「IT業界のエンジニアの仕事内容に興味があるけど、実務内容がよく分からない。」とあなたは思っていませんか。
今、ITエンジニアの需要は急速に高まっています。求人サービスの情報では、ITエンジニアの有効求人倍率は6倍を超えています。(有効求人倍率6倍とは:エンジニア1人当たり6件の求人がきているということ)
ITについて全く知識がない人でもエンジニアという仕事について理解できるように解説していきます。
ITエンジニアを目指しているのであれば、ぜひ参考にしてくださいね。
1.SI業界とネット業界
IT業界のエンジニアと言っても業界によってエンジニアは働き方が全く異なります。
今回は代表的なSI業界とネット業界に分けて解説していきます。エンジニアという仕事を理解する上で、業界の理解は重要なポイントになりますのでしっかりと抑えておきましょう。
1-1 SI業界
出典:富士通ビー・エス・シー
SI業界は大規模な受託開発を行う企業と考えてください。
例えば銀行や官公庁などで、手動で行われている仕事をITを用いて効率化を図ることなどが仕事です。日本のIT業界といえばこちらのイメージが定着しています。
また、システムをつくるだけではなくどのような問題を解決するのかというコンサルティングから入ることも多いです。開発前に予算が決められておりいかに漏れなく遅れなく開発するかが重要になります。
実際の開発に二次請け、三次受けに流すことも一般的です。
1-2 ビジネスモデル
お客さんが必要としているシステムに対して、人月という1人が1ヶ月稼働動くのにいくらお金が掛かるかという単位で見積もりを出します。
例えばある会計システムをつくるには100人のエンジニアが3ヶ月稼働する必要がありますので、1人月100万円で予算は3億円、と言った形です。
一度予算と締切が決まると基本的には変更が効きません。もし見積もりが甘いと、しわ寄せは最後にコードを書くプログラマにいきがちです。
そのため、ノウハウと経験に基づいた正確な要件定義・設計、見積もりが重要となります。
1-3 代表的な企業
【海外企業】
・Oracle
・Cisco
・IBM
・アクセンチュア
【国内企業】
・NTTデータ
・日立製作所
・富士通
・野村総研(NRI)
・NTTコミュニケーションズ
1-4 ネット業界
出典:find-job
ネット業界は、分かりやすくいうとLINE、facebook、Cookpad始めとして皆さんに馴染みのあるインターネットサービスを提供する会社のことです。
ITを用いて独自の価値を生み出すことで収益をあげています。
Web業界は誕生してからまだ20年も経っていないにも関わらず急成長を続けており、世界の時価総額ランキングの8割はネット業界の企業です。
1-5 ビジネスモデル
ネット業界のビジネスモデルは主に、自社サービスの企業と受託開発の会社に分けられます。
出典:Morguefile
1-6 自社サービス
自社サービスのビジネスモデルはいくつかの種類があります。
例を上げるとfacebookのような企業からの広告モデル。スマホゲーム、Cookpad、Dropboxのようにユーザー課金モデル。メルカリ、ヤフオクのような手数料モデルなどです。
これらに共通することはサービスを出す前にいくら売上が上がるのか正確に予想できないということです。
何が顧客の価値になるか考え素早く仮説検証を繰り返すことが重要になります。
1-7 受託開発
自社でサービスを制作するのではなくWebサイト、Webサービス、アプリを企業から請け負って開発している企業もあります。
こちらはSIのビジネスモデルと似ており、基本的には人月計算で見積もりが行われます。
以前は、Webサイトを制作するだけでも高い単価を取れていた時代がありました。
しかし、近年は競合の増加や便利な開発ツールが増えたことにより、ただサービスを作れるだけでは高い単価をとることは難しくなっています。
そのため、どうやったらサービスが使いやすくなるのか提案する、ユーザーヒアリングをする等、付加価値をつけることが受託企業においては重要です。
1-8 代表的な企業(自社サービスのみ)
【海外企業】
・Google
・facebook
・Twitter
【国内企業】
・LINE
・クックパッド
・サイバーエージェント
・ガンホー
2.SI業界のエンジニアの働き方
SI業界ではSE(システムエンジニア)とプログラマーと職種を分けて表現されます。
2-1 仕事内容
SE(システムエンジニア)・・・クライアントと「システムを通じて何を実現するのか」という打ち合わせ(要求分析・要件定義)から、
システム全体図が記された仕様書と呼ばれるドキュメントの作成、どんなシステムにするかという基本設計、どんな機能を有するプログラムにするかという詳細設計などを行ないます。
システムエンジニアに関しては以下の記事でまとめていますので、ご参照ください。
プログラマ・・・SEの設計したとおりに実際にプログラムを書くことが仕事です。
プログラムとは、コンピューターの動作を制御するための命令(処理)の内容を記述したものを指します。
SI業界の企業に新卒で入社するとまずはプログラマからキャリアをスタートさせることが一般的です。
2-2 キャリア
出典:写真AC
プログラマ→システムエンジニア→プロジェクトマネージャとより上流のところにシフトしていくのが定番です。
プログラムを自分で書くのではなくプログラマーを管理する立場にあがるほど年収が高まっていきます。
そのため上流になるほど花型というイメージが定着しています。
一方でプログラムを書くのが好きで「ずっとプログラマでいたい」と考えている方は、「エキスパート職」として専門性を徹底的に磨くキャリアの作り方もあります。
2-3 職場の雰囲気
スーツ着用義務の職場が多く、安定的な志向が強い職場です。
仕事とプライベートを明確にわける傾向にあります。
二次請け、三次受けの場合は自社のオフィスで開発するよりも開発現場に常駐することもお送ります。
2-4 年収
SI業界のプログラマーの平均年収は、430万円ほどです。
また、SEの平均年収(システム開発)は512 万円となっています。
要件定義などを始めとする上流に行くほど年収は上がっていきます。
例えばプロジェクトマネジャーの平均年収は733万円となっています。
SI業界は実力主義というよりも年功序列でキャリアが進んでいく傾向にあるため年齢が上がる傾向にあります。
20代でプロジェクトマネージャーになるのは困難かもしれません。
Tech総研 | 30代エンジニア2180人に聞いた平均年収の実態と満足度
3.ネット業界のエンジニアの働き方
出典:写真AC
ネット業界のエンジニアはプログラムを携わる人全般を指します。プログラマー、SE(システムエンジニア)という言葉は通常は使われません。
3-1 仕事内容
自社サービスの場合は、プログラムを書いて素早く仮説検証をしていくことが求められます。
WEB業界はSI業界とは異なり開発することで決まった事前に決まった収益が会社に入るわけではありません。
ゲームにせよ、Webサービスにせよ、そもそもどうやったら売上があがるのか仮説検証を素早く繰り返していくことが重要になります。
一方、受託開発の場合は顧客と要件や予算を決めてスタートするため、SIerの仕事内容と似ています。
3-2 キャリア
ネット業界のエンジニアのキャリアは大きく次の3つに分類されます。
最初は現場でプログラムを書くところからはじまります。
その後、本人の志向性に応じて進むべきキャリアは変わっていきます。いくつか代表的な役職を見ていきましょう。
役職の呼び方は企業によって大きく異なりますので参考程度にしてください。
出典:写真AC
エンジニアスペシャリスト
エンジニアとしてのスキルを伸ばしていき、スペシャリストとしてのポジションを確立していく分野です。
仕事ができるプログラマは、できないプログラマに比べて「10倍」以上、生産性が高いとも言われます。
そのため人をマネジメントしなくても会社に技術者として大きな貢献をすることは可能な仕事です。
会社の枠を超えてオープンソースプロジェクトなどで活躍されている方もいます。ひたすら技術を追求したい方にはおすすめのキャリアです。
開発チームのマネージャー
エンジニアとして現場の第一線で開発していたところから、チームが大きくなるにつれて、徐々に管理職となっていくキャリアです。
チームの規模が小さいときはプレイングマネージャーとして、エース&監督として活動。徐々にサーバー管理などのインフラの管理とコードレビューだけになります。
最終的にはマネジメントの仕事が増えて現場から離れます。
CTO(最高技術責任者)として経営と技術チームの架け橋になることもあります。個ではなくエンジニアチームの価値を最大化させたい方におすすめのキャリアです。
エンジニア出身の企画担当、ディレクター
コードを書くよりも、企画やディレクションをメインとなるキャリアです。
事業の成長を第一にチームをマネジメントする必要があるため、Excel, PowerPoint等のツールを使う時間が増えてコードは書かなくなります。
エンジニアリング経験があることを活かして、開発チームとの良好な関係を気付けたり、技術面を考慮した仕様書を書けるなどエンジニア出身であることは大きな強みになります。
技術よりも事業や企画に興味があるおすすめです。
3-3 職場の雰囲気
エンジニアは基本私服です。
新しい物好きで貪欲に挑戦していく人が多いのが特徴です。
キャリアアップのために転職を繰り返す人も多くいます。
自由な雰囲気のためフレックス制度を導入している企業も多く昼過ぎから出勤してもOKという会社も珍しくありません。
プログラムを書くこと自体を趣味としている人も多くプライベートと仕事の区別が曖昧になっている人も。開発に使うPCにはMacが人気があります。
3-4 年収
出典:写真AC
WEB業界のエンジニアの平均年収は456万円と言う結果になっています。年功序列というよりも実力主義です。
IT転職・Web求人情報 | Webエンジニア・Webプログラマの平均年収・給料・給与
年収は企業によっても大きく異なります。
例えば誰もが知るような有名アプリを提供する企業エンジニアは新卒で年収500万円を超えることも珍しくありません。
その分、求められるレベルも高く入社難易度が非常に高いです。
一方、Web業界のエンジニアの場合、企業に属さずフリーランスで働くという選択肢もあります。
フリーランスのエンジニアが受け取る報酬は一般的に「月60~90万円」程度が相場です。
会社に勤める場合と違い収入の保証はありませんが、腕に自身があれば高収入を目指すことも可能です。最近は学生でも同程度の月単価で仕事をこなす人も少なくありません。
ネット業界は急速な市場拡大に伴いエンジニアは供給不足の状況にあり、平均年収も上昇傾向にあります。
米国ではエンジニアの平均年収が1000万円を超えており将来性の高い職業と言えます。
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4.今からエンジニアになるならWeb業界がおすすめ
SE業界のエンジニアとネット業界のエンジニアの仕事について解説してきました。一体どちらを目指せばいいのでしょうか。
筆者の考えでいうと断然、ネット業界のエンジニアです。以下、いくつか理由を説明します。
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4-1 今後ネット業界は拡大を続ける
米国の著名な投資家のマーク・アンドリーセンが「今後、あらゆる産業がソフトウェアになっていく」という発言をしています。
これはどういうことかというと産業全てがプログラムになっていくということです。その波は既に来ています。
書店はKindleに置き換わり、ホテルはairbnb(世界的に使われている民泊サービス)などのネットサービスに置き換えられています。
今後、この流れはさらに加速します。
コンビニでのレジ業務はロボットになり、コンサートホールは今話題のVRなどに置き換わっていくでしょう。あらゆるモノがインターネットと繋がるIoT(Internet of things)も注目されています。
そういった時代の変化の中でプログラミングを用いて新たな価値を生み出すネット業界のエンジニアの需要は益々高まっていくことは間違いありません。
4-2 受託型よりも自社サービスの方が自由に働ける
SI業界を始めとする受託開発型の企業のプログラマーは、ピラミッドの組織構造のなかで最下部にあたります。
顧客の要望や設計ミスに振り回されることも少なくありません。
もちろんそうならないように上流のSEやプロジェクトマネージャーが最善をつくすわけですがトラブルゼロで進むことは困難です。
特に二次請け、三次請けをしている場合、無理難題でもやらないと仕事が貰えないという状況に陥ります。
予算は開発前に決まっているため、しわ寄せは末端にプログラマーに来やすい構造にあります。
スキル面でいうとミスをしないことを第一としているため新しい技術を取り入れる機会はあまりありません。
一方、ネット業界のエンジニアもハードワークであることには変わりはありませんが、自社サービスで収益を生み出している場合は顧客や上流のミスに振り回されることもありません。
どんなときも自社サービスを使ってくれるユーザーの反応が正解になります。
エンジニアこそが事業の中核なので福利厚生が充実している会社も少なくありません。
また、常に新しいことを取り入れていく風土があるため新しい技術も積極的に取り入れていくことが求められます。
4-3 独立・起業に便利
もし将来、独立や起業をするならネット業界でエンジニアになっておくことは強みになります。
IT分野での起業においては、社長がアイデアを自分の手で形にできるエンジニアリングスキルを持っていることこそが最大の強みになるからです。
その証拠にGoogle、Facebook、Dropboxを始めとする世界的なIT企業の経営者は皆エンジニアです。
日本でも、グリーを開発した田中良和さん、コロプラの馬場功淳さん、メルカリの山田進太郎さんなど元エンジニアの成功者が後をたちません。
IT業界のエンジニアの仕事内容について理解いただけたでしょうか。
Webエンジニアについては「【仕事内容まるわかり】IT業界エンジニアについて徹底解説」にまとめておりますので、ご参照ください。
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