転職や就職のシーンでよく聞かれる「市場価値」。なんとなくわかっていても、市場価値の正しい意味や計測方法を理解できていない、という人も多いのではないでしょうか。
社会人としての市場価値は、働いていれば勝手に高まっていくものではなく、計画的に取り組むことが必要です。
この記事では、市場価値とは?や高めるための方法や必要スキルについて解説します。
この記事の目次
「市場価値」とは?
市場価値とは「その人が社会にとってどれだけ重要であるか」を示す指標です。
市場価値の高い・低いは、社会の状況や需要と供給のバランスなどで決定されます。
つまり、その時々で企業や社会が求めているスキルや人間性を持っている人ほど、市場価値が高いといえるでしょう。
市場価値は時代と共に変化していくものであるため、一度高い価値を獲得した人が5年後、10年後にも同じ価値を維持できるとは限りません。
そのため、社会の波や市場のニーズを適切に読み取り、その時代にあった人材になるようスキルアップなどに取り組むことが重要なのです。
市場価値の高い人材になるべき2つの理由
就職・転職市場でよく聞かれる「市場価値」ですが、そもそもなぜ自分自身の市場価値を正しく把握し、高めていくことが重要なのでしょうか?
その理由としては「企業に依存しないキャリアを築くため」「成果主義社会で生き残るため」のおもに2つです。以下で解説します。
企業に依存しないキャリアを築くため
2020年から世界的に流行した新型コロナウイルスは、ウイルス感染による身体的な被害だけでなく、日本経済にも大きな打撃を与えました。
安定と思われていた有名企業の倒産や事業縮小、業績悪化に伴う人員削減や給与カットなど「企業は従業員の生活を守ってくれる」という考えはもはや存在しません。
このような状況の中、社会で働く人は会社に依存しないキャリアの形成に自ら主体的に取り組んでいくことが求められています。
市場価値は実際に就職や転職を希望する人だけでなく、万が一のために社会で働く全ての人が高めておくべきものなのです。
成果主義社会で生き残るため
年功序列制度や終身雇用制度などの古来の雇用制度がなくなりつつある状況で、企業での人事評価への考え方も成果主義へと変化しています。
この流れを加速させたのが、コロナウイルスの流行をきっかけに多くの企業で導入された在宅勤務(テレワーク)です。
「いつもまじめ」「遅刻しない」「夜遅くまで残業している」などの勤務態度が見えづらい在宅勤務では、人事評価においても「どのような成果を出したか」が重視されます。
つまり、今後は限られた時間でいかに成果を出せるかが重要なポイントであり、成果を出すために必要なスキルや経験を持つ人が市場価値の高い人として見られるのです。
これまで勤務態度の良さを強みとしていた人は、自身のスキルや実績についてあらためて評価しなおす必要があるでしょう。
自分の市場価値を測る2つの方法
「市場価値とは」で解説した通り、市場価値の高い・低いは時代によって変化するため、明確な基準はありません。
では、あなたの今の市場価値を知るためにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、自分の市場価値を測る方法を2つ紹介します。
- 業界標準や他の社会人と比較する
- 転職サイト・エージェントを利用する
業界標準や他の社会人と比較する
あなたの今の年収や社内でのポジション、業務で与えられている権限などを整理して、同じ業界内の標準や、同年代の社会人と比較してみましょう。
例えば業界標準よりも高い年収をもらっていたり、より裁量権のある立場を任されていたりする場合、あなたの市場価値は平均より高いといえます。
この記事もオススメ
転職サイト・エージェントを利用する
転職サイトや転職エージェントに登録してみる方法もあります。
転職エージェントのキャリアアドバイザーやヘッドハンターから、あなたの今のスキルや実績について客観的な評価をもらい、転職が可能な業界や企業、年収相場を聞きましょう。
また、求職者に企業の採用担当者から「面接を受けてみませんか?」といった案内が届くスカウト機能を利用すれば、具体的に自分がどのような企業から求められているかがわかるでしょう。
この記事もオススメ
市場価値が高い人材の特徴5つ
市場価値が高い人、つまり企業や社会からより求められる人には、いくつか共通点があります。
ここからは市場価値が高い人材の特徴を5つ紹介しましょう。
- スキルの専門性が高い
- スキルの代替性が低い
- 実績・経験がある
- 能力の汎用性が高い
- 利益をもたらすことができる
スキルの専門性が高い
市場価値が高い人の多くが、獲得するために一定のトレーニングなどが必要な専門性の高いスキルを持っています。
例えば、ITサービスの普及によって需要の高いITエンジニアになるためには、1000時間必要とも言われている学習をこなさなければいけません。
誰もが簡単に取得できるスキルではない分、希少性が高まり市場でも高く評価されるのです。
この記事もオススメ
スキルの代替性が低い
スキルの代替性が低い、つまり他者やシステムがその人の代わりにその仕事をこなすのが難しいことも特徴の1つ。
例えばスーパーやコンビニのレジ打ちや接客は、多少のスキルは求められるものの他の人や自動レジなどの機械に置き換えることが可能です。
一方で医師、看護師、弁護士、美容師などの国家資格が必要な職種は、代替がききません。
実績・経験がある
スキルの高さだけでなく、実際に業務で高いパフォーマンスを発揮できる経験も重要です。
特に営業やコンサルタントなど仕事をするために特別な資格が不要な職種については、実績・経験の豊富さが市場価値に大きく関わってきます。
経験◯年、総売上◯万円、完遂プロジェクト◯件など、定量的に表されるものがあると、よりわかりやすいです。
ITエンジニアのような技術職の場合、新規プロジェクトの開発に1から携わった経験や、機能の企画・設計などの上流工程の業務経験などがあれば、よりその人の市場価値を高めるでしょう。
能力の汎用性が高い
能力の汎用性が高い、つまり特定の企業や業界だけでなく、幅広く活用できる能力を持っていることも、市場価値が高い人の特徴です。
例えばマネジメントスキルや交渉力、問題解決力などは、業界や企業を問わずにどのビジネスシーンでも求められるものです。
一方、特定の企業の商品やサービスに関する知識や、その会社の中でしか使えない業務知識は、どれだけ高いレベルであっても転職時には役に立たない可能性があります。
利益をもたらすことができる
企業にとっての最大の目標は利益の向上。このため、企業にとって最も市場価値が高いのは「会社の売上に貢献してくれる人」と言えます。
特に営業やマーケティングなど売上に直結する部門では、月間売上◯万円達成などの具体的な数値実績は市場価値の向上に大いに貢献します。
その他の部門でも「業務効率◯%向上」「部署内の残業代◯万円カット」など、企業の利益につながる成功事例があると、大きなアピール材料として使えるでしょう。
【年代別】市場価値を高めるためにやるべきこと
市場価値は社会人として働いていれば勝手に上がっていくものではありません。
「企業や社会が今求めている人材はどのような人か」「自分は社会にとってどれだけの価値があるか」を考え、戦略的に高めるための努力をしていくことが重要です。
ここからは、市場価値を高める方法を年代別に解説します。
- 【20代前半まで】今の仕事で成果を出す
- 【20代後半以降】専門性・汎用性を高めていく
- 【30代以降】マネジメントスキル・交渉力を身につける
【20代前半まで】今の仕事で成果を出す
社会に出たばかりの20代前半は、まず現在身をおいている組織の中で成果を出すことを目指しましょう。
与えられた仕事をしっかりとこなし、その上で上司や先輩が求めていることが何かを考え、それを提供します。
自分では何をすべきかわからない場合には、「私に期待することは何ですか?」と聞いてみるのも良いでしょう。
小さなことでも構わないので、あなたが自信を持って「成し遂げた」といえる仕事をしましょう。
この記事もオススメ
【20代後半以降】専門性・汎用性を高めていく
社会人としての基礎力がついた20代後半からは、専門性や汎用性を高めていくことに注力します。
具体的には、業務に関係する資格の取得などで専門性を高めつつ、コミュニケーションスキルなどの汎用スキル(ポータブルスキル)を高めていきましょう。
「資格よりも実績を積み重ねることが大事」と考える人もいるかもしれません。
確かに現場で使えるスキルは重要ですが、難易度・専門度が高い資格は努力や意欲のアピールに繋がります。
資格はスキルを客観的に示すものとしても有効なので、必要に応じて取得すると良いでしょう。
この記事もオススメ
【30代以降】マネジメントスキル・交渉力を身につける
スキルと実績の両方が備わってきた30代からは、個人ではなくチームとしての成果を出すために必要なマネジメントスキルや交渉力を高めるのがおすすめです。
この年代は、今後のキャリア戦略として専門性をより高める「スペシャリスト」か、幅広く業務をこなす「ジェネラリスト」のどちらを選ぶべきか迷う人も多いでしょう。
しかし、どちらを選ぶにしても、組織の一員として働く限り、他者とのコミュニケーションは発生します。
これらのスキルは業界・職種問わず使えるので、専門性のさらなる向上と合わせて獲得することで、より市場価値を高めることにつながります。
この記事もオススメ
市場価値が低い人が身につけるべき5つのスキル
市場価値を効果的に向上させるためには、業界や企業を問わない汎用性の高いスキル(ポータブルスキル)を優先的に習得するのがおすすめです。
自分の市場価値に自信がない人は、日々の仕事や独学などを通して、これらのスキルを取得していきましょう。
- 論理的思考力
- 問題解決力
- 仮説思考
- 人を巻き込む力
- プログラミングスキル
論理的思考力
論理的思考力とは、物事を筋道立てて考える力です。
「A=B, B=C」だから「A=C」といったように、状況を整理しながら問題の原因を突き止めたり、解消するための方法を考えたりします。
論理的思考力は基本のビジネススキルでもあるため、論理的思考が苦手な人はトレーニングをしていく必要があります。
この記事もオススメ
問題解決力
問題解決力とは、社会や企業が抱えている問題や課題を適切に理解し、その解決する方法を考える力です。
顕在的な(すでに認識されている)課題への解決策だけでなく、潜在的な(まだ明らかになっていない)課題を見つけ、解決まで持っていくことも含まれます。
「残業が多い」「売上が伸びない」など、ビジネスの現場には何かしらの課題があります。
一方で、その課題の正確な原因を把握していないことで、課題解決にまで至っていない企業は多いのです。
組織や個人の課題を解決する問題解決力を備えることで、社会人としての価値を高めることができるでしょう。
この記事もオススメ
仮説思考
仮説思考とは、物事に対して「もし◯◯なら…」と仮説を立てて考える力です。
ビジネスの現場では限られた情報から、次の戦略を立てなければいけないシーンもあります。
その際に、今ある情報から「仮の答え」を設定し、そこから仮説を検証するために必要な事実や情報を探していく手法です。
あらかじめ仮説を立てて行動することで、作業効率の向上や精度の高いアウトプットが可能になります。特にマネジメント層に求められるスキルです。
人を巻き込む力
人を巻き込む力とは、複数の人が協力して作業を進めるように周囲に働きかける力です。
世の中のどのような偉業も、たった1人の人間によって成し遂げられたものは多くありません。
偉業によって有名になる人が1人であっても、その背景には多くの協力者・協働者がいます。
つまり、偉業を成し遂げた人とは「人を巻き込むプロ」でもあるのです。
ビジネスにおいても、周囲をうまく自分の取り組んでいる課題やプロジェクトに巻き込むことで、課題解決やプロジェクト遂行の可能性が高まります。
プログラミングスキル
これから社会で活躍していくためのもう1つの必須スキルが、プログラミングスキルです。
様々なサービスやモノのIT化が進む中、IT業界は深刻な人手不足の状況に陥っています。
「市場価値は社会のニーズで決まる」と解説しましたが、今まさにニーズが集中しているのがIT分野なのです。
例えば、システムやアプリの開発を行うITエンジニア、企業内のIT設備の管理を行う社内エンジニア、システムの導入サポートなどを行うITコンサルタント。
これらのIT系職種の需要は、いずれも高い水準を保っています。
例えば営業職の人がプログラミングを学習してIT企業の営業職に転職するなど、今持っているスキルとプログラミングを組み合わせることで、仕事の幅を広げることも可能です。
IT業界やIT系職種に関係がない人でも、インターネットが繋がらない時やパソコンの調子が悪い時の対処方法など、最低限の知識は持っておくべきでしょう。
この記事もオススメ
まとめ:自分の市場価値を把握し仕事に活かそう
市場価値とは?や高めるための方法や必要スキルなどを解説しました。
市場価値の高い人材になるためには、まず自分の現在の状況を正しく把握した上で、社会でニーズの高いスキルの中で自分に足りないものを身に付けることが重要です。
社会経験が短い人は目の前の仕事でしっかりと成果を出すこと、仕事に慣れてきた人はポータブルスキルを習得することを意識して取り組みましょう。
この記事もオススメ
はじめての転職、何から始めればいいか分からないなら
「そろそろ転職したいけれど、失敗はしたくない……」そんな方へ、テックキャンプでは読むだけでIT転職が有利になる限定資料を無料プレゼント中!
例えばこのような疑問はありませんか。
・未経験OKの求人へ応募するのは危ない?
・IT業界転職における“35歳限界説”は本当?
・手に職をつけて収入を安定させられる職種は?
資料では、転職でよくある疑問について丁寧に解説します。IT業界だけでなく、転職を考えている全ての方におすすめです。
「自分がIT業界に向いているかどうか」など、IT転職に興味がある方は無料カウンセリングにもお気軽にお申し込みください。