あなたは世界中で注目を集める「EdTech」をご存知でしょうか。最近、日本でも注目されているEdTechですが、詳しく知らない方も多いと思います。そこで今回は、新しい教育を提供するEdtechの領域ついて詳しくご紹介します。
この記事を読めば、EdTechでできること、また実際にどのような革新的なサービスあるのか理解できます。
この記事の目次
EdTechとは
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EdTech(エドテック)とはEducation(教育)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語です。
EdTechは進歩を続けるテクノロジーの力を使い、教育にイノベーションを起こすビジネス領域として世界中で注目を集めています。
例えば、子供向けの知育アプリを提供するSmart Educationや、小中高生向けの教育をサポートするスタディサプリ、社会人向けでは英会話やプログラミングといった実践的なスキルが身につけられるschooやUdemyがあります。
このように、EdTechにはさまざまな教育に関する革新的なサービスがあります。
市場規模
今まで公の教育分野は主に、文化省などが管轄してきたため、こうしたITを活用したサービスが普及しにくい傾向にありました。
一方で政府は、2020年までに1人1台タブレットを配布する方針を発表しています。
しかし、マネタイズに成功しているサービスはまだまだ少なく、2020年までにどれだけマーケットが成長するか期待されるところです。
Edtechでできること
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オンライン講義を配信する
EdTechの領域におけるサービスを利用してできることをご紹介します。
まず、オンラインで講義を受けて学習できるサービスがあります。
その中でも、EdTechの火付け役ともいえる欧米の一流大学を中心としたオンラインで講義を受けられるMOOC(Massive Open Online Course)が人気を集めています。
その理由として、「一流大学の講義が無料で見られる」「課題や試験がある」「一定の水準に達すれば修了証をもらえる」などがあげられます。
インターネット環境があれば、好きな時間に好きな場所で好きなだけ学習ができるのがオンラインで講義を受けられるメリットです。
MOOCの有名なサイトとしてビル・ゲイツなども支援しているNPOのKhan Academyや、世界中の60以上の大学の講義が受けられるCourseraなどがあります。
教師や生徒のコミュニケーションを促進する
次に、教師や生徒のコミュニケーションを促進する教育向けのSNSがあります。
たとえば、学校の教育向けSNSとしてEdmodoがあります。
授業内容についての質問やディスカッションができ、宿題の配信・提出、また連絡ツールといった教育をサポートする機能があります。
アカウントが先生・生徒・保護者にわかれており、生徒の状況を先生と保護者で管理・共有ができ、安心して利用できます。
また、教える側の先生のコミュニケーションの場として、SENSEI NOTEがあります。
学校の枠をこえたオンライン職員室として、先生方が日々の教育に対する意見交換が行われています。また、教材・資料も共有できるので、教育の品質の向上にも役立てられています。
教育の進歩には教えられる生徒だけでなく、教師・講師といった教える側の技術の向上も重要な要素として考えられています。
学習状況を管理する
また、学習状況を的確に管理し、効率よく学習することもEdTechで注目されている分野です。
インターネットの発展により、e-ラーニングは身近なものになり、利用したことがある方も多いのではないでしょうか。
そのe-ラーニングを使いやすくするLMS(Learning Management System)と呼ばれる学習管理システムがあります。
e-ラーニングの要となる教材の配信や成績などを統合して管理するプラットフォームです。
オンライン上に教材を置くことで、配布コストを減らし、アップデートが簡単にできるなどメリットがあります。
しかし、さまざまなユーザーを正確に管理し、どの教材をどのように使うかという指示が必要になるといった問題点がありました。
これを担当者が解決するにはWebに対しての技術や知識が必要となり、多くの時間とコストがかかります。この問題を解決するために開発されたのがLMSです。
LMSの主な機能として、「ユーザー・教材の管理」と「学習の進捗状況の管理」があり、ユーザーに合わせた教材や講座を割り当てられ、効率的に学習を進めることができます。
前述したEdmodoにもこのLMSが使われています。
多様な学び方を提供する
EdTechの領域で、楽しんで学ぶ「ゲーミフィケーション」とそれぞれに最適な学習内容を提供する「アダプティヴラーニング」が大きな潮流として注目を集めています。
ゲームフィケーションは、ゲームが持つ人を楽しませるノウハウをゲーム以外の領域で生かすことです。
ゲームのようにレベル・ポイント・ミッションの要素を取り入れることや、難易度を続けたくなるレベルにチューニングするなど、ゲーム作りにおけるさまざまなノウハウを利用します。
そこにランキング・チャット・対戦などのコミュニケーションの要素を加えるなど、ユーザーを続けて楽しませるにはどうしたらよいかと工夫します。
このように、ゲーミフィケーションはゲームのように「ハマる」コンテンツを作り、学習を楽しむことを目的としています。
次にアダプティヴラーニングは、それぞれのユーザーに合わせて学習内容を自動調節して提供する、教育者の目指してきた理想の教育を実現しようとするものです。
アダプティヴラーニングの考え方は以前から存在していました。先生が生徒の学習状況を把握して、それぞれの生徒に合わせた最適な教育を行おうと取り組む、アダプティヴラーニングと同じ考え方です。
しかし、今までは学力に基づいたクラス分けなど大きな枠組みで取り組むのが限界で、先生の理想を実現するものではありませんでした。
それを改善するために利用されたのが「ビッグデータ」です。
ビッグデータはさまざまな種類のデータを集め、分析し、さまざまな情報を見つけることができます。そのため、企業だけでなく、政府や研究機関もビッグデータは注目されています。
アダプティヴラーニングは、そのビッグデータを教育に利用し、それぞれのユーザーの学習データを広い範囲で大量に集め、それを分析・反映し、最適な学習内容を提示します。
このように、アダプティヴラーニングやゲーミフィケーションなどの学習の効率を上げる仕組みは、ユーザーに合わせた多様な学び方を提供できます。
Knewtonやすららといったサービスにも取り入れらており、EdTechの中でも新たな教育の潮流として盛り上がりを見せています。
Edtechサービス8選
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次におすすめのEdtechサービスについてご説明します。
Udacity
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Udacityはオンラインで講義が受けられるサービスで、Web制作やプログラミングなど自分の目的に合わせたコースの学習を選び、専門的な勉強ができます。
また、Udacityの学習プログラムはGoogle、Facebook、AT&T、IBM、GitHubといった世界有数の企業が協力して作られており、しっかりと学習を行えば、あなたの能力を確実に伸ばせるサービスです。
そして、UdacityはIT技術だけでなく、幅広い最先端の知識について学ぶことができるおすすめの学習サイトです。
1つ1つは数時間で終わらないくらい長いものだけど、それゆえにきちんと基本から専門的なことまできちんと体系だって勉強できる。これはきっと、社会に出てからなかなか得られる機会じゃない。
スタディサプリ
出典:スタディサプリ
株式会社リクルートによって運営されている、学習サポートをする学習向けオンライン総合学習サービスがスタディサプリです。
学生をターゲットとし、小中高生向けや大学受験向けとさまざまな内容の講義がきめ細かく用意されています。
自分のレベルに合わせて基礎から応用まで選べるので、苦手な教科の克服や得意な科目を伸ばすといった使い方ができます。
そして、月額2,178円と低い利用料金もスタディサプリの魅力のひとつです。
利用料が非常に低額で、苦手分野だけを受講することもできるので、
自宅浪人生のみならず現役生や予備校生も勉強の補助や夏期講習代わりとして必ず受講することをお勧めします。
※価格は執筆時の内容です。最新の情報は公式サイト等でご確認ください
Udemy
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知識を持った教えたい方と学びたい方を結びつける、オンライン学習のプラットフォームがUdemyです。
世界中で1000万人以上が利用しており、40000以上のさまざまなコースを選んで学習ができる世界最大級の学習サイトです。
また、ベネッセが事業パートナーとなっていることからも信頼度の高さも魅力です。
私は1日1時間から30分程度ほど、Udemyに時間を割り当てています。亀ペースですが、教則本を積ん読にしているよりも着実な効果を感じます。
Edmode
出典:Edmodo
Edmodoは教育向けSNSとLMSの機能をもったサービスです。
学校の職員だったNic BorgとJeff O’Haraによって設立されたEdmodoは、教育者の目線で作られたアプリとしてその機能性の高さから注目を集めています。
プライバシーを考えたクローズドな利用が可能で、限られた教員と保護者のみ閲覧ができます。
また、メモ・統計・テストなど最初から使えるツールの付属や、Facebookに似た親しみやすいUIも特徴です。
Edmodoは生徒のつながりを強め、学習の整理ができ、世界中のアプリケーションの利用にも役立ちます。
このように、学ぶ力を最大限に生かすことができるグローバルネットワークがEdmodoです。
学校向けのクローズドなSNS“システム”の導入とか、そういうハードルの高いものではなく、こうした無料のサービスを利用することで、特に若い先生達が新しい世の中に対応する教育を実現できるのであれば、これほど素晴らしいことはない
SENSEI NOTE
出典:SENSEI NOTE
SENSEI NOTEは学校の先生同士がつながるSNSです。
SENSEI NOTEを使えば、同じような経験・状況を共有出来る先生同士が交流・相談し、ナレッジの共有や活用を実現できます。
学校という教育の現場で、子供たちの教育に向き合う多くの先生方がいます。
その先生方が交流を持つことで、より生き生きとした場所に学校がなることを目的にSENSEI NOTEは運営されています。
先生が生徒と向き合うために、良い教育をするために先生自身が豊かな存在でなくてはいけないと私は思います。SENSEI NOTEは、他の先生の知恵を参考にすることで先生方の時間活用を効率化し、また悩みを相談できる場を設けることで先生に余裕を作ることができればと考えています。
Knewton
出典:Knewton
2008年に設立されたKnewtonは1300万人以上のユーザーを誇る、アダプティヴラーニング・プラットフォームです。
ひとりひとりの学習状況に合わせて最適な課題が提示されますので、確実に知識を身につけられます。
学習内容は分析され、わかりやすく可視化されます。教える側と学習者で学習状況を把握でき、それぞれに合わせた学習環境が作れます。
また、どのようにユーザーが教材を利用して学習したかがわかりますので、教材の改善に役立てられます。
アメリカの例だが、Knewtonを導入したアリゾナ州立大学の数学コースでは、単元ごとの習熟度が向上することで離脱率が56%低下し、合格率は65%から78%に向上。その上、ほぼ半数の生徒は通常のコース終了日より、4週間早く修了できた
引用元:ビッグデータが教育に与えるインパクトとは_ KnewtonとClassiで広がる世界|2ページ目|ソリューション|IT製品の事例・解説記事
すらら
出典:すらら
すららはインターネットを利用し、ゲーム感覚で学習できる対話型のデジタル教材です。
親しみやすいキャラクターによる動画で学習内容の解説があり、まとめプリントによって要点の確認ができます。
さらに、ドリルで学習内容に合わせた問題を解き、テストを受けることで自分の学力を客観的に判断できます。
また、「すららカップ」と呼ばれるすらら利用者同士が学力を競う、ソーシャルゲームの要素も組み込まれています。
このように、動画配信型・問題集型・ゲーム型をバランス良く組み合わせた教材がすららの特徴です。
すららを始めてから、学習習慣が身につきました。
面倒くさがりやなので、紙の参考書や問題集はなかなか続きませんでした。
他のタブレット教材を使っていた時も、1日15分~30分程度しか勉強していませんでしたが、今は学校がある日でも7~8時間勉強しています。
Smart Education
Smart Educationは幼稚園児など未就学児を対象とし、スマートフォンやタブレット端末を利用した知育アプリを提供しています。
日本向けの「こどもモード」と、グローバル向けの「Gocco」という二つのブランドを展開しています。
グローバル市場での「定番」となる知育アプリの制作を目指しており、品質の高さが特徴です。
たとえば、「こどもモード おやこでリズムえほん」では、本物の楽器を録音した音の良さと親しみやすいUIにより、親子で楽しめる知育アプリを実現しています。
スマートエデュケーションのアプリが入ったiPadを導入してから数ヶ月経ちますが、子ども同士が喧嘩になっているのを見たことはありませんし、使い方について注意したこともありません。自然と社会性が生まれているように思います。
引用元:スペシャルインタビュー 「幼稚園での活用 学校法人 聖愛学園聖愛幼稚園 園長 野口 哲也氏」|SMART EDUCATION, LTD.
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まとめ
EdTechは、テクノロジーを利用した新しい教育の形を提供するビジネス領域として、さまざまな拡がりをみせています。
アメリカでは2008年頃から、日本では2013年頃から注目を集めるようになったEdTechは、まだ始まったばかりであり大きな可能性を秘めています。
同時にEdTechの発展にはさまざまな課題もあります。学校教育への導入においては、学校や家庭のネットワーク環境の整備が必要です。
また、企業側は無料で高品質なサービスがある中で、どのように集客をして、サービスをマネタイズするのかといったさまざまな課題があります。
しかし、このような課題があるということは、あなたのアイディアを生かして解決できるビジネスチャンスと捉えられます。
なぜなら、IT人口の不足によるIT人材の育成の必要性や、小学校へのプログラミング教育の検討などを受けて、日本でもさらにEdTechは注目されることが予想できるからです。
このように、ビジネスの新たな領域としても可能性・将来性のある、EdTechへあなたも一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。
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