「転職をしたが、最近『前の会社に戻りたい』と感じる」
「出戻り転職を考えているけど、実際のところ気まずい…」
「出戻り転職は歓迎されやすいのかどうか、メリット・デメリットなどを知りたい」
一度転職をしたけれど、別の企業での経験も踏まえて元の会社に戻りたくなった。いわゆる「出戻り転職」について考えている方も多いでしょう。
一度でほかの企業に出てしまった以上、また戻ってくるのは少し気まずいかもしれません。しかし実際は、出戻り転職に関しては歓迎されやすいのです。
そこでこの記事では、今まさに出戻り転職を考えている人に向けて、企業が出戻り転職に対して好意的な理由や出戻り転職のメリット・デメリットを解説します。
※記事内の情報は2023年5月執筆時の内容です。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
出戻り転職とは
出戻り転職とは「転職によって一度辞めた会社に、再度転職して戻ること」を指します。
具体的には、育児や介護、配偶者の転勤など止むを得ない事情や、転職・留学などの目的で一旦会社を辞職した社員から再度入社を求められた際に、受け入れる制度です。
呼び名もさまざまで、「再雇用」「アルムナイ採用」「ジョブ・リターン制度」「カムバック制度」などと呼ばれることもあります。
出戻り転職に関しては「一度退職した企業に戻るなんて…」と感じる人も多いかもしれません。
しかし、出戻り転職をする人は意外と多いのです。そこで本章では、出戻り転職の実態について以下の流れで解説します。
- 出戻り転職は比較的あること
- 再雇用に対して好意的な会社は8割超
出戻り転職は比較的あること
出典元:株式会社プロフェッショナルバンク
エン・ジャパン株式会社の『企業の出戻り(再雇用)実態調査2018』によると、戻ってきた社員がいると答えたのは全体の72%。意外と多いことが分かるでしょう。
また株式会社プロフェッショナルバンクの『再雇用(アルムナイ採用)に関するアンケート調査』(実施期間:2023年2月9日~2月17日)では、以下の通りでした。
- 再雇用を実施したことがある:67%
- 再雇用を実施したことがない:33%
また再雇用における採用方法において、「選考しない」「簡易選考」と回答した企業は約68%。7割近い企業が簡易的な選考を取っています。
そして、再雇用における採用率では、「採用率100%」「採用率50%」と回答した企業は約82%。再雇用に対して積極的な企業が多いことが分かります。
このように、出戻り転職を導入している企業は多いのです。
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再雇用に対して好意的な会社は8割超
出戻り転職を考えている人の大半は、「会社は受け入れてくれたとしても、周囲の人にはどう見られるのか」と不安に思うのではないでしょうか。
しかし前述した2018年のエン・ジャパン株式会社の調査を見ると、周囲の社員の反応はそこまで悪くないことがわかります。
「とても良い」が19%、「まあまあ良い」が64%となっており、合計すると83%が出戻り社員に対しておおむね良好な反応を示しているのです。
理由と考えられるコメントの中には、「即戦力」や「採用・教育コストカット」といったワードがありました。
一方で、もともと社内で良好な人間関係を築けていなかった社員の出戻り転職については、「波風が立った」と答える企業も。
つまり出戻り転職が成功するかどうかは、前職場での人間関係にも寄与すると考えられます。
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出戻り転職が歓迎されやすい5つの理由
2018年のエン・ジャパン株式会社のアンケートによると、企業が出戻り社員を受け入れた理由は、多いものから順に以下のようになりました。
- 即戦力を求めていたから(72%)
- 人となりが分かっているため安心だから(68%)
- 本人に強い復帰の意思があったから(39%)
- 中途採用が難しいから(23%)
- 採用・教育コストを抑えたかったから(18%)
以下で詳しく解説していきます。
即戦力を求めている
近年は日本社会全体で転職へのハードルが比較的下がり、人材の流動性が高まっています。
ここでリクルートワークスの『2021年度中途採用実態調査』を見てみましょう。
2021年度の経験者・未経験者の採用実績人数を見ていくと、両者ともに前年比で増加し採用人数が回復傾向。特に経験者の中途採用は前年比0.09人増加しました。
つまり、中途採用を実施する企業の多くは「即戦力」となる経験者を求めており、実際に働いていた元社員はまさにその即戦力に当てはまるのです。
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人柄がわかっているので安心
中途採用では、書類選考や面接で応募者の人柄を判断します。しかし、実際に入社した後の働きぶりを把握することは困難でしょう。
一方、出戻り転職の場合は「元社員」であるため、その人の働きぶりや周囲の人間とのコミュニケーションのはかり方もすでにわかっています。
特にコミュニケーションが重要となる職場であれば、元社員を受け入れることは安心感につながるでしょう。
強い意志を感じるため
株式会社プロフェッショナルバンクの2023年のアンケートによると、再雇用に至った経緯で「過去在籍社員からの自己応募」の割合は約70%でした。
出戻り転職をする際、社員はそれなりの覚悟を持っています。周囲の目も当然気になる中で応募してきたことに対して、人事担当者は「強い意志」を感じると考えられます。
また株式会社マイナビのアンケート(2017年)では、出戻り転職に関して以下のような人事担当者の声が見られました。
「他社に行ってみて、自社の良いところや課題を客観的にみてもらえるのはよい」
「他社を経験して、やっぱり自社の社風が合っていると感じてくれたなら嬉しい」
「他社での経験を生かして頑張ってほしい」
このように、「出戻りなんて受け入れられるはずない」と諦める前に、勇気を持って一度相談してみるのも一つの手です。
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中途採用が難しいため
リクルートワークスの『2021年度中途採用実態調査』によると、2021年度の中途採用実績は前年度から5.8%増加しました。
一方で、2021年度下半期の中途採用において、必要な人数を「確保できなかった」と答えた企業は、前年度比9.1%の増加。
業種によってもさまざまで、例えば医療・福祉と運輸業は、データで見ると特に人員確保に苦戦を強いられたようです。
このような背景も踏まえると、中途採用の難易度が難しいという点で、経験のある元社員が戻ってくることを企業が歓迎するのは、当然ともいえるでしょう。
採用コストを抑えられる
株式会社マイナビの『中途採用状況調査2023年版(2022年度実績)』によると、中途採用活動全体の予算の合計額は平均618.4万円で、前年よりも73.9万円の増加。
実績は平均573.9万円と予算内におさまる結果となりました。
前述したように、出戻り転職のきっかけの大半は「本人からの直接応募」。1人当たり約100万円を超える中途採用コストを抑えられるため、企業にとってメリットなのです。
出戻り転職のメリット
出戻り転職にはメリットもデメリットもあります。
ここではまず、3つのメリットから解説しましょう。
- すぐ業務に適応できる
- 人間関係の構築に時間がかからない
- 他社で学んだ経験や知識を会社のために活かせる
すぐ業務に適応できる
もともと会社で働いていたため、すぐに業務に適応できます。
中途採用による人材確保が難しい現代では、このような即戦力となる人材は非常に重宝されるでしょう。また教育コストカットにもなります。
人間関係の構築に時間がかからない
もともと働いていた会社なので、スムーズに環境へと馴染めます。
あなたがいない間に入社したメンバーはいるでしょうが、あなたを知る同僚を通してコミュニケーションを円滑にすることも可能。
人間関係の構築にそこまで時間を要さず、あなたにとっても会社にとってもメリットになります。
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他社で学んだ経験や知識を会社のために活かせる
会社にとって、出戻り社員は「第三者目線で自社の良い点・悪い点をフィードバックしてくれる貴重な人材」と言えます。
実際、株式会社マイナビのアンケート(2017年)によると「他社のノウハウや良い点を自社に取り入れることができる」という声が挙がっています。
例えばIT業界に出戻り転職した場合、他業界で経験したことを活かし、業務を効率化させるツール導入の提案もできるでしょう。
明確な実績を積んでいる場合は待遇がよくなる可能性もある
出戻り転職の中には、会社側から声をかけるケースも。
エン・ジャパン株式会社の2018年のアンケートでは、2位以降に「在職時の上司からの紹介」(31%)、「社長・経営陣からの推薦」(18%)などがあります。
アンケート内でも「条件が合えば出戻り社員の再雇用をしたい」と回答する企業が多く、69%の人事担当者が「自社に必要な能力があれば再雇用したい」と回答。
この「自社に必要な能力」を把握する一つの要素が「実績」。もし明確な実績があれば、いわばヘッドハンティングのような形で、待遇良く再雇用されるケースもあります。
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出戻り転職のデメリット
ここでは、出戻り転職の4つのデメリットを解説します。
- 一度辞めた時の理由が解消されていない可能性
- 社内事情が大きく変わっている可能性
- 誰もが歓迎してくれるとは限らない
- 以前と比較して待遇が悪くなる場合も
一度辞めた時の理由が解消されていない可能性
一旦会社を辞めたということは、それなりの理由があったということ。その環境に戻ることになるため、同様の理由でまた辞めたくなる可能性も当然あります。
特に気をつけるべきは「人間関係」。もし人間関係の悪化が要因で退職しているのであれば、その点が改善されているかどうかを見極める必要があります。
もし改善されていないのが明確であれば、出戻りは慎重に考えるべきでしょう。
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社内事情が大きく変わっている可能性
会社を辞める時と社内事情が大きく異なり、戻った時に「こんなはずではなかった」とギャップを感じるケースもあります。
例えば以下のようなケースです。
- よくしてくれていた上司がいなくなっていた
- 自分がいない間に入社した社員とうまく馴染めない
- 現在の会社のルールに対応するのが困難
以前までのイメージを払拭し、変化を柔軟に受け入れる意識も必要になるでしょう。
誰もが歓迎してくれるとは限らない
あなたが戻ってきたことを、誰もが歓迎するとは限りません。中には「また戻って来るくらいなら初めから辞めなければいいのに」と感じる人もいます。
実際に株式会社マイナビのアンケート(2017年)では、以下のような声が見られました。
「イメージはあまりよくない」
「ありえないし、信用できない」
「勝手な話だと呆れる」
「なぜずっと働いている自分たちよりも待遇が良いのか(変わらないのか)」という心理状況が影響するのでしょう。
しかし、何事も周囲の人の100%の支持を集めるのは不可能なこと。あまり気にしすぎず「古巣に恩返ししよう」という心意気で業務に邁進することが大切です。
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以前と比較して待遇が悪くなる場合も
出戻り社員に対する待遇に悩む人事担当者は少なくありません。ずっと在籍している社員と同じ待遇にすれば、不満が上がるケースがあるからです。
このようなことも踏まえ、待遇を見直すこともあります。場合によっては出戻りで待遇が悪くなるケースがあることも知っておきましょう。
まとめ:出戻り転職の成功には心構えが必要
企業が出戻り転職に対して歓迎されやすい理由、出戻り転職のメリット・デメリットなどを解説しました。
「出戻り転職は気まずい」と考える人が多い一方で、企業側からすると出戻り転職は意外と歓迎されやすいことが分かりました。
しかしメリット・デメリットの両面が存在することも理解しておきましょう。
出戻り転職を成功させるためには、「在籍中に人間関係を良好に保てていたか」「一定の実績を残していたか」、そして何より「円満退職だったか」が求められます。
詳しい成功法や心構えについては「出戻り転職をする際の心構えと成功させるコツを紹介。」も参考にしてください。
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