近年のSNSの利用拡大に伴い、多くの企業が力を入れているSNSマーケティング。
実際にマーケティング施策を実施するには、TwitterやFacebookなどの中から自社の目的や強みにあったものを選ぶことが重要です。
この記事ではSNSマーケティングについて、以下のポイントに沿って解説しています。
- SNSマーケティングとは何か
- SNSマーケティングを成功に導くためのSNS選びのポイント
- 各SNSの強みや特徴を解説します。
この記事もオススメ
この記事の目次
SNSマーケティングとは
Twitter・FacebookなどのSNSを活用したマーケティング手法
SNSマーケティングとは、Twitter、Facebook、Instagram、LINEなどのSNS(Social Networking Service)を活用したマーケティング手法です。
いわゆるマーケティングの4P(Product,Price,Place,Promotion)のうち、Promotion(広告・集客・販促)を担う部門で、ネットとスマホの普及により急速に変化してきた部分でもあります。
4要素のうち,この10年間において最も大きく変化した要素はPromotionであろう。
引用元:Marketing Journal Vol.35 No.2
SNSでは、アカウントを通して企業・団体と個人が簡単に繋がることができます。
互いに情報を発信しあうことで、企業は消費者の求めているものや潜在的な欲求を知ったり、反対に消費者はその企業の商品・サービスへのフィードバックが可能です。
SNSマーケティングは、こういった直接的なコミュニケーションを通して企業やサービス・商品のブランド価値を上げる効果が期待されます。
自然(オーガニック)検索との違い
自然検索(オーガニック検索)とは、GoogleやYahoo!などで検索結果としてリストされる(広告以外の)サイトのことです。
多くの人が日常的にインターネットを利用する現代、自然検索で自社のサービスが上位に表示されることは、サービスの認知度向上や顧客獲得に重要な意味を持ちます。
SNSマーケティングと自然検索の違いとしては、自然検索は流入数が一定になる傾向が高いのに対して、SNSマーケティングは拡散度によっては想定以上の効果が見込める可能性があるということです。
「バズる」という言葉があるように、何かのきっかけで爆発的に認知度があがる可能性を持っているのがSNSマーケティングというわけです。
Web広告との違い
Webサイトやメールなどのオンライン上に表示されるWeb広告との違いは、目的にあります。
Web広告は、ユーザーに商品を購入させたり、サービスを申し込みさせるなどコンバージョンの獲得や認知の向上が主な目的です。
効率的に商品・サービスを認知させることができますが、顧客がそれに答えることができない一方通行のコミュニケーションと言えます。
一方、SNSマーケティングは、SNSを通じて相互のコミュニケーションを取ることで、コンバージョンの獲得だけでなく、企業や商品・サービスのファンになってもらうことまでも狙うことができるのです。
この記事もオススメ
SNSマーケティングの重要性が高まっている背景
背景には、何があるのでしょうか。
日本のSNS利用者の増加
まず、日本のSNS利用者の増加が背景の一つにあります。
ICT総研が2018年に行った調査によると、日本のSNS利用者は年々増えており、2020年末には7,937万人になると予測されています。これは2013年の5,487万人の約1.4倍の人数です。
少し前までは「SNS=10代~20代の若者が利用するもの」というイメージもありましたが、最近では40代~60代以上の年齢層にも利用が拡大しています。
これに伴い、全世代に幅広くリーチできるマーケティング手段としてSNSが重要視されているのです。
SNSを検索ツールとして利用する人も増えている
SNSの普及に伴い、SNSの使い方にも変化が出てきました。
もともとは友人や知り合いなどとやり取りや繋がりを目的として利用していたSNSが、最近では検索ツールとしても利用されています。
有名人のInstagramをチェックしてファッションや流行をチェックしたり、TwitterやFacebookの情報から行きたいお店や買いたいものを探すなど、SNSは情報収集の手段の一つとしても使われるようになってきているのです。
投稿画面から直接商品・サービスの購買ページに飛ぶこともでき、企業は商品・サービスの販売プラットフォームとしてSNSを活用しはじめています。
SNSマーケティングで期待できる効果とは
SNSをマーケティングに活用することで、どのような効果が期待できるのでしょうか。
SNSマーケティングの効果を具体的に解説していきます。
企業・サービスの認知度アップ
常に最新情報が更新されるSNSは、それだけユーザーの一日の利用時間も長いです。
一時間に一回はInstagramをチェックする、気がついたらTwitterを見ている、という人も。
多くのユーザーが定期的・継続的に閲覧するSNSを活用して、企業や商品・サービスの宣伝を行うことで、より効率的に認知度を向上させることができるでしょう。
ブランドの強化
制作に多くの時間と費用を要するテレビCMなどと異なり、SNSマーケティングは、早く・低コストで情報を発信できるという特徴があります。
ただ商品やサービスを認知させるだけでなく、オリジナルのキャラクターを設定して企業の個性を出したりと、ユーザーに企業イメージをより強く印象づけることが可能です。
ロイヤリティの向上
つまり、ロイヤリティの高い人を増やすことは、その商品・サービスのファンやリピーターの獲得を意味するのです。
メッセージで直接やり取りができるSNSによって、ユーザーに企業、商品・サービスをより身近な存在として感じさせ、ロイヤリティを向上させることが期待されます。
ユーザーの生の声が聞ける
テレビCMやWeb広告が企業から消費者への一方的なコミュニケーションであるのに対して、SNSはユーザーと相互でコミュニケーションをとることが可能です。
例えば、あるサービスについて「この部分がわかりづらい」と多くのユーザーから問い合わせが来れば、その内容をわかりやすく説明できるように工夫したりすることができます。
バズる可能性がある
リツイートや「いいね」の数が増え、話題が話題を読んで投稿をバズらせることができれば、爆発的に話題性・認知度が上がるでしょう。
何気ない発言や投稿が多くのユーザーの反応によってバズり、それまで知名度のなかった企業や商品・サービスに一気に世間の注目が集まることもあります。
もちろんバズらせることは簡単なことではありませんが、その可能性を秘めているのがSNSマーケティングなのです。
この記事のハッシュタグ
企業がSNSを運用する際のポイント
個人が趣味でSNSを利用するのと違い、企業のSNSマーケティングは認知度の向上やブランディングなどの目的に沿って戦略的に実行することが重要です。
自社の強みを活かせるSNSを選ぶ
各SNSは、主に利用しているユーザーの年代や性別、利用目的が異なります。
例えば、20代~30代の女性が特に多く利用しているInstagramを、40代~60代の男性向けの商品・サービスの宣伝に利用しても高い効果は得られないでしょう。
自社の強みやターゲットとなる世代や属性などを考慮し、どのSNSが最も適しているかを見極めることが重要です。
各SNSの特徴についてはこの後詳しく解説します。
画像・動画を活用する
文字だけの投稿に比べて、画像や動画はよりユーザーの関心を集めます。
実際、多くのSNSで、画像や動画コンテンツを掲載することでインプレッションが増加しやすい傾向があり、画像・動画はSNSマーケティングにおいて最も重要な要素の一つと言えるでしょう。
その一方、画像が荒い、見切れている、見づらいなどの低品質なコンテンツはユーザーを失望させ、企業イメージの低下にも繋がりかねません。
各SNSの特徴に合わせてコンテンツは適切に編集することが重要です。
Webサイトはレスポンシブ対応しておく
SNSをただのソーシャルコミュニケーションツールではなく、検索など情報収集の手段として利用する人も増えています。
SNSの投稿に商品・サービスの購入ページに繋がるURLを貼っておくことで、購買に繋がることも期待できます。
しかし、ここで注意したいのがWebサイトのレスポンシブ対応。
現在、SNSユーザーの多くがスマートフォンからアクセスしています。
「URLを開いたらPCページで見づらかった」という理由でユーザーが離脱してしまうのを防ぐため、SNSでシェアするサイトは必ずレスポンシブ対応しておくようにしましょう。
SNSマーケティングで使われる代表的なSNSとそれぞれのポイント
SNSはそれぞれ利用者数や世代、特徴や強みなどが異なるので、SNSマーケティングの効果を最大限得るためには、自社にあったSNSを選択することが重要です。
出典:Facebook
世界最大のSNSであるFacebook。
実名を登録して利用するため、他のSNSに比べて投稿内容が真面目で炎上しづらいという特徴があります。
2020年3月時点の国内アクティブユーザーが2,600万人です。
Facebookには以下の特徴があります。
- フォーマルな交流:友達だけでなく仕事関係の人との繋がっているユーザーが多い
- 高いアプローチ率:ビジネスユーザーが多く、30代~50代の実購買層に届きやすい
- 多彩なコンテンツ:Twitterのような文字数制限がない。画像・動画を投稿した方がリーチが伸びやすい
企業用のアカウントでは、細かい分析ツールでユーザーの興味関心や属性が明確になり、マーケティングがやりやすいSNSです。
なお、投稿数を増やしてもリーチ数が比例しづらい特徴があるため、高品質のコンテンツを戦略的に投稿する方法がおすすめです。
参照:CNET japan
この記事もオススメ
出典:Twitter
1回につき140字以内の文章を投稿できるTwitter。
2020年3月時点の国内アクティブユーザー4,500万人と、LINEに次ぐ2位です。
幅広い年齢層の人がアカウントを持っているTwitterですが、その中心は20代~40代の若年層にあります。
Twitterには以下の特徴があります。
- 気軽さ:匿名で利用できるため、実名制のSNSに比べて気軽に情報発信や他ユーザーのフォローが出来る
- リアルタイム性:投稿が時系列に並べられるため、常に最新の情報を見てもらえる。(※設定による)
- 拡散性:リツイートによって不特定多数に情報が届きやすい。いいねやリツイートは、ユーザーの共感を集めるツイートや面白いツイートにつきやすい傾向がある。
- ハッシュタグ:投稿と関連する話題を示すハッシュタグを活用すれば、検索からも投稿を見つけてもらいやすい。
これらの特徴から、Twitterは10代~30代など若年層をターゲットにしたSNSマーケティングに適していると言えるでしょう。
この記事もオススメ
出典:Instagram
近年ユーザーが伸びているInstagram。
写真と動画がメインで、投稿を作成するのに時間がかからない気軽さが特徴です。
2020年3月時点の国内アクティブユーザーは3,300万人と、Facebookを上回っています。
Instagramには以下の特徴があります。
- 写真や動画メイン:おしゃれな写真や動画など、世界観の美しさが重要。
- 女性ユーザーが多い:20代~30代の女性ユーザーが中心で、ファッション、美容、グルメ、旅行などライフスタイルに関連する投稿が多い
- 検索エンジンとしての使われ方も:ハッシュタグを使って行きたいお店やファッションをチェックするなど、情報収集の手段としても使われている
インフルエンサーとして一般の人がInstagram上で高い影響力を持つケースもあるほど、画像・動画のクオリティが重要視されています。
この特徴から、ビジュアル的に魅力のある商品や若い世代をターゲットとしているビジネスに向いていると言えるでしょう。
参照:Facebook
LINE
出典:LINE
2020年3月時点の国内アクティブユーザーが8,300万人、2位のTwitterの4,500万人を大きく引き離して圧倒的なユーザー数を誇るLINE。
無料メッセージ・通話ツールとして幅広い年齢層全世代が利用しているSNSです。
LINEには以下の特徴があります。
- チャット、通話がメイン:メールや電話にかわるコミュニケーション手段として、主にチャットや通話が利用されている。
- 生活密着型:多くのユーザーが日常的に使用している。
- 直接的なやり取り:企業の公式アカウントを通じて、問い合わせなど顧客と直接コミュニケーションをとったり、最新情報やクーポンなどを配布できる。
最近では、決済サービスLINE Payなどで、ただのメッセージアプリの枠を超えた生活インフラとしての地位を獲得しつつあります。
参照:LINE株式会社
この記事もオススメ
エンゲージメント率でSNSマーケティングの効果を測る
他のマーケティング手法と同じく、SNSマーケティングにおいてもエンゲージメント率によって効果を定期的に測り、PDCAサイクルを回してより効果的なマーケティング戦略を実行することとが大切です。
エンゲージメント率とは
エンゲージメント率とは、マーケティングの効果測定の一つとして用いられる指標。企業とユーザーとの繋がりを測ることができます。
エンゲージメント(Engagement)とは、もともと約束や契約といった意味を持つ言葉です。
SNSマーケティングにおいてエンゲージメント率とは、InstagramやTwitterなどのSNS上での投稿・広告に対して、ユーザーが反応を示した割合を示します。
エンゲージメント率の高さは、ユーザーが企業、ブランド、商品、サービスなどに対して持っている信頼度や愛着を表す指標です。
つまり、たとえ投稿の閲覧数が多くてもエンゲージメント率が低ければ、ユーザーの信頼・愛着度は低い(=一時的な閲覧者であってファンではない)ということができます。
各SNSのエンゲージメント率の計算方法
各SNSのエンゲージメント率は次のように算出することができます。
エンゲージメント率 = (投稿に対してリアクション、コメント、シェア、クリックどれかをした人の数)÷ 投稿を見た人の数
投稿を見た人の中で、コメントやシェアなどの何らかの行動をとった人の割合がFacebookのエンゲージメント率です。分母・分子共に人数であるため、一人のユーザーが複数のアクションをとった場合でも、1としてカウントします。
エンゲージメント率 = (ツイートに対する反応の数)÷ ツイートが表示された回数
ユーザーの画面にツイートが表示された回数のうち、いいねやリツイート、動画再生、返信などの反応の数の割合がTwitterのエンゲージメント率です。
ツイートが表示された回数が分母になっているため、一人のユーザーが複数回同じツイートを目にしている場合でも、カウントします。
Instagram自体はエンゲージメント率を定義していませんが、投稿やストーリーズなどに対してのユーザーの反応を集計した数値を利用して、エンゲージメント率を計算することができます。
投稿に対するエンゲージメント率 = (いいねや保存、コメントで投稿に反応したユーザーの数) ÷ フォロワーの数
Instagramでは他にも集計データが提供されているため、SNSマーケティングの目的に合わせて独自にエンゲージメント率を定義することができるでしょう。
参照:株式会社ヤプリ
SNSマーケティングを学ぶのにおすすめの本3選
SNSマーケティングを学ぶのにおすすめの本を紹介します。
デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』 第2版 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール
企業のSNS担当にいきなり任命されたSNS初心者でもわかるよう、やさしく書かれた入門書。
Facebookだけでなく、Twitter、Instagram、LINE、YouTube、TiKTokの6種類のSNSでのマーケティング方法が紹介されているのもポイント。
僕らはSNSでモノを買う
SNS時代のマーケティング方法や事例を会話形式でわかりやすく解説する一冊。
UGC(User Generated Contents)という概念とULSSAS(UGC Like Search1 Search2 Action Spread)という購買プロセスの考え方を用いて、「良いものを、それを必要とする人へ届ける方法」を紹介します。
SNSで人を集める! やさしいSNSマーケティングの教科書
中小企業・個人事業主がフォロワー・売上を増やすためのノウハウを集めたSNSマーケティング指南書。
Instagram、Twitter、YouTube、LINEを使った、効果的なマーケティング方法を解説しています。
SNSマーケティングで注意すべきこと
しかしながら、活用する上では注意すべき点もいくつかあります。
炎上のリスクを理解する
SNSを利用する上で、企業はもちろん個人でも気をつけなければいけないのが炎上のリスクです。
企業の場合、炎上は企業イメージやブランディングに大きな影響を及ぼします。
SNS担当者の無知や偏見によって不適切な投稿してしまったり、担当者が企業のアカウントを個人のアカウントと勘違いしてプライベートな投稿をしてしまうなど、炎上のケースはさまざまです。
炎上を防ぐためには、投稿内容は複数人でチェックする、アカウントの管理は徹底するなどのルールが求められるでしょう。
知識を持って運用する
多くの企業がSNSマーケティングに力を入れている今、ただ公式アカウントを作って情報を発信するだけでは、高い効果は見込まれません。
自社の商品・サービスやマーケティングに関する情報に加え、コンテンツ制作、SNSについての知識を持った担当者が、戦略的に進めることが重要です。
この記事もオススメ
長期・定期的な運用にはコストがかかる
基本的に無料でアカウントが作成できるSNSは、低コストなマーケティング手法のイメージがありますが、長期的な運用にはそれなりの時間と労力が必要です。
ユーザーからのコメントに返信・対応したり、ユーザーを飽きさせない投稿や目を引く画像・動画の撮影・加工、投稿に対する反応の分析など、いざ始めてみると「意外と大変だった」というケースも珍しくありません。
SNSマーケティングを始める際には、どのような目的でどれくらいのコストをかけて取り組むべきかをよく検討するようにしましょう。
まとめ
企業がSNSを活用したマーケティングを行う際に重要なのは、各SNSの特徴や強みを理解して戦略的に実行することです。
「無料でアカウントが取れるから」と複数のSNSに同時に手を出すと、失敗する可能性があります。
自社の強みや目的に合わせて、適切なSNSを選択していきましょう。
この記事もオススメ
はじめての転職、何から始めればいいか分からないなら
「そろそろ転職したいけれど、失敗はしたくない……」そんな方へ、テックキャンプでは読むだけでIT転職が有利になる限定資料を無料プレゼント中!
例えばこのような疑問はありませんか。
・未経験OKの求人へ応募するのは危ない?
・IT業界転職における“35歳限界説”は本当?
・手に職をつけて収入を安定させられる職種は?
資料では、転職でよくある疑問について丁寧に解説します。IT業界だけでなく、転職を考えている全ての方におすすめです。
「自分がIT業界に向いているかどうか」など、IT転職に興味がある方は無料カウンセリングにもお気軽にお申し込みください。