「内製化」という単語を聞いた際に、その単語がどのような意味を持っているのか、しっかりと理解されている方はまだまだ少ないのではないでしょうか。
現在までITシステムの構築など、専門性が高い部分は、外注したり専門家に丸投げをしていたという現実がありました。しかし、外部に委託することによってかかるコストを削減できないかという声から、内製化が注目をされてきているのです。
そこで本記事では、社会人ならば押さえておきたい「内製化」とは何かについて解説。内製化のメリット・デメリット、内製化する際の課題や方法なども解説します。
この記事の目次
そもそも内製化(インソーシング)とは
そもそも内製化とは何か、詳しく紹介します。
- 内製化=社外に委託していた業務を社内で行うこと
- 内製化の対義語
- 内製化で活躍するのはIT部門?
内製化=社外に委託していた業務を社内で行うこと
「内製化」とは、自社内では効率が悪いまたは経験がない事から外部へ委託していた業務を、自社に戻すことを指し、インソーシングと呼ぶこともあります。
簡単に言えば、社外の専門家を頼るのではなく、自社内で専門家を作ろうと考える動きとも言えます。
特にシステム関連の業務は、当初はそこまで重視されていなかった現実もあります。
しかし現代では、テクノロジーの活用は企業の持続的な活動を支える至上命題の1つとなり、常に管理下に置くことが必須となってきていることから、内製化に舵を切る企業が増えてきたのではないでしょうか。
内製化の対義語
内製化が自社内だけで完結させようと考える動きであるように、現在まで多くとられてきた考えとして、外部の専門家に頼るという動き方もありました。
これを内製化の対義語として「外製化」と呼びます。昨今よく聞く言葉としては、「アウトソーシング」の方が覚えのある方は多いのかも知れません。
また、わかりやすくなじみのある言葉としては、「外部委託」なども、内製化の対義語に当たるといえるでしょう。
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内製化で活躍するのはIT部門?
多くの企業で外部に委託されていた業務と言えば、専門外には難しいと思われがちなネットなどITにかかわる業務。このことから内製化が進む過程で、活躍することになるのは企業のIT部門だといえるでしょう。
また、そもそもITにかかわる部門を設けていない、という企業も多くあります。新しく部門が設立されることになるなど、内製化によってIT部門が大きく注目されることになるようです。
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内製化のメリット
内製化にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
- スピーディーな解決ができる
- コスト削減の期待
- 社内技術の向上
スピーディーな解決ができる
内製化による一番大きなメリットとして、業務を外部へ委託、また外部から納品されるという工程を省くことができるという面があります。
システム構築や、自社のオウンドメディアの設計など、計画立案から実際の構築までのすべてを自社内で行えるのであれば、意思の疎通もその場でできることになります。
これは業務の効率を大きく上げることができると言えるのではないでしょうか。
コスト削減の期待
どの業務を内製化するのか、という大きな問題がありますが、特に専門性が高い業務を内製化できる場合、大きなコスト削減が期待できます。
専門性の高い業務を外部の専門家に委託する場合、業務の専門性が高ければ高いほど、予算を大きくとられることになります。
この外部に回していた予算を、社内で使えるようになるというところが、コスト削減の肝になるのではないでしょうか。
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社内技術の向上
ここまで紹介してきたように、専門性が高いからこそ、自社内では対応できないというところから、外部への委託に踏み切ることになります。
しかし、これを自社の社員に割り振るようになれば、否応なしに技術の習得をする必要がでてきます。このことから結果的に、社内技術の向上が期待できるといえるのではないでしょうか。
また、社内だけで完結することができれば、技術の蓄積、流出を防ぐことができるという面でのメリットもあります。
内製化のデメリット
業務を外注化する企業もあるということは、内製化にはデメリットも存在するということです。内製化のデメリットを紹介します。
- 社内技術者の開発が急務になる
- はじめからスムーズにいくとは限らない
社内技術者の開発が急務になる
メリットの項でも紹介したように、外部の専門家へ委託することを止めるのならば、まず社内で業務をこなせるだけの技量を持った技術者が必要になります。
社内で業務をこなすことができる人材がいない状態で外部委託を止めてしまえば、業務が滞ってしまうだけになる恐れもあります。
まず最初に人材の育成、または採用を考えるところから始まるといえるでしょう。
はじめからスムーズにいくとは限らない
今まで外部に任せきりだったことを、社内だけで回していかなければならなくなった場合、意思疎通、または技術力が足りないという恐れが出てきます。
採用した技術者の実力が、外部委託先に及ばなかった場合。または、技術力はあるけれど、なぜそれが必要なのか、と言ったことを上司に納得させることができないケースなどがあげられます。
技術者が変わるということは、細かいところで現在までのやり方とも違いが出てくるということでもあります。
はじめのうちは細かくセッションを繰り返していくことになるのではないでしょうか。
【比較】外製化(アウトソーシング)のメリット
ここからは、外製化のメリットを見ていきましょう。
- 高い専門性が期待できる
- 人材の適材適所への配属ができる
高い専門性が期待できる
外製化の一番のメリットと言えるのがその高い「専門性」だといえます。
また、現在までに自社内でノウハウの蓄積がなかった分野に関しては、特に専門家に依頼することで、高い品質やスマートな製品を期待することもできます。
自社内では難しい事でも、実現してもらうことができるというところは、大きなメリットになるのではないでしょうか。
人材の適材適所への配属ができる
外製化に頼ることができれば、自社内の人材を無理に教育する必要がなくなるというメリットも出てきます。上記の面から、人材を適した部署に配属することができるようになります。
例として、「営業職を目指して入社してきた方を、人手が足りないからと言って、無理に技術部門に入れる。」をしなくてもよくなるということが考えられます。
極端な例ですが、優秀な人材の確保が難しい中小企業では、切迫した問題とも言えるでしょう。
【比較】外製化のデメリット
次に外製化にはどのようなデメリットがあるのか見ていきます。
- 技術の蓄積が自社でできない
- コストがかかる
技術の蓄積が自社でできない
「〇〇のできるシステムが欲しい」と、要望だけを出して外部に委託した場合、そのシステムがどのような過程を経て出来上がったものなのか、ということは委託した外部にしかわからないことになってしまいます。
例として、システム上に不具合が生じた場合など、社内では対応することができない事は、外部に調整をお願いすることになります。
これを繰り返していけば、自社内に確かにシステムはあるのだけれど、システムに関して詳しい人が誰もいないという事態に陥ってしまう可能性も出てきます。
技術の知識、習得、蓄積のすべてができないという、大きなデメリットを抱え込むことになります。
コストがかかる
内製化のメリットの項でも紹介しましたが、専門性の高い業務を外部に委託すれば、やはり高いコストがかかることになってしまいます。
特にIT関連の業務など、百万単位の大きな額が動くことも多くあります。
専門性が高いから自社ではできない。かといって外部に委託すれば莫大なコストがかかるというのは、多くの企業で抱える頭の痛い問題と言えるのではないでしょうか。
企業が内製化する際の課題
ここでは、企業が業務を内製化する際によくありがちな課題を見ていきます。
- 内製化率の調整
- 内製化にかかる費用対効果の算出
- 内製化だけにこだわることはない
内製化率の調整
最初の課題として、業務のどの部分を内製化するのかという点が大切になります。
「コスト削減を掲げて、自社内のすべての外製していた業務を内製化する」といったことをしても、業務が立ちいかなくなるのは明白です。
まずどの業務を自社内に戻すのか、どこまでの業務ならば今の人材で業務のクオリティを維持できるのか、といったところから考える必要があります。
企業全体から見て、業務の内製化率を調整していきましょう。
内製化にかかる費用対効果の算出
外製化の部分を内製化にシフトすることによって、どれだけのコストが削減できるのかということは、大きな関心の一つではないでしょうか。
しかし、ここまでに紹介してきたように、内製化を実行する前に人材の教育や採用を考えなければいけません。そして人材の教育や採用には、さらにコストがかかります。
一時赤字になったとしても、長い目で見ればプラスに持って行くことができるのか。また、そうするだけの価値がある業務なのか。と言った費用対効果の算出も大切なポイントになります。
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内製化だけにこだわることはない
すべの業務を内製化し、自社内だけで完結させなければいけない、というわけではありません。
もちろん内製化することによって、大きなメリットがあることは事実です。しかし、無理に内製化を進めても、うまくいかないこともわかっていただけたのではないでしょうか。
内製化だけにこだわるのではなく、業務によって内製と外製をバランスよく使い分けるのも、賢い選択だと言えるでしょう。
企業が内製化する方法
企業が業務を内製化するには、どのようなことをすればよいのでしょうか。ここでは、2つの方法について見ていきましょう。
- まずは人材の確保から
- 最初は派遣社員を活用する手もある
まずは人材の確保から
外製に頼らず内製化することによってメリットを得ようと考えるのならば、まずは人材を確保することから始めましょう。
外製している業務の担当を任せてみる、外製業務の技術を習得する、または技術を持った人材の採用などアプローチの仕方は多岐にわたります。
内製化によるメリットを享受するにはそれなりの時間がかかるので、一つ一つ手を付け考えていくことが一番の近道になるのではないでしょうか。
最初は派遣社員を活用する手もある
内製化を進めようと考えた際には、上記で紹介したように人材の確保が急務になります。
しかし、新たな人材を採用しようと考えたとしても、実際に会社が求めるだけのことができる人材かということは、面接だけではわからないことも多いものです。
また、面接をする人事自体がどこまでのことができればいいのか、と言ったところを把握する事が難しいという側面も。
これらの問題を解決するためには、もっと長期的なスパンで内製化を進めていくというやり方があります。社内で進めるための必要最低限の人材の確保のため、最初は派遣社員を活用するという手も使えるはずです。
その企業ごとによって、使える予算や予備知識も違うので、あらゆる面から内製化のために考えられる手を講じることも大切なことになるのではないでしょうか。
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内製化のメリット・デメリットを把握しよう
内製化とは何か、内製化のメリット・デメリット、内製化する際の課題や方法などを解説しました。
内製化とは、外部に委託していた業務を社内に戻すことによって、コスト削減や技術の蓄積などのメリットが期待できるものでした。
しかしメリットだけがあるわけではありません。人材の確保の問題から初期は逆にコストがかかるというデメリットも考えられます。
ただ、人材の育成に関しては、長い目で見れば決して損をするものではありません。これからは必須になるであろうITの技術、知識を習得しておくことは、会社にとっても有益なことと言えるのではないでしょうか。
内製化を進めるためにも、今一度自社内での技術の底上げが必要となっているのかもしれません。
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