この記事では、よくあるプロジェクトマネジメントの失敗例を紹介。プロジェクトの正しい振り返り方も解説します。
プロジェクトとその失敗の定義とは
まずは、プロジェクトとその成功と失敗の定義について解説します。
そもそもプロジェクトとは
プロジェクトは、組織の内部・外部において何らかの目的を達成するために構成される業務を指します。
この業務を遂行する集団が「プロジェクトチーム」、その管理者が「プロジェクトマネージャー」です。
プロジェクトには、おもに以下のような特徴があります。
・基本はチームを組んで取り組む
・目的と評価できる目標(QCD)が定められている
・複数の業務によって目標を達成する
プロジェクトやプロジェクトマネジメントの基本については、以下の記事をご覧ください。
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プロジェクトの成功・失敗の定義について
プロジェクトの成功・失敗のもっともわかりやすい判断基準は、QCDが達成できたかどうかです。QCDは「品質(Quality)」「コスト(Cost)」「納期(Delivery)」を意味します。
この3つの項目において、目標を達成できたかどうかが基本となるでしょう。
プロジェクトの内容によっては、最後にS(Service・Support)やF(Flexibility)を加える場合もあります。
このように、クライアントによっては納期を守るだけでなく、その後の満足や変化への対応力もプロジェクトの成功・失敗の判断基準の1つとなる場合があるのです。
プロジェクトマネジメントでよくある失敗のケース
はじめてのプロジェクトマネジメントで失敗を経験する人は少なくありません。
失敗を繰り返さないためには、どのような場合に失敗するのか理解することが大切です。
以下で、よくある失敗の原因について解説する。
プロジェクトの目的を見失う
プロジェクトを進める中で、日々のタスクをこなすことでいっぱいいっぱいになり、その目的を見失うことは失敗するケースとしてよく見られます。
目的を見失えば、課題の解決とはマッチしていない作業に注力してしまい、何度もやり直しや見直しが必要となるでしょう。
そもそもプロジェクトの計画を立てていないことが原因の場合も
プロジェクトの目的を見失うのは、そもそも「プロジェクトの計画を立てていない」ことが失敗の原因の場合もあります。
プロジェクト計画書は、マニュアルのようなものであり、進捗を確認するマイルストーンにもなるものです。これがなければ道標がない状態ですので、失敗する可能性は圧倒的に高くなります。
作成の時間やコストを渋ったり、面倒に感じたりしてプロジェクト計画書を作らないことはやめましょう。
期間内に完了できなかった
実際にプロジェクトを進めると想定以上に工数がかかったなどの理由で、期間内に完了できないケースです。
進捗・課題の管理が不十分な場合や、そもそものスケジュールをタイトにし過ぎたことも原因となることもあるでしょう。
期間内に完了させるには、スケジュールに柔軟性を持たせることが大切。また、進捗を正確に把握して、状況によっては人員を増強するなどの判断が必要です。
クライアントの協力が得られなかった
プロジェクトは、クライアントの協力を得ることが成功の秘訣。
一般的にお金を払っている発注者であるクライアントは非協力的な姿勢を取ります。しかし、それをよしとするとなかなか要件や仕様が決まらないでしょう。
ある程度で妥協して十分に要求が掘り下げずに問題を放置したまま進めると、当然失敗しやすくなります。
チームがパフォーマンスを発揮できなかった
プロジェクトメンバー同士のコミュニケーションが不足すると、チームが正しく機能せずにパフォーマンスを発揮できないケースもあります。
不満を抱えていれば、役割に対する責任意識も希薄になりやすいです。そうなれば、メンバー間やチームマネージャーに対しても不信感が生まれます。
プロジェクトマネージャーはプロジェクトを進めるのは人であるということを意識して、スキル・経験・性格に適した役割を与えましょう。
プロジェクトのキックオフを行って帰属意識を高め、ミーティングによってモチベーションを維持するなどの具体的な施策を実施しましょう。
プロダクトが使われなかった
システム開発などのプロジェクトにおいて、納品はしたもののプロダクトは使われなかったという失敗のケース。
プロジェクトは目的を達成するための業務ですので、プロダクトが使われなければ明らかに失敗です。
使われはしたけれど、作業の工数が増えたり、PVが減ったりなど課題に対して効果がなければ、同様に失敗と言えるでしょう。
失敗したプロジェクトの正しい振り返り方
プロジェクトマネージャーの目線から、失敗してしまったプロジェクトの正しい振り返り方について解説します。
どこに問題があったのかが理解できれば、次のプロジェクトに生かせるでしょう。
クライアントからの協力を得られたか
クライアントとの関係性を築き、プロジェクトに対して協力は得られたか考えましょう。チェックするポイントは、以下を参考にしてください。
・要件や契約について認識を合わせる
・プロジェクト計画書に対して合意を得る
・クライアントの役割とタスクを明らかにする
・問題や不明点が発生した際に報告する
要件定義が終わった後も、不明点や想定外の事象が発生したら確認するなど、適切なタイミングで状況報告を行うと関係が築きやすいです。
プロジェクト計画書の作成と共有を徹底したか
プロジェクト計画書を作成し、プロジェクトメンバーへの共有を徹底することはプロジェクトマネジメントの基本です。
プロジェクト計画書の作成について以下の項目は最低限必要。
・目的
・ゴール
・スコープ
・スケジュール
・コスト計画
・体制
・コミュニケーションマネジメント
・リスクとその対策
作成段階から、メンバーと協力して内容を精査することが大切です。プロジェクトのスタートの段階で、100%の完成度である必要はありません。
ただし、決まっていることと決まっていないことをプロジェクトメンバーとしっかり共有しましょう。
メンバーの能力を把握して適切に配置したか
プロジェクトメンバーの経験・スキル・得意・不得意などを把握して、適切に人員を配置できたか考えましょう。
チームはそれぞれの長所を生かし、足りない部分をフォローしあえる状態にすることが大切です。
そのような状況を生み出すためには、信頼関係が築けるコミュニケーションがとりやすい環境の整備も求められます。
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プロジェクト管理は実施したか
タスク管理・進捗報告などを行って、プロジェクトの状況を正確に把握できれば、失敗する可能性は低くなります。
・要件定義から詳細なタスクに落とし込んだか
・スケジュール管理を行ったか
・状況を正確に把握できる進捗報告を実施したか
・上長に進行状況を報告したか
進捗報告は曖昧な内容ではなく、詳細が伝わる内容で行わせることを徹底することが大切。
問題が発生したタイミングと理由は何か
発生したタイミングと理由が把握できれば、同様の問題の発生を未然に防ぐことにつながります。
場合によっては、その問題は計画の段階からすでに内包されていて、プロジェクトを進めていったことで顕在化することもあります。それが理解できれば、プロジェクト計画書の作成の精度も向上するでしょう。
クライアントの様子はどうだったか
問題が発生した際のクライアントの様子も思い出してみましょう。プロジェクトではなく、クライアントの状況変化によって問題が発生した可能性もあります。
そのようなクライアントの変化を把握できていたかも振り返るポイントとなるでしょう。
どのような方法でリカバリーしてプロジェクトを完了させたか
問題に対して、「リカバリーをどのように行ったのか」「対応は適切だったのか」を考えます。
・プロジェクトの目的はブレなかったか
・クライアントの満足が得られない理由と課題を明らかにしたか
・クライアントの言いなりになっていなかったか
・プロジェクトメンバーに情報を共有したか
・上長への報告は迅速に行ったか
・プロジェクト完了後はどのようなケアをしたか
問題発生からどのようなリカバリーをしたのかは、次に生かせる大きなポイントです。
問題の切り分けや対応方法の選択、クライアントとのコミュニケーション取り方など反省点は多くあるでしょう。
プロジェクトマネジメントの中で得た気づきは何か
プロジェクトを完了させてどのような気づきがあったか、上記で紹介したポイントを踏まえて改めて考えましょう。振り返る上で、悪いところだけでなく、よいところにも気づいたはずです。
「失敗した」「成功した」と結果だけで見るのではなく、できたことに対して自信を持つことも重要。
失敗を繰り返さないだけではなく、自身やチームの成長を測る上でも正しい振り返りは大切なのです。
必ず成功するプロジェクトはない
どのようなツールを使って工夫したとしても、必ず成功するプロジェクトはありません。
ただし、問題や課題をクリアしてプロジェクトマネジメントを適切に行うことで、失敗するプロジェクトを減らして、成功するプロジェクトを増やすことはできます。
失敗に落ち込むのではなく、正しく振り返って次のプロジェクトに生かして成功の可能性を高めることが重要です。
この記事は未経験はじめてのプロジェクトマネジメントについて説明している12ステップ記事のひとつです。
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