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SIerはなくなるの?SEを目指す人が知っておきたい基本中の基本と将来性を解説

作成: 2019.05.23 更新: 2019.05.20

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将来ITエンジニアの道に進みたいと考えている方はの中には、選択肢の1つとしてSIerへの就職や転職を考えているという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、正直に言うとSIerがどんなものかよくわからないということはありませんか。

しかもネットで調べてみると、「SIerはなくなる」という記事もあって、実際に就職しても大丈夫なのか将来が不安になってしまいます。2030年には79万人のIT人材が不足するという予測もされており、不安は募る一方でしょう。

この記事ではそのような不安を解消すべく、SIerとは何かという基本的な知識と将来性についてわかりやすく紹介します。

SIerとは

そもそもSIerというのはなんでしょうか。そこを理解しなければ、「SIreに就職するのは危ない」と言われてもなにも分からないですよね。

まずはそこをわかりやすく説明しましょう。

SI(システムインテグレーション)を行う会社

「SIer」の「SI」は「システムインテグレーション」の略です。この「SI」に「~する者」という意味になる「er」をつけてできた造語が「SIer」なのです。

ただし「SIer」の場合は人ではなく、会社を意味します。ですから「SIを行う会社」ということです。

この「SI」というのは、クライアントの課題を解決するコンピュータ・システムの要件定義・企画・構築・運用・保守などのすべての業務を指します。

つまり「SIer」はこれらを請け負う、簡単に言えばシステム構築を請け負う会社のことだと考えればよいでしょう。

SIerは30年以上の歴史がある

そもそもSIerの発祥は1987年にまで遡ります。当時の通産省によって創設された「システムインテグレーション認定制度」により認知されたのがその始まりと言われています。

業務の情報化(IT化)に関するノウハウを持たない企業などが、安心して情報化投資を行うことができるように環境整備を行う必要がありました。

その一環として情報システムの企画から構築・運用までのサービスを、一括して提供可能なIT企業を登録・認定するためにできた制度です。

システムインテグレーション認定制度自体は2011年に廃止されましたが、現在でもSIerという名前は広く知れ渡っています。

SIerの種類とビジネス領域

このSIerは、先ほど紹介したとおりシステムの要件定義・企画・構築・運用・保守など、システムに関するありとあらゆる業務を請け負っています。

そのため、企業の成り立ちやビジネスの領域もいくつかあり、大きく4つに分けられます。

ユーザー系

1つ目は「ユーザー系」です。これは自社システムを開発している企業の情報システム部門が、企業から分離したり、独立したりしてできたSIerです。

自社システムの構築で培ったノウハウを使って、他社のシステム構築を請け負うようになった企業と考えればわかりやすいでしょう。

ユーザー系のおもなSIer

おもなユーザー系SIerとしては、やはり名前の通った大手企業の子会社が中心です。

通信会社の子会社では「NTTデータ」「ソフトバンクテクノロジー」。証券会社の子会社として「野村総合研究所(NRI)」「大和総研」、そして総合商社の子会社として「伊藤忠テクノソリューションズ」などがあります。

他にも銀行などの金融機関や鉄鋼・造船などの製造業系の子会社もあります。

メーカー系

2つ目は、特に大型計算機やスーパーコンピュータなどのハードウェアを開発している企業のソフトウェア部門から分離したり、独立したりしてできた「メーカー系」です。

大型計算機が全盛の時代、ソフトウェアはハードウェアを売るための「おまけ」として提供されてきました。

ですが「おまけ」にするのはもったいないので、しっかりとシステム構築をするために独立して活動するようになったのです。

メーカー系のおもなSIer

メーカー系はスーパーコンピュータの開発を行っている企業の子会社が多いです。例えばNEC(日本電機)、富士通、日立、日本IBMなどが傘下にSIerを持っています。

独立系

3つ目は「独立系」です。これは独自にSIerとしてできた会社です。

例えばプログラム開発の好きなメンバーが集まって立ち上げた企業や、ユーザー系やメーカー系のSIerからスピンアウトして立ち上げられた企業などです。

ハードウェアやソフトウェアを販売していた商社が、SIerを始めた所もあります。

企業規模は大企業から中小零細まで様々ですが、例え零細でもものすごく技術力の高いメンバーが集まっている、「もの作りにおける町工場」のようなSIerも存在します。

独立系のおもなSIer

独立系の出自はいろいろですが、おもなSIerとしては大塚商会、ITホールディングス、トランスコスモスといったところがあります。

大塚商会などは社員数が7000名を超えるなど大規模ですが、中小だと数百名規模(場合によっては数十人規模)のところまで千差万別です。

外資系

出典元:アクセンチュア

4つ目は外国に本拠を置いているSIerです。世界規模のコンサルタント会社やIT企業が中心です。

外資系コンサルタントについては、システム全体を構築するというよりは、システムの要件定義・企画などの上流工程と呼ばれる部分を中心に行い、構築・運用・保守は別の会社に委託する場合もあります。

またIT企業は自社に業務用のパッケージソフトを持っている企業が多く、それを使ってもらうためにSIerを行っている場合が多いです。

外資系のおもなSIer

コンサルタント会社として有名なアクセンチュアもSIerとしてシステムインテグレーションを担っています。

またIT系では、データベースソフトを展開しているOracle、ルータなどのハードウェアを主に展開しているシスコシステムズ、そして業務用パッケージソフトとして名高いSAPなどがあります。

SIerのビジネス領域は幅広い

これら大きく4つのカテゴリに分けられるSIerですが、対象としているビジネス領域は、ほぼ総べての領域にまたがっています。

つまりITを活用している企業であれば、全てがビジネスの対象となるのです。

大手が対象にしている領域を確認してみると、行政などの「公共サービス」、銀行などの「金融」をはじめ、流通、建設、製造業などのメーカー、マスコミ、その他各種サービス業など、あらゆる業界を対象にビジネスを行っているのがわかります。

最近では農業や漁業もIT化が進みつつありますので、それらも対象になってくるでしょう。

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SIer・SE・SESの違い

続いて、似たような略語で混乱しそうな「SIer」「SE」「SES」の違いを説明しましょう。

「SIerはシステムインテグレーションを行う企業」ということが分かっていただけたと思いますので、「SE」と「SES」について説明していきます。

SEは「人」を指す

「SE」というのは「システムエンジニア」の略です。システム開発を行う人のことをSEと呼ぶのです。

実のところ、SEが行う業務内容はSIerのものに似ています。SEはシステムの要件定義・企画・構築・運用・保守を仕事としていますので、同じ様に思えるのも仕方がありません。

特に中小企業だと、両者の違いをあまり明確にせず募集を行っているところもありますので、判別が難しくなっています。ですが「SIerは企業、SEは人」と覚えておけば問題はないでしょう。

SEの仕事やプログラマーとの違いについては、以下の記事をご覧ください。

TECH::NOTE関連記事:システムエンジニア(SE)とプログラマー(PG)の違いは?仕事内容や収入の差など解説

SESはクライアントにITエンジニアを派遣して支援

もう一つ紛らわしい略語として「SES」というのがあります。

「SES」はシステムエンジニアリングサービスの略で、おもにSEを派遣するサービスのことを指します。ITに特化した派遣業と言っても良いでしょう。

SIerとSESが根本的に異なるのは、SESは人材を派遣するなどして支援した工数(人数×期間)の分だけ売上が立ちますが、SIerはシステムを納品して売上が立つと言う点です。

つまりSIerはシステムが完成しなければ1円にもならないのに対して、SESはシステムが完成しようがしまいが、SEが働いた人数と期間の分だけ毎月お金をもらうというビジネスモデルです。

SIerが「やばい」と言われる理由

なぜSIerは「やばい」「危ない」と言われるのでしょうか。ここではSIerが「やばい」と言われる理由と将来性について解説しましょう。

実のところ、SIerは「きつい」「帰れない」「給料が安い」「規則が厳しい」「休暇が取れない」「化粧がのらない」「結婚ができない」の「7K」だと言われることもあります。いわゆる「ブラック」というやつです。

ですが、すべての会社がブラックではありません。特に大手は、企業イメージを守るために、ブラックな要素を極力排除しています。

ですから大手に限って言えば、かなりホワイトです。とは言いながらも、もちろんブラックっぽい環境が残っている場合もあります。

企業体質が古い年功序列のSIerもある

まずは何と言っても、最近できた企業はともかく、老舗企業には昔ながらの体質が残っている場合があります。

古いSIerは他社との差別化を図るコア・コンピタンス作りやエンジニア育成を疎かにしている場合があるのです。

IT業界は成果主義なイメージが強いのですが、古い体質を残してしまっているSIerには、年功序列の企業もあります。

能力をあまり考慮せず若手を安い賃金で使い、年齢の高い層に年功序列で高い賃金を払っているのです。そういった古い体質は、SIerの歴史の長さがその背景としてあげられるのです。

環境に慣れてしまっているITエンジニアもいる

次に社員の問題もあります。特に長期間、同じ企業で勤めているため上記の古い企業体質の環境に慣れてしまい、スキルの習得や情報収集などを行わないITエンジニアもいます。

そしてそのようなITエンジニアは、転職でも市場価値が低くなりやすいです。

IT業界は技術の進歩も速く、次々と新しい技術が出てくるのはご存じの通りです。

新たな技術を身につける努力をしなければ世の中から置いて行かれてしまいますし、当然のことながら人材としての市場価値が下がってしまいます。

ですが、特に年功序列が残る古い体質の企業で働き続けていると、そういった感覚が鈍ってしまうのです。業種交流会など、他社のITエンジニアと触れ合う機会を設けることが必要なのです。

大手から発注を請ける下請け構造の存在

今は法律の改正などでずいぶんとマシになりましたが、以前は大手SIerに派遣されて仕事をすることが多くありました。

これは、大手SIerが開発案件を獲得し、人員不足から中小のSIerに仕事を依頼するというケース。

元請けが下請けに、下請けが孫請けにという形で金額を中抜きしながら任せていくという、いわゆるITゼネコンのような状態にもなりがちです。当然、下請けや孫請けの企業は利益が低くなります。

筆者も孫請けで元請けに出向し、下請け企業からではなく、元請け企業の社員から直接指示されて、長期間遅くまで働いたこともありました。

ちなみに筆者が参加した某プロジェクトは、地域では名の知れたデスマーチ案件になってしまったため、期限の延長をせずに離れていく人、インフルエンザでひっくり返ってリタイヤする人などが続出しました。

あれを経験すると、大手ならともかく中小のSIerや開発会社には仕事はキツイし給料は安いし行きたくないなと思ってしまいます。

どのようなキャリアプランを描きたいか、よく考えて仕事を選ぶ必要があるでしょう。

参考サイト:民法改正でシステム開発の何が変わるのか?3つのポイントを徹底解説 | トップコート国際法律事務所

SIerはなくなるのか?

さて、ではタイトルに戻って、SIerの将来について考えてみたいと思います。「SIerはなくなる」という話を耳にしたことがある方もいるでしょう。

ここからは、SIerの将来性と生き残るためのキャリア戦略について紹介します。

SIerが完全になくなる可能性は低い

まず、本当にSIerが不要になるかどうかと言えば、不要になる事はないでしょう。

なぜならば、世の中のIT化はこれからもどんどん進展していきますし、それに伴ってITエンジニアの不足がこれからさらに問題なって来ると考えられているからです。

ですからSIerが完全になくなる可能性は低いのですが、これまでと同じ様な市場規模で続くかどうかについては疑問が残ります。

実際問題として、社内システムがどんどんとWebベースのものに置き換わってきていますから、SIer自体もどんどんWeb開発を中心とする内容にシフトしつつあります。

これまで知られている大手のSIerも、展示会などで見る限りはシステムをWebおよびスマートフォン用のアプリへと変化させていっていますので、そのシフトは今後も続くでしょう。

ですからITエンジニアとしての入り口が古いSIerからWeb系企業や、Web系にシフトしたSIerに変わることは十分考えられます。

以下の記事が、SIerの将来性を知る上でとても役立ちます。ITエンジニアの入り口としてSIerへの就職・転職を考えている人はぜひご覧ください。

TECH::NOTE関連記事:SIer崩壊説って本当? えふしんさんの未来予測に納得感がありすぎた【エンジニア転職ウワサの真相】

「長居は禁物」SIerが取るべきキャリア戦略について

では、「なくならないけど、先がどうなるかは分からない」というSIerとは、どのように付き合えば良いのでしょうか。もしあなたがSIerの社員であったなら、今後はどうすればよいのでしょうか。

もちろん、そこがよい企業なのであればい続けても構いませんし、SIerを転々と渡り歩くという方法もあるでしょう。

ただし重要なのは、そこにいる間にどのようなスキルを身につけ、どの様なキャリアパスを描くのか、です。

「SIerに長居するのは禁物」だと、2ちゃんねるの開設で知られるひろゆきさんは語ります。SIerに長居してはいけない理由と、取るべきキャリア戦略について知りたい方は下記の記事をご覧ください。

TECH::NOTE関連記事:SIerって本当にヤバいの? ひろゆきが語る、業界ごと沈まないためのキャリア戦略

まとめ

世の中のIT化がこれからも進んで行くことを考えれば、SIerが行っている業務自体がなくなることはまずありません。

むしろITエンジニア(SEを含む)が不足しているという現状では、「仕事はある」と考えるべきです。

ですが、AI(人工知能)など、IT業界の環境はどんどん変わりつつあります。

古い体質のままのSIerは、同じSIer同士の価格競争や、Web系にシフトしたSIer、そしてWebシステム開発企業との受注競争の中で衰退していってしまう可能性はあるでしょう。

この辺は大手の家電メーカーが次々と海外企業に買収されたりした昨今の動きを見れば一目瞭然です。時代に合わせた進歩ができなかったり、進歩することをやめてしまった企業は生き残っていけないのです。

しかし、もしITエンジニアを目指すのであればまずは大手のSIerでその基本を学ぶというのは一つの手です。

そこでしっかりとITエンジニア、特にSEとしての基本を身につけ、その後Web系に転職したり、企業内の情報システム部に転職するという手もあります。

まずは自身のキャリアパスをどの様に描くのか、そこから始めてみてください。

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この記事を書いた人

Tatsuya T. Yamada
天文学・宇宙物理学の研究を行い、一般向けの講演会や解説書も書いていた。現在は、1991年から行っている「パソコンを使った教育」を本業とし、eラーニングソフト・コンテンツを開発している。教育ビッグデータ、教育へのAI活用の専門家。日本天文学会、教育システム情報学会、宇宙作家クラブ会員。