「消費税10%に増税してしばらくたつけど、そもそもなぜ増税したのだろう?」
「消費税増税は今後も15%、20%と段階的に続くのかな?」
「税金周りの知識はおさえたいから、消費税10%に増税された理由を教えて!」
2019年10月1日に、消費税が8%から10%へ引き上げられました。
消費税は、買い物・外食・旅行など、私達の日常生活の中に根強く関係しており、今後の動向に注目する人も多いでしょう。
そこで本記事では、消費税10%に増税した理由、増税の歴史、メリット、今後について分かりやすく解説します。
この記事の目次
消費税とは?
消費税とは、商品やサービスを購入する際に課税される税のことで、消費者が支払い事業者が納付するという「間接税」に該当します。
消費税率は基本的に10%で、一部の生活必需品・テイクアウト・デリバリーなどの科目については、軽減税率により8%に減税。
また、役所で各種証明書を交付してもらうとき、郵便局で郵便切手を購入するときなど、一部の科目は非課税の対象です。
詳しい消費税の仕組みは、財務省や国税庁のHPをご覧ください。
消費税10%に増税した理由
消費税10%に増税した理由は、おもに2つです。
- 社会保障の財源確保のため
- 不景気でも安定的な税収が見込めるため
これらの内容について解説します。
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社会保障の財源確保のため
総務省統計局によると、2021年時点での65歳以上の人口は3,640万人、総人口に占める割合は29.1%という結果で、過去最高を更新し続けています。
そして、日本を支える労働人口が年々減少する中で、社会保障の財源確保は大きな課題。
社会保障財源の確保のために所得税や法人税の引き上げを行うと、現役世代に負担が集中することが想定されるでしょう。
一方で、消費税は特定の世代に負担が集中せず、国民全員で平等に負担する仕組みです。
したがって、消費税は国の抱える借金の返済・年金・医療・教育といった、公的保障の財源として大きな役割を果たしています。
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不景気でも安定的な税収が見込めるため
消費税は、安定的な税収を見込めるものであることも背景にあります。
財務省によると、消費税増税の理由を以下のように述べています。
私たちが受益する社会保障の負担は、あらゆる世代で負担を分かち合いながら私たちでまかなう必要があります。また、少子高齢化という最大の壁に立ち向かうため、従来、高齢者中心となっていた社会保障制度を拡充し、子育て世代や現役世代のためにも使えるよう「全世代型」に転換します。
こうした背景の下、令和元年10月に消費税率は8%から10%に引き上げられました。
引用元:財務省
実際、国税庁のレポートによると、2020年度一般会計歳入における税収(租税及び印紙収入)は63.5兆円で、その内消費税は21.7兆円(34.2%)と最も割合が大きいのです。
そのため、国民にとって消費行動が社会生活を送る上で欠かせない以上、消費税は経済の動向に左右されにくい、安定した税収になるのは当然ともいえるでしょう。
十分な税収が見込めない可能性もある
消費税の増税は、消費活動を消極化してしまう側面もあります。
実際、消費税10%の増税ということは、購入金額の1割が消費税を占めるわけですから、消費者の負担が増えたことは紛れもない事実。
これにより、ブランド物などの高額商品・一戸建ての家・自家用車といった、出費のかかる商品の購入を見送り、消費行動を控える人も増えたでしょう。
したがって、消費税は安定した税収が見込みやすいとしつつも、必ずしも財源が確保できるとは限りません。
消費税増税の歴史
消費税の導入から増税に至る歴史について、簡易的に振り返ってみます。
消費税 | 施行日 | 消費税率 | 政権 |
導入 | 1989年4月1日 (平成元年) |
3% | 竹下 登 (自由民主党) |
増税(1回目) | 1997年4月1日 (平成9年) |
5% | 橋本 龍太郎 (自由民主党) |
増税(2回目) | 2014年4月1日 (平成26年) |
8% | 野田 佳彦 (民主党) |
増税(3回目) | 2019年10月1日 (平成31年) |
10% | 安倍 晋三 (自由民主党) |
上記の表の通りで、1989年に施行されて以来、これまで3回の増税がありました。
消費税の使い道
消費税の使い道としては、国の借金(国債)の返済・年金・医療・介護、子育て支援などが挙げられます。
より具体的に見ると、例えば子育て支援の場合、低所得世帯の0~2歳の保育無償化や3~5歳の幼児教育・保育の無償化。
さらに、待機児童ゼロなどを目標に掲げています。
消費税が小さな子供たちの将来を支えることになるのです。
お医者さんに行った時の保障や介護支援などの面でも、国民は税金に支えられています。
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消費税増税のメリット
消費税増税のメリットは、以下の4つです。
- 社会保障の充実化
- 公共事業への投資額増加
- 被災地域の早期復興につながる
- 脱税が難しくなる
これらの内容について解説します。
社会保障の充実化
社会保障制度とは、年金や子育て支援、医療の充実のことを指します。
例えば、待機児童問題については、受け入れ施設の増加、育児休暇の取得支援、育児休暇中の生活支援などです。
また、高齢者の医療費負担の軽減、施設などの利用・入居支援などの充実も期待されます。
お子さんを育てるお父さんお母さん、ご高齢の方たちにとって社会保障は欠かせません。
いずれは結婚して子供ができたり病院や高齢者施設などを利用することもあるでしょう。
その時のために、今から制度を充実させてもらっておくと考えると、決して自分に関係のないこととは思えないはずです。
公共事業への投資額増加
道路の整備、橋やダムの建設など、私達の生活をより豊かに、快適にするための公共事業への投資が増えます。
例えば、舗装されておらず通行できなかった道に道路が出来たり、雑草が生えていた空き地に子どもたちが安全に遊ぶことができる公園が出来るようになるでしょう。
日本の道路がよく整備されており、上下水道や電気などが常に利用できる状態にあるのは、これまでの国の公共事業によるものです。
高度経済成長期に整備された道路や橋などが老朽化してきているという話があるように、公共事業への投資は私達の安全・安心に必要不可欠といえます。
被災地域の早期復興につながる
「災害大国」と呼ばれる日本は、地震・台風・土砂災害などの自然災害が多いです。
特に、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の被害は大きく、現在も仮設住宅などで暮らす被災者に対する支援・被災地の早期復興が望まれています。
そして、仮設住宅の設置、設営や日々の生活の支援、救助活動など、いざという時に一日でも早く普段の生活を取り戻すために、消費税を始めとした税収が使われています。
脱税が難しくなる
所得税や法人税のように、申告することによって納める税金とは異なり、消費税は買い物をする時に必ず発生します。
購入したその場でお金のやり取りが発生するので、消費税の金額をごまかすことはできません。
これにより、国は確実に税金を集めることができ、脱税対策にもなります。
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消費税増税のデメリット
消費税増税のデメリットは、以下の3つです。
- 国民にかかる金銭的な負担の増加
- 消費活動の低下
- 国民が国に不信感を抱く恐れ
これらの内容について解説します。
国民にかかる金銭的な負担の増加
消費税の金額が上がれば、買い物をする際に支払う金額も増えることになります。
例えば、1,000円ほどの商品であれば、消費税10%でも負担は少ないです。
しかし、10,000円、100,000円と額が大きくなると、消費税額も負担に感じるでしょう。
チリも積もれば山となる。わずか数百円でも財布の紐をきつくするには十分な負担と考えられます。
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消費活動の低下
買い物の際に支払う金額が増えれば、消費活動の低下が懸念されます。
身近なところで考えると、以下のような行動につながるでしょう。
- 外食や飲み会は控える
- 子供の通う学習塾のペースを減らす
- 車の購入を見送る
一人ひとりが節約する金額はわずかでも、それが数百万人、数千万人という単位で行われれば、税収にも大きく響きます。
また、消費活動の低下によって、企業の売上に影響を与えることも忘れてはなりません。
売上が下がると、企業は事業縮小や商品の値上げを行わざるを得ません。
その結果、さらに消費活動が低下し、企業から取れる法人税も少なくなってしまう。
このように、増税によって悪循環が生まれてしまう可能性もゼロではありません。
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国民が国に不信感を抱く恐れ
消費税増税について、肯定的な意見がある一方で否定的なものもあります。
その背景には、過去の増税によるメリットを今ひとつ実感できていないことや、国会議員の不祥事や裏金の問題などが絶えないことがあります。
増税よりも先に、無駄なお金を削減し、財源に回すべきではないかという意見もあるようです。
消費税増税の今後について
2021年10月18日、日本記者クラブ主催の「9党党首討論会」にて、自由民主党の岸田 文雄首相は、消費税増税の今後については「触るべきではない」と回答しました。
実際、新型コロナウィルスの影響で経済が低迷している中で、消費税増税を行うメリットは考えられません。
また、野党の中には「5%に減税」「消費税を廃止」といった公約を掲げる政党もある一方、現状は自民党の対抗勢力になりうる政党を挙げるのは難しいです。
したがって、消費税増税の今後については、2020年代の間に実施するかは不透明なものの、自民党の政権下が続けば、数十年先に増税する可能性はあるかもしれません。
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消費税を理解して税金周りの知識をつけよう
消費税10%に増税した理由、増税の歴史、メリット、今後について解説しました。
消費税増税は、社会保障の充実化や安定的な税収のために実施した一方で、国民の消費行動を鈍化させ、経済の停滞化を招く要因にもなり得ます。
消費税や所得税といった税金周りの知識は、社会生活を送る上で必須な知識でもありますから、この機会にぜひ詳しくなりましょう。
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