新型コロナ対策としてテレワークやペーパーレスなどが推進されたことで、SaaS型のクラウドサービスを提供する企業に注目が集まっています。
そこで本記事では、国内外の注目のSaaS企業を紹介。
PaaS・IaaSとの違いやSaaSサービス導入の成功例なども解説するので、業界分析や企業研究にお役立てください。
※記事内の情報は2022年4月末執筆時の内容です。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
この記事の目次
SaaS(Software as a Service)とは?
本章では、SaaSの概要について解説します。
- 「サービスとしてのソフトウェア」を表す用語
- クラウドとSaaSの違い
- ASPとSaaSの違い
「サービスとしてのソフトウェア」を表す用語
SaaS(サース)とは、「Software as a Service」の略称で、「サービスとしてのソフトウェア」を表す用語です。
より簡単な言葉でいうと、インターネットを介して必要な機能をサービスとして利用できるソフトウェアを指します。
SaaSの具体例としては、チャットツールの「Slack」、Web会議ツールの「Zoom」、Adobeの「 Creative Cloud」などです。
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クラウドとSaaSの違い
ここで、混同されやすいクラウドとSaaSの違いを説明します。
クラウドとは、インターネットを介して離れた場所にあるコンピュータ資源を提供する利用形態のことです。
そして、クラウドの仕組みを利用したサービスを「クラウドサービス」といいます。
つまり、広義ではクラウドとSaaSはほぼ同じ意味であり、厳密にはクラウドサービスの利用形態の1つがSaaSです。
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ASPとSaaSの違い
ASPとSaaSの違いについても補足します。
ASPとは、「Application Service Provider」の略称で、アプリケーションなどのサービスを提供する事業者またはサービス本体を指す用語。
ASPは、1ユーザーごとに専用サーバーや機材を用意してソフトウェアを提供する「シングルテナント」の形態を取ります。
これに対して、SaaSは複数ユーザーで環境を共有する「マルチテナント」の形態です。
日本の有名なSaaS企業
本章では、日本の有名なSaaS企業を4社紹介します。
- サイボウズ
- Sansan
- ラクス
- freee
サイボウズ
出典元:サイボウズ株式会社
「サイボウズ株式会社」は、クラウドベースの中小企業向けグループウェア「サイボウズ Office」や業務アプリ構築プラットフォーム「Kintone」を提供するSaaS企業です。
サイボウズ Officeの導入事例は豊富で、製造業・情報通信業・官公庁など、業界を問わず約69,000社の導入実績を誇ります。
国内のSaaS企業の売上において当社は頭1つ抜けており、存在感があります。
Sansan
出典元:SanSan株式会社
「SanSan株式会社」は、法人向けクラウド名刺管理サービスの「SanSan」や個人向け名刺アプリの「Eight」を提供するSaaS企業です。
SanSanは7,000社で導入されており、テレワークや取引先のコンプライアンスチェックなどに活用されています。
ラクス
出典元:株式会社ラクス
「株式会社ラクス」は、「楽楽精算」「楽楽明細」などの中小企業向けクラウドサービスを複数展開するSaaS企業です。
経費計算のサポートや電子請求書を発行するシステムを通じて、バックオフィスを支援。問い合わせ対応やチャットボットを用いた営業支援システムも提供しています。
freee
出典元:freee株式会社
「freee株式会社」は、クラウド会計ソフトの「freee」を提供するSaaS企業です。
個人事業主から中小企業までサポートし、有料課金ユーザー数は25万人以上。
創業は2012年と比較的新しいものの、国内のSaaS企業でトップ5に入る売上を誇ります。
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外国の有名なSaaS企業
本章では、外国のおもなSaaS企業を4社紹介します。
- Salesforce
- Adobe
- Zoom
- Dropbox
Salesforce
出典元:salesforce.com
「salesforce.com」は、クラウドベースのCRM・顧客管理システムの「Salesforce」を提供するアメリカのSaaS企業です。
CRMのトップシェアであり、世界15万社以上の導入実績を誇ります。
時価総額は1,000億ドルを超えており、間違いなくSaaS企業の最大手です。
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Adobe
出典元:Adobe
「Adobe」は、「Photoshop」「Illustrator」「Premiere Pro」など、50以上のサービスを所有するアメリカのSaaS企業です。
もともとは、パッケージソフトウェアを展開。しかし「Creative Cloud」でソフトウェアをクラウドベースに変えたことで、SaaS型のビジネスモデルに転換しました。
Zoom
「Zoom Video Communications」は、リモート会議を支援するビデオ会議ツールの「Zoom」を提供するアメリカのSaaS企業です。
コロナ禍でZoomはひときわ存在感を示し、2022会計年度第2四半期決算では、当社初の10億ドルを突破。テレワーク需要の増加で期待がかかります。
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Dropbox
出典元:Dropbox
「Dropbox」は、クラウドストレージ「Dropbox」を提供するアメリカのSaaS企業です。
BtoCのSaaS企業の最大手であり、クラウドストレージ界をけん引する存在といえます。
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2022年注目の国内SaaSベンチャー
本章では、2022年注目の日本のSaaSベンチャーを5社紹介します。
- タイムリープ
- 3Sunny
- Yappli
- カミナシ
- クラウドサーカス
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タイムリープ
出典元:タイムリープ株式会社
「タイムリープ株式会社」は、複数店舗をまたいで接客が可能な遠隔接客サービス「RURA」を提供するSaaSベンチャー企業です。
店舗の人件費の削減や無人店舗の遠隔監視が可能であり、ホテル・携帯ショップ・介護施設などのさまざまな業態で導入が進んでいます。
3Sunny
出典元:株式会社3Sunny
「株式会社3Sunny」は、医療機関向けの業務支援サービス「Carebook」を提供するSaaSベンチャー企業です。
病院業務のうち、入退院の調整に力を入れており、年間1,000万人ほど存在するという入退院の非効率を改善できるとして、注目されています。
Yappli
出典元:株式会社ヤプリ
「株式会社ヤプリ」は、ノーコードでアプリケーション開発が可能な開発プラットフォーム「Yappli」を提供するSaaSベンチャー企業です。
ノーコード開発は、プログラミング知識に乏しくともソフトウェア開発が可能であり、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を加速させる鍵といえます。
Yappliの導入実績は、トヨタやNECなどの大手企業を含め600社以上であり、国内のノーコード開発プラットフォームをけん引する存在です。
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カミナシ
出典元:株式会社カミナシ
「株式会社カミナシ」は、手書きの報告書や帳票などの無駄をなくし、DX推進をサポートする現場管理アプリ「カミナシ」を提供するSaaSベンチャー企業です。
これまでアナログで処理されてきた業務をデジタル化し、ノンデスクワーカーの作業効率を向上させます。
2021年3月4日のシリーズAラウンドでは、約11億円の資金調達を実施しており、さらなる成長が期待されます。
クラウドサーカス
出典元:クラウドサーカス株式会社
「クラウドサーカス株式会社」は、クラウドベースのデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS」を提供するSaaSベンチャー企業です。
Cloud CIRCUSは、デジタルマーケティング初心者でも無料で始められる手軽さと豊富な機能性から、中小企業を中心に2万4,000社以上に導入されています。
SaaS・PaaS・IaaSの違い
本章では、混同しやすい「SaaS・PaaS・IaaS」の違いを解説します。
PaaS(Platform as a Service)とは?
PaaS(パース)とは、「Platform as a Service」の略称で、ソフトウェアの構築・稼働に必要なプラットフォームをサービスとして提供する利用形態のことです。
PaaSの具体例としては、「AWS」や「Microsoft Azure」が代表的。
ちなみに、似た用語で「iPaaS」というものがあります。
iPaaS(アイパース)とは、「Integration Platform as a Service」の略称で、異なる複数アプリを統合・連携・管理できるコンソールを提供するサービスのこと。
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IaaS(Infrastructure as a Service)とは?
「IaaS(アイアース):Infrastructure as a Service」とは、コンピュータシステムの稼働に必要な基盤をサービスとして提供する利用形態のことです。
IaaSの具体例としては、「GCE(Google Compute Engine)」や「Amazon EC2」が代表的です。
SaaSとの違い
SaaS・PaaS・IaaSの違いをまとめると、以下の通りです。
- IaaS:システム構築に必要なITインフラ(仮想マシン・ネットワーク・サーバーなど)を提供
- PaaS:ITインフラに加えてソフトウェア構築に必要なOS・ミドルウェアまで提供
- SaaS:上記を含めた完全なソフトウェアとして提供
上記の通りで、提供されるレイヤーの違いで分けられます。
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SaaS導入のメリット
本章では、SaaSを導入するメリットを5つのポイントに分けて解説します。
- 導入が簡単かつスピーディ
- 導入コストを抑えられる
- システム管理・運用の負担を軽減
- クラウドストレージを利用できる
- 時間・場所を問わず利用できる
導入が簡単かつスピーディ
SaaSの利用に際して、特別な手順や設定の必要はありません。
ユーザーは、IDとパスワードを用いてログインするだけ。
ソフトウェアインストールも不要なので、SaaSの導入は簡単かつスピーディです。
導入コストを抑えられる
SaaSは、自前でサーバーやソフトウェアを用意するなどの手間がありません。
また、SaaSの多くは月額制で、利用量に応じて料金が発生する従量課金制を採用。
したがって、導入コストは最小限であり、ランニングコストの計画も立てやすいです。
システム管理・運用の負担を軽減
ソフトウェアのバージョンアップや障害対応は、サービス提供元のベンダー(開発側の企業)が行います。
したがって、ユーザー側のシステム管理の負担は軽減し、管理・運用を担うIT人材の確保も最小限で済みます。
クラウドストレージを利用できる
SaaSのデータは、クラウドストレージに保存されます。
したがって、ストレージが限られるデバイスであっても、容量を気にせず使えます。
また、ストレージを共有できるので、複数人でドキュメントを編集する上でも便利です。
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時間・場所を問わず利用できる
SaaSは、インターネットさえあれば好きなタイミングでログインして利用できます。
したがって、時間や場所に縛られずに利用できるのも大きなメリットです。
SaaS導入のデメリット
本章では、SaaSを導入するデメリットを4つのポイントで解説します。
- カスタマイズ性が低い
- ランニングコストの増大に注意
- 不正アクセスに注意
- サービスが一時的に利用できないことがある
カスタマイズ性が低い
SaaSは、多数のユーザーに最適化された機能で構成されたソフトウェアです。
そのため、自社開発のアプリケーションやパッケージソフトウェアと比較すると、カスタマイズ性は低いです。
ランニングコストの増大に注意
従量課金制はメリットである反面、アカウント数やデータ量の増加で高額になる側面も。
そのため、SaaS導入に際しては、中長期的な視点から検討する必要があるでしょう。
不正アクセスに注意
SaaSは、インターネットからアクセスして簡単に利用できるがゆえに、不正アクセスには十分に注意しなければなりません。
そのため、企業で導入する際は、事前に情報セキュリティ教育が必要となるでしょう。
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サービスが一時的に利用できないことがある
突発的な障害による復旧作業やベンダー側のアップデート作業が入ると、サービスが一時的に利用できなくなるのも、デメリットの1つ。
ただし、メンテナンス情報は事前に周知され、作業時間もアクセスが集中する時間帯を避けるため、ユーザーへの影響は最小限です。
SaaS導入の成功例
本章では、SaaSを導入したことによる成功例を3つ紹介します。
- CRM導入により顧客獲得率アップ
- 名刺管理システムをオンライン商談に活用
- 電子印鑑の導入により社内決済のワークフローを改善
CRM導入により顧客獲得率アップ
SaaSとして提供されるサービスで代表的なのが「CRM」です。
CRMとは、「Customer Relationship Management」の略称で、簡潔にいうと顧客情報管理システムのことです。
CRMの導入で、顧客情報の共有やノウハウの蓄積が容易になり、顧客獲得率の上昇やデスクワークの削減などにつながります。
名刺管理システムをオンライン商談に活用
コロナ禍で移動が制限される中、名刺をデータ化して管理できる「名刺管理システム」を導入する企業が増えています。
これにより、オンライン商談で名刺を交換したり、顧客管理の効率化などに貢献。
電子印鑑の導入により社内決済のワークフローを改善
テレワークやペーパーレスを実現するSaaS型サービスとして、「電子印鑑」にも注目。
電子印鑑の導入により、これまで物理的に行われてきた押印・決済手続きが、すべてオンラインで完結します。
したがって、上司にハンコを貰うためだけの出社や保管といった無駄がなくなり、社内決済のワークフローが劇的に改善します。
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勢いのあるSaaS企業の今後に注目しよう
国内外の注目のSaaS企業やSaasサービス導入の成功例などを解説しました。
約10年前にSaaSが登場して以降、企業向けソフトウェアのあり方は一変。
そして現在は、コロナ禍でテレワーク・タッチレス・ペーパーレスなどが進む中、SaaSを導入する企業も着実に増えています。
SaaS型サービスの市場規模はこれからさらに拡大していくと予想されるので、国内外のSaaS企業の今後に要注目です。
またコスト削減や業務効率化を考えているなら、ぜひSaaSの導入を提案してみてください。
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