世界中で電力需要が増大する中、次世代の半導体である「窒化ガリウム(GaN)」が注目を集めています。

そのため、最新のUSB充電器の商品説明に「GaN採用」と書いてあるのを目にする機会も多いでしょう。

そこで今回は、窒化ガリウムとは何か、窒化ガリウム充電器のメリット・デメリット、おすすめ充電器について解説します。

窒化ガリウム(GaN)とは？

本章では、窒化ガリウムに関する概要を分かりやすく解説します。

シリコンに代わる次世代の半導体

窒化ガリウムとは、ガリウム(Ga)と窒素(N)の1:1の化合物で、化学式「GaN」で表される半導体のことです。

バンドギャップ(結晶のバンド構造における禁制帯のエネルギー幅)が広いことから、「ワイド・バンドギャップ半導体」とも呼ばれています。

窒化ガリウムの特徴を簡単にまとめると、以下の通りです。

• 熱伝導率が大きく、放熱性に優れる
• 高速スイッチング・高温動作を実現
• 飽和電子速度(電子速度がピークになる値)が大きい
• 絶縁破壊電圧が高く、耐久性に優れる

これまでの半導体には、シリコン(Si)が広く使われてきました。

しかし、窒化ガリウムが登場して以降、その性能の高さからシリコンに代わる「次世代の半導体」として注目されています。

なぜ窒化ガリウムが注目されているのか？

窒化ガリウムが注目されている理由の1つは、シリコンに対する優位性です。

これは、前述した窒化ガリウムの特徴により、シリコンよりもエネルギー効率に優れた半導体として認められました。

また、2014年のノーベル物理学賞で話題となった、「青色LED」の材料として窒化ガリウムの研究が進んだことも、注目されている理由の1つと考えられます。

さらに、無駄な消費電力が抑えられることで、CO2の大幅な削減につながるのもポイントです。

これにより、窒化ガリウムは日本政府が2020年10月26日に発表した「2050年カーボンニュートラル・脱炭素社会」を実現する鍵として、さらに注目されるでしょう。

GaN活用の具体例

窒化ガリウムは、前述した青色LEDの材料のほかにも、エレクトロニクス業界を中心に広く活用されています。

活用の具体例としては、以下の通りです。

• USB充電器
• 自動運転・拡張現実(VR)：光センサー技術「LiDAR」に採用
• 電気自動車(EV)：消費電力の削減、CO2削減などに寄与
• 人工衛星：放射線耐性があり、小型化・軽量化・省電力化などに寄与
• 5G技術：基地局の小型化・広帯域・高効率などに寄与
• 医療技術：生体埋め込み型センサーなどに活用

このように、先端技術や医療分野でも活用が進んでおり、これからの電力需要を支える半導体であることは間違いありません。

窒化ガリウム(GaN)充電器のメリット

本章では、前章の内容を踏まえつつ、窒化ガリウム充電器のメリットを3つのポイントで解説します。

USB PDに対応している

1つ目は、「USB Power Delivery(USB PD)」に対応していることです。

USB PDとは、USB Type-C(USB-C)に対応した給電規格のことで、最大100Wで急速充電できるのが特徴です。

具体的には、充電に6時間程度かかるデバイスの場合、USB PDによる急速充電により2〜3時間程度にまで短縮できるといわれています。

そして、USB PD対応の充電器の多くは、高出力で相性のよい窒化ガリウムが採用されています。

発熱が少ない

2つ目は、発熱が少ないことです。

これまでのシリコン素材の半導体は発熱が大きく、発熱を抑えるためには製品を大型化しなければなりませんでした。

しかし、窒化ガリウムは熱伝導率が大きく放熱性に優れているため、充電器本体の発熱がほとんどありません。

そのため、充電器の発熱で安全面が心配な方は、窒化ガリウム充電器に替えてみることをおすすめします。

サイズがコンパクト

3つ目は、充電器のサイズがコンパクトであることです。

窒化ガリウムは、シリコンよりも電力効率に優れている分、余分なスペースを節約できます。

具体的には、シリコンの充電器と比較して、窒化ガリウム充電器は1〜2周りほど小さいイメージです。

そのため、高出力な充電器にも関わらず、設置スペースや持ち運びにも困りません。

窒化ガリウム(GaN)充電器のデメリット

本章では、窒化ガリウム充電器のデメリットを3つのポイントで解説します。

価格が高い

1つ目は、価格が高いことです。

価格が高い理由としては、シリコンと比較して窒化ガリウムの製造コストが高いことが挙げられます。

しかし、製造技術は徐々に改善されており、価格も徐々に安価になるのではないかと予想されます。

ちなみに、ECサイトで購入する際は、販売元が転売業者の場合、さらに価格が釣り上がっている可能性が高いです。

このような場合は、製造メーカーの直販サイトで購入するのがよいでしょう。

デバイスによっては変換ケーブルも必要

2つ目は、充電するデバイスによっては変換ケーブルも必要なことです。

窒化ガリウム充電器は、前述した通りUSB PDに対応しているため、USBポートはUSB-Cが基本です。

そのため、デバイス側がUSB-C以外のポートの場合、変換ケーブルも用意しなければなりません。

したがって、充電器を購入する際は、事前にUSBのポート数・形状なども確認しておきましょう。

ケーブル・デバイスもUSB PD対応が必須

3つ目は、ケーブル・デバイスもUSB PD対応が必須であることです。

急速充電を目的として窒化ガリウム充電器を購入する場合、充電器・ケーブル・デバイスの3つがUSB PDに対応していなければなりません。

つまり、仮にUSB-Cの接続ケーブルとUSB-Cポートを備えたデバイスであっても、USB PDに対応していなければ、急速充電は不可能です。

充電器のスペックだけに注目してしまうと、案外見落としてしまうポイントですから、ご注意ください。

窒化ガリウム(GaN)充電器のおすすめ【スマホ・タブレット向け】

本章では、スマートフォン・タブレット端末用におすすめの窒化ガリウム充電器を4本紹介します。

AUKEY PA-F1

• 出力：最大18W
• サイズ：44 × 43 × 28 mm
• ポート数：USB-C × 1
• 小型かつ軽量でプラグが折り畳み式なので、持ち運びに便利
• 世界各国の電圧(AC 100-240V)にも対応しており、海外旅行にも便利

こちらは、「AUKEY」の小型・軽量・高コスパの3拍子がそろった窒化ガリウム充電器です。

最大出力は18Wで、iPhone XS・XS Max・XRシリーズ、およびこれらに近いスペックのスマートフォンの急速充電におすすめです。

AUKEY PA-Y20S

• 出力：最大20W
• サイズ：32 × 36 × 36 mm
• ポート数：USB-C × 1
• 卵1個分ほどの大きさのプラグ折り畳み式充電器で、最新スマートフォンの急速充電が可能
• 世界各国の電圧(AC 100-240V)にも対応しており、海外旅行にも便利

こちらは、圧倒的なコンパクトサイズが最大の特徴である窒化ガリウム充電器です。

最大20Wの高出力により、2020年発売のiPhone 12を30分で59%充電できる性能を誇ります。

Anker PowerPort III Nano 20W

• 出力：最大20W
• サイズ：約45 × 27 × 27 mm
• ポート数：USB-C × 1
• 500円玉サイズの形状と約30gという最軽量クラスを誇る充電器
• 最新スマートフォンの急速充電に対応する反面、プラグ部分が折り畳めないのが難点

こちらは、最新のiPhone 12シリーズに対応した、「Anker」の500円玉サイズの窒化ガリウム充電器です。

Amazonで購入すると、iPhone充電用に「USB-C – Lightning ケーブル」もついてくるのでお得です。

Anker PowerPort Atom III Slim

• 出力：最大30W
• サイズ：約76 × 45 × 16 mm
• ポート数：USB-C × 1
• 約1.6cmの薄さを誇るスリム設計なので、カバンやポケットにもすっぽりと入る大きさ
• 最新のスマートフォンに加えて、30Wに対応するiPadやノートPCの急速充電にも使える

こちらは、最大30Wの高出力に対応した、スリム設計の窒化ガリウム充電器です。

30Wに対応するiPadやUSB-Cポート搭載のノートPCをお持ちならば、外出用に1つ持っておくと便利です。

窒化ガリウム(GaN)充電器のおすすめ【ノートPC向け】

本章では、MacBook・WindowsなどのノートPC用におすすめの窒化ガリウム充電器を4本紹介します。

AUKEY PA-B2

• 出力：最大61W
• サイズ：45 × 45 × 30 mm
• ポート数：USB-C × 1
• スマホ用充電器に匹敵するサイズにも関わらず、ノートPCの充電器として使える
• 13インチのMacBook ProやUSB-Cポート搭載のノートPCを急速充電できる

こちらは、小型ながらも最大61Wの高出力に対応した窒化ガリウム充電器です。

61Wに対応するMacBookをお持ちで、純正の充電器よりもコンパクトなものをお探しの方は、ぜひ検討してみてください。

RAVPower RP-PC112

• 出力：最大61W
• サイズ：約49 × 49 × 32 mm
• ポート数：USB-C × 1
• MacBook Pro充電器の半分のサイズで最大61Wに対応したパワフルな充電器
• 世界各国の電圧(AC 100-240V)にも対応しており、海外旅行にも便利

こちらは、「RAVPower」のプラグ折り畳み式が便利な窒化ガリウム充電器です。

出力は最大61Wで、13インチのMacBook Pr0を約107分程度でフル充電できる性能を誇ります。

Anker PowerPort III 65W Pod

• 出力：最大65W
• サイズ： 約66 × 29 × 45 mm
• ポート数：USB-C × 1
• 16インチMacBook Proを含むさまざまなノートPCに対応
• プラグ折り畳み式で、ほかのコンセントに干渉しないコンパクトサイズ

こちらは、最大65W出力に対応した、プラグ折り畳み式の窒化ガリウム充電器です。

16インチのMacBook ProからiPad Proなど、Apple製品を中心にさまざまなデバイスに対応しています。

AUKEY PA-B5

• 出力：最大100W
• サイズ：57 × 57 × 32 mm
• ポート数：USB-C × 1
• スマホ用充電器に匹敵するサイズで、USB PD3.0規格の最大出力100Wに対応
• 高性能な反面、価格は少し高め

こちらは、USB PDの最大出力100Wに対応した、非常にパワフルな窒化ガリウム充電器です。

スマホからノートPCまで、お持ちのデバイスの充電は本製品でほとんどまかなえるでしょう。

窒化ガリウム(GaN)充電器のおすすめ【同時充電向け】

本章では、デバイスを同時充電するのにおすすめな窒化ガリウム充電器を4本紹介します。

RAVPower RP-PC133

• 出力：単ポート最大65W、2ポート最大65W
• サイズ：約55 × 55 × 31.5 mm
• ポート数：USB-C × 1、USB-A × 1
• 一般的な60W充電器の半分程度のサイズで、スマホ・ノートPCを同時充電できる
• ワット数の組み合わせの自由度が高く、同時充電時も60WのノートPCを急速充電できる

こちらは、USB-CとUSB-Aを1ポートずつ備えた窒化ガリウム充電器です。

2ポート最大65Wで、同時充電時も高性能なノートPCの急速充電が可能です。

Baseus BS-S915

• 出力：単ポート最大65W、2ポート最大63W、3ポート最大60W
• サイズ：約75 × 36 × 32 mm
• ポート数：USB-C × 2、USB-A × 1
• コンセントに干渉しない小型の長方形サイズ
• ノートPCとスマホを同時に急速充電できるパワフルな充電器

こちらは、「Baseus」のUSB-C 2ポートとUSB-A 1ポートを備えた窒化ガリウム充電器です。

携帯性のある小型の長方形サイズで、2ポート使用時も最大出力63Wとパワフルです。

AUKEY PA-B6S

• 出力：単ポート最大90W、2ポート最大90W、3ポート最大84W
• サイズ：64 × 62 × 33 mm
• ポート数：USB-C × 2、USB-A × 1
• ノートPC・スマホ・ゲーム機などの充電器を1つに集約できる性能

こちらは、USB-C 2ポートとUSB-A 1ポートを備えた窒化ガリウム充電器です。

3つの充電器を1つに集約できるので、デスク周りのアダプターや配線もすっきりします。

CIO Lilnob 3C1A

• 出力：単ポート最大100W、2ポート最大95W、3ポート最大93W、4ポート最大90W
• サイズ：60 × 75 × 29 mm
• ポート数：USB-C × 3、USB-A × 1
• クレジットカードと同等のサイズなので、普段から複数端末を持ち歩く方におすすめ

こちらは、USB-C 3ポートとUSB-A 1ポートを備えた窒化ガリウム充電器です。

価格は少し高めなものの、このサイズ感で4ポートつきの充電器はあまりお目にかかれません。

窒化ガリウム(GaN)充電器で急速充電しよう

窒化ガリウムとは何か、窒化ガリウム充電器のメリット・デメリット、おすすめ充電器について解説しました。

大小さまざまなデバイスが高機能化したことで、電力需要が増大し効率的な電力供給が求められています。

そのため、シリコンに対する優位性が認められた窒化ガリウムは、今後もさまざまなデバイスに採用されるでしょう。

お持ちのスマホやノートPCを急速充電するなら、窒化ガリウム採用の充電器を試してみてください。

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