「社長になるにはどんな本を読んで勉強すればいいのだろう」と思っていませんか?
実は成功を収めている経営者には、読書家が多いのです。読書をすることで、たくさんの知識やノウハウをインプットすることができます。
今回は起業を考えている人に向けて、おすすめの本を紹介します。
偉大な経営者や実業家の愛読書や、経営の基本となる知識が学べる14冊です。起業・会社経営の知識も得られます。
起業したい、会社を経営したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
読書を習慣にする経営者は多い
著名な経営者で読書を習慣にする人は多いです。
ここからは5名の経営者の読書に関するエピソードを見ていきましょう。
ウォーレン・バフェット
アメリカの伝説の投資家ウォーレン・バフェット。世界最大の投資持株会社「バークシャー・ハサウェイ」の会長兼CEOです。
フォーブス世界長者番付2018によると、彼の総資産額は世界第3位。その額は840億ドル(約8兆9,000億円)と推定されています。
そんな彼は「私はただ自分のオフィスの椅子に座って、一日中、読書をしている。」と述べるほどの読書家。1日に500ページほどを読み、知識を深めているといいます。
彼が読書に没頭するのは、投資家として「本質的な知識と事実」を得るため。「他の人の意見」は読まないようにしているのだそうです。
ビル・ゲイツ
アメリカの実業家、マイクロソフト共同創業者であるビル・ゲイツ。
フォーブス世界長者番付2018によると、彼の総資産額は世界第2位で900億ドル(約9兆6000億円)と推定されています。
ゲイツ氏は1週間に1冊、年間約50冊のペースで本を読むといいます。
読む本のジャンルはさまざまです。愛読書として有名な小説「キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライムギ畑でつかまえて)」やレオナルド・ダ・ヴィンチの伝記、ビッグヒストリー(ビッグバン~現在の歴史を研究する新しい学問)提唱者の講義をまとめた書籍など多岐に渡ります。
彼は自身の書評をブログ「Gates Notes」にもアップしています。彼は読書の際に本の余白にメモ書きをすることで、内容を理解するだけでなく、自分の考えと繋げるようにしているのだそう。
また「Think Week」という期間を設け、この間は誰とも会わず読書をしたり、自身の思考を巡らせる時間に充てています。
ビル・ゲイツやダーウィン、スティーブ・ジョブスが成功を勝ち取った方法については、以下の記事でも紹介しています。合わせて参考にしてください。
関連記事:偉人たちはどうやって人生の目的を見つけたのか|「何をすればいいかわからない」と悩んだときに試してほしい17のこと
ゲイツ氏の愛読書「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は、後ほど詳しく紹介します。
マーク・ザッカーバーグ
世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)Facebookの創業者で、同社の会長兼CEOであるマーク・ザッカーバーグ。
フォーブス世界長者番付2018によると、保有資産額は世界5位。その額は710億ドル(約7兆5000億円)に上ると推定されています。
彼は2009年から毎年、その年の「個人目標」を掲げています。その中で2015年には「毎週新しい本を読む」を目標に設定しました。
彼はこの目標を達成するため、Facebook上に「A Year of Books」というコミュニティを立ち上げました。その中では自分が読んだ計23冊の本を紹介しています。
紹介された本はイスラムの歴史学者の書籍や、ピクサー・アニメーション・スタジオ現社長によるディズニー・アニメーション・スタジオ再建の物語など。
彼は読書の中で「異文化・信念・歴史・技術について学ぶ」ことを大切にしているといいます。
イーロン・マスク
電気自動車事業「テスラ・モーターズ」、民間宇宙開発事業「スペースX社」の共同設立者・CEOのイーロン・マスク。
1999年にオンライン決済システムを提供するPayPal社の前身となる、「X.com社」を創立した人物でもあります。
2016年にはフォーブスの「世界で最も影響力のある人物」の21位に選出されました。
彼は「人類を火星に移住させる」という壮大な野望を持っています。そしてこのようなユニークな思考は、本を大量を読むことで得られているのだそう。彼の弟も「兄は1日に2冊本を読んでいた」と語っています。
またマスク氏はスペースX創業のためロケットの知識をどのように得たかというと、「本をたくさん読んだ」のだそうです。
読む本のジャンルはSF小説や伝記などで、映画化されたファンタジーの名作「指輪物語」も含まれています。
孫正義
ソフトバンクグループ創業者で、同社の代表取締役会長兼社長である孫正義氏。
フォーブスの日本長者番付2018では第1位。保有資産額は2兆2930億円に上ると推定されています。
彼は在日韓国人として生まれ、幼少期から「本気で自殺しようかと思ったぐらい」の差別を経験しました。
しかし15歳の頃に司馬遼太郎著の「竜馬がゆく(坂本龍馬の生涯を描いた長編小説)」に出会い衝撃を受けます。それがきっかけでアメリカへ留学。わずか3週間で3年分の教科書を読み高校を卒業しました。
またソフトバンクを設立して事業がうまくいきはじめた矢先、肝臓を患い入院。医者から余命5年の宣告を受けます。
しかしここでも坂本龍馬の生涯に思いをはせ、彼の33歳で暗殺されるまでの活躍を考え奮い立ちます。孫氏は3年半もの闘病の末、奇跡の回復を遂げました。この闘病期間中に読んだ本の数は4,000冊を超えるといいます。
社長になりたい人が本を読む4つのメリット
社長や経営者になりたい人が本を読むメリットは、以下の4つが挙げられます。
起業や経営の具体的なイメージがしやすくなる
今回紹介する本の中には、経営の基本となる知識が学べたり、経営者自身が語るストーリーを知られるものがあります。
会社を経営してきた人物だからこそ語れる、経営を考えたらまずやるべきことや、サラリーマンをやめる前に準備しておくべきことなど、具体的なところまでインプットできるでしょう。
このような本からは、「会社を経営するとはどういうことなのか」を体系的に学べます。
経営に必要な知識を効率よく得ることができる
今回紹介する書籍の中には、起業で失敗しないための方法を統計的に学べるものがあります。
数々の起業事例が科学的にまとめられているので、経営に必要な知識を効率的に得られるでしょう。
経営者の考え方に触れることができる
今回紹介する書籍の中には、企業が大きく成長するまでのストーリーが分かるものがあります。
偉大な成功を遂げた経営者も、成功するまでの道のりは平坦ではありません。数々の困難をどう乗り越えてきたのかがリアルに語られる書籍からは、経営者のマインドを学べるでしょう。
モチベーションが上がる
今回紹介する書籍の中には、偉大な経営者の愛読書があります。
例えば孫正義氏は闘病中に「竜馬がゆく」を読み、自身を奮い立たせました。
読書をすることで、経営者ならではの孤独感や将来に対する不安を払拭させ、モチベーションを上げるきっかけを与えてくれる1冊に出会えるでしょう。
本の選定基準
今回紹介する13冊の本は、以下の3つの基準を元に選定しました。
社長(経営者)の自伝
社長(経営者)自身が執筆した書籍では、会社誕生までのストーリーや事業成長の過程がリアル感を持って描かれています。
外から見ると華やかな世界でも、書籍を読むとその陰に隠された苦労が分かるでしょう。
会社経営の厳しい現実を知り、「それでも起業したいのか?」と自分に問うきっかけにもなります。
社長(経営者)がすすめている・影響を受けた本
社長(経営者)がすすめている本の中には、経営者が影響を受け、会社経営のために役立った書籍があります。
例えばファーストリテイリング代表取締役会長兼社長・柳井正氏がすすめる書籍、「プロジェクトマネジャー」。
彼は本書について、「全人生で一番学んだ本は何か?と問われても、この一冊に間違いありません!」と語っています。
社長になるための具体的な方法が書いてある本
今回紹介する書籍の中には、会社を起業するためにまず持っておきたい知識を体系的に学べるものがあります。
例えば事業計画書の書き方や会社経営で必須となる経理、会社員をやめる前にやるべきことなどを、具体的に学べます。中には漫画で事業計画書の作り方が学べるものもあります。
「会社を経営したい」という漠然とした考えから、具体的な方法に落とし込むのに役立つ書籍が見つかるでしょう。
社長の評伝・自伝
まずは社長(経営者)自ら執筆した自伝や、経営者に長く密着取材をした著者による評伝を紹介します。
経営者になる原点となるエピソードや、会社を経営する上で立ちはだかった壁、そしてその乗り越え方がリアルに感じられる3冊の書籍です。
志高く
「志高く」は、四半世紀に渡って孫正義氏に取材を続けてきた作家・井上篤夫氏著の評伝です。15万部のベストセラーとなっています。
高校生の頃に「志高く生きること」を決意した孫氏。本書では前述したような幼少期のエピソードや渡米、ソフトバンク立ち上げ、そして携帯電話事業・ロボット産業への進出といった半生が描かれています。
「信念をもつ」とはどういうことなのかを教えてくれる、読んだ人に勇気を与えてくれる名書です。
こんな僕でも社長になれた
実業家・シリアルアントレプレナー(連続起業家)である家入一真氏の自伝です。
現GMOペパボ創業者で、29歳のとき最年少でジャスダック上場。しかし過去にはいじめを機に3年間引きこもりとなり、画家を目指し美大に合格するも挫折した経験があります。
本書ではさまざまな壁を乗り越えながら実業家への道を歩み、年商13億円まで上り詰めるストーリーが語られています。
渋谷ではたらく社長の告白
実業家・サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏による自伝。彼は26歳のとき当時最年少で東証マザーズ上場を果たしました。
高校生の頃に抱いた「21世紀を代表する会社を作りたい」という夢。それをサイバーエージェント設立で叶えますが、その後ITバブルが崩壊し苦悩します。
さまざまな壁を乗り越えながら会社を成長させていく姿が分かる1冊です。起業したいと少しでも思っているなら読むべき本と言えるでしょう。
事業のストーリーを知る本
ナイキやAirbnbといった世界を代表する会社も、初めから大きな成功を遂げていたわけではありません。
このような事業の誕生から成功に至るまでのストーリーを知られる本からは、「自分にも世界を変えるサービスを生み出せるかもしれない」という希望を得られます。
SHOE DOG(シュードッグ)
ナイキ創業者フィル・ナイトによる書籍です。タイトルの「SHOE DOG(シュードッグ)」とは、靴の商売に関わり、靴以外のことは考えられない人のこと。
1962年にナイト氏は単身日本に降り立ちます。
神戸のシューズメーカー「オニツカ(現アシックスの前身となる会社)」のランニングシューズ「タイガー」に惚れ込み、正規アメリカ代理店となるため同社と交渉。交渉は晴れて成立し、アメリカで「オニツカタイガー」を普及させます。
その後のオニツカとの決別・訴訟問題、独自ブランド・ナイキの立ち上げ、資金不足、日商岩井との出会いなど、「世界最強ブランド」に至るまでのストーリーが語られています。
ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットも称賛する、ビジネスの教訓を学べる1冊です。
Airbnb Story 大胆なアイデアを生み、困難を乗り越え、超人気サービスをつくる方法
2008年に創業され、今や世界191か国・81,000都市に普及する民泊仲介サービスとなったAirbnb。
しかし「赤の他人を自宅に泊まらせるプラットフォームを作る」という奇抜なアイディアが実現し成功に至るまでには、数々の問題を解決する必要がありました。
本書はゼロからサービスを生み出し、時価総額3兆円企業となるまでを描いたAirbnbのノンフィクションです。
Airbnbはサービスの使いやすさにこだわり、ターゲットユーザーを明確にしたマーケティングによりファンを獲得していきました。
Airbnbのマーケティングについては以下の記事でも紹介しています。合わせて参考にしてください。
関連記事:アーリーアダプターとは。イノベーター理論やサービスの成功・失敗例を解説
次のページでは「起業の流れを掴む本」「経営者の愛読書」を紹介します。
起業の流れを掴む本
大きな成功を遂げた事業がある一方で、失敗に終わった事業も数えきれないほどあります。起業を目指す誰もが前者を目指したいものでしょう。
そこで重要になるのが企業の流れを体系的に学ぶことです。ここからは失敗しないためのステップを学べる本や、起業を考えたらやるべきことを解説した本を紹介します。
起業の科学 スタートアップサイエンス
事業創造会社・Webマーケティング会社のCSO、そしてベンチャー支援も行う田所雅之氏が執筆した書籍です。
5年の歳月をかけて1,000人以上もの起業家や投資家を取材し、膨大な情報量をまとめたスライドを書籍にしたものです。
スタートアップを科学した研究結果が集約された内容となっています。
AmazonやFacebookのようなケースは再現性が低いですが、起業における失敗のケースは再現性が高いといいます。
本書では失敗しないスタートアップを実現させるために必要な、科学的アプローチについて解説されています。
起業を考えたら必ず読む本
成功したスタートアップの輝かしい陽の部分が取り上げられる一方で、成功に隠された陰の部分を語る経営者は多くないでしょう。
そのような負の部分をもクローズアップしたのが本書です。
クラウド型業務系システム開発会社社長の井上達也氏が創業25年で語る、起業のリアルが書かれています。
例えば「クレジットカードは起業したら作れない」「会社の経営には本当はいくら必要なのか」「乗っ取りコンサルタントという存在」など。著者の経験を元に、起業を思い立ち、サラリーマンをやめる前にやるべきことなどが書かれています。
「それでも起業したいのか?」と自分に問うために読んでみてはいかがでしょうか。
起業のファイナンス
公認会計士であり、カブドットコム証券株式会社社外取締役、株式会社ミクシィ社外監査役を歴任した磯崎哲也氏による書籍。起業家に向けて書かれた、ベンチャーファイナンスの教科書と言えます。
「資本金はいくら必要か」「投資家からの支援はどうやって集めるのか」「利益はどう計上すればいいのか」など、起業で重要となる「お金」について解説されています。
この本読めば、お金を使った事業の育て方のイメージが掴めるでしょう。
サクッと起業してサクッと売却する 就職でもなく自営業でもない新しい働き方
15歳で起業し、19歳でM&A、売却益で年商35億円の会社を築いた正田圭氏による書籍。
起業にハードルの高さを感じている人に向けた本で、従来の考え方を覆す「売却を前提とした起業」について語られています。
正田氏によると、会社を作って売却するのは最もシンプルで確実に儲けられる方法だといいます。
起業を考えていながら一歩を踏み出せない人は、「こういう起業のしかたもあるのだ」と思って読み進めるといいかもしれません。
起業したらまっさきに読む経理の本
会社を経営する上で経理の知識は必要不可欠です。この書籍では会社設立の方法から経理に入る前段階の準備、会計ソフトの使い方など細かいところまで解説されています。
起業の前に経理を一から勉強したい人におすすめできる1冊でしょう。
購入特典として、会社設立のための書式や簿記練習キット、損益計算書や経営状況予想シートなどのテンプレートをダウンロードできるようになっています。
マンガでやさしくわかる事業計画書
事業計画の作り方をストーリー仕立てで学べる書籍です。
実家の造り酒屋を継ぐことになった主人公が、事業計画書についてゼロから学ぶ内容です。7つのステップで計画書を練り、酒屋再興に奮闘します。
そもそも「なぜ事業計画書が必要なのか?」という内容から始まり、アイディアの膨らませ方、マーケティングプランの組み立て方、事業収支計画の立て方などが漫画で学べるようになっています。
物語形式で読みやすいので、「起業というものがどういうものなのか」を知る導入として読むといいでしょう。
経営者の愛読書
名だたる経営者の愛読書は、愛読書たる所以があるものでしょう。
ここからは孫正義氏、柳井正氏、そしてビル・ゲイツ氏の愛読書を紹介します。
竜馬がゆく
「竜馬がゆく」は孫正義氏の愛読書。作家・司馬遼太郎による作品で、総発行部数2,500万部を超えるベストセラーとなっています。
本書は幕末志士・坂本龍馬の生涯を描いた歴史長編小説です。33歳の若さで暗殺されるまで、龍馬は日本の未来のために激動の時代を生き抜きました。
孫氏は高校生のときに本書に出会い衝撃を受けます。そして「一度しかない人生、世のため人のために、引きちぎれるほど頑張って何か事を成さなくてはならない。志高く生きなければ」と渡米を決意しました。
プロフェッショナルマネジャー
「プロフェッショナルマネジャー」はファーストリテイリング代表取締役会長兼社長・柳井正氏の愛読書です。
本書で書かれているのは、アメリカの実業家ハロルド・ジェニーン氏による経営論。同氏はアメリカの複合企業・ITTの元社長兼CEOで、同社社長に就任し14年半連続増益という偉業を成し遂げた人物です。
柳井氏は本書について、次のように語っています。「経営者になるためには、経営とは何かを知り、そのためには何をすべきかを考え、それを確実に実行しなければなりません。では、経営者とは何か? その明確な答えが、この本の中にある」。
経営を学ぶために1日1冊読むようにしていた柳井氏。しかしこの1冊ほど衝撃を受けた本はなかったといいます。
キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライムギ畑でつかまえて)
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」はビルゲイツの10代のころからの愛読書です。
1951年出版のアメリカの作家J・D・サリンジャーによる長編小説で、物語の主人公は16歳の少年。10代ならではの主観的で、かつ共感もできる主人公の苦悩や葛藤が描かれています。
2003年には作家・村上春樹による新訳版も出ています。村上氏自身も本書の愛読者です。
さいごに
社長になりたい、起業をしたいと思っている人におすすめしたい、14冊の本を紹介しました。
著名な経営者の愛読書や経営に関する知識を学べる本など、さまざまなジャンルの本があったでしょう。
読書は単純に経営の知識を増やすだけでなく、経営者のマインドをインプットするきっかけも与えてくれるものです。
これから起業や会社経営を考える人は、ぜひ今回紹介した本の中から、自分に合った1冊を選んでみてください。
この記事をきっかけに、あなたが「会社を経営するとはどういうことなのか」を知る1冊に出会えたら幸いです。
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