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ビジネス会計検定とは?メリット・出題範囲・簿記との違いなど解説

更新: 2023.04.11

ビジネス会計検定とは、財務諸表を理解するための知識を問う試験です。企業の財務・経理職や営業職についている人はもちろん、会計の知識を身に着けたい学生や個人にもおすすめの資格です。

この記事では、ビジネス会計検定について、試験概要、簿記との違い、各級の出題範囲などを詳しく解説します。

資格を取得するメリットや注意点、学習方法についても解説するので、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。

ビジネス会計検定とは

プログラミング問題を解く際の注意点

ビジネス会計検定とは、財務諸表を理解する力を養う検定試験で、大阪商工会議所が主催しています。

財務諸表とは、企業が株主や債権者などの利害関係者に、経営活動の財務上の結果を報告するために作成する書類のこと。貸借対照表、損益計算書などが財務諸表に含まれます。

財務諸表には、企業が保有する資産や負債、対象期間に発生した収益、費用など様々な情報が含まれています。これらの情報を見て、投資家はその企業への投資を検討したり、また従業員や取引先はその企業の経営に問題がないかを確認したりするのです。

ビジネス会計検定試験では、財務諸表を読み解き、分析する力を問う試験です。財務諸表に書かれている数字を理解し、企業や個人のビジネスに役立てることを目的としています。

ビジネス会計検定の受験は年に2回(1級は年1回)、全国の指定会場で実施されています。学歴、年齢、性別、国籍の制限はなく、希望の級から受験可能です。

簿記検定との違い

会計に関連する資格としては「簿記」が広く知られています。簿記とは「帳簿記録」の略で、企業などにおけるお金の流れなどを記録するためのルールです。

簿記検定には、次の3つの種類がありますが、一般的に簿記といえば「日商簿記」を指すことが多いです。

名称 実施
日商簿記 日本商工会議所
全経簿記 公益社団法人全国経理教育協会
全商簿記 財団法人全国商業高等学校協会

簿記とビジネス会計検定の違いは、試験の出題範囲です。

具体的には、簿記は主に財務諸表の作成能力を問う試験であるのに対して、ビジネス会計検定では主に財務諸表の分析能力が問われます。

このように簿記とビジネス会計検定では、試験の目的が異なります。仕訳の方法など財務諸表を作成するスキルを身に着けたい人は簿記、財務諸表を読み解くために必要な会計基準や法令の知識を得たい人はビジネス会計検定と、目的に応じて受験する資格を選びましょう。

ビジネス会計検定に簿記の知識は必要?

ビジネス会計検定の入門レベルである3級は、簿記の知識がなくても合格は可能といわれています。

しかし、主な出題範囲が異なるとはいえ、ビジネス会計検定、簿記はどちらも企業会計に関する試験。会計に関する考え方や専門用語は、簿記とビジネス会計検定で共通する部分も多いため、簿記の知識がある状態でビジネス会計検定を受験することで、合格する可能性を高められるでしょう。

また、会計系の資格を取得して就職や転職でのアピールポイントとしたい人は、どちらの資格がより有利であるかをしっかりと考える必要があります。この点については、記事後半の「ビジネス会計検定を取得する際の注意点」で詳しく解説しているので、そちらを参考にしてください。

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ビジネス会計検定の試験級と出題範囲

ビジネス会計検定は、難易度が低い順に3級、2級、1級の3つの試験級があります。それぞれのレベルの目標、出題範囲、試験形式について紹介しましょう。

3級

到達目標 会計の用語、財務諸表の構造・読み方・分析等、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につける。
出題範囲
  • 財務諸表の構造や読み方に関する基礎知識
  • 財務諸表の基本的な分析
問題形式・制限時間 マークシート方式:2時間
合格基準 100点満点で、70点以上の得点
受験料 4,950円(税込み)

2級

到達目標 企業の経営戦略や事業戦略を理解するため、財務諸表を分析する力を身につける。
出題範囲
  • 財務諸表の構造や読み方、財務諸表を取り巻く諸法令に関する知識
  • 財務諸表の応用的な分析
問題形式・制限時間 マークシート方式:2時間
合格基準 100点満点で、70点以上の得点
受験料 7,480円(税込み)

1級

到達目標 企業の成長性や課題、経営方針・戦略などを理解・判断するため、財務諸表を含む会計情報を総合的かつ詳細に分析し企業評価できる力を身につける。
出題範囲
  • 会計情報に関する総合的な知識
  • 財務諸表を含む会計情報のより高度な分析
問題形式・制限時間 マークシート方式および論述式:2時間30分
合格基準 200点満点で、論述式50点以上かつ全体で140点以上の得点
受験料 11,550円(税込み)

ビジネス会計検定の受験者数と合格率

ビジネス会計検定試験の受験者数合格率は以下の通りです。

3つの試験級の中で、3級が受験者数、合格率ともに最も高く、反対に1級は受験者数が少なく、合格率も低いです。1級を合格するためには、十分な学習と試験対策が必要といえるでしょう。

3級

実施日 受験者数 合格者数 合格率
2022年10月16日 3,793人 2,550人 67.2%
2022年3月13日 3,484人 2,213人 63.5%
2021年10月17日 4,160人 2,866人 68.9%

2級

実施日 受験者数 合格者数 合格率
2022年10月16日 1,798人 959人 53.3%
2022年3月13日 1,910人 1,035人 54.2%
2021年10月17日 1,948人 1,014人 52.1%

1級

実施日 受験者数 合格者数 合格率
2022年3月13日 223人 24人 10.8%
2021年3月14日 217人 53人 24.4%
2020年3月8日 188人 37人 19.7%

ビジネス会計検定を取得するメリット

ビジネス会計検定資格を取得することで、ビジネスはもちろんプライベートでも様々なメリットがあります。具体的なメリットを紹介していきます。

財務諸表が読む知識が身につく

貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表は、企業の経営状態を客観的に表す重要な情報です。

しかし、財務諸表に書かれた情報をビジネスの取引や個人の株式投資に活かすためには、それぞれの数字が持つ意味を理解する力が必要です。

ビジネス会計検定は、まさにその「財務諸表を読む力」を得るための試験。ビジネス会計検定を取得することで、財務諸表から企業の状態を判断することができるようになり、取引や投資の判断をより的確に行うことが可能になります。

就職・転職活動時のアピールになる

簿記検定で扱っている財務諸表を作成する能力は、主に経理や財務などの一部の職種で求められる能力です。

一方、ビジネス会計検定で問われる財務諸表を分析する力は、営業、企画、マーケティングなどの幅広い職種で必要になります。

例えば営業職であれば、財務諸表を元に新規で営業をかける企業を決定したり、取引先の担当者と経営や財務の話をしたりする機会もあるでしょう。事務職として働く場合も、会計の知識があることで仕事の幅が広がります。

このように、ビジネス会計検定を通して得られるスキルは、幅広い業界・職種で活用できるものです。

ビジネス会計検定の資格を履歴書で記載することで、就職・転職活動時のアピールポイントとすることができるでしょう。

ただし、ビジネス会計検定資格が評価されるのは2級からと言われています。3級だけでは業務で必要なレベルを有していると判断されない可能性があるため、注意しましょう。

ビジネス会計検定を取得する際の注意点

ビジネスのみならず、プライベートでもメリットのあるビジネス会計検定。しかし受験を検討する際にはいくつか留意すべき点もあります。

日商簿記よりも知名度が低い

毎年数千人が受験するビジネス会計検定ですが、知名度では日商簿記のほうが圧倒的に高いです。

ビジネス会計検定試験の受験者数は、1回の試験で3級は4,000人程度、2級は1,000人程度です。一方、日商簿記の受験者数は1回の試験で3級は30,000人~40,000人、2級は15,000人程度と、かなりの差があります。

知名度の高さは、その資格が持つ就職・転職活動でのアピール力の大きさに直結します。

企業の担当者の中にはビジネス会計検定を知らない人や、名前は知っていても具体的な出題範囲や資格の価値はよくわからない人もいるでしょう。

履歴書に書くだけで一定のアピールになる簿記と比べると、アピール力はどうしても弱くなってしまいがちです。ビジネス会計検定試験を履歴書に書きたい場合には、資格取得を通して得た学習習慣や、知識を活かして実践していることなど、プラスアルファでスキルをアピールする必要があるでしょう。

試験日・試験会場が限られている

住んでいる地域や、受験を検討し始めた時期によっては、受験するのが難しいケースもあります。

ビジネス会計検定は基本的に年2回、受験地は以下の都市で行われています。

  • 札幌
  • 仙台
  • さいたま
  • 東京
  • 横浜
  • 新潟
  • 金沢
  • 静岡
  • 名古屋
  • 京都
  • 大阪
  • 神戸
  • 岡山
  • 広島
  • 山口
  • 松山
  • 福岡

日商簿記が年に3回(1級は年2回)、ネット試験を含め全国各地に試験会場が設けられるのに対して、ビジネス会計検定はやや受験がしづらい状況です。

ビジネス会計検定の学習方法

ビジネス会計検定の試験対策は、公式テキストや公式問題集を用いて行うのがおすすめです。それぞれ紹介します。

公式テキスト

公式テキストは、1級~3級のそれぞれのレベルで出版されています。近年の出題傾向や会計をとりまく状況もふまえた内容になっているため、試験対策をスムーズに進められます。

3級テキストは、簿記知識がなくても財務諸表が読めるようになることを目指した会計の入門者向けテキストになっています。「試験は受けないけど財務諸表は読めるようになりたい」という人にもぴったりでしょう。



公式問題集

公式問題集では、過去3回分の問題、解答と解説が収録されています。考え方や計算式なども詳細に解説されているため、疑問を解消しながら学習を進められます。

公式テキストで一通りの知識を学んだあとの実力チェックや、時間配分などを確認するために活用するとよいでしょう。



ビジネス会計検定とは?まとめ

ビジネス会計検定は、財務諸表を理解・分析するスキルを習得することを目的にした検定試験です。習得したスキルをビジネスや個人の株式投資などに活かすことができます。

試験対策には、公式テキストや公式問題集の活用がおすすめです。なお、財務諸表を作成する力を習得する簿記とは出題範囲は異なりますが、ビジネス会計検定の受験には簿記の知識があると有利です。

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この記事を書いた人

石田ゆり
元システムエンジニア・コンサルタント。ERPパッケージソフトウェア会社にて設計から開発、品質保証、導入、保守までシステム開発の一通りの業務を経験し、その面白さと大変さを学ぶ。働く人々を支援するバックオフィス系システム・業務効率化ツール等に特に興味あり。趣味は旅行、ヨガ、読書など。

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