パソコンやスマートフォンで、公私を問わずインターネットを利用する人は多いと思います。
そして、インターネットの技術を支えているのが、「サーバー」です。
そこで今回は、サーバーとは何かを初心者向けに分かりやすく解説していきます。
※この記事は現役エンジニアによって監修済みです。
この記事の目次
サーバーとは
インターネットを利用したり、電子メールを送受信するのに、サーバーは欠かせません。
しかし、「サーバーとは何か?」と聞かれると、説明できる人は少ないかもしれません。
そこで本章では、サーバーの概要や役割について分かりやすく解説します。
サービスのベースとなるデータを格納しておく場所
サーバー(Server)は、ブログやSNSなどのさまざまなサービスのベースとなるデータを格納する場所です。
データは、画像・音楽・動画・HTMLなど、状況に合わせて必要な情報を格納しています。
つまり、日常生活で使っているさまざまなWebサービスは、土台となるサーバーがあってこそ利用できるのです。
サーバーはインターネット上でデータを提供する
サーバーは、英語のserve(奉仕する、給仕をする)に由来する言葉であり、インターネット上でデータを提供するのが仕事です。
現実世界に例えるならば、商品やサービスを提供するお店をイメージするとよいでしょう。
そして、サーバーを理解する上で、以下の2つをおさえておかなければなりません。
- サーバーとクライアントの関係
- アップロードとダウンロードについて
これらの内容について、説明します。
サーバーとクライアントの関係
クライアント(Client)は、「サービスを受け取る側のコンピューター」を表しており、ノートパソコンやスマートフォンなどのデバイスに相当します。
現実世界に例えるならば、商品やサービスを購入するお客様というイメージです。
つまり、サーバーとクライアントは対の関係ということが分かります。
まとめると、クライアントはサーバーに対して必要な情報を要求し、クライアントは要求に応じて必要な情報を提供します。
アップロードとダウンロードについて
サーバーとクライアントの関係が分かると、アップロードとダウンロードの意味が分かります。
アップロード(Upload)は、クライアントがデータをサーバーに提供することを指します。
具体例は、YouTubeに動画を投稿したり、Instagramに写真を載せるなどです。
ダウンロード(Download)は、クライアントがサーバーからデータを受け取ることを指します。
具体例は、アプリストアからゲームをスマートフォンに取り込むなどです。
サーバーとサーバはどちらが正しい?
ちなみに、日本では「サーバー」と「サーバ」の表記パターンが存在します。
これらは、結論からいうと「どちらも正しい」です。
例えば、日本工業規格(JIS)の「JIS Z 830」では、「3音以上は語尾に長音を付与しない」ため、「サーバ」と記入します。
一方で、新聞記者向けの用語集である『記者ハンドブック』では、「サーバー」が正しい記入です。
つまり、明確に統一されたものではないため、特定の業界で制約がある場合を除けば、記入方法を意識する必要はありません。
仮想サーバーと物理サーバーとは
前章では、サーバーの概要や役割を解説しました。
これを踏まえて、本章では「仮想サーバー」と「物理サーバー」の違いについて解説します。
物理サーバーは実体のあるサーバー
物理サーバーは、その名の通り実体として存在するサーバーを指す言葉です。
物理サーバーは、サービスの提供元である企業やIT機器の運用を行うデータセンターに設置されています。
ハードウェアとしてのサーバーは、専用機を使うのはもちろん、使わなくなったノートパソコンを自宅サーバーとして代用する人もいます。
この記事もオススメ
仮想サーバーは物理サーバー上に構築される
一方で、仮想サーバーは実体の存在しないサーバーを指す言葉です。
仮想サーバーは、物理サーバーをシステム上で分割する「仮想化」という技術を使って構築されます。
仮想化のメリットは、1台の物理サーバーで複数のサービスを管理・運用することで、リソースを最大限に活用できることです。
そのため、仮想サーバーの構築は、大量の情報が行き交う現代の情報社会の中で、極めて重要な技術として認知されています。
サーバーの役割の種類
そこで本章では、さらに深掘りしてサーバーの役割から見たサーバーの種類を解説します。
Webサーバー:Webページを表示
Webサーバーは、Webページの画面や画像などを表示するのに必要な情報を提供するサーバーです。
Google ChromeやSafariなどのWebブラウザーでインターネットを利用する際には、Webサーバーは欠かせません。
また、WordPressを使ってブログを開設したり、Webサービスを作る際はWebサーバーの準備が必要です。
メールサーバー:メールの送受信
メールサーバーは、電子メールの送信や受信を担うサーバーです。
また、メールサーバーは単一で送受信を担っているわけではなく、以下のように分類されます。
- SMTP(Simple Mail Transfer Protocol):Port 25を使い、メール送信を行う
- POP3(Post Office Protocol version 3):Port 110を使い、メール受信を行う
- IMAP(Internet Message Access Protocol):Port 143(IMAP4の場合)を使い、メール受信を行う
上記の通りで、POP3とIMAPはメール受信を担う点で役割が同じです。
異なる点は、メールの情報をサーバーに残すのがIMAP、残さないのがPOP3です。
データベースサーバー:データベース管理システム
データベースサーバーは、「データベース管理システム(DataBase Management System、DBMS)」が稼働するサーバーです。
データベースは、あらゆる情報を一元的に管理するためのシステムで、企業の機密情報や顧客の個人情報といった、重要な情報が大量に保管されています。
そのため、サーバーの中でも特にストレージが大容量でセキュアなサーバーでなければなりません。
この記事もオススメ
DNSサーバー:ドメインとIPアドレスを紐付ける
DNSサーバーは、ドメインとIPアドレスを関連づける「DNS(Domain Name System)」の機能を提供するサーバーです。
ドメインは、インターネット上の住所であり、テックキャンプのホームページ(https://tech-camp.in/)における「tech-camp.in」の部分に該当します。
また、IPアドレスはドメインをコンピューターが認識しやすい形に変換したもの。例えば、テックキャンプのIPアドレスは「52.193.29.143」です。
そして、ドメインとIPアドレスを関連づけるDNSの仕組みにより、インターネットを通じたやり取りを可能にしています。
FTPサーバー:Webサーバーにファイルを送受信
FTPサーバーは、「FTP(File Transfer Protocol)」という仕組みを使い、Webサーバーにファイルを送受信するサーバーです。
FTPサーバーを利用する際は、「FileZilla」や「WinSCP」などのソフトウェアを使うことが多く、無料で使えるものが多いです。
ただし、現在はセキュリティリスクの観点から、SFTP(SSH File Transfer Protocol)などのセキュアな通信プロトコルを使うのがよいでしょう。
SSHサーバー:暗号化
SSHサーバーは、通信内容が暗号化される「SSH(Secure Shell)」で接続されたサーバーのことです。
前提として、サーバーはそれを運用する管理者のみがログインできる仕組みでなければなりません。
もし、第三者が不正にサーバーにログインすれば、個人情報の漏洩やサイバー攻撃などにつながります。
これらを防ぐために、SSHによりデータを暗号化することで、さまざまなセキュリティリスクを回避できるのです。
レンタルする時に知っておきたいサーバーの違い
しかし、物理サーバーは高価なため、企業ならまだしも個人でサーバーを購入する事例は少ないでしょう。
そのため、サーバーの準備においてはレンタルサーバーを使うのが一般的です。
そこで本章では、レンタル時におさえておきたいサーバーの違いを解説します。
共用サーバー
共用サーバーは、1台のサーバーを複数のユーザーが共同で利用するサーバーです。
共用サーバーを使うメリット・デメリットは、以下の通りです。
- レンタル料金が安い
- すでにレンタルサーバー会社が用意した環境を使うため、すぐに利用できる
- 専門知識がない初心者でも簡単に利用できる
- 同じサーバーを利用するWebシステムの影響に左右されてしまう
この記事もオススメ
専用サーバー
専用サーバーは、1台のサーバーを単一のユーザーが独占的に利用できるサーバーです。
専用サーバーを使うメリット・デメリットは、以下の通りです。
- 高スペックなため、アクセス数の多いサイトや大規模なWebシステムも安定的に運用できる
- カスタマイズの自由度が高く、ユーザーに合わせた最適な環境を構築できる
- 自由度が高い反面、専門知識がないと使いこなすのが難しい
- レンタル料金が高い
VPS(Virtual Private Server)
VPS(Virtual Private Server)は、「仮想専用サーバー」と呼ばれるものです。
これは、1台のサーバーを複数人で使用する共用サーバーとしての側面を持ちつつ、専用サーバーとしての高いカスタマイズ性も併せ持っています。
VPSサーバーを使うメリット・デメリットは、以下の通りです。
- 共用サーバーよりも他のWebシステムから受ける影響が少ない
- 専用サーバーに近いスペックやカスタマイズ性を持つ
- 設定や運用はユーザーに任せるため、専門知識がないと使いこなすのが難しい
クラウドサーバー
クラウドサーバーは、クラウド上に存在するVPSを指します。
低コストで運用・管理が簡単なことから、クラウドサーバーの需要は確実に伸びています。
クラウドサーバーを使うメリット・デメリットは、以下の通りです。
- 1つの契約で複数の仮想サーバーを建てられる
- システムの規模に応じて、スペックを自由にカスタマイズできる
- 料金体系は従量課金制が基本で、システムの規模が大きくなるにつれてコストは高くなる
また、代表的なクラウドサーバーは「AWS(Amazon Web Services)」や「Microsoft Azure」などです。
この記事もオススメ
自宅・自社でサーバーを建てる選択肢もある
しかし、さまざまな理由から自分で物理サーバーを建てたいと考える人もいるでしょう。
そこで本章では、自宅や自社でサーバーを建てる際の流れやメリットなどを解説します。
自宅・自社でサーバーを建てる基本的な流れ
自前でサーバーを建てる際の基本的な流れは、以下の通りです。
- サーバーに使う実機を準備する:専用機やノートパソコンなど
- サーバー公開用の回線を申し込む:既存の回線または新規にプロバイダーから回線を申し込む
- 固定IP、ドメイン、SSL/TLS サーバー証明書を取得する
- サーバー設定と最低限のセキュリティ対策を行う:OSのインストール(Linux、Ubuntu、Cent OSなど)、Webサーバー(Apacheなど)のインストール、SSHのインストール・Firewallの設定など
- そのほか、必要な設定と確認を行う:エラーハンドリングの確認・アクセス解析ツールの導入など
ちなみに、自社で物理サーバーを保有し、自社でサーバーを管理・運用するシステムを「オンプレミス(on-premise)」といいます。
自社サーバーを導入するメリット
自社サーバーを導入するメリットは、以下の通りです。
- CPUやメモリなどを物理的に交換したり追加できるため、会社に合わせたサーバーを構築できる
- 自社のネットワークを通じて構築されるため、レンタルサーバーと比較してセキュアな環境である
- 拡張性が高くさまざまなアプリケーションをインストールできる
自社サーバーを導入するデメリット
一方で、自社サーバーを導入するデメリットは、以下の通りです。
- 実機やネットワーク機器などを準備しなければならないため、導入コストが高い
- 導入してから実際に運用が開始されるまでに、一定の時間を要する
- 環境構築やセキュリティ対策などのすべてを自社で行うため、専門知識のあるエンジニアでなければ管理・運用が難しい
上記の通りで、自社サーバーを建てる際は、メリットとデメリットを考慮した上で検討しなければなりません。
サーバーを理解するとインターネットの仕組みが見えてくる
インターネットを支えるサーバーの基本的な内容について解説しました。
サーバーについて理解すると、普段は何気なく使っているインターネットに対する理解が深まるはずです。
また、サーバーへの理解を通してネットワークや情報セキュリティに関する知識が身につけば、ITリテラシーの向上につながります。
したがって、IT業界に携わる方に限らず、社会常識の1つとしてサーバーの仕組みを覚えておけば、今後のビジネスにおいても役立つでしょう。
この記事もオススメ
はじめての転職、何から始めればいいか分からないなら
「そろそろ転職したいけれど、失敗はしたくない……」そんな方へ、テックキャンプでは読むだけでIT転職が有利になる限定資料を無料プレゼント中!
例えばこのような疑問はありませんか。
・未経験OKの求人へ応募するのは危ない?
・IT業界転職における“35歳限界説”は本当?
・手に職をつけて収入を安定させられる職種は?
資料では、転職でよくある疑問について丁寧に解説します。IT業界だけでなく、転職を考えている全ての方におすすめです。
「自分がIT業界に向いているかどうか」など、IT転職に興味がある方は無料カウンセリングにもお気軽にお申し込みください。