最近よく耳にするようになった「クラウド」という言葉。実はよく意味をわかっていないが、今さら人に聞くのも少し恥ずかしい、という方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、初心者向けのクラウド講座として、クラウドの概念や覚えておきたい基本用語について解説。また、クラウドストレージのメリット・デメリット、おすすめのクラウドストレージサービスなども紹介します。
「クラウドの基本を理解したい」「クラウドを使ってみたいが、たくさんサービスがあって選べない」という方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
クラウドとは
クラウドとは「クラウド・コンピューティング」の略です。
まずはクラウドとは何かについて以下で解説します。
- ネットワーク経由でサービスを利用すること
- クラウドが使われる理由
- クラウド=雲と呼ばれる理由
- クラウドサービスの市場規模は年々拡大している
ネットワーク経由でサービスを利用すること
クラウドとはユーザーがインフラやソフトウェアを持っていなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用できる概念です。パソコンやスマホなどのデバイスにインストールしなくてすむ点が、通常のアプリとは異なります。
クラウドを活用することで、ユーザーはネットを通じて様々なサービスを手軽に利用することが可能になります。
クラウドが使われる理由
近年、個人だけでなく企業においても積極的にクラウドが活用されています。
例えばクラウド上のサーバーに業務の基幹システムを構築したり、クラウド上に資料などを保管したりするといった使われ方があります。
当初、インターネット上にデータを保存することによるセキュリティリスクが懸念されていました。しかし、クラウドのセキュリティ体制の強化に伴う信頼度の上昇により「クラウドを使った方が簡単でセキュアだ」という意見からクラウドが広まっていきました。
クラウドのメリットとデメリットについては記事の後半で詳しく解説しています。
クラウド=雲と呼ばれる理由
なぜ「クラウド」と呼ばれるかについては、はっきりとした由来は明らかになっていません。
諸説ある中の一つとしては、コンピュータ技術者たちが、ネットワークをイラスト化する際に雲の絵を使うことが多かったから、というものがあります。
世界中の空にある巨大な雲のイメージと、世界を繋ぐネットワークのイメージが重なったのかもしれません。
クラウドサービスの市場規模は年々拡大している
代表的なクラウドプラットフォームとしては、「3大クラウド」とも言われるAWS(Amazon Web Services)・Microsoft Azure・GCP(Google Cloud Platform)があります。
また身近なクラウドサービスにはGmailやDropboxなどがあります。これらのクラウドサービスは私たちが普段仕事やプライベートを過ごす上で、今やなくてはならないものです。
MM総研の調査によると、国内クラウドサービスの市場規模は、2021年度は約3兆5,723億円で、前年度比24.3%増。2026年度には約7兆4,849億円に拡大すると予測しています。
クラウドサービスではないものとは?
クラウドサービスについてより理解を深めるため、クラウドサービスであるものとそうでないものの違いを確認しましょう。
例えば、現在多くの人が利用しているGoogleのGmailやMSNのHotmailは代表的なクラウドサービスです。これはユーザーがソフトウェアを持っていなくても、インターネットにアクセスしてGoogle ChromeなどのブラウザでGmailの画面を開くだけでメールを利用できます。
一方、OutlookやBecky!などのメールソフトは、利用するためにはメールサーバーの構築やインストール作業が必要です。つまりこれらはクラウドサービスではありません。
企業の場合、利用する従業員側からすると「開くだけで簡単に使える」ものであるかもしれませんが、その裏ではシステム担当者による管理・運用作業が発生しています。
クラウドに関する覚えておきたいキーワード
一言でクラウドと言っても、その種類や提供形態にはいくつか種類があります。
ここからはクラウドに関して覚えておきたい基本的な用語をいくつか解説します。
- クラウド・コンピューティングとは
- クラウドサーバーとは
- クラウドの提供形態に関する言葉
クラウド・コンピューティングとは
冒頭で説明した通り、クラウド・コンピューティングとは「クラウド」の正式名称です。クラウドの意味は「クラウドとは」を参照ください。
クラウドサーバーとは
クラウドサーバーとは、おもにインターネット上の仮想サーバーのことを指します。
クラウドサーバーのメリットは場所に縛られずアクセスできる点で、ネット環境とアクセス権限があればどこからでも利用できます。
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SaaS
SaaSとはSoftware as a Serviceの略で、日本語では「サービスとしてのソフトウェア」と訳されます。ソフトウェアをユーザーがインターネット経由で使えるサービスのことです。
ソフトウェアのバージョンアップなどはサービス提供者側がやってくれるのが利点です。ユーザーは月額料金を払ってそれを利用します。
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PaaS
PaaSとはPlatform as a Serviceの略で、日本語では「サービスとしてのプラットフォーム」と訳されます。PaaSがクラウドを通じて提供するのは、サーバーやOSなどシステムを構築するためのプラットフォームです。
そのプラットフォームを使って、利用者は自分たちが必要なソフトウェアの開発などを行います。
開発するための場所(プラットフォーム)だけ借りて、後の開発はユーザー自身が行うため、SaaSよりも自由度の高いシステムを構築することが可能です。
IaaS
IaaSとはInfrastructure as a Serviceの略で、日本語では「サービスとしてのインフラ」と訳されます。物理的なハードウェアを持っていなくても、インターネット上でインフラとなる仮想のネットワーク機器やサーバーを提供してくれるサービスです。
ユーザーは物理的なサーバーを購入する必要がなく、必要に応じてインターネット経由でサーバーを作成することができます。
クラウドの提供形態に関する言葉
クラウドの提供形態については、大きく分類すると「パブリッククラウド」と「プライベートクラウド」の2つがあります。
パブリッククラウド
パブリッククラウドとは、クラウド上に用意されたOS・ソフトウェア・サーバーなどのリソースを不特定多数で共有し利用する形態です。
パブリッククラウドを利用するために必要なのは、ベンダーへの申込みと利用料(初期費用・月額料金など)のみです。
特別な設備が不要で簡単に導入できるというメリットの一方、ユーザー個人でのカスタマイズができないというデメリットがあります。
プライベートクラウド
プライベートクラウドは、ある企業や個人のために環境を構築し、それを専有で利用する形態です。
パブリッククラウドが「共有」環境であるのに対して、プライベートクラウドは「専有」環境と言えます。
利用目的に応じてシステムやソフトウェアを独自にカスタマイズできる点がメリットですが、パブリッククラウドと比べてコストが高い点や使いこなすために専門技術・知識が必要である点がデメリットです。
クラウドサービスのメリットとデメリット
企業・個人問わず様々な場面で普及しているクラウドサービス。安全・快適に利用するためには、そのメリットとデメリットについて理解しておくことが重要です。
ここでは、クラウドサービスにおける個人用・企業用、それぞれのメリットデメリットについて解説します。
個人用クラウドサービスのメリット
個人でクラウドサービスを利用するメリットには以下があります。
- ソフトウェアのインストールや更新作業が必要ない
- スマートフォンやPCなど、複数の端末でいつでもアクセスできる
- ローカル環境でストレージを気にする必要がない
- 自分のPCなどのローカル環境でバックアップの必要がない
クラウドサービスを上手く活用することで、メンテナンスなどのコストを抑えて本来やりたい作業に集中できる点が魅力です。
個人用クラウドサービスのデメリット
個人でクラウドサービスを利用するデメリットには以下があります。
- メールなどの内容が分析されている可能性がある
- サービスを永久に使える保証がない
ネットワークにファイルを保存する以上、手元に保管するよりも情報漏えいのリスクが上がる点は理解しておきましょう。
企業用クラウドサービスのメリット
企業でクラウドサービスを利用するメリットには以下があります。
- 初期費用を抑えることができる
- 使った分だけ支払う従量課金制
- サーバーなどの保守やメンテナンスを行う必要がない
- 最新データを一元管理できる
企業用クラウドサービスのデメリット
企業でクラウドサービスを利用するデメリットには以下があります。
- 自社の運用にあったカスタマイズが難しい
- セキュリティ面に不安が残る
- 利用しすぎるとコストが肥大化する恐れがある
コストの観点からいえば、自社でサーバーやデータベースを置いて管理する「オンプレミス」の方がコストパフォーマンスが良い場合も。
そのため、利用するサービスに関してはきちんと精査する必要があるでしょう。
個人用おすすめクラウドストレージ
撮り溜めた写真、ダウンロードした資料などでパソコンやスマホの容量が圧迫して困っているという方も多いと思います。
そんな方はクラウドストレージを活用してデータ管理を行うのがおすすめです。ここでは個人利用におすすめのクラウドストレージを5つ紹介します。
- Google ドライブ
- Dropbox
- iCloud
- OneDrive
- InfiniCLOUD
※掲載している容量や料金等の情報は2024年2月時点の情報です。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
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Google ドライブ
出典元:Google
Google社が提供する「Google ドライブ」は、個人だけでなく企業での利用も多い、代表的なクラウドストレージです。
GmailなどあらゆるGoogleのサービスで使えるGoogleアカウントを作れば誰でも利用可能。無料版の容量は15GBまで、有料版は30GB(税込680円/月:年間サブスクの場合)からです。
▶️個人向けのクラウド ストレージおよびファイル共有プラットフォーム – Google
Dropbox
出典元:Dropbox
Dropbox社が提供する「Dropbox」は、個人の写真やドキュメントの保存はもちろん、複数ユーザーで共有のファイル・フォルダを作成したりと使い勝手の良いクラウドストレージです。
全世界で利用されている、クラウドストレージの代名詞と言っても過言ではないサービスです。無料版の容量は2GBで、有料版は2TB(1,200円/月:年間サブスクの場合)からです。
iCloud
出典元:Apple
Apple社が提供する「iCloud」は、iPhone・Mac・iPadのユーザーに人気のストレージサービスです。Apple製品同士を同期させて簡単に写真やデータの管理ができます。
Apple IDがあれば、Apple製の複数のデバイスからアクセスが可能です。無料版の容量は5GBで、有料版のiCloud+は50GB(130円/月)からです。
▶️iCloud
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OneDrive
出典元:Microsoft
Microsoft社が提供する「OneDrive」は、MicrosoftのOfficeアカウントがあれば利用できるストレージサービスです。
WordやExcelなどのOffice製のアプリとの連携がよく、データの保存やアップロードが簡単にできる点が魅力です。無料版の容量は5GBで、有料版は100GB(2,440円/年)から。
▶️個人用のクラウド ストレージ – Microsoft OneDrive
InfiniCLOUD
出典元:InfiniCloud
InfiniCloud株式会社が提供しているする「InfiniCLOUD」は国内のサーバーで運用されている国産のクラウドストレージサービスです。
国内にサーバーがあることで、データ転送速度・管理画面のレスポンスが高速・快適である点が特徴。無料版の容量は20GBで、他サービスと比較して容量が多いです。
また有料版は300GB(8,800円/年)からです。
企業用おすすめクラウドストレージ
クラウド上に資料を置いて同僚に共有したり、ドキュメントの共同編集をしたりと、クラウドストレージを活用することで業務効率化が期待されます。
企業こそクラウドストレージを活用すべきなので、もし自社で導入されていない場合は、提案することをおすすめします。
ここでは、企業での利用におすすめのクラウドストレージを6つ紹介します。
- Dropbox ビジネス向けプラン
- OneDrive for Business
- Box
- firestorage
- Smooth File
- DirectCloud
※掲載している容量や料金等の情報は2024年2月時点の情報です。最新情報は公式サイト等でご確認ください。
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Dropbox ビジネス向けプラン
出典元:Dropbox
個人向けで紹介したDropboxはビジネス向けとしてもおすすめ。管理コンソールによる管理機能や複数メンバーによる共同作業などビジネスでの利用を想定した機能が搭載されています。
また、世界中に7億人以上のユーザーを持つDropboxによる高いセキュリティシステムにより、安心して利用できる点も魅力です。
企業規模やユーザーによってEssentials、Business、Business Plus、Enterpriseなどのプランがあります。状況に合わせたプランを選んでみてください。
OneDrive for Business
出典元:Microsoft
Microsoft社が提供する「OneDrive for Business」は、シンプルな操作画面と他のMicrosoftアプリとのスムーズな連携が魅力のクラウドサービスです。
業務でMicrosoft製品を利用している(または利用予定)の場合に特におすすめです。企業規模や利用できる機能に応じて様々なプランが用意されています。
▶️Microsoft OneDrive クラウド ストレージとファイル共有 | Microsoft 365
Box
出典元:Box
Box社が提供する「Box」は、世界中の85,000以上の企業に利用されているクラウドサービスです。
ファイルの暗号化や豊富なアクセス権限など、セキュリティの面でも安心です。容量や機能によってBusiness Starter、Business、Business Plus、 Enterpriseなどのプランがあります。
▶️Box — セキュアなクラウドコンテンツ管理、ワークフロー、コラボレーション
firestorage
出典元:firestorage
「firestorage」は日本エンジニアによって開発・管理されている国産のストレージサービスです。
法人プランは、専用回線による高速アップロード・ダウンロードや管理機能、高いセキュリティレベルなどが用意されています。容量によっていくつかのプランが用意されています。
Smooth File
出典元:Smooth File
Smooth Fileは自治体・金融機関・医療機関などでの利用実績が多いストレージサービスです。
大容量のファイル転送やログ管理機能など業務での利用を想定した機能に加え、ユーザー数が無制限で利用できる点も選ばれている理由です。容量は100GBから30TBまでのプランが用意されています。
▶️Smooth File | 大容量ファイルをセキュアに転送・共有
DirectCloud
出典元:DirectCloud
「DirectCloud」はユーザー数無制限で利用できるクラウドストレージです。柔軟なアクセス権限や管理者機能で企業の重要な情報を厳重に管理します。
ゲスト機能を使えば、クライアントなど社外の人へも簡単・安全にファイルを共有することができます。容量500GBから30TBまで5つのプランがあります。
▶️法人向けクラウドストレージ DirectCloud(ダイレクトクラウド)
クラウドストレージの選び方
たくさんあるクラウドストレージサービスの中から、あなたの目的にあった一つを選ぶためにはどのような点に気をつければよいでしょうか。
ここでは、クラウドストレージの選び方のポイントを6つ解説します。
- データ容量
- 機能
- 価格
- 使いやすさ
- セキュリティ
- サポート
データ容量
どのようなデータを保存したいかによって、必要なデータ容量は異なります。
テキストファイルなど軽容量なデータが中心であれば数GBで足りますが、写真や動画などを大量に保存したい場合は、それだけたくさんの容量が必要です。
どれだけの容量が必要かわからない、という場合は途中で容量を追加できるサービスを選んでおくと安心です。
機能
機能面でまずチェックすべきなのは、利用したい端末(iPhone、Android、タブレットなど)からアクセスが出来るかです。
企業で利用する場合であれば、期限付きダウンロードURLの生成やファイルやフォルダごとの細かいアクセス権限設定などがあると便利です。
価格
価格は安いに越したことはありませんが、安さだけで選ぶことはおすすめできません。
企業など大人数で利用する際には、ユーザー一人あたりの利用料やセキュリティやサポートの体制、利用できる容量や容量増量時の追加料金など、長期的な利用を想定してサービスを選ぶことが重要です。
使いやすさ
せっかく導入したクラウドストレージも、使ってもらわなければ意味がありません。
初めての人やクラウドツールに慣れていない人であっても分かりやすい画面、操作性であるかどうかもチェックポイントです。
また、海外のサービスだとヘルプ画面が英語でしか対応していないこともあるため注意が必要です。
セキュリティ
安いサービスや無料のサービスの中には、セキュティ体制が甘いものもあります。
安全に利用するため、暗号化通信、ウイルスチェック、IPアドレス制限、端末認証などのセキュリティ機能が標準搭載されているかどうかチェックしておきましょう。
サポート
利用前のヒアリングやコンサルティング、導入時のシステム構築サポート、問い合わせの対応時間、トラブル発生時のサポートなど、それぞれの場面でベンダーがどのように対応してくれるのかを見ておきましょう。
クラウドの特徴を理解して最適なサービスを選ぼう
クラウドの概念や覚えておきたい基本用語、クラウドストレージのメリット・デメリット、おすすめのクラウドストレージサービスなどを解説しました。
開発のスピードアップや管理コスト削減、無駄のない料金体系などメリットの多いクラウド。ただし、あまり依存しぎるとクラウドサービスベンダーのシステムトラブルやサービス停止などによって大きな影響が出る可能性もあります。
そのため、特に企業で導入する際はメリット・デメリットを考慮した上での判断が必要です。利用するサービスやベンダーはよく検討して選びましょう。
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