「社内の情報共有を円滑にしたい」
「ナレッジマネジメントについて詳しく知りたい」
などと考えていませんか?
本記事では「ナレッジマネジメントとはなにか」についてを解説。また、「ナレッジマネジメントが広まっている背景」「導入するメリット・デメリット」などについても紹介しています。
ナレッジマネジメントについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にして下さい。
ナレッジマネジメントとは
まずはナレッジマネジメントについて以下で詳しく解説していきたいと思います。
知識や経験を会社全体で共有する経営手法の1つ
ナレッジマネジメントとは、知識や経験を蓄積し、企業内で共有することで、企業の組織・競争力を向上させる経営手法の一つです。
企業の規模が大きくなったり、組織が細分化されたりすると、情報をうまく共有することが難しくなり、結果として機会損失などにつながりやすくなってしまいます。
共有する情報は独自のノウハウや技術情報など、企業によってさまざまです。
口頭で共有する方法もありますが、共有漏れなどが発生しやすいので、データベース化し、社員全員が常時アクセスできるような仕組みを構築することが重要となっています。
ナレッジマネジメントの歴史
ナレッジマネジメントに注目が集まったのは1990年代。日本発の経営理論とされており、一橋大学大学院の野中郁次郎教授らが提唱したと言われています。
野中氏によると、ナレッジマネジメントは、知識の活用そのものだけでなく、組織にとって有効な知識や情報を共有することで、新たな知識や知見が生み出される仕組みを指しているようです。
アメリカのコンファレンス・ボードの調査によると現在では、世界の多国籍大企業の80%が、なんらかの形でナレッジマネジメントのプロジェクトを実施しています。
暗黙知と形式知
知識やノウハウは暗黙知と形式知に分けられます。以下ではこの2つについて説明します。
暗黙知は勘や知恵のようなもの
社員それぞれの経験や技術から培われていく勘や知恵を、暗黙知と呼びます。暗黙知は何もしなければ組織に共有されることはありません。
その社員がいなくなってしまえば、それらの知見は無になってしまうのです。暗黙知は文書など形にすることで形式知となります。
形式知は文書などの形にしたもの
形式知は暗黙知を文書などの形にしたものです。共有可能な形にすることで、ナレッジとして知見を組織内に積み重ねていくことができるようになります。
SECI(セキ)モデルがコアとなるフレームワーク
SECI(セキ)モデルというフレームワークによって、知識の移り変わりを示すことができます。また、これらは以下の4つのフェーズに分けて考えられるのです。
共同化(Socialization)
経験を共有することで、暗黙知を創造するプロセスです。同じ経験を通して、感覚的に知識を共有し、精神的な認知や身体的な技能の暗黙知を創り出します。
表出化(Externalization)
暗黙知から形式知に変わっていくプロセスです。文書や図式化、マニュアル化などがこれに含まれます。複数人で対話を重ねながら、暗黙知を共有できる形に変換します。
結合化(Combination)
すでに存在する形式知と他の形式知を結び付けて、新しい知見を生み出していきます。この段階を経て、個々に存在する形式知を機能させることができるようになります。
内面化(Internalization)
暗黙知が形式知として共有された後、フィードバックを受け、新たな暗黙知として社員それぞれに取り込まれていくプロセスです。
形式化されたナレッジを個人が取り込んでいくことで、個人と組織の知的資産となります。
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ナレッジマネジメントが広まっている背景
ここでは、ナレッジマネジメントが広まっている背景を紹介します。
どのような理由でナレッジマネジメントが広まっているのか、見ていきましょう。
企業の在り方が変化しつつある
ベテランの暗黙知が職場で受け継がれていく企業風土や文化は日本企業の強みでした。しかしこのような継承には時間がかかり、あまり効率的ではありません。
さらに終身雇用制度の崩壊や、雇用形態が多様化などが進む現代の社会では、このようなやり方で社内に知見を維持するのは難しくなっているのです。
スピード化とグローバル化が必要とされている
ビジネスはインターネットやインフラの発達、内需の減少などさまざまな要因から、グローバル化が進んでいます。
IT技術の発達により、事業のスピード感も求められるようになっており、かつてよりビジネスは複雑になっているのです。
そのため、従来のナレッジマネジメントのやり方での情報共有は難しくなっており、デジタル化されたナレッジマネジメントが注目されるようになっています。
4タイプのナレッジマネジメントツール
ナレッジマネジメントツールには、大きくわけて4つのタイプがあります。
ここでは、それぞれのタイプについて見ていきましょう。
業務プロセス型
特定の業務についての知識と、その業務の進め方についてのナレッジを共有できるようにする方法です。
コールセンター業務などの場合、顧客やユーザーからの問い合わせ内容、その内容ごとの対処法など、顧客対応業務に関するさまざまな情報をデータベース化することで、満足度の高い回答プロセスが共有可能となります。
経営資産・戦略型
組織内外のさまざまな事例を分析し、データベース化していきます。あらゆる事例を多角的に分析し、類似の事例と比較してどのような違いがあるのかなどを明確にしていきます。
その結果を戦略的な意思決定の基準とすることができるようになるのです。現在の業務の流れに改善できる部分はないかなどの、業務フローの見直しにも役立ちます。
ベストプラクティス共有型
組織内で特に優秀な社員の行動や思考パターンを共有し、組織全体のスキルを高めます。
例えば営業成績が優秀な社員のトークや資料などを形式知として共有できれば、他の営業担当者や、新人営業マンも参考にすることが可能になります。
ヘルプデスク型(FAQ)
社内で頻出する質問をデータベースとして構築します。これにより、わざわざ知っている人を探して質問をしなくても、知りたい情報にすぐアクセスできるので、業務効率化につながります。
ナレッジマネジメントシステムとしてはもっとも一般的なもので、さまざまなツール・システムが存在します。
近年では業務用チャットアプリSlackのボット機能が業務上頻出する質問に答える、といった仕組みを構築している企業も存在するようです。
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ナレッジマネジメントのメリット
ここではまず、ナレッジマネジメントを導入することによって得られるメリットについて見ていきましょう。
業務の効率化につながる
知見をまとめて共有することで、同じような文書を作成したり、口述する必要がなくなったりするので、業務の効率化につながります。
効率的な業務フローを共有することで、新入社員などもスムーズに業務に加わることができるようになるのです。
情報の伝達スピードが上がる
ひとまとめにしたデータベースに社員がアクセスできれば、社内文書や重要事項をすぐに共有することができます。
会議などで共有するよりも、迅速かつ正確に情報伝達が可能になるでしょう。その結果、従業員の生産性をアップさせたり企業の競争力を強化することができます。
新しいイノベーションが生まれやすい
縦割りだけでなく、他の部門とも情報共有ができるので、新しい考え方に結びつきやすいというメリットもあります。
従来であれば知ることのできなかった他部署の情報を得ることで、個々人の可能性をさらに広げることができるでしょう。
業務の属人化を防ぐことができる
属人的な仕事は、その人が退職してしまったら業務が遂行できなくなるなど、組織にとってリスクとなります。
ですが情報共有をして、社内全員が知識を持っていれば、引き継ぎなどもスムーズに行えますし、トラブルが起きた際もカバーできるようになります。
顧客への対応力がアップする
部署間の情報伝達がスムーズになるので、開発現場や営業部門へ顧客・ユーザーの意見を届けやすくなります。顧客対応力の強化も期待できるでしょう。
また、営業活動などでは、アポや受注に欠かせない情報をデータベース化することで、クライアントへの対応も向上させることができます。
ナレッジマネジメントのデメリット
メリットがあれば反対にデメリットも存在します。ここではナレッジマネジメントを導入したことにより生じるデメリットを見ていきましょう。
リソースが必要
ナレッジマネジメントを実施するためには、コストや設備などのリソースが必要になります。導入コストなどから躊躇する企業も多いです。
またナレッジマネジメントは、コミュニケーションのあり方を大きく変えるもの。定着するまでに時間がかかることもありますし、社員の中には抵抗を感じる人もいるかもしれません。
運用ルールを定めないと続かない
ナレッジの共有に時間を割けない場合もありますし、成果主義の職場ではノウハウを率先して共有したがらない人もいるでしょう。
もしナレッジマネジメントを行う場合は、運用ルールを厳密に定めておく必要があります。
うまく活用できない場合もある
ナレッジが集まっても、情報の取捨選択ができなければ、うまく知見を活用できない場合もあります。有効に活用できるナレッジを的確に積み上げる工夫が必要です。
以下、ナレッジマネジメント導入のステップやチェックポイント、ツールなどを紹介した記事となっています。ぜひ、こちらもあわせてご覧下さい。
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