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ネット弁慶とは?気持ち悪いといわれる理由・特徴・末路も解説

更新: 2023.08.10

SNSで『ネット弁慶』という言葉をよく見るけど、どういう意味だろう?
ネットで攻撃的な人の心理状態は何だろう?
ネット弁慶とは何か、言葉の意味を教えて!

ネット弁慶」という言葉を聞いたことがありますか?

インターネット・SNSは、時間や場所を問わず利用でき、顔も知らない遠く離れた場所にいる人と交流できる点でメリットは多いです。

しかし、匿名性を盾に暴言・煽りといった誹謗中傷により、相手を傷つける発言を繰り返すような人も見受けられます。

そこで本記事では、ネット上で攻撃的な発言を繰り返す「ネット弁慶」と呼ばれる人の意味・気持ち悪いといわれる理由・特徴・末路などを解説します。

ネット弁慶とは

ネット弁慶とは、「発言がネット上でのみ強気な性格の人」を指すネットスラング(俗語)です。普段SNSを使う人なら、一度は聞いたことがあるでしょう。

言葉自体は、現実世界で使われることは少なく、X(Twitter)などのSNS・匿名投稿サイト・コメント機能のあるWebサービスなどでよく使われています。

ここでは、ネット弁慶の基本的な概要を見ていきましょう。

  • ネット弁慶の由来
  • ネット弁慶のリアル
  • SNSとリアルは別人格
  • ネガティブな投稿をしたことがある人の割合

ネット弁慶の由来

ネット弁慶の言葉の由来は、「内弁慶、外地蔵」ということわざにあります。

これは、家の中では武蔵坊弁慶のように強そうな振る舞いをしているのに、外に出ると地蔵のように大人しくなる小心者を意味します。

そして、この内弁慶に引っ掛けて表現したのが「ネット弁慶」という言葉です。

匿名性を利用してネット上では強そうな振る舞いや発言をするが、一歩現実の世界に出ると強気ではいられない小心者を半ば揶揄する形で使われる言葉なのです。

ネット弁慶のリアル

ネット弁慶は、実生活で他人を威圧する態度をとることは基本ありません。

現実の世界では大人しく、人見知りだったり、あまり注目されなかったりすることが多いです。

実際、自分を誇張して表現したり、他人を理屈つけて批判したりする人は、現実世界ではあまり見かけないでしょう。

つまり、ネット弁慶と呼ばれる人は、意外と身近に存在しているかもしれません。

SNSとリアルは別人格

トレンド総研が実施した「ネット人格」に関する調査では、SNSと現実で人格を使い分けている人の割合は全体の4割以上という結果が出ています。

その内「意識的に使い分けている」が25.3%、「無意識のうちに変わっている」が16.3%。

また、SNSとリアルで人格が変わることについては「普通だと思う」という意見が最多。もはや、現実とネット上で人格を切り替えることは、特別なことではないかもしれません。

ネガティブな投稿をしたことがある人の割合

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の『2022年度情報セキュリティに対する意識調査【倫理編】【脅威編】』では、以下のような回答が得られました。

  • SNS等でネガティブな投稿経験がある:16.9%
  • 「企業、店、商品、サービスなどの批判」が7.6%で最多
  • 「人の意見を非難・批評したかった」という理由では全世代で女性よりも男性の割合が高い
  • 「相手に仕返ししたかった」という理由では10代の割合が27.2%と突出して高い

上記の通りで、約6人に1人がネガティブな投稿した経験があるようです。

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「ネット弁慶は気持ち悪い」といわれる理由

「ネット弁慶は気持ち悪い」といわれる理由

ネット弁慶は気持ち悪い」といわれる理由としては、以下の通りです。

  • 普段はいえない悪口を書いてストレスを発散しているから
  • 特定の人に対して執拗につきまとうから
  • ネット上では偉そうだけど、現実では威張れないから

上記の通りで、相手の顔が見えない・感情を図れないのをいいことに、現実ではいえないことを書き込んで満足することに対して、不快感を感じる方は多いようです。

ネット弁慶の特徴

ネット弁慶の特徴

ネット弁慶の特徴は、以下の6つです。

  1. 活動の範囲が狭い
  2. 視野が狭い
  3. 正義感が強い
  4. 博識である
  5. 実生活で不遇な扱いを受けている
  6. 集団より孤独を好む

これらの特徴について解説します。

活動の範囲が狭い

ネット弁慶の特徴としては、実生活での交友関係やつながりがあまりなく、ネット上のつながりが強いことが挙げられます。

会社や友人との関わりがないと、飲みに行ったりなどの交流もなくなります。

すると、必然的に一人の時間が多くなり、ネット上の滞在時間も増える人もいるでしょう。

視野が狭い

ネット上に流れている情報はあまりにも膨大であるため、どうしても自分好みの意見のものを優先的に見てしまいがちです。

例えば、ツイッターなどは、自分と同じ価値観の人ばかりをフォローし、自分と意見の合わない人は「フォローしない」「ミュート・ブロックする」などの手段をとることもできます。

すると、そこから得られる情報や意見は自分の価値観に沿ったものばかりになってしまい、「みんなこう考えている」「だから自分の考え方は正しい」と錯覚してしまう危険性もあります。

また、ネットニュースサイトの多くは、自分の閲覧したトピックに関連するニュースがレコメンドされる仕様になっているため、情報を偏りなく得ることは限りなく難しいと言えるでしょう。

ネット弁慶と呼ばれる人は、自分の価値観に合う意見しか取り入れない傾向にあります。

偏った思考のまま自分の考えを疑わず、納得のいかない意見やニュースには徹底的に反論、批判をし、相手の立場で考えるようなことはしないのです。

正義感が強い

ネットでの炎上はなぜ起きるのでしょうか。原因は様々ではありますが、1つに炎上に加担する人々が正義感に駆られているという要因が考えられるでしょう。

実際ツイッターの炎上のコメントや、ニュースサイトのコメント欄などは、自分の価値観からみて間違った行動をした人を倫理や常識の観点から非難しているコメントが多いです。

「自分の価値観を正しいと確信している」人々が他者の立場に立って考えることをせず、納得のいかない事象に対して非難をしているのです。

ネット弁慶は、普段の生活では人を威圧するような言動することはあまりありません。普段の生活ではうまく自分を主張できなかったり、意見を言えなかったりします。

そういった人たちが、他人に配慮することなく、自分が正しいと妄信する正義の意見を自由に述べることのできるのが、ニュースサイトのコメント欄や投稿サイトなのです。

博識である

ネット弁慶と呼ばれる人は、博識であったり、ある専門分野について詳しい傾向にあります。

実生活では、知識を披露したり持論を展開する機会はあまりない一方で、ネット上にはニュースサイトや掲示板など常に何かしらのトピックがあります。

そこに少しでも詳しい分野のトピックがあり、自分にとって間違っている情報やコメントをみると直ちに批判するのです。

また、粘着質に批判コメントをするネット弁慶は、「批判している」のではなく「指摘してあげている」という感覚の人も多いと考えられます。

本人は論理的に話しているつもりだが、主張や価値観が大きく偏っているため、周囲からは理屈っぽい、屁理屈を言っているように見えることもしばしばです。

実生活で不遇な扱いを受けている

望むものは全て手に入れて、満足のいく生活を送っている人。こういった人が他人の足を引っ張ったり、見ず知らずの人の意見を否定することに執着するとは考えにくいでしょう。

ネット弁慶と呼ばれる人は、実生活で不遇な扱いを受けていると感じている人が多いです。それはお金かもしれませんし、地位や社会制度に対する不満かもしれません。

いずれにせよ、自分の能力に周囲の評価が見合っていない現状、社会における境遇に理不尽さを感じている人の鬱積の向かう先が、匿名の罵詈雑言飛び交うネット空間になっているのではないでしょうか。

集団より孤独を好む

現実の世界において、集団行動は他人の意見を聞いたり配慮する必要があるものです。

一方、ネット上では他者への配慮は要らず、自分の好きなように意見を述べることが出来ます。

周囲との関係性をうまく築けない人は、集団行動よりも個人行動を好みます。自分の都合でコミュニケーションを取れるネット上で自分を表現するようになるのです。

ネット弁慶の心理

「ネット弁慶」は、以下の3つの心理状態から攻撃的な言動を繰り返します。

  • 妬み・嫉み
  • 過剰な自己投影
  • 承認欲求を満たしたい

これらの心理状態について解説します。

妬み・嫉み

ネット弁慶の攻撃的なコメントは、有名人やインフルエンサーなど人気者・大勢の注目を集めている人に頻繁に向けられます。

妬みや嫉みから、発表している作品や行動を、何かと理屈をつけて否定するのです。

しかし、自らが何かを発表したり、行動を起こすことはありません。

17世紀のフランスの名門貴族・文学者のラ・ロシュフコーは「羨望というのは、他人の幸福が我慢できない怒りなのだ」と述べています。

すると、ネット弁慶には攻撃の対象者を羨ましく思う気持ちがあるのかもしれません。 

過剰な自己投影

ネット上には、テレビのワイドショーなどで取り上げられるトピックなどの、自身とはまったく関係ないことに過剰に反応する人がいます。

芸能人の不倫のニュースなどの当事者間で解決すべき問題に対し、「許せない」と断罪する行為は、冷静に考えれば当人にとっては全くメリットのない話です。

これに関して、ニュースの事象を過剰に自己投影している、自分に照らし合わせている傾向があると考えられます。

無意識に過去の自分に起きた似た出来事などを投影し、自分がまるで被害者のように感じ、テレビやパソコンの向こうの人間を許せないと感じる。

つまり、当人にしてみれば他人事ではないのです。

そう考えれば、赤の他人の事情に対し、過剰に反応する非合理的な行動も少しは理にかなっていると言えるでしょう。

承認欲求を満たしたい

承認欲求とは、他人から認められたいとする感情のことです。ネット弁慶と呼ばれる人は、この承認欲求が強い傾向にあります。

例えば、ヤフーニュースのコメントやツイッターの投稿などは、自分の意見への支持や共感が可視化されるように作られています。

自分の投稿に「いいね」がついたり「リツイート」されるのは誰しも嬉しいものです。

ネット弁慶は、他者への批判・否定・攻撃を繰り返しますが、次第にそれに同調する人が現れるようになります。

これは、長年社会問題になっている「いじめ」と構造が酷似しています。

SNSは、1対1の関係に止まらず、不特定多数のユーザーが加担しやすいものです。

他者を侮辱する発言や偏見的な意見に「いいね」や「そう思う」などの「共感」が示されることによって、誰かから認められたような気持ちになるのです。

ネット弁慶に関わるトラブル

ネット弁慶は、正義感や義憤に駆られて過剰な行動をとることがあります。

例えば、学生の内輪の悪ふざけなどを吊るし上げ、袋叩きにするようなケースです。

以前、学生がバイト先で冷蔵庫に入ったという旨のツイートが炎上した事件がありました。

「会社としてどんな指導をしているのか」などの批判の声が相次いだ結果、店は閉店に追い込まれ、学生は個人情報などを特定されました。

該当のツイートを削除しても、『魚拓』と呼ばれるスクリーンショットを撮られているため、ネット上から永遠に消えることはありません。

もちろん、学生の行為は常識の範囲を超えたものであるという意見は往々にしてあるでしょうが、過剰な炎上に巻き込まれては、今後の人生を大きく変えてしまうことにもなりかねません。

ネット弁慶の末路

ネット弁慶の末路

ネット弁慶として誹謗中傷まがいの行動をとると、手痛い仕打ちをくらうことも。

ネット弁慶に訪れるかもしれない末路は、以下の通りです。

  • ネットの利用時間が増え、仕事や友人関係に支障をきたす
  • 行き過ぎた批判により、別のネット弁慶の標的にされる
  • 名誉毀損罪・侮辱罪などの刑事責任を問われる可能性がある
  • 現実世界でのトラブルに発展:ストーカー・傷害など

上記はあくまで一例ですが、実際に刑事事件に発展し逮捕されたケースもあるようです。

現実世界でのトラブルについては、以前福岡で講演を行っていたブロガーが、講演後に刺殺されるという事件がありました。

逮捕された犯人は、「ネット上のやりとりで恨みがあった」と供述。

ネット空間では、その匿名性ゆえに画面の向こうにどんな人がいるのかを知ることができません思いもよらぬ逆恨みをされたり、現実世界でのトラブルに発展するケースもあるのです。

ネット弁慶にならないように現実世界を充実させよう

「ネット弁慶」とは何か・気持ち悪いといわれる理由・特徴・末路などを解説しました。

ネットは、情報収集や世界中の人々と交流する手段としてポジティブに活用すれば、自分の可能性を引き出してくれるツールです。

一方で、相手を傷つける行為や行き過ぎた正義感から相手のプライバシーを侵害する行動をとると、法的な処罰の対象となる可能性もあります。

ネットは確かに便利な反面、深くのめり込みすぎるのはよくありません。

「ネット弁慶になりそう…」と少しでも思ったら、仕事やプライベートを頑張ってみる、気分転換の時間を作るなど、現実世界を充実させましょう。

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