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【2018年版】ITトレンド解説!デジタルトランスフォーメーション(DX)の時代

更新: 2021.06.11

近年、世界的な潮流となっているのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」

デジタル技術を使って、業務プロセス全体を改善。引いては人々の生活全体を良い方向に導いていこう、という考え方です。デジタルトランスフォーメーションを支える技術にはモバイル、ビッグデータ、クラウドなど様々なものがあります。この記事ではAIやブロックチェーンなど、2018年の世界全体のITトレンドを解説。その上で改めて、デジタルトランスフォーメーションとは何かを解説します。

デジタルトランスフォーメーションを支える各種技術は2020年まで継続的な発展が見込まれます。

2020年に伸びる仕事も予測します。2019年06月04日編集:この記事は、現役エンジニアによって監修済みです。

この記事は現役エンジニアによって監修済みです。

2017年のITトレンドの振り返り

2018年のビジネストレンドの前に、まずは2017年のITビジネストレンドを振り返り、解説します。

2017年は、AI(人工知能)、RPA、VR・AR・MR、ブロックチェーン(仮想通貨)など、様々な先端技術がITビジネスの市場をにぎわしました。

これらのIT技術は、これまでの技術の延長線上に位置するもので、今後のイノベーションが期待されています。発展は2020年ごろまでは持続的に続くと見られています。

AI(人工知能)

AIは頻繁にメディアに取り上げられ、あらゆるところで話題になりました。AIを搭載したアプリも多数登場。合わせて「ビッグデータ」という言葉もメジャーに。2017年は人工知能の歴史に刻まれる一年でした。

AIによって社会の生産性が向上し「ベーシックインカム」が支給される時代になると楽観的な見方をする人もいれば、「人間の仕事がAIに奪われるのではないか」と危惧する人もいるなど、AIに対して期待と不安が入り混じった多くの意見が聞かれました。

AIの開発でよく話題になるのが人間との対戦です。

コンピュータ将棋のソフトウェアである「ponanza」は、2013年に出場した将棋電王戦において佐藤慎一四段(当時)を破りました。これは、コンピュータが初めてプロ棋士に勝った瞬間でした。その後、ponanzaは改良を重ね、2017年には電王戦で佐藤天彦名人に勝利し、引退することが発表されました。

2017年、囲碁の世界でもAIの「AlphaGo」が人間の世界チャンピオンを破りました。AlphaGoはグーグルのディープマインド社によって開発されました。プロの囲碁棋士を破った初のAIで、2017年に世界チャンピオンの柯潔に3連勝し、対局から引退することが発表されました。

2017年は、将棋の世界でも囲碁の世界でもAIが人間のチャンピオンを破り、これ以上勝負しても人間が勝つことはないため引退しました。AIがある一つの側面において、完全に人間を凌駕した年であるとも言えます

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション/Robotic Process Automation)

RPA(Robotic Process Automation)は「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略称で、これまで人間が行っていたホワイトカラーの仕事を自動化・効率化することを期待されています。

2013年では市場規模が200億円弱でしたが、年率約40-60%で急成長しており、2020年には5,000億円に達すると見込まれています。

これまで製品の組み立てや荷物の運搬などブルーカラーの業務はロボットに代替されてきましたが、RPAはホワイトカラーの業務を代替することが特徴です

つまり製造業のロボットの導入といった業務に限らず、事務スタッフやサービスの運用スタッフ、高度な技術者の業務を代替する技術。そうした用語が「RPA」なのです。

ホワイトカラーの仕事をロボットが自動化すると仕事がなくなってしまうという懸念もありますが、少子高齢化によって働き手が減り続ける日本社会では、24時間365日働くことができるデジタルレイバーに注目が集まっています。

VR・AR・MR

VRコンテンツ1

VR(Virtual Reality)はバーチャル・リアリティの略称で「仮想現実」とも呼ばれます。2017年にはヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれるVR機器が手頃な価格で発売され、主にゲームの分野で広がりを見せました。2017年はVR元年とも呼ばれ、VRの新たな時代が始まったと語る人も大勢いました。

VRのハードウェア分野ではOculus RiftやHTC Viveがプラットフォームとして存在感を発揮しています。

AR(Augmented Reality)はオーグメンティッド・リアリティの略称で「拡張現実」とも呼ばれます。VRは現実とは別の世界に入り込みますが、ARは現実の世界にデジタル情報を付加する技術です。例えば、ARのゴーグルをかけて街を歩くと、街に関する情報がデジタル情報として目の前に表示されるといった具合です。

MR(Mixed Reality)はミックスド・リアリティの略称で「複合現実」とも呼ばれます。現実世界と仮想世界を融合し、現実世界と仮想世界がリアルタイムに影響し合う空間を作る技術です。マイクロソフトはMRに対応したシステム「Windows Mixed Reality」を開発し、ヘッドセットの提供を開始しました。

VRについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

ブロックチェーン

ビットコインに代表される仮想通貨を支える仕組みとして注目されるのが、ブロックチェーンです。

仮想通貨とブロックチェーンは「イコール」ではないことに注意が必要です。

2017年1月時点では15万円程度だったビットコイン価格は、2017年末には200万円を突破。10倍以上の価格上昇を見せました。ブロックチェーンは分散型台帳を実現する技術として知られ、仮想通貨はブロックチェーンの技術の一部分です。

分散型台帳の特徴は情報管理を特定のサーバーに依存せず、複数の端末が情報を共有し合いながら管理します。一台のサーバーがダウンしても、その他の端末から情報を復旧することができるため、情報改ざんやハッキングのリスクが低く、情報管理の安全性が高いことがブロックチェーンの利点です。

ブロックチェーンで注目される技術の1つが、スマートコントラクト。スマートコントラクトの代表格「イーサリアム」はブロックチェーン上で動作するアプリケーションの開発プラットフォームとしても注目されます。イーサリアムはビットコインに次ぐ第2位の時価総額を誇る仮想通貨でもあります。

ブロックチェーン技術は、今後情報管理のインフラとしての拡大が期待されます。

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2018年のITトレンド キーワード5選

続いて2018年のITトレンドを5つのキーワードを元に見ていきます。

5G:2020年に向けた実証実験の本格化が、2018年中に始まる

5Gは第5世代移動通信プラットフォームのことで、次世代の通信技術です。4Gの後継に当たるプラットフォーム。5G通信が実現すると、これまでよりも大容量かつ高速にデータを処理することができるようになります

2020年以降の時代は、VRやIoTなどの普及により爆発的に通信容量が増加することが予測されています。VRChatに代表されるVR空間でのコミュニケーションサービスの一般化や、IoT家電のさらなる普及。公共施設へのIoTの導入などが予想されるからです。人の行動に完全にネットワークが組み込まれる時代なのです。

またクラウドの普及が一層進むと、データはクラウドにおくのが普通となります。するとパソコン、スマートフォン、タブレットなどはネットワークに接続している状態が常態化します。こうしたクラウド時代のコンセプトに基づいて設計されているパソコンの1つが、GoogleのChromebookです。

トラフィックの増大に応えるため、NTTをはじめとする通信事業者が5Gの実験を進めています。

モバイルやクラウドなどの技術の進歩には欠かせない段階です。

フェイクニュースは増大

2017年には「流行語大賞トップ10」にフェイクニュースがランクインしました。

フェイクニュースは虚偽の情報で作られたニュースのことです。

SNSやインターネット上の情報を大手メディアがソースとするケースもあるため、大手メディアがフェイクニュースを報じてしまう場合もあります。情報へのタッチポイントがマスメディアしかなかった時代とは異なり、情報があふれ返る時代になったからこその一種の弊害と言えるでしょう。メディアはいま変革を「余儀なくされている」と言えます。

フェイクニュースが増加していることを受け、AI(人工知能)の力でフェイクニュースを打破しようとする動きが世界中に広まっています。

韓国の名門校であるKAISTとソウル大学は、AIを利用してフェイクニュースを見破る研究を続けてきました。ツイッターユーザーのメッセージやフォローリンクを分析し、アルゴリズムで検証した結果、90%の精度で嘘を見抜きました。人間の場合の精度は60%であり、AIの方が嘘を見抜く力があるという結果になりました。

進化するAIの優れた活用事例と言えるでしょう。

今後、ジャーナリズムの分野において、AIによってフェイクニュースを見破ることが期待されています。

音声検索の爆発的流行

Amazon Echo、サンドストーン (ファブリック)

2017年、グーグル、アマゾン、ラインと各社が一斉にスマートスピーカーの発売を開始し、音声によって情報を検索することが浸透してきています。音声検索はIoTとの相性が非常に良く、スマートスピーカーは一般家庭でIoTが本格導入されるきっかけになり得る端末でもあります。

特にAmazon Echoに搭載されているAlexaは「スキル」をPythonなどのプログラミング言語で簡単に作れることから、音声アシスタントプラットフォームとして人気を博しています。

2020年には検索の半分が音声検索へ移行するという予想もあります。また、市場調査やコンサルティングを手掛けるTractica社は、2021年までに18億の人々がデジタルアシスタントを活用するようになると予想しています。

通常、グーグルなどの検索エンジンを使って情報を探すと、関連するページがいくつも表示されますが、音声検索では最初にヒットした情報のみが読み上げられます。そのため、ユーザーにアクセスしてもらうためには、これまでの文字を使った検索とは異なる戦略が求められます。「検索エンジン」という20年以上時代の先端に君臨してきたプラットフォームの変革が予測されます。

2018年内にタッチスクリーンを持つノートブックが一般化

スマホやタブレットが登場した時、その最大の特徴は画面に手で触れて端末を操作できるということでした。

現在では当たり前となったタッチスクリーンですが、ノートブックにも採用されるケースが増えています。

マイクロソフト、パナソニック、NECなど多くのメーカーがタッチスクリーン付きのノートブックを販売していますが、Appleはタッチパネル対応を否定し続けてきました。

ワールドワイドマーケティング担当上級副社長のフィル・シラー氏は、タッチパネル対応をしないと明言しています。ただ、Appleはデュアルディスプレイ端末の特許を取得しており、どちらのディスプレイもタッチスクリーンであり得るとされています。そのため、タッチスクリーン対応のMacBookがリリースされる可能性も十分にあります。

今後、MicrosoftのSurfaceに代表されるようなタッチスクリーンを持つノートブックが一般化していくことでしょう。

サブスクリプションサービスがメインストリームへ

これまでは企業が生産したモノやサービスを購入することが当たり前でしたが、近年、購入するのではなく「サブスクリプション」することが増えています。

サブスクリプションは、元々新聞や雑誌を定期購読する意味で使われていましたが、現在ではモノやサービスの利用権に対して料金を支払うビジネスモデルとして認知されてきています

例えば、Netflixは月額料金を支払うことで映画が見放題になる代表的なサブスクリプションサービスです。サブスクリプション方式は主にソフトウェア産業で発展してきたビジネスモデルですが、映画、音楽、書籍、ゲーム、洋服などあらゆるジャンルに広がってきています。

スタートアップのナイル株式会社は、定額料を支払うことで車をサブスクリプションできる「カルモ」というサービスを開始しました。車を購入するのではなく、ある一定の期間(1年~9年)車を保有する仕組みになっています。

車をサブスクリプションすることで、購入費を節約することができますし、使わなくなったらサービスを停止することもできます。

さらに驚くことに、お菓子のサブスクリプションも始まっています。株式会社スナックミーは、4種間または2週間に1回、お菓子が詰め込まれたスナックBOXを配達するサービスを始めています。

いわば購入行動もデジタル化されつつあると言えるでしょう。所有の概念に変革が起きており、さらなるイノベーションが期待される分野です。

2018年のキーワード「デジタルトランスフォーメーション(DX)」とは

音声検索やサブスクリプション、5Gなど様々なトレンドを紹介しました。消費者の行動の中にIT技術・ネットワーク技術が深く入り込んでおり、切っても切り離せないものになっていることがお分りいただけるでしょう。

そこですべての企業・自治体などに求められているのが「デジタルトランスフォーメーション」。日本語にすると「デジタルへの変革」です。バズワードとして使用される機会がある言葉でもありますが、日本では企業全体、あるいは部門単位でもDXに立ち遅れているのが現実です。働き方の見直しが求められます。

2004年にエリック・ストルターマン教授が提唱

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した概念です。

第1フェーズはIT活用による業務効率化。第2フェーズはITによる業務の置き換え。そして第3フェーズは業務がITへ、ITが業務へとシームレスに変換される状態を指します。

第3フェーズは、よりわかりやすく言うならば「人間が働くことを前提とした組織体系を、機械が働くことを前提としたもの」へと転換。ビジネス上の問題を解決する「最適解を見つけるための思考」などもITへと代替。属人的な「ものごと」はすべてデータとして扱い、デジタルによってすべての業務プロセスを改善していく。

こうしたプロセスをデジタルトランスフォーメーションと言います。2016年ごろから本格的な潮流となり、2018年6月現在、デジタルトランスフォーメーションを推している企業とそうでない企業の間ではコスト面などで2倍以上の差が生じているそう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)は既に完了済み?

このように書くと「自社の情報管理はクラウドに移行済みだから、デジタルトランスフォーメーション(DX)は完了しているのでは?」「弊社ではオウンドメディアを運用しており、コーポレートサイトも作り込んでいる。デジタルトランスフォーメーション(DX)は完了済みだ」といった疑問が浮かんでくることでしょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の定義とは一体なんなのでしょう。

デジタルトランスフォーメーションとは、ユーザーや企業を取り巻くデジタル環境への対応と発展を指す言葉です。特にマーケティング視点では、ユーザーのデジタル化された消費行動により深く入り込んでいくことが求められるのです。

具体的には、商品を買うまでのアピールだけに注力するのではなく、購入後の消費者行動にも着目したデジタルマーケティングなどを指します。

その際に鍵となるのが、ここまでに紹介したAI技術やIoT、音声検索やそれらを支えるインフラとしての5Gなのです。

2020年のITトレンド。需要が高まる職種は?

今日登場している機械学習、ブロックチェーン(仮想通貨)、VR・AR・MRなどの新技術は、2020年まで継続的な発展が見込まれています。

こうしたデジタルトランスフォーメーションの時代に、企業が求める人材とはどのようなものでしょうか。2020年に需要が見込まれる仕事はどんな仕事でしょうか?

コンピュータビジョンエンジニア

コンピュータビジョンとは、コンピュータの視覚について研究する分野です。最近、自動運転の実験がニュースで報道されることが多いですが、AIが目の前の物体の形状や距離を把握するのにコンピュータビジョンの技術が使用されています。

その研究対象は幅広く、カメラ、画像センサー、2次元画像処理、3次元画像処理、バーチャル・リアリティなどがあります。

コンピュータビジョンの技術を駆使した自動運転は、今後最も成長が見込まれる分野であるため、コンピュータビジョンエンジニアの需要は高まると予想されています。

機械学習エンジニア

機械学習は人工知能研究の一つで、大量のデータを使ってコンピュータが自ら学習することを可能にさせるものです。世界のトップIT企業がAIに莫大な投資を行っていることからもわかるように、AIは次の時代を先導するテクノロジーとなることが予測されています。

そのため、数学とアルゴリズムの知識のある機械学習のエンジニアの需要は非常に高まるでしょう。

ユーザーサポートの専門家

コンピュータ・テクノロジーがあらゆる産業に浸透し、情報システムが企業活動の根幹となると、システムを使う社員をサポートする専門家が必要になります。

テクノロジーは進歩し続け、システムはより高度に複雑になっていくので、システムを熟知している専門家の需要はあり続けるでしょう。

まとめ

以上、2017年と2018年のITトレンドを概観し、2020年頃に需要が高まる職種についてみてきました。

ITのトレンドはものすごく速いスピードで変化します。数年前までデファクトスタンダードだったものが、今では使いものにならないということが頻繁に起こる業界です。

そのような変化の激しい業界で生き残るためには、常に新しい技術にアンテナを張り、業界の動向を把握していくことが大切です。この記事を読むことで、近年のITのトレンドの流れを掴んで頂ければ幸いです。

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この記事を書いた人

Yoshi Otobe
アメリカの大学でジャーナリズムを専攻。帰国後、医療、教育、ビジネス、ITなどの分野でライティング、編集、翻訳業務に携わる。現在はITとプログラミングについて勉強中。「基本情報技術者試験」「ITパスポート」「Webクリエイター能力認定試験」などの資格を所有。

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