Web制作に関連するエンジニアであるフロントエンドエンジニア。Webコンテンツの普及と多様化に伴い、需要が高まっている職種の1つです。
この記事では、フロントエンドエンジニアの仕事内容、必須スキルや今後求められるスキル、年収などについて詳しく解説します。
仕事のやりがいやつらいことなどの現場の声も紹介するので、未経験からフロントエンドエンジニアを目指したい人はぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
フロントエンドエンジニアとは
フロントエンドエンジニアとは、HP、ブログ、サービスサイトなどのWebコンテンツ制作を行うエンジニア職種です。
Webコンテンツ制作は一般的に「企画、設計、デザイン、実装、テスト、運用」の流れで行われます。フロントエンドエンジニアは、Webデザイナーが作成したデザインを基にHTML、CSS、JavaScriptなどの技術を使って実際に動くサイト・サービスを実装するのが仕事です。
フロントエンド・バックエンドとは
フロントエンドエンジニアの名前の由来になっているフロントエンド(front-end)とは、Webコンテンツの中のユーザーが直接目に触れる部分を指します。
フロントエンドの反対、つまりWebコンテンツの中のシステム(データ取得、処理、保存など)のことをバックエンド(back-end)と呼びます。この領域の開発を担当するエンジニアが「バックエンドエンジニア」です。
全国各地の天気予報が見られる「お天気アプリ」を例にもう少し詳しく解説しましょう。
ユーザーが天気予報を見たい地域を入力する画面や、予報が晴れなら太陽、雨なら傘のマークを表示する仕組みなどを開発するのがフロントエンドエンジニアです。
一方、バックエンドエンジニアはユーザーの入力内容に基に天気予報のデータを取得したり、お気に入り登録された地域をデータベースに保存したりする仕組みを開発します。
このように、Webコンテンツ制作には前側と後ろ側の両方のシステムを開発するエンジニアが必要なのです。
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フロントエンドエンジニアが生まれた背景
フロントエンドエンジニアは、Webコンテンツの普及とIT技術の多様化によって求められるようになった比較的新しい職種です。
フロントエンドエンジニアが生まれる以前は、Webデザイナーやコーダー(コーディングをする人)がフロントサイドの実装も担当していました。
しかし、技術の進歩によってより複雑・多様なコンテンツ制作が可能になってくる中で、フロントサイド開発に特化したエンジニアの存在が求められるようになったのです。
フロントエンドエンジニアの仕事内容
フロントエンドエンジニアの主な仕事は、作画されたデザインを基にWebサイトやサービスを実装していくことです。
例えばメールマガジンの登録画面であれば、入力フォームを作ったり、登録ボタンを配置したり、パスワードが文字数などの条件を満たしているかのチェックを行ったりします。
必要なスキルについてはこの後に詳しく解説しますが、HTML、CSS、JavaScriptなどのスキルが求められます。
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マークアップエンジニアとの違い
フロントエンドエンジニアとよく似た職種にマークアップエンジニアがあります。
マークアップエンジニアとは、HTMLやCSSなどの「マークアップ言語」を使い、Webデザイナーのデザインを基にコーディングを行う職種です。
フロントエンドエンジニアもマークアップエンジニアもWebコンテンツのユーザーの目に触れる部分を担当することに変わりありませんが、求められるスキルに違いがあります。
具体的にはマークアップエンジニアが主に使うのはHTMLとCSS。これらを使いSEO対策、効率的なWeb構造の構築などを行います。一方、フロントエンドエンジニアはHTMLとCSSに加えて、JavaScriptやPHPなどのプログラミング言語の知識も求められます。
このため、フロントエンドエンジニアはマークアップエンジニアよりも高い技術力と幅広い知識を持つ上位職と考えられることが多いです。なお、企業によってはマークアップエンジニアがフロントエンドエンジニアと同じような業務を行っていることもあります。
フロントエンドエンジニアに求められるスキル
フロントエンドエンジニアになるためには、WebデザイナーのデザインをWebサイト・サービスに反映させるための技術力が必要です。
具体的に習得すべきスキルを「必須スキル」と「市場価値を高めるために必要なプラスアルファスキル」に分けて解説していきます。
必須スキル
業務を行うための必須スキルとしてまず挙げられるのが、CSS、HTML、JavaScriptを扱う技術力です。これがないと仕事が始められないので、未経験者はこれらの技術の習得から始めましょう。
また、フロントエンドエンジニアはWebデザイナーやディレクターなどのコンテンツ制作に携わる様々な職種の人とも会話することになります。このためWebデザインやSEOなどのWeb制作全般に関する基礎知識を理解しておくことも重要です。
効率的に開発を行うための仕組みである「フレームワーク」や「ライブラリ」を扱う技術を習得することも忘れてはいけません。
ライブラリとは、使用頻度の高い機能や処理などのプログラムをパッケージとしてまとめ、再利用できるようにした仕組みのこと。フレームワークとは、単体の処理を行うライブラリに加えて設計までもできるようにした仕組みです。
ライブラリやフレームワークを活用することで、Webコンテンツの開発はより容易に、短期間に、そしてより安全に進められます。有名なフレームワークにはReact、Vue、Angularなどがあります。
今後市場価値を高めるのに役立つ+アルファのスキル
Webコンテンツの多様化に伴い、今後はフロントエンドエンジニアに求められるスキルもより高度に、幅広くなってくると見られています。
フロントエンドエンジニアとしての市場価値を高めていくために役立つスキルを4つ紹介します。
モバイル対応
多くの人が1台以上のスマートフォンやタブレットなどの端末を所有するようになった現代、Webサイトやサービス開発においてもモバイル対応は必須となっています。
スマートフォンの小さい画面でも文字は読みやすいか、画像はくっきりと表示されるか、操作はしやすいかといった視点は、ユーザーの満足度を向上させるために欠かせません。
フロントエンドエンジニアとしては、モバイルユーザーに配慮したデザインを設計するスキルやそのデザインを実装するスキルを身につけると良いでしょう。
UI/UX設計
ただ作られたデザインを基に実装するのではなく、UIやUXを理解したエンジニアになることも今後求められてきます。
UI(User Interface/ユーザーインタフェース)とは、ユーザーが触れる画面上の入力や表示などの仕組みのこと。UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)とは、サービスなどによって得られるユーザー体験を指します。
本来WebコンテンツのデザインはWebデザイナーの担当でした。最近ではフロントエンドエンジニアがデザインの段階から企画に関わることも増えています。現場にとっては開発の前工程からエンジニアが携わることで、より実現可能性と精度の高いデザインを作成できるなどのメリットがあります。
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サーバーサイド言語
フロントエンドエンジニアは、業務上サーバーやデータベースなどの開発を担当するバックエンドエンジニアとのやり取りも多く発生します。
当然サーバーサイドの仕組みや技術も理解している方が彼らとの会話もスムーズに行くため、開発中のトラブルや差し戻しの防止に繋がります。
CMS構築
CMS(Contents Management System)とは、専門知識がなくてもWebコンテンツ制作ができるシステムのこと。代表的なCMSにはWordPressがあります。
最近ではCMSを用いて企業のブログ、HPなどを開発・運営する企業も多くあります。フロントエンドエンジニアとしてCMSを使ったサイト構築ができると、仕事の幅も広がります。
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未経験からフロントエンドエンジニアを目指す方法
HTML、CSS、JavaScriptを始めとする幅広い知識が求められるフロントエンドエンジニア。未経験からなる方法はあるのでしょうか。
プログラミング初心者やエンジニア未経験からフロントエンドエンジニアを目指す場合は、まず「フロントエンドエンジニアに求められるスキル」で紹介した必須スキルを習得しましょう。
HTMLやCSSは初心者向けの技術なので、独学でもある程度は学習できます。効率的に学びたい人や実践スキルを身に着けたい人はプログラミングスクールがおすすめです。
必須スキルを身に着けた後は、未経験者でもOKな求人に応募しましょう。IT業界の人材不足を受け、近年では入社後の研修制度を用意した上で、未経験者を積極的に採用する企業も多くあります。
未経験でもフロントエンドエンジニアになるチャンスは十分にあるので、自信を持って挑戦してください。応募時にはポートフォリオなどでスキルと意欲をアピールすると良いでしょう。
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フロントエンドエンジニアの平均年収
求人ボックスによると、フロントエンドエンジニアの仕事の平均年収は約573万円。
一般的な平均年収よりも高い一方、最も多いのが495〜566万円の層であることや、全体幅が351〜925万円と広いことから、スキルや経験によって大きく差が出ていることが予測されます。
「フロントエンドエンジニアに求められるスキル」で解説した通り、HTML、CSS、JavaScriptの知識だけではなく、フレームワーク、Webデザインなどの知識も磨くことで、年収アップが期待できるでしょう。
フロントエンドエンジニアのやりがい・つらいこと
ここまでフロントエンドエンジニアの業務内容やスキルについて解説してきました。
実際にフロントエンドエンジニアとして現場で働いている人は、どのようなことにやりがいやつらさを感じているのでしょうか。
やりがい
フロントエンドエンジニアはユーザーが実際に目に触れて、操作する画面を開発します。自分が開発に携わったシステムやアプリが世の中に出て、多くの人に使ってもらうことができた時が、大きなやりがいを感じられる瞬間の1つです。
また、最近ではWebデザインも担当するフロントエンドエンジニアの需要も高まっています。少数精鋭のメンバーでプロジェクトを進めるベンチャーなどでは、デザイン~実装のすべてのプロセスを1人で担当することも。
知識と技術を活かして、クリエイティブな仕事をしたい人にはぴったりでしょう。
また、Web制作に関する技術は変化が激しく、常に新しい技術や手法が開発されています。「最新の技術に触れていたい」「新しい技術を使ってチャレンジしたい」という人にもよい刺激になるはずです。
つらいこと
幅広いスキルが求められることから「知識のキャッチアップが大変」との声がよく聞かれます。
頑張ってスキルを習得しても、数年後に新しい技術や手法が出てきたら、それらを学び直さなければいけません。自発的な情報収集やスキルアップが苦手な人によっては、フロントエンドエンジニアの仕事が大変に感じられる可能性があります。
加えて、フロントサイドを担当する業務の特性上、Webデザインやサーバー構造などの他の要素に影響を受けやすい点もつらさの1つ。
Webデザイナーが途中でデザインを変更したり、バックエンド側の都合でフロントエンド側の仕様を変えなくてはいけなかったりなど、柔軟な対応が求められるシーンも多いようです。
フロントエンドエンジニアとは?まとめ
HP、ブログ、サービスサイトなどのWebコンテンツの「顔」となる画面の実装を行うフロントエンドエンジニア。幅広いスキルや技術、継続的なスキルアップなどが求められるつらさはありますが、自分の仕事が目に見える形で表されることにやりがいを感じるエンジニアが多いよう。
未経験の人は、まずはHTML、CSS、JavaScriptなどの基本的なスキルの習得から始めましょう。
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