日本で就職を検討している留学生のなかには、日本特有の就職活動に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、日本特有の就職活動の選考対策について詳しく解説します。
面接マナーや就職の情報源が分からず困っている方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
留学生が知るべき就職活動スケジュール
まずは全体スケジュールを把握
日本国内における全体的な就職活動のスケジュールは以下のようになっています。
- インターンシップ:3年生6月〜2月
- 自己分析:3年生6月〜2月
- 業界分析:3年生6月〜2月
- 職種・企業研究:3年生9月〜4年生5月
- エントリー:3年生3月〜4年生5月
- 企業説明会:3年生3月〜4年生5月
- エントリーシート:4年生4月〜5月
- 試験・面接:4年生6月〜9月
- 内々定:4年生6月〜9月
- 内定式:4年生10月
スタートダッシュに出遅れない
上記で示したスケジュールの通り、一般的には自己分析や業界分析は3年生の6月からスタートする傾向にあります。
とくにまだ目指したい業界や職種が定まっていないのであれば、早めに自己分析を行い、時間をかけて自分がやりたいことや強みを活かせる分野を探しましょう。
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インターンシップにはできるだけ参加
インターンシップは働くことを実際に体験しつつ、業界や職種について深く知る絶好の機会。
自己分析や業界分析によって見出した職種が本当に自分に合っているのかを確認できる機会でもあります。
とくに留学生の場合は語学力と実績も得られるメリットも。先着順で締め切るものもあるため、早めにチェックしておきましょう。
3年生の12月までに自己分析や業界・企業研究をしっかりと
自己分析や業界・企業研究は、3年生の12月までにある程度見通しが立つようにしましょう。
なぜなら冬休みが明けると学校の試験があり、就活に割く時間がなかなか持てないからです。
「春休みがあるから」と考えるのもおすすめできません。3月からは本格的な就活が始まるため、じっくり自分自身を振り返る時間が少なくなるでしょう。
就職活動に必要なもの
リクルートスーツ
日本の就職活動はリクルートスーツを着用して行います。合わせて男性であればワイシャツや靴下、女性であればブラウスやストッキングも準備しましょう。
靴
スーツに合わせる靴は、男性であれば革靴、女性であればパンプスです。移動距離のことを考え、自分の足になじむものを選びましょう。
バッグ
バッグは企業説明会などでもらえる資料(A4サイズ)が入る大きさのものを選びましょう。床に置いたときに自立するタイプがおすすめです。
証明写真
履歴書の貼り付けに必要です。推奨サイズは縦36~40mm、横24~30mm。
街中の証明写真撮影機でも撮影可能ですが、写真館で証明写真用の写真を撮影してもらうこともできます。焼き増し用にデータをダウンロードできるサービスもあります。
交通費・飲食代など
就職活動には説明会や面接会場までの交通費やそれに伴う飲食代なども必要。また面接対策や筆記試験対策の参考書籍の費用も必要に応じてかかってくるでしょう。
リクナビの調査によると、スーツ代金なども含めトータル10万円〜20万円前後の費用がかかったと答える学生がいました(首都圏で就職活動した学生の例)。
職種・企業選びで重要な「自己分析」
ここではなぜ自己分析が重要なのか、行うメリットとあわせて解説します。
なぜ自己分析が重要なのか
現在日本の産業人口は右肩下がり。就職市場は売り手市場となっています。「就職先を選ばなければどこかしらに就職できる状況」と言えるのです。
この状況は裏を返せば「しっかりと自分自身と向き合えば理想的な就職先を探せる可能性が高い」ということ。
日本で長く働くことを考えるのであれば、自己分析で自分自身の理想の働き方と丁寧に向き合うことが大切でしょう。
日本の新卒採用は「ポテンシャル採用」
日本の新卒採用は「ポテンシャル採用」が主流です。即戦力となるスキルがなくても、エントリーシートや履歴書の内容で「今後の成長が見込める」と判断されれば採用される可能性があるのです。
自己分析で自分の適性を把握し「企業が自分を採用するメリット」をいかに伝えられるかが鍵でしょう。
自己分析の方法
自己分析で代表的なフレームワークが以下の3つの軸です。
- Will:やりたいこと
- Can:できること
- Must:譲れないこと
これらを踏まえつつ、以下のようなことも掘り下げていきましょう。
- これまでの経験を棚卸しする
- 経験から得られたこと(スキルや考え方)を書き出す
- 夢中になったものやそのモチベーションを可視化する
- 働くことで得たいもの・かなえたいことを確認する
- 自分の強みを明確にする
自己分析で押さえたいこと
自己分析を行う際は、以下の3点も大切です。
- 具体的なエピソードと一緒に書き出す
- 失敗経験も振り返る
- 「日本企業が留学生に求めること」を考える
前項で紹介したような点を書き出す際、各項目の具体的なエピソードも一緒に添えましょう。
こうすることで面接の際もあなたならではの話ができるようになり、面接官の納得感を高めやすいです。
また自己分析では失敗経験もしっかり振り返ることが大切です。なぜならあなたの弱みなども含めて就職先を探したほうが、長く働ける可能性が高められるからです。
そのような失敗経験から得られた教訓などを面接で伝えると、前向きに学ぶ姿勢を評価されるでしょう。
さらに、「日本企業が外国人留学生に求めること」を考えることも重要。例えば母国語のスキルを求めている企業であれば、あなたの強みを活かせる可能性が高いでしょう。
自己分析を行うメリット
自己分析を行うと以下のようなメリットが得られます。
- 理想的な働き方ができる就職先を見つけられる可能性が高まる(ミスマッチを防げる)
- 面接で自分の良さをよりアピールできる
- 自信を持って自分自身をプレゼンできる
- 内定までの期間長期化リスクを下げられる
就活中の留学生が押さえるべき基本マナー
日本語特有の丁寧語・尊敬語・謙譲語の例も紹介しますので参考にしてください。
メールの文章の書き方
就職活動中は採用担当者とのメールのやり取りも発生します。その際は丁寧語や尊敬語、謙譲語を正しく使う必要があるでしょう。
以下に代表的な言い回しを挙げますので参考にしてください。
通常の言い方 | 尊敬語(敬意を表する相手の行動に対して使う) | 謙譲語(自分の行動に対して使う) |
言う | おっしゃる | 申す・申しあげる |
行く | いらっしゃる | うかがう |
話す | 話される・お話しになる | 申す・申しあげる |
知る | ご存じでいらっしゃる | 存じあげる |
以下は企業との電話やメールで使われることの多い言い回し(ビジネス表現)です。
通常の言い方 | ビジネス表現 |
会社 | 貴社:メールやエントリーシートなどの書き言葉で使う 御社:面接や電話などの話し言葉で使う |
ごめんなさい | 失礼いたしました・申し訳ございません |
電話があった | お電話をいただきました |
どうですか | いかがでしょうか |
また日本語は丁寧な言い回しをするため、文頭に以下のようなフレーズを添えることがあります。
- 大変恐縮ですが
- お忙しいところ恐縮ですが
- おそれいりますが
- お手数をおかけしますが
メールで使える例文
以下に就職活動でよく使うフレーズを紹介します。
通常の言い方 | ビジネス表現 |
さっき電話をもらった〇〇です。 | 先ほどお電話をいただきました〇〇です。 |
後から電話します。 | 後ほどご連絡差し上げます。 |
今日はありがとうございました。 | 本日はありがとうございました。 |
ちょっと聞きたいことがあるんですが… | おそれいりますが、一つお尋ねしたいことがあります… |
すみませんが、面接の日を変えてください。 | お手数をおかけしても申し訳ございませんが、面接の日程の変更をお願いいたします。 |
さっきは電話に出られなくてすみません。 | 先ほどはお電話に出られず申し訳ございません。 |
面接の日程変更をお願いするときのマナーは、以下の記事も参考にしてください。
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電話のかけ方・話し方
電話をかける際は、以下の点に気をつけましょう。
- 時間帯に気をつける
- あらかじめ話す内容をメモする
- 自己紹介からはじめる
- メモとペンを用意する
- 復唱して確認する
- 相手の電話が切れてから自分も切る
始業・終業前後は忙しい時間帯のため、なるべく電話は避けましょう。
また、あらかじめ話す内容をまとめ要点を押さえながら話し、相手の話もメモを取りながら聞き、重要な事項は最後に復唱して確認します。
面接時の基本マナー
面接は限られた時間で面接官が応募者を判断します。見た目の印象も非常に重要なので、以下の点を気をつけましょう。
- 男性:髭を剃る、清潔感のある服装や髪型
- 女性:長い髪は束ねる、派手なメイクを避ける
- 派手な色柄スーツやシャツを避ける(ワイシャツは白が基本)
- 靴はスニーカーは避け、革靴やパンプスで
- 短すぎるスカートを避ける
- アクセサリーは基本的につけない
- ストッキングは肌色でショート丈を避ける
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話し方で気をつけること
面接での話し方や態度も重要です。以下の点に気をつけましょう。
- 質問者に向かって話す
- はっきりと話す
- 結論から話す
面接の質問に答える際は、質問した人に向かってハキハキと話すようにしましょう。
面接ではこのようなコミュニケーション能力を見られる部分が大きいです。またまず結論から話し、続いてその根拠となる部分を話すと相手に意図が伝わりやすいです。
留学生の就職選考・面接対策
履歴書
最初にチェックされる部分です。履歴書には以下のような項目を書く欄があります。
- 基本情報
- 学歴・職歴
- 趣味・特技・資格・免許
- 研究分野・得意な学科
- 学業以外の活動
- 自己PR
- 志望動機
- 本人希望記入欄
以下の記事も参考にしてください。
→履歴書の「趣味・特技」欄の書き方まとめ!考え方・例文・NG例なども紹介
→履歴書の「免許・資格」の書き方は?読みやすく高評価になる履歴書を作るコツ
また履歴書でもっとも悩むのが志望動機の書き方でしょう。以下の記事では志望動機のNG例文とともに書き方を解説しています。
履歴書は大学独自のものを利用するのがおすすめです。履歴書は送付する前にコピーをとり、面接対策に使えるようにしましょう。
エントリーシート
エントリーシートは「企業が独自に提出を求める履歴書のようなもの」と解釈すれば問題ないです。
基本的に履歴書は応募者が入社する際に人事データとして使われる項目(氏名、生年月日、住所、連絡先、学歴など)を把握するためのもので、エントリーシートは選考に必要な情報(志望動機や自己PR、在学中の学生活動など)を把握するためのもの。
いずれも提出を求められる場合と、履歴書のみ提出の場合もあります。履歴書とエントリーシートいずれも提出する際は、記載する内容に重複があっても問題ありません。
以下の記事ではエントリーシートの書き方を履歴書との違いとあわせて解説しています。
→内定を勝ち取るエントリーシート(ES)の書き方11のポイント!履歴書との違いも解説
筆記試験
企業の就職選考では筆記試験が行われることもあります。代表的なものが「SPI」などの適性検査。
性格検査によって職種への適性をはかったり、一般常識を問うような能力検査を行ったりします。
このほかにも企業独自の試験や小論文を出題することも。以下の記事で就職選考で行われる主な筆記試験の種類と概要、対策方法を紹介しています。
→転職時の筆記試験対策まとめ!筆記試験を課す理由や種類・対策法を紹介
※上記記事は転職活動について言及していますが、新卒採用で実施される筆記試験についても解説しています。
面接
面接対策は第三者に協力してもらうのがおすすめです。なぜなら自分の受け答えを客観的に評価してもらう機会を増やしたほうが、効果的な面接対策ができるからです。
大学のキャリアセンター(就職支援センター)で面接対策講座が行われている場合もあるため、情報収集に行ってみましょう。面接で質問される内容などは、以下の記事も参考にしてください。
→転職に役立つ面接対策!質問項目や基本マナーを理解して成功に近づこう
※上記記事は転職活動について言及していますが、新卒採用の面接で尋ねられる質問についても解説しています。
留学生の就職は計画的に
日本での就職を考えるならば、まず全体的な就職活動スケジュールを把握して早め早めに動くことが重要です。まずは大学にあるキャリアセンターで情報収集し、留学生向けの就職支援を受けましょう。
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