておく必要があります。
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セキュリティの知識
パソコンでインターネットを利用する際にはウィルスソフトの利用は常識です。
昨今サイバー攻撃の対象はパソコンからI0Tに接続されたデバイスに移行していると言われています。パソコンに比べIoT分野におけるセキュリティ対策は立ち遅れています。
IoTではインターネット接続を前提とする為、IoTエンジニアはハッキングなどに対するセキュリティの知識も必要とされます。
また、IoTでは住宅の鍵や家電製品をインターネット経由でコントロールすることができます。
それらが悪意を持ってハッキングされた場合、その影響や事件性については看過できないケースが想定されます。
単なるデバイス情報を盗まれるだけでなく、家の中にある様々な財産や重大な情報が盗まれるという事態なども起こりかねない、ということです。
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スマートフォンアプリの知識
IoT機器はスマートフォンを使って操作する場合もありますので、スマートフォン対応アプリを開発する知識も必要となります。
特にスマートフォンは世界的に広く普及されていることから、今後はスマートフォンを活用したIoT機器の増加も見込まれます。
今後IoTエンジニアとして働くためには、スマートフォンアプリの開発経験やスキルなどを問われることも多くなるでしょう。
データを解析するAI(人工知能)や機械学習の知識
IoTのデータの蓄積や解析にはAI(人工知能)を使うケースが非常に多く、IoTとAI(人工知能)の親和性は非常に高い傾向にあります。
IoTエンジニアを目指すなら、AIや機械学習の知識をつけておく必要があります。
プログラミング言語のPythonを使って自分でAIの開発ができることが望ましいでしょう。
実際の作業は、業務委託している外部の企業・エンジニアに任せることもあります。少なくとも関連知識を身につけておけば、IoTエンジニアとして活躍することは十分に可能です。
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コミュニケーション能力
IoTエンジニアはシステム開発に関する作業が多岐にわたるため、社内で作業を分担したり、外注したりすることが基本となります。
自身が身を置くプロジェクトを完成させるためにも、関連している人々とよりスムースにコミュニケーションをとらなければなりません。
他のエンジニアと同様、社内でプロジェクトのメンバーと打ち合わせをしたり、クライアントと要件定義の内容をディスカッションしたり、といった最低限のコミュニケーション能力は必要とされます。
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IoT開発にはフルスタックエンジニアが必要
IoT開発においてIoTエンジニアは、ハードウェアからソフトウェア、AIなどの知識・スキルなどが必要となります。
IoTエンジニアに求められるスキルセットとして、幅広い知識を持ち、開発ができるフルスタックエンジニアが必要とされます。
裏を返せば、IoTエンジニアの人材不足の原因には、求められる知識やスキルの幅が広すぎるという点があります。
本来エンジニアは、ハードウェアを取り扱うシステム組み込み系のインフラエンジニアやネットワークエンジニア、ソフトウェアの開発を行うシステムエンジニアなど、対応する分野に応じて職種が分かれています。
システムの高度化とそれに伴う分業化が進んだことにより、それぞれの分野において高度な専門性が求められてきた結果と言えます。
IoTにおけるシステム開発には、それぞれの分野ごとに分かれているはずの知識やスキルを併せ持つエンジニアが必要とされます。その様な条件を備えたエンジニアはなかなかおらず、IoT業界の人材不足につながっているのです。
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IoT開発を一人のエンジニアがすべて対応するわけではない
フルスタックエンジニアが求められるとはいえ、IoTの開発現場では、すべての作業工程を一人のエンジニアが担当することはほとんどありません。
実際には社内のプロジェクトチームの中で分担したり、関連作業を外注したりすることが多いです。
しかし、IoTの開発に必要なそれぞれの分野の知識がないと、担当者へ具体的な指示を行なったり、エラーやトラブルが発生した時に対処することができません。IoTエンジニアにはどの分野にしても、基礎的な技術や知識が必要とされることは間違いないのです。
未経験からIoT開発にチャレンジするのにおすすめの分野
フルスタックエンジニアとしての知識やスキルが求められるIoTエンジニアですが、未経験からチャレンジできる分野はあるのでしょうか?
Amazon Alexaのスキル開発
Alexa(アレクサ)はAmazonが開発したAIアシスタントです。スマートスピーカーに対応したアプリ開発であれば、ハードウェアの知識は最小限(不要ではない)で、従来のアプリ開発に近い感覚で開発ができます。
Raspberry Piによる超低価格IoT
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータです。イギリスのラズベリーパイ財団(英語版)によって開発されています。
数千円程度の低価格で購入できることもあり、もともと教育用コンピュータとして利用されていました。しかし、IoT機器との相性が良いことから、企業においてもプロトタイプ開発のゲトウェイ機器として幅広く利用されています。
ラズベリーパイの活用法はこちらから参照しましょう!
ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは?35ドルPCの活用法
MESH
かつて、1970年代にブームとなった電子ブロックという電子玩具がありました。電子回路をブロックの様に組み立てていくことで電気に関する知識を身につけることができたのです。
ラジオや警報器を簡単に制作することができ、当時の子供たちはワクワクしながら電子ブロックで遊んでいました。
MESHはその現代版といえるでしょう。電子ブロック同様、子供でも「人感」「動き」「温度湿度」などの電子タグを組み合わせていくだけで、IoTが実現する世界を簡単に体感することができます。
IoTエンジニアに役立つ資格
ここからは、IoTエンジニアとして働く上で役に立つ資格について紹介します。
ここに紹介する資格を取得することで、IoTエンジニアとして技術があることの証明になります。就職や転職の際にも大きなアピールになるでしょう。
IoT検定
IoT検定制度委員会による「IoTに関わるすべての人の知識やスキルを可視化」を目的とした検定制度です。
試験内容等はこちらを参照してください。
参照:IoT検定
IoTシステム技術検定試験
モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)により、IoTビジネスに関わる方々を対象に設けられた検定制度です。検定は基礎、中級、上級の3段階レベルで認定します。
試験内容等はこちらを参照してください。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
国家試験である情報処理試験の中の1区分になります。自動車、家電、モバイル機器などに搭載する組込みシステムを、ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせて構築し、求められる機能・性能・品質・セキュリティなどを実現できる組込みエンジニアを目指す方を対象にしています。
試験内容等はこちらを参照してください。
情報処理安全確保支援士試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験同様、情報処理試験の1区分になります。情報システムや組織に対する脅威や脆弱性を評価し、技術面・管理面での有効な対策を遂行できるセキュリティエンジニアや情報システム管理者を目指す方を対象にした試験です。
試験内容等はこちらを参照してください。
IoTエンジニアの平均年収
それでは、IoTエンジニアの収入はどれ位なのでしょうか?
求人サイトでは、IoTに関する技術者の募集条件は、平均年収400万〜600万円程度が多いようです。システムエンジニアやネットワークエンジニアなどと比較しても同じくらいの水準になると思われます。
IoTエンジニアを募集する企業はハードウェアを製造している企業が多い。自社の既存製品、あるいは新製品にインターネット(ソフトウェア)を組み込むにあたり、関連の業務に対応できるIoTエンジニアを求めているようです。
自社にてサービス開発を行っている企業は、開発の中でも上流工程のみを担当するケースが多い様です。特に規模が大きい企業の場合、システム開発については協力会社に業務を委託していることもあります。
IoTエンジニアの求人が多い業界
求人サイトにて、IoTエンジニアの募集を多く行っている業界・企業の一例を見てみましょう。
自動車メーカー
自動運転技術の開発や、最近ではスマートフォンをカーナビの代わりに利用するなど、自動車のIoT化が急速に進んでいるため、自動車とインターネットをつなぐ技術者の需要が高まっています。
医療系精密機器メーカー
最近、医療の分野でも急速にAIやIoTの活用が進んでいます。
医師よりも膨大な診断・手術事例を記憶することが可能なAIによる診断や、患者にウェアラブル機器を取り付けることで、健康面の問題の早期発見を可能とする機器などが開発されている。
医療機関だけでなく、医療関連の精密機器メーカーなどでもIoTエンジニアの需要は非常に高いのです。
IT企業
厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2016年1月時点で情報処理・通信技術者の求人倍率は2.38倍です。従来システムの改修、刷新需要に加え、次々と新しいサービスが生まれてくる中で、今後も求人の多い状況が続いていくと考えられます(出典:はたらこねっと)。
先ほどから解説している様に、常に新しい要素技術が出てくるIT業界。IoTやAIなどに精通したIoTエンジニアの求人は当面は右肩上がりに増えていくことでしょう。
IT業界は建設業界と同じ様に、大手企業を中小企業が支える多重構造になっています。大手企業に限らず、ベンチャー系の中小企業でもIoTエンジニアを積極的に募集しています。
ベンチャー企業では、積極的にドローン事業を立ち上げ、関連サービスの開発などを担当できるIoTエンジニアを募集していることも多いようです。
未経験からIoTエンジニアになるには
業界経験を持つIoTエンジニアは企業から引く手あまたであり、求人市場は売り手市場といえます。裏を返せば、未経験者にも就業のチャンスが十分あるということです。
では、未経験からIoTエンジニアになるにはどうしたら良いでしょうか?
プログラミングに全く触れたことがない状態から、いきなりIoTエンジニアになるのは非常に難しいでしょう。これまで解説した様に、IoTエンジニアに必要となる知識やスキルは非常に幅が広いのです。
従来エンジニアは職種ごとに専門となる分野があり、その分野の業務にあたることで専門性を高め、スキルアップを図っていきます。
IoTエンジニアは、特定の分野のスペシャリストではなく、各分野をまたいだ知識を持つエンジニアです。豊富な経験を積まなければ転職は難しいと言えるでしょう。
ソフトウェアとハードウェアどちらの知識も身につける
IoTエンジニアになるためには前提として、ソフトウェアの開発に関する知識やスキル、そしてハードウェアに関する知識やスキルを身につけなければなりせん。
システムエンジニアやネットワークエンジニア、インフラエンジニアを目指す以上に学習するべきことが多いと理解しましょう。
中途採用の面接を受け、仮に採用されても、すぐにIoTエンジニアになれるわけではありません。業務の中で段階を踏んでプログラミングスキルや実務経験を積んでいく必要があります。
まずはプログラミングスクールに通いソフトウェア開発の知識をつける
ソフトウェアの知識や開発技術を身につけるならば、まずはプログラミングスクールに通うことを検討しましょう。
プログラミングスクールでは、Webサービスの作り方や、スマートフォンアプリの作り方なども学習できます。
IoTエンジニアに必要なソフトウェアやスマートフォンなどのアプリケーションの知識を身につけることもできます。
IoTエンジニアを目指すのは時間がかかるものであると理解し、スキル習得について、できるだけ効率化を図るためにプログラミングスクールを利用することを考えるべきです。
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就職・転職をしてハードウェアの知識をつける
プログラミングスクールでハードウェアを扱う技術を教えているスクールはほとんどありません。そのため、ネットワークやセキュリティなどのハードウェアに関する知識については、就職・転職した後、その企業の実務の中で身につけるのが最も有効な学習方法です。
プログラミングスクールでソフトウェアを学んだら、システムエンジニアやWebプログラマーとして転職します。業務の中で一定のスキルアップを果たした後、ハードを扱うエンジニアに再度転職などを考えましょう。
おすすめするのは、実際にIoTの開発を行っている企業に就職・転職し、その後社内異動によってIoTエンジニアを目指しましょう。
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未経験からプログラミングを学ぶならスクールに通うのがおすすめ
独学でもプログラミングを学習できないことはありませんが、IoTエンジニアはただでさえ学習領域が広くなりがちです。
さらに実際に仕事として活用できるレベルのスキルを身につけようとすると、難しい書籍などを使わなければならず、結果として挫折してしまう人が多いです。
スクールでは未経験者でもわかりやすいテキストを使っているので、挫折することも少ないのです。
また、基礎から順を追って学習が進み、実践的なプログラミングスキルが身につくようカリキュラムが組まれていことも重要です。
校舎にはメンター(講師)がいて、わからないことがあればいつでも質問できます。つまずいた所があっても悩む時間を少なくし、効率的な学習が可能になるのです。
効率よく勉強ができる環境が整っているので、未経験者でも3〜6ヶ月ほどでプログラミングスキルが身につきます。
独学だとスクールでの学習修了時と同じレベルになるまでに1年以上かかってしまうことも珍しくありません。スクールで学んだ方が、早くにプログラミングを習得できるのです。
もし未経験からIoTエンジニアを目指し、プログラミングを始めるならば、スクールの利用を検討してみるべきです。まずは無料相談してみることをおすすめします。
はじめての転職、何から始めればいいか分からないなら
「そろそろ転職したいけれど、失敗はしたくない……」そんな方へ、テックキャンプでは読むだけでIT転職が有利になる限定資料を無料プレゼント中!
例えばこのような疑問はありませんか。
・未経験OKの求人へ応募するのは危ない?
・IT業界転職における“35歳限界説”は本当?
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資料では、転職でよくある疑問について丁寧に解説します。IT業界だけでなく、転職を考えている全ての方におすすめです。
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