ホワイト業界に転職したいけど、具体的にどういった業界が当てはまるのか分からないと悩んでいる方は多いかもしれません。
そこで本記事では、転職を検討している方に向けて、ホワイト業界のおすすめ・特徴・見分け方・転職方法などを解説します。
※記事内の情報は2023年12月執筆時の内容です。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
この記事の目次
ホワイト業界の特徴
本章では、ホワイト業界の特徴を7つ紹介します。
- 参入障壁が高い
- 景気に左右されない
- 労働集約型ビジネスでない
- BtoBのビジネスモデル
- 福利厚生が充実
- 離職率が低い
- 女性管理職の比率が高い
参入障壁が高い
1つ目は、参入障壁が高いことです。
参入障壁が高い業界とは、新規参入が難しく中小企業やベンチャー企業の流入による自由競争が起こりにくい業界を指します。
具体的には、高い専門性・高い技術力・膨大な研究開発コストが伴う業界、または国の認可が必要な業界などが該当します。
参入障壁が高いと、少数の大手企業による寡占市場となり業界が安定するため、職場で激しい競争に巻き込まれる確率は低くなるでしょう。
景気に左右されない
2つ目は、景気に左右されないことです。
新型コロナウィルスによる外出規制や個人消費の停滞によって、大小多くの企業が売上の大幅減少や倒産の危機に陥りました。
一方で、医薬品の販売や巣ごもり需要などにいち早く対応できた業界は、コロナ禍においても売上を伸ばしました。
このように、世の中が不景気でも売上を伸ばせる業界ならば、リストラや倒産などのリスクが少ないでしょう。
労働集約型ビジネスでない
3つ目は、労働集約型のビジネスモデルでないことです。
労働集約型とは、人間の労働力に大きく依存したビジネスモデルのことで、接客が伴うサービス業や人材派遣業などが該当します。
このような、人間の労働力に頼らざるを得ないビジネスでは、給与水準が低さや長時間労働を引き起こし、ブラックな労働環境に陥りやすい側面があります。
そのため、労働集約型ビジネスでない、設備投資による生産性の高い資本集約型ビジネスを基本とした業界はホワイトである可能性が高いです。
BtoBのビジネスモデル
4つ目は、BtoBのビジネスモデルを採用していることです。
一般消費者にサービスを提供するBtoCのビジネスモデルは、消費者ごとに個別のサービスが求められたり、認知度を高めるためのプロモーション活動も必要です。
しかし、顧客が企業であるBtoBのビジネスモデルは、顧客数が限られるためニーズを把握しやすく、広告宣伝費も最低限で済みます。
そのため、BtoCと比較して利益が出やすく、大口顧客を持つ企業ならば安定した働き方ができるでしょう。
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福利厚生が充実
5つ目は、福利厚生が充実していることです。
雇用保険・労災保険・健康保険などは、法律で義務付けられた法定福利です。
これに加えて、通勤補助・住宅手当・育児休暇などの法定外福利が充実していると、従業員を大切にする企業だと考えられます。
さらに、企業独自の手当・賞与を設けている企業が多いと、ユニークで働きやすい業界といえるでしょう。
離職率が低い
6つ目は、離職率が低いことです。
離職率が低い業界は、有給休暇を取りやすい、一人前に育てるノウハウが備わっている、給与水準が高いなど、長期的に働ける職場環境があります。
ちなみに、各業界や企業の離職率は厚生労働省の『雇用動向調査』、東洋経済新報社の『就職四季報』、企業のIR情報などから調査できます。
女性管理職の比率が高い
7つ目は、女性管理職の比率が高いことです。
女性の社会進出が世界的に進む中、日本は先進国と比較すると、女性が活躍できるチャンスはまだまだ少ないのが現状です。
このような状況も踏まえて、女性管理職の比率の高い業界は、女性も安心して働ける指標になり、性別や年齢に関係なく誰でもチャレンジできる環境があると考えられます。
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【2024年】ホワイト業界のおすすめ10選
本章では、2024年も注目のホワイト業界10選を紹介します。
- 医薬品業界
- 食品業界
- 海運業界
- インフラ業界
- 製造業界
- 地方公務員
- IT業界
- 大学業界
- 総合商社
- 建設業界
医薬品業界
医薬品業界は、高い専門性と国の認可が必要なことから、新規参入する企業が少ないです。
また、膨大な研究開発コストも参入障壁の高さを表しており、最大手である武田薬品工業の2021年度の研究開発費は、約6,333億円でした。
さらに、医薬品は売上が安定しやすく、武田薬品工業の2022年度の営業利益率は約12.2%(「営業利益 4,905億円 ÷ 売上高 40,274億円 × 100 = 12.17」)でした。
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食品業界
食品業界は、医薬品と同じく大手企業によるシェア率が高く、参入障壁が高いです。
例えば、ビール業界の国内シェアは「サントリー・キリン・アサヒ・サッポロ」の4社で、9割以上を独占しています。
また、安定的に生産するための大規模な工場や膨大な商品開発コストなどもかかることから、ベンチャー企業が参入する難易度は高いでしょう。
海運業界
海運業界は、日本郵船・商船三井・川崎汽船などの少数の大手企業がシェアを固めており、競合が少ないです。また、海運は一定の需要があるので、収入も安定しやすいのが特徴です。
ここで公益社団法人全日本トラック協会の『日本のトラック輸送産業-現状と課題-(2023)』における、2021年の輸送機関別の分担率(トンキロベース)について見てみます。
すると、陸運が55.4%、海運が44.6%が占めています。つまり、短距離輸送ではトラック輸送が強いのに対し、中長距離輸送では海運が強いのです。
そのほか、福利厚生の充実度が高いのも海運業界の特徴の1つ。
例えば、商船三井では社宅・持ち家取得促進・フィットネスクラブ法人会員・在宅勤務制度など、豊富な福利厚生で評価を得ています。
インフラ業界
インフラ業界は、電気・ガス・水道などを事業とし、国民の生活に不可欠なライフラインを提供しています。
これらの需要は、基本的には景気に左右されないため、売上が安定しており社員の定着率が高い傾向にあります。
また、厳しい営業ノルマが課される可能性も低いため、ほかの業界と比較して長時間労働によるストレスやリストラの危険性も低いといえるでしょう。
製造業界
製造業界の中でも、特にスマホの電子部品・化学繊維・半導体など、BtoB向けの裏方向けな製造業がおすすめです。
BtoB向けの製造業は、大手製品メーカーの要求に応えられる高い技術力や大量生産が可能な工場がなければ、事業として成立しません。
そのため、参入障壁が高く、国内外の大手メーカーと取引していれば、安定性も高いです。
実際、半導体製造大手である東京エレクトロンの2022年3月期 第1四半期決算では、2021年4~6月期の純利益が、前年同期比77.8%増の1,003億円を計上しました。
またウエハ搬送システムなどを手掛けるローツェも好調で、2023年2月期(2022年3月~2023年2月)決算では、営業利益が前年度比67%増の264億1,800万円を計上。
コロナ禍の収束による揺り戻し、ウクライナ侵攻による原油や原材料の価格高騰による影響はあるものの、半導体を始めとする電子部品の需要は高いでしょう。
地方公務員
地方公務員とは、都道府県・市町村の地方自治体で勤務する公務員を指します。
具体的には、区役所の職員・小中学校の教員・警察官・消防士などが該当します。
役所や学校の倒産はなく、公務員は国家・地方公務員法で守られた職種のため、リストラも刑事事件などの不祥事でない限り、基本的にはありません。
また、公務員という仕事の特性上、世間の目も好印象を与えやすく、ほかの業界と比較して社会的地位が高いといえるでしょう。
IT業界
IT業界は、一見すると残業が多い・新規参入が多い・競争率が高いといった理由から、参入障壁が低くホワイト業界に当てはまらないと感じるかもしれません。
確かに、IT業界は競争が激しく、長時間労働を強いる企業があるのも否定できません。
しかし、ホワイト企業総合研究所の『【2024年卒版】新卒で入りたい一流ホワイト企業TOP100』によると、TOP10のうち半数の5社がIT企業という結果でした。
このことから、IT業界においても優良経営やコロナ禍の成長力などで評価を得る企業が増えていると考えられます。
大学業界
あまりピックアップされない分野として、大学業界もホワイト業界として注目されています。
大学の運営においては、国の認可が必要なため、非常に参入障壁が高いです。
実際、文部科学省の『新設大学等の情報』によると、2022年度に新設された大学はわずか5校。対して、2021年度の廃止大学は計9校。
大学の数は、わずかながらも確実に減少しているのです。
また、大学運営に伴う税金免除や優秀な収益構造などから、都心の私立大学を中心に安定して働ける環境が整っています。
総合商社
総合商社は、国内外に渡るビジネス展開や給与の高さなどから、就活生の就職希望先として人気があります。
実際、総合商社のトップである三菱商事・三井物産・伊藤忠商事などは、ホワイト企業総合研究所の『【2024年卒版】新卒で入りたい一流ホワイト企業TOP100』にランクイン。
TOP10圏外ではあるものの、依然として人気が高いことが分かります。
ほかのホワイト業界と比較して、要求レベルが高い反面、大きな案件に若いうちから携わったり、海外でビジネスができるなど、ビジネスパーソンとして成長できる機会が多いでしょう。
建設業界
建設業界は、「きつい、汚い、危険」のイメージがある3K業界ともいわれるため、ホワイト業界ではないように感じるかもしれません。
一方で、日本健康会議による『健康経営優良法人認定制度』によると、「健康経営優良法人 ブライト500 2023」に選ばれた建設業の中小企業は、81社と多数でした。
このことから、現在の建設業界はこれまでのマイナスなイメージから脱却し、優良企業の多い業界になりつつあると考えられます。
ブラックになりやすい業界
ブラックになりやすい業界の事例を挙げると、以下の通りです。
- 労働集約型のビジネスモデルを採用している
- 少子高齢化などの日本が抱える社会問題のあおりを受けやすい
- テクノロジーの発達で仕事が失われる可能性がある
- 3年以内の離職率が高い
上記の通りで、飲食業界・介護業界・人材派遣業界などがブラックになりやすい代表例として挙げられます。
ブラック企業では、上司からの過度な要求や違法スレスレの労働時間などが原因で、心身のストレスからくる精神病や過労死問題などを引き起こします。
転職しない方がいい業界の詳細は、関連記事で解説しているので、参考にしてみてください。
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ホワイト企業の見分け方
本章では、ホワイト企業の見分け方を6つのポイントに分けて紹介します。
- 公的機関のサイトを参考にする
- コロナの影響が少ない
- 事業内容に将来性がある
- ニッチな分野でシェアを獲得している
- 大手ホワイト企業のグループ会社
- 個人の価値観にもよる
公的機関のサイトを参考にする
1つ目は、公的機関のサイトを参考にすることです。
例えば、日本健康会議による『健康経営優良法人認定制度』は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む法人に贈られます。
また、一般財団法人 日本次世代企業普及機構(ホワイト財団)による『ホワイト企業アワード』は、7つの指標をもとに厳しい審査基準を突破した企業にのみ贈られる認定制度です。
このように、公的機関が正式に認定した優良企業を参考にするとよいでしょう。
コロナの影響が少ない
2つ目は、新型コロナウィルスの影響が少ないことです。
コロナ禍でも安定・成長している企業は、景気に左右されにくい、あるいは優秀な経営陣が率いる優良企業である可能性が高いです。
2024年以降はコロナ収束に向かい、経済活動もコロナ前に戻りつつあります。こうした中で、コロナ前後でも変わらずに堅調に維持している企業を見極められるかもポイント。
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事業内容に将来性がある
3つ目は、事業内容に将来性があることです。
例えば、個人の独創性・想像力が求められる「デザイナー」や「コーディネーター」などのクリエイティブ職は、将来なくなる可能性の低い職種の1つといえます。
また、マニュアル化が難しい仕事は、AIによる代替が難しいでしょう。
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ニッチな分野でシェアを獲得している
4つ目は、ニッチな分野でシェアを獲得していることです。
いわゆる「グローバルニッチトップ企業」は、世界市場のニッチ分野で活躍し、サプライチェーン上の重要性が増しています。
このような企業は、高い参入障壁と利益率を誇るため、ホワイト企業である可能性が高いといえるでしょう。
グローバルニッチトップ企業は、経済産業省の『グローバルニッチトップ企業100選(2020年)』で7年ぶりに選定されました。合わせて、参考にしてみてください。
大手ホワイト企業のグループ会社
5つ目は、大手ホワイト企業のグループ会社であることです。
ホワイト企業ランキングは、ホワイト企業総合研究所で毎年発表されています。
そして、ランクインした大手企業のグループ会社も、同じく勤務形態や福利厚生が整っていることに加えて、親会社よりも転職の難易度が低い可能性もあります。
個人の価値観にもよる
6つ目は、個人の価値観によっても変わることです。
例えば、要求レベルの高さを「やりがいがある」と捉える人もいれば、「精神的に辛い」と捉える人もいるでしょう。
つまり、ホワイトかどうかは、あくまでも客観的に判断されるものなので、実際に入社して働いてみないと実感できません。
したがって、最後は自分にとって何が大事を重視すべきです。
ホワイト企業に転職する方法
本章では、ホワイト企業に転職する方法を5つのポイントに分けて紹介します。
- 転職に成功するポイントをおさえる
- 転職エージェントに登録する
- 転職サービスの口コミを活用する
- 求人情報を正確に読み取る
- 面接官に給与や福利厚生について質問する
転職に成功するポイントをおさえる
1つ目は、転職に成功するポイントをおさえることです。
特に、異業種への転職を希望する場合、業界・企業研究を綿密に行って知識を蓄えておく方が、転職活動をスムーズに進められます。
また、ホワイト業界は採用人数が限られるケースが多いため、早めに決断して行動に移すのがセオリーです。
関連記事にて、異業種へ転職するポイントや成功事例などをまとめているので、合わせて参考にしてみてください。
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転職エージェントに登録する
2つ目は、転職エージェントに登録することです。
転職エージェントはそれぞれ得意領域が異なるため、自分が志望する業界に強いエージェントを最優先に選びましょう。
また、ホワイト業界への就職・転職は競争率が高い傾向にあるため、企業の人事担当者と直接つながっているエージェントの方が、企業が求める人材とマッチしやすいです。
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転職サービスの口コミを活用する
3つ目は、転職サービスの口コミを活用することです。
希望する業界・企業で実際に働いた人の体験談は、業界の全体像や転職後の働き方をイメージするのに役立つでしょう。
転職の口コミサイトは、「転職会議」「OpenWork」「キャリコネ」などがおすすめです。
求人情報を正確に読み取る
4つ目は、求人情報を正確に読み取ることです。
あいまいな表現が多いもの(「たくさん稼げます!」「残業ほぼなし!」「勤務地:全国」など)を避け、具体的な数字や根拠を掲載した求人情報に目をつけましょう。
また、年収が極端に高すぎるものは、一般的ではない特殊な事例を掲載している可能性もあるため、注意が必要です。
面接官に給与や福利厚生について質問する
5つ目は、面接官に給与や福利厚生について質問することです。
企業面接の場では、給与や福利厚生に関する質問は自分から切り出すのは難しいと思います。
しかし、聞きづらい質問に誠実に答えてくれる企業は、隠し事のない真っ当な企業である可能性が高いともいえます。
ホワイト業界を見極めて優良企業に転職しよう
ホワイト業界のおすすめ・特徴・見分け方・転職方法などを解説しました。
ホワイト業界は、参入障壁が高い・景気に左右されにくいなどの特徴から、安定した働き方を実現しやすいです。
しかし、それゆえに採用人数は少なく、就職・転職時の競争率は高いと予想されます。
そのため、転職を検討する際は、まずはホワイト業界を見極めて転職するポイントを確実におさえましょう。
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