バックエンドエンジニアとは、Webアプリやサービスなどの裏側(サーバーサイド)の開発を担当するエンジニアです。企業や個人による多種多様なWebコンテンツ制作が盛んになる中、システムの根幹を担うバックエンドエンジニアにも注目が集まっています。
この記事では、バックエンドエンジニアの仕事内容、必須スキルや今後求められるスキル、年収などについて詳しく解説します。
仕事のやりがいやつらいことなどの現場の声も紹介するので、未経験からバックエンドエンジニアを目指したい人はぜひ最後までご覧ください。
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この記事の目次
バックエンドエンジニアとは
バックエンドエンジニアとは、アプリやWebサービスなどのWebコンテンツ制作に関する職種の1つ。サーバーやデータベースなどのシステムの根幹となる仕組みの構築や運用が主な業務内容です。
フロントエンド・バックエンドとは
「技術者」や「工学者」を意味するエンジニアは、担当する業務によってWebエンジニア、サーバーエンジニアなどのように「◯◯エンジニア」と呼ばれるのが一般的です。
バックエンドエンジニアの名前に含まれている「バックエンド(back-end)」とは、Webコンテンツの裏側、つまりユーザーから見えない部分を担当します。
反対に、Webコンテンツのデザインや入力フォームなどのユーザーから見える表側の部分は「フロントエンド(front-end)」と呼ばれ、これを担当するのがフロントエンドエンジニアです。
目的地までの最適なルートを見られる「乗り換え案内アプリ」を例にもう少し詳しく解説しましょう。
ユーザーが目的地を入力する画面や、各ルートの所要時間などが表示される画面を作るのがフロントエンドエンジニアの仕事。ただ結果を表示するのではなく、バス・電車などのアイコンでデザイン性を高めたり、どのルートが最もおすすめなのかを一目でわかるように工夫したりします。
一方、バックエンドエンジニアは入力情報を元に最適なルートを計算したり、お気に入り登録された目的地をデータベースに保存したりする仕組みを開発します。
このようにバックエンドエンジニアの仕事はユーザーの目に直接触れることはありませんが、Webコンテンツ制作に欠かせないものなのです。
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サーバーサイドエンジニアとの違い
バックエンドエンジニアと業務内容が似ている職種に「サーバーサイドエンジニア」があります。
サーバーの選定や構築、運用などもバックエンドエンジニアの仕事であるため、サーバーサイドエンジニアとバックエンドエンジニアは同じ職種として扱われることが多いです。
しかし、企業やプロジェクトによっては以下のように使い分けられるケースもあります。
- サーバーサイドエンジニア:Web開発工程のサーバーサイド(選定、構築、運用など)のみを担当する
- バックエンドエンジニア:Web開発工程のフロントエンド以外の部分を担当する
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バックエンドエンジニアの仕事内容
チャットアプリやSNS、ネットショッピングなど、私達は日々スマートフォンやWebブラウザで様々なWebコンテンツに触れています。
実際にユーザーとして見たり触れたりする画面を制作するフロントエンドエンジニアと違い、システムの中を担当するバックエンドエンジニアの仕事は想像しづらい人もいるでしょう。
ここからはバックエンドエンジニアの主な仕事内容を解説していきます。
サーバー構築・保守
システムを動かすために欠かせないサーバーは、システムの規模や想定される利用人数、セキュリティ要件などに応じて適切に選択しなければいけません。
それらの点を考慮しながら、オンプレミス型やクラウド型のサーバーの選定、インストール、設定をするのがバックエンドエンジニアの仕事です。
また、サーバーは一度導入すれば終わりではなく、その後も必要に応じてメンテナンスしていく必要があります。
運用開始後に問題があれば設定を変更したり、構成やプログラムを改善したりなど、システムがトラブルなく動作し続けるための対策を取ることも仕事の1つなのです。
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データベース構築・保守
データベースとはデータを保管しておくための倉庫や引き出しのようなもの。管理方法が悪いと、データを取り出すために時間がかかってしまったり、大切なデータが外部に流出してしまったりする可能性があります。
バックエンドエンジニアは、データを安全に、かつ効率的に管理するために必要な要件(速度、セキュリティなど)を整理し、構築するのが仕事です。
特にネットバンキングやオンラインショッピングなどでは、個人の名前、住所、クレジットカード番号などの機密情報を扱うため、データベース管理・運用に関する高いスキルが求められます。
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バックエンドエンジニアに求められるスキル
バックエンドエンジニアを目指す場合、まずは必須となるPHPなどのプログラミング言語を身につけます。
そして、より現場から求められる市場価値の高いエンジニアになるためにプラスアルファのスキルを身に着けていきましょう。
必須スキル
バックエンドエンジニアになるために必須のスキルは以下の通りです。
バックエンド系開発言語
必須スキルとしてまず挙げられるのが、PHP、Pythonを始めとするバックエンド開発系のプログラミング言語を扱う技術です。
PHPとはWeb開発でよく使用されるスクリプト言語です。サーバーサイドでのHTMLコードの生成やデータベースとの連係などができ、動的なWebアプリケーション作成を可能にします。仕様や文法が単純なので、初心者でも比較的習得しやすいと言われています。
Pythonも初心者向けの言語としてよく紹介されているプログラミング言語の1つ。仕様、文法がわかりやすく、短いコードで様々な処理ができるのが特徴です。
Webサイト構築から組み込みアプリ開発、ディープラーニングまで様々な分野で利用されており、You TubeのバックエンドにもPythonが使われています。
その他、RubyやPerlなどを使ってバックエンド開発を行う現場や、大規模システムの場合ではJavaやC++が使われる現場もあります。
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各種フレームワーク
フレームワークとは、使用頻度の高い機能や処理などのプログラムの設計・開発を簡単にできるようにした仕組みのことです。システムの基本的な部分がフレームワークとして提供されるので、それを土台にアレンジをしていくことで、開発期間の短縮が期待できます。
バックエンド系のフレームワークとしてはCakePHP、Django、Laravel、Ruby on Rails、Expressなどがあります。フレームワークは数多くあるので、具体的に開発に携わりたいシステムや気になっている企業などから決めると良いでしょう。
今後市場価値を高めるのに役立つ+アルファのスキル
様々な開発現場で幅広く活躍できるバックエンドエンジニアになるために、プラスアルファで必要なスキルは以下の通りです。
フロントエンドの開発スキル
仕事を進める上で、バックエンドエンジニアはフロントエンドエンジニアとのやり取りも多く発生します。バックエンドエンジニアが構築した土台の上に、フロントエンドエンジニアが実際にユーザーが触る画面を作っていきます。
両者は互いに協力して開発を進めることが必須である一方、双方の意見や理想が対立してしまうことも。プロジェクトをスムーズに進めるためには、バックエンドエンジニアとしてフロントエンドの知識も持ち合わせていることが理想です。
具体的にはJavaScript、HTML、CSSやそれに関連するフレームワークの知識、UI/UX設計スキルなどが挙げられます。
さらに、フロントエンドとバックエンドの両方のスキルを持ったエンジニアが「フルスタックエンジニア」です。広範囲な知識と高い技術力が求められる分、希少性や市場価値も高くなり、年収アップが期待できるでしょう。
クラウドに関する知識
最近ではAWS(Amazon Web Services)やGCP(Google Cloud Platform)などのクラウドサービスを利用したWeb制作も普及しています。
各サービスの特長やメリット・デメリットを理解し、これらを使ったシステム構築ができると、バックエンドエンジニアとしての価値をさらに高めることに役立ちます。
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未経験からバックエンドエンジニアを目指す方法
Pythonなどのプログラミング言語スキルに加えて、データベース、セキュリティなどに関する知識も求められるバックエンドエンジニア。
アプリやシステムの根幹部分を担うという責任の高さから、バックエンドエンジニアに関する求人の多くで2、3年程度の担当業務に関連する実務経験やシステム開発経験を求めています。
全くの未経験から目指すことは少しハードルが高いといえますが、無理というわけではありません。
「バックエンドエンジニアに求められるスキル」で紹介したPHPやPythonなどのプログラミング言語スキルを身に着け、未経験でもOKの求人に応募してみましょう。
最近では社内で教育することを前提に、未経験者を積極的に採用する企業も増えています。次のような資格取得やポートフォリオ作成などスキルを証明できるものを用意し、自信を持って望んでみましょう。
- PHP技術者認定試験:一般社団法人PHP技術者認定機構が開催している民間資格。PHPプログラミングの全般的な技術力が問われる。
- Oracle認定Javaプログラマ:Javaに関するスキルをBronze、Silver、Goldの3つのランクで認定する。
- Linux技術者認定試験:Linux技術者としての知識や技術力を認定する試験。レベル1〜3がある。(レベル1は初心者向け、レベル2、3は実務経験者向け)
バックエンドエンジニアの平均年収
求人ボックスによると、東京都でのバックエンドエンジニアの平均年収は673万円となっています。
一般的な会社員よりも高い水準になっていますが、これは実務経験が豊富なベテランエンジニアも含めた金額です。
その証拠に、同じく求人ボックスでの未経験のバックエンドエンジニアの平均年収は514万円と、上述した東京のバックエンドエンジニアの全体平均よりも150万円以上低くなっています。
年収分布を見ても300万円〜400万円台が多く、他のエンジニア職種と同様、経験やスキルによって大きく差があることがわかります。
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バックエンドエンジニアのやりがい・つらいこと
ここまでバックエンドエンジニアの業務内容やスキルについて解説してきました。
実際にバックエンドエンジニアとして現場で働いている人は、どのようなことにやりがいやつらさを感じているのでしょうか。
やりがい
Webコンテンツの土台部分を担当するバックエンドエンジニアは、プロジェクトの立ち上げ当初から運用開始まで長く、綿密にプロジェクトに関わります。
最初はまっさらで何も動かなかったシステムやアプリが、実際に動いて、たくさんのユーザーに使ってもらえるようになった時のやりがいはとても大きなものでしょう。
また、ディレクターやフロントエンドエンジニアなど様々な関係者とも積極的にコミュニケーションを取り、協力しながらプロジェクトを進めます。
時には難しい要求やトラブルなどもあるでしょうが、それらをチャレンジとして捉えられる人にとっては、刺激のある職場と言えます。
スキルや経験が収入に反映されやすいため、自主的なスキルアップができる人や地道な努力が得意な人にも向いている職種です。
つらいこと
サーバーやデータベースなどシステムの根幹部分を担うことから、責任が重く、常に正確さを求められることにつらさを感じる人もいるようです。
アクセス集中などのトラブルやエラーでサービスが止まった場合には、残業や休日出勤で対応することもあります。特にベンチャーや中小企業ではバックエンドエンジニアが社内で自分1人だけというケースもあり、その責任は重大です。
また、フレームワーク、OS、データベース、ミドルウェア、クラウドなど幅広い知識が求められることから、そのキャッチアップが大変だという声も。「仕事が好きで仕事に関する勉強も苦にならない」という人でないと、つらく感じられるかもしれません。
バックエンドエンジニアとは?まとめ
Webシステムやアプリの裏側を担当するバックエンドエンジニアは、まさに「縁の下の力持ち」のような職種。
様々な要件を考慮しながらサーバーやデータベースを構成していくので、物事を筋道立てて考えるのが好きな人や、コツコツ仕事を進めるのが好きな人にはぴったりと言えるでしょう。
未経験から目指す場合には、まずは基本のプログラミングスキルを習得した後、プラスアルファのスキルで市場価値を高めていきましょう。
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