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社会問題の食品ロス(フードロス)とは。フードシェアリングアプリが解決策に?

更新: 2021.02.16

あなたは世界的に問題となっている「食品ロス(フードロス)」を知っていますか?

食べられる食品が廃棄されてしまう食品ロスは日本でも大きな社会問題として関心が高まっています。将来的な食料不足が予想されていることからも、これは他人事ではありません。そこで今回は、食品ロスについて詳しく紹介します。問題の解決を目指す様々なアプリやサービスをはじめ、家庭でできる食品ロスへの取り組みについても理解できます。

深刻な社会問題である「食品ロス」(フードロス)とは

日本では人口が減っていますが、世界的に見ると人口は増加を続けています。それに伴う食糧不足に対して、様々な国が解決策を模索しているのが現状です。

そのような地域があるにも関わらず、日本を含む先進国では食料がムダになってしまう「食品ロス(フードロス)」が大きな社会問題となっています。

食品ロス(フードロス)について

食品ロスとは、まだ食べられるけれど廃棄している食べ物のことです。多く作りすぎてしまったり、消費期限や賞味期限が来てしまった食べ物を捨ててしまうことで食品ロスは発生します。

食品ロスは社会問題として関心が高まっており、NHKをはじめとする様々なメディアでも取り上げられています。下記のNHKのWebサイトでは、具体的な食品ロスに対する取り組みの事例が掲載されています。

“食品ロス”を減らせ|けさのクローズアップ|NHKニュース おはよう日本

日本の食品ロスは年間で約632万トン

政府広報オンラインによると、日本では年間で約632万トンの食品ロスが発生しているとあります。これは、日本人1人あたりでお茶碗1杯分に相当。食料消費は全体として約2800万トンとあり、食品ロスは約23%にあたります。

日本の食料自給率が39%であることを考えると、食品ロスがどれだけ深刻な問題であるかがおわかりいただけるでしょう。また、2014年の世界の食料援助料は320万トンであることも知っておくべき事実です。日本の食品ロスの軽減は社会貢献にもつながると言えるでしょう。

食品ロスが発生する場所とは

飲食店・小売店・食品メーカー・家庭など、食事に関わる様々な場所で食品ロスは発生します。大量の食品を扱う企業で食品ロスが多いイメージがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、家庭における食品ロスが実は多く、約半分にあたります。企業だけでなく、家庭でも食品ロスへの対策に取り組む必要があるのです。

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食品ロス(フードロス)の解決に取り組むことで生まれるメリット

食品ロスが軽減すれば、よりムダのない食料の消費が可能になります。しかし、メリットはそれだけに留まりません。

食品の廃棄にかかる費用を削減できる

食品ロスは、食べ物がムダになってしまうだけでなく、それを廃棄するためにコストがかかります。廃棄する食品を減らせれば、それにかかる費用を削減できます。また、海外では、余った食品を「寄付」することで税金が控除される国もあります。

小売価格が引き下がる可能性

廃棄の費用は食品の小売価格に上乗せされているという事実をご存じでしょうか。つまり、その分の費用が抑えられれば、必然的に小売価格が下がることは十分に考えられるのです。これは、消費者だけでなく、企業にとっても流通や製造にかかるコストを抑えられるというメリットが考えられます。

ゴミ問題の緩和につながる

大量の食品ロスが軽減されれば廃棄が減るため、ゴミ問題へのアプローチとなるという側面もあるのです。ゴミ処理施設で燃やすゴミが減れば、排出されるCO2も削減されます。食品ロスの改善は、循環型社会の実現への取り組みとも言えるでしょう。

食品ロス(フードロス)を解決するアプリやサービス

以下で、社会問題となっている「食品ロス」の解消や軽減を目指すアプリやサービスについて、取り組む分野ごとに紹介します。

フードシェアリングで廃棄を減らす

フードシェアリングとは

飲食店などで、余ってしまった食材や料理は廃棄されてしまいます。その食品を食べる人とシェアすることを「フードシェアリング」と呼びます。廃棄する食品が減るため、食品ロスの解決策の1つとして期待されています。

TABETE

ガイアの夜明けなど、多くのメディアでも取り上げられるている国内初のフードシェアリングサービス。コークッキングが提供する廃棄される食事を利用者に安く販売するサービスです。

現在は、東京都を中心にサービスが提供されています。店側にとっては、自分たちが提供されている食事をより多くの方に食べてもらえるきっかけにもなるでしょう。

【 TABETE 】フードロス削減をねらう国内初のフードシェアリングサービス | 株式会社コークッキング

Reduce Go

※2021年2月現在、サービスは終了しています

Reduce Goは余剰食品を提供している小売店やレストランなどから、1日2回までフードを受け取れるフードシェアリングアプリです。

海外のフードシェアリングのやり方をそのまま採用するのではなく、日本のマーケットに合わせて「月額制」にしてリリースしたことが人気の理由です。利用する際は住んでいる地域に対象の店舗があるか忘れずに確認しましょう。

‎「Reduce GO」をApp Storeで

Reduce GO – Google Play のアプリ

Too Good to Go

Too Good to Goは、イギリスをはじめとするヨーロッパ8カ国で利用できるフードシェアリングアプリです。廃棄直前の食事があるレストランを見つけて、利用者はその食事を安く購入できます。TABETEに近い機能を持ったアプリと言えるでしょう。大学の助成金で設立されており、営利目的ではないため料理の価格が低く設定されていることが特徴です。

Too Good To Go | United Kingdom

食材を賢く購入する

KURADASHI

賞味期限が近い食材などを安く買うなど、販売者と購入者のどちらにもメリットがあるサービスも展開されています。

「KURADASHI」は、食品ロスの解決に取り組む社会貢献型のECサイトです。「賞味期限の近い食品」「季節商品」「終売商品」などの商材を中心に扱っているため、格安で購入できることが特徴です。

出品者は廃棄する商品を減らすことができ、利益につながるというメリットがあります。しかし、利用者は安くお得に購入できるだけではありません。購入した金額の一部は社会活動団体に寄付されるので、利用するだけでその活動をサポートできるのです。

食品ロスに対する取り組みを持続的に行うためのサイクルが考えられたサービスと言えるでしょう。

KURADASHI.jp

EcoBuy

NTTドコモは食品ロスを減らすためのアプリである「EcoBuy」の実証実験を2018年1月19日から2月28日まで行いました。東京都環境局資源循環推進部計画課が公募を行なった「持続可能な資源利用に向けたモデル事業」の一環として実施。

EcoBuyは賞味期限・消費期限が近くなった食品を通知し、利用者はそれを購入するとインセンティブとしてdポイントを獲得できます。これにより、食品ロスを減らすシステムの構築をNTTドコモは目指しているのです。

また、ポイントが獲得できるだけでなく、その食品をどのように調理するかレシピを提案してくれる点がユニークです。今後の本格的な導入が期待されます。

SEND

SENDは、生産者とレストランなどの消費者を結ぶ「農畜水産物の流通支援プラットフォーム」です。流通を非効率にする壁を取り除き、持続可能な食料生産を支える個を目的としています。

生産する側がデータをSENDに登録すると、消費する側は直接購入ができます。形は悪いけれど味は良いなどの通常の流通では出荷できない食材のロスが減り、消費する側は食材のオーダーを中間の流通を通さずに効率的に行うことが可能です。

SENDは金銭的なやりとりの管理や配送センターとしての役割を担っています。産地と都市をシームレスにつなぐサービスと言えるでしょう。

SEND(センド) – 農業の未来を担う生産者支援・出荷プラットフォーム

tabeloop

tabeloopは外食チェーンなどの食事を提供する買い手と食品メーカー・小売店・農家・漁師などの売り手をつなぐプラットフォームです。無料で出品ができ、注文が簡単であることが特徴です。食品ロスの解決に取り組むBtoBのビジネスモデルとして注目されています。

tabeloop

フードバンクを利用する

フードバンクとは

フードバンクという言葉をはじめて聞いたという方もいらっしゃるでしょう。包装の破損・余剰在庫・終売商品といった飲食には影響のない問題で流通ができない食品や余剰となっている食品をを企業などから寄付を募り、必要とする人々に無償でその食品を提供する活動をフードバンクと呼びます。アメリカでは1967年から開始されており、日本でも2000年以降からフードバンクの活動が取り組まれるようになりました。

セカンドハーベストジャパン

セカンドハーベスト・ジャパンは、10年以上に渡って食品ロスの削減と食料の供給に関する活動を行なっているNPO法人です。フードバンクの活動を行う代表的な団体と言えるでしょう。食料を提供する支援者とそれを必要とする人々を結ぶ幅広い活動を行なっています。

SECOND HARVEST(セカンドハーベスト・ジャパン)

Goodr

フードバンクの活動と類似した食品ロスを解消する新しいビジネスモデルがアメリカのGoodrです。余った食品を抱える企業から連絡が入り、それをGoodrが回収を行います。それをNPOや貧しい家庭に配送を行って食品ロスをなくすという仕組みです。

企業側は食品の廃棄にかかるコストを減らせるだけでなく、寄付する食品に応じて税金が控除されます。Goodrのアプリには、その控除された税金の金額や寄付した食品の量が管理可能です。日本でもぜひ展開してほしいサービスではないでしょうか。

Goodr – Feed More Waste Less

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食品ロス(フードロス)解消に向け、家庭で出来る取り組み

食品ロスは企業だけが取り組む問題ではありません。家庭での取り組みも必要不可欠です。以下で、家庭での食品ロスの問題に対する取り組み方について解説します。

ムダなく食材を使う

食品ロスに対する改善が進んでいないのは、実は家庭における取り組みです。家庭での食品ロスを減らす3つのポイントを以下にまとめました。ぜひ、参考にしていただき食品ロスの軽減に取り組んでみてください。

  1. 食材・食品の在庫を確認して買いすぎない
  2. 消費期限と賞味期限を混同しないで正しく消費する
  3. 食べ切れる量を考えて調理する

1と3はムダを減らす上でとても重要です。当然に感じるかもしれません。しかし、安い時に大量に買ってしまって食べきれなかったという経験がある方は多いのではないでしょうか。ムダなく食材を使い切れれば、「食費の節約」「食材の鮮度の維持」といったメリットも生まれます。

また、2について違いがわからないという方もいらっしゃるでしょう。消費期限は「安全に消費できる期限」です。賞味期限は「おいしく食べられる期限」という違いがあります。賞味期限を過ぎても、味・色・ニオイなどに問題がなければ食べられますので覚えておいてください。

ドギー・バッグの利用も手段の1つ

家庭での食事に気を配っていても、外食の際にはどうしても食べきれない料理が出てしまうでしょう。食べ切れる量のメニューを注文するのが、外食の基本となります。ランチなどでは店員の方に量を伺って、「少なめにしてください」など前もって確認する方法もおすすめです。

それでも食事が残ってしまった場合には、欧米では一般的になっている「ドギー・バッグ」を利用するのも手段の1つです。ドギー・バッグは食べきれない料理をテイクアウトすることを指します。日本でもドギーバッグ普及委員会などが、自己責任での食事の持ち帰りを推奨しています。

ドギー・バッグは残さずにおいしく食べることができ、店側も気持ちよく料理を提供できるというメリットがあります。一方で食中毒などが発生した際に誰が責任を負うのかという問題もあります。そのような衛生面での理由から、ドギー・バッグを店舗側から断られるケースもあるのです。

ドギー・バッグを利用する際は自己責任であることを認識して、店側に迷惑がかからないように利用しましょう。

関心が高まるフードテック(FoodTech)

食品ロスへの取り組みを含むフードテック(FoodTech)という分野への関心は、日本だけでなく海外でも高まっています。

ITの活用で食の分野にイノベーションを

ITを活用することで食の分野におけるイノベーションに取り組む「フードテック」。食糧問題は地球規模で問題となることが予想されており、シリコンバレーをはじめとする世界の投資家・起業家・企業から注目を集めています。

すでにアメリカやイスラエルではMemphis MeatsやSuperMeatといったスタートアップが誕生。食品の製造や管理において、より無駄のないシステムなどが普及すれば、食品ロスを減らすことにつながるでしょう。

最も関心が高まっているのは食肉の分野

フードテックで最も関心が高まっているのは、食肉の分野です。食肉業界の市場規模が大きいため、企業はその構造を根底から変えるビジネスチャンスと捉えています。

大豆などの植物由来の成分や動物の細胞を培養して生成する「人工肉」。この人工肉の研究が進めば、生産や流通など様々な面で効率化が実現できるとされています。また、必要な食料を必要な分だけ生産できれば、食品ロスに対する解決策の1つとなるのではないでしょうか。

さいごに

このように、食品ロスの解消に対する取り組みは食糧不足の解決や、未来へと続く持続的な食のサイクルを実現するためにとても大切です。今回紹介したサービスやアプリは食品ロスに対して、効果を発揮する可能性は高いでしょう。

しかし、フードシェアリングのサービスが「使える地域が限定されており、加盟店も少ない」という問題があるように、日常的に食品ロスを軽減するサービスが利用されるようになるためにはまだ課題が残されています。

企業だけでなく個人単位でも食品ロスに対して意識を持ち、生活の中で取り組みを継続していくことが重要になるでしょう。

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この記事を書いた人

Kimura Hiroto
音楽・ITをはじめとするさまざまなジャンルのライティングを行っています。ITエンジニアの経験を生かし、テックキャンプ ブログでの執筆・編集を担当。好きな食べ物は豆腐。

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