今後、伸びる業界はどこなのか。
廃れる業界はどこなのか。
廃れる中でも、独自性を打ち出して成長する企業はどこなのか。
そうしたことが気になりませんか?
今回は伸びる業界と廃れる業界、各業界の注目株を解説します!
この記事の目次
注目株の選定基準
まずは今回選定した注目企業・注目株の選定基準を1つ1つ紹介します。
テクノロジーとの親和性の高さ
近年、世界的な潮流となっているのが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」。日本語で「デジタルへの変革」を意味しており、2018年6月時点のデータではデジタルトランスフォーメーションを完了した企業とそうでない企業の間では、コスト面などに2倍の差が生じていると言われています。
多角的な事業展開
事業の多角化とは、メインの主要事業とは別に新製品・新規事業に取り組むことを指します。主要事業のみに注力してシェアの拡大を狙うよりも、収益性が高いケースが多いとされます。
事業を多角化することは、事業同士の相互作用により、経営資源を有効活用した企業の成長を促す効果があります。
加えて、経営リスクの分散にも繋がります。近年はテクノロジーの発達によりイノベーション(技術革新)のスピードが上がり、製品ライフサイクルが短くなる傾向があります。そのため一度は成功した製品でも、イノベーションによる陳腐化がいつ起こるかわからないというリスクがあります。
そのため事業を多角化して、複数の収益源を設けることは企業の持続的成長に大きな意味を持ちます。今回は事業の多角化に取り組む企業も複数取り上げました。
日本社会の人口減少を見据えた事業展開
今後、日本社会は少子高齢化に伴う人口減少が不可避です。生産年齢人口が減少に転じると、一人当たりGDPが大幅に増加しない限りは国全体の経済規模もシュリンクしていきます。
少子高齢化によって生産年れい人口は減少する一方で、高齢者は増加。増加する社会保障費の負担をするのは若者です。働き手となる世代の負担があまりにも増加すると、受益と負担のバランスが崩れ経済にも悪影響が及びます。
また高齢者はそれまでの貯蓄を切り崩して生活していく可能性が大きく、国全体の貯蓄額が低下。それまでであれば投資などに回っていたお金を、高齢者が「自分の生活のため」に使うようになるため投資意欲の減退が予想されます。
このように少子高齢化と人口減少は、経済に悪影響を与える可能性が極めて大きいものです。
しかし、少子高齢化社会を逆手にとるようにして成長が予想される業界も少なくありません。高齢者向けのビジネスなどは今後成長が確実視される分野です。人口減少と高齢化を見据えた事業を展開する企業も、ピックアップしました。
2018年最新版 伸びる業界と注目企業
2018年最新の伸びる業界は、以下の通りです。
・娯楽産業
・IT業界
・観光業界
加えて、今後の日本社会の人口減少と高齢化を踏まえると人材派遣業界と医療・介護業界も要注目です。
2018年最新の伸びる業界・衰退する業界については、下記の記事で解説しています。
以下では上に紹介した各業界の注目企業・注目株を解説していきます。1つ1つ見ていきましょう。
娯楽産業
娯楽産業の注目企業を紹介します。
フィンテックグローバル(8789)
フィンテックグローバル株式会社はストラクチャードファイナンスに特化した投資銀行として、1994年に創業。
フィンテックグローバルは2013年に創業した株式会社ムーミン物語の主要株主でもあり、現在は北欧とムーミンの世界観を中心としたプロジェクト「メッツァ」を主要事業の1つに据え、2019年春にはテーマパーク「ムーミンバレーパーク」開業を予定しています。
ムーミンバレーパークは埼玉県飯能市に建設中。2018年11月には、北欧ブランドのテナントやカフェが集まる商業施設「メッツァビレッジ」が先行開業する予定です。メッツァビレッジは北欧のライフスタイルを体感できる施設という位置付けで、柔軟に地域のイベントへの活用も可能となる見込み。
ムーミンバレーパークは現時点で年間100万人の来場が見込まれており、入場料は未定。フィンランドにある本家「ムーミンワールド」の入場料は27ユーロ(日本円で約3700円)のため、概ね4000円前後となると予想されます。自然の中でゆったりとした時間が過ごせるテーマパークとして、関東の新たな観光名所となることが期待されます。
2019年の開業に向けて、メッツァ事業に集中的に投資を行ったフィンテックグローバル。今後は投資銀行業務に再度経営資源を分配しつつ、ヘルスケアなど今後の成長が見込められる事業分野への投資も表明しています。投資銀行業務を中心に事業の多角化に積極的に取り組む同社は、いま最も注目すべき企業の1つです。
市場情報
東京証券取引所(東証マザーズ市場) 8789
2005年6月上場
東京ドーム(9681)
読売ジャイアンツの本拠地・東京ドーム。音楽ライブの会場としても積極的に使用されており、過去には「嵐」「矢沢永吉」「L’Arc~en~ciel」など錚々たるアーティストがライブを開催しています。
株式会社東京ドームは、東京ドームを中心に「LaQua(ラクーア)」や東京ドームシティアトラクションズなどの事業を展開しています。
特に近年注目されるのは、音楽産業におけるライブ市場の成長です。2017年のCD・音楽配信・ストリーミングの売り上げの合計金額は2893億円。音楽配信売上が年々少しずつ成長しているものの、CDやレコードの売り上げ減少の幅の方が大きく、全体的にみると音楽ソフト販売は衰退傾向です。
一方成長しているのが、ライブ市場。2017年のホール、コンサートなどライブの年間売り上げは3324億円。音楽ソフト販売市場を規模で上回っています。
ライブ市場のボトルネックとなっているのはライブ会場不足の深刻化です。ライブの客数の内訳は、約半数が関東。ただし関東の大型会場は東京ドームを除くと、横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナなどが中心。都内で大型ライブを実施できる会場は極めて少ないのが現状です。
東京ドームは今後も、成長を続ける音楽ライブ市場の中心地として重用され続けることでしょう。
市場情報
東証1部 9681
1949年5月上場
IT業界
UUUM(3990)
UUUMは「セカイにコドモゴコロを」を経営理念に掲げる、日本を代表するYouTuberプロダクション。
UUUMが開示している2018年5月期通期決算説明資料によると、日本のYouTubeランキングトップ10のうち8名はUUUMに所属するYouTuber。ランキングトップ100のうち37名がUUUM所属であることが明らかになりました。
同社の主なビジネスモデルはYouTubeからのアドセンス収入と企業タイアップ。同社は日本最高峰のYouTuberネットワークを活用することで、インフルエンサー同士を動画で共演させるなどして再生回数を伸ばし、持続的な成長を遂げています。
UUUMへの市場の期待は非常に大きく、2017年8月の上場時は公開価格2050円に対し、買い注文が殺到。上場2日目に公開価格の3.3倍となる6700円で初値をつけました。
驚異的な水準にあるのが、UUUMクリエイターが公開するYouTube動画の総再生時間です。
2017年5期時点では、3ヶ月間の合計再生時間は4.4時間であったのに対して、2018年5期では6.3億時間。月平均で2.1億時間にも渡ってUUUMクリエイターの動画が再生されている計算です。
この数字が示すのは、若者のメディア接触時間の中心が徐々にテレビからYouTubeに代表される「デジタルメディア」へと移り変わりつつあるということです。
調査会社のZenithが発表したメディア接触時間レポートによると、世界的に増加し続けるインターネット利用時間は2019年、歴史上初めてテレビ視聴時間を超える見込み。Zenithの予測では、2019年にインターネット利用時間が1日あたり170.6分に達し、テレビの170.3分を上回ります。
博報堂DYメディアパートナーズ調べでは、2018年にメディア総接触時間が過去最高の396.0分を記録。パソコン・スマートフォンをはじめとするデジタルメディアのシェアが50.4%に到達し、過半数を超えています。
特に20代ではデジタルメディアへの接触時間が長い傾向にあり、メディアの中心がデジタルに移っていることが顕著に現れています。UUUMはデジタルメディアが台頭する時代の象徴的な企業と言えるでしょう。
市場情報
東京証券取引所(東証マザーズ市場)3990
2017年8月30日上場
バンダイナムコホールディングス(7832)
「S.H.Figuarts」シリーズに代表されるフィギュアや玩具、カプセルトイ。カードゲームや家庭用ゲームなどを手がけるバンダイナムコホールディングス。
近年は、アミューズメント事業の一環としてVRアクティビティを積極的に展開。新宿にオープンした「VR ZONE SHINJUKU」は、日本最高峰のVR施設として国内外からの注目を集め、2018年秋には「VR ZONE OSAKA」の開業を控えます。
VR ZONEは既に海外進出にも乗り出しており、2017年にロンドンに一号店がオープン。2018年8月からはVR ZONE SHINJUKUの人気コンテンツ「マリオカートVR」の稼働もスタートしています。
「新世紀エヴァンゲリオン」「スーパーマリオブラザーズ」「攻殻機動隊」など世界的な人気を誇る日本のコンテンツを生かしたVRアクティビティを、スピーディーに各施設に導入できることが強みのVR ZONE。VR ZONEは今後、国内外20店舗への拡大を目指しています。
VR ZONEを展開するバンダイナムコは世界的な玩具メーカーとしてはもちろん、今後は日本発のVRアクティビティ企業としても海外で認知度を高めていくことでしょう。
市場情報
東証1部 7832
2005年9月29日上場
コロプラ(3668)
位置情報サービスプラットフォーム「コロプラ」を中心に、オンラインゲーム・スマートフォン向けゲームの開発を行う株式会社コロプラ。
コロプラはCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)「コロプラネクスト」の主要株主でもあり、起業家支援やベンチャー投資に積極的なことでも知られます。
注目を集めているファンドの1つが、30歳以下の起業家を対象とする「コロプラネクスト次世代起業家ファンド」。同ファンドは30歳以下の国内外の起業家への投資を行うもの。2017年に第一号案件として、自動返信型チャットツールを提供するhachidori株式会社への出資を行っています。
また世界屈指の規模を誇るのが、VR/AR特化型ファンド「Colopl VR Fund」。1億ドル以上の規模のファンドで、国内外問わずVR/AR分野への精力的な投資を行っています。これほどの規模でVR/AR分野に投資を行うファンドは、特に日本では希少です。コロプラネクストが投資した企業の情報は、順次チェックをしておいても損はありません。非開示情報もあるため全ての投資案件が掲載されているわけではありませんが、興味深い企業が集まっています。
投資対象の企業や起業家と、コロプラグループ各社の事業とのさらなるシナジーへの期待が膨らみます。
市場情報
東証1部 3668
2012年12月13日上場
観光業界
2020年に東京オリンピックの開催を控える日本。少子高齢化に伴う経済のシュリンクをカバーするためには、外貨の獲得は必須とも言われ、その要として観光業界に注目が集まっています。
観光業界の注目企業を紹介します。
エイチ・アイ・エス(9603)
日本の観光業界の代表的な企業がエイチ・アイ・エス。国内282店舗を展開し、国内ツアーはもちろん、海外71か国158都市の観光が可能です。学生の一人旅や卒業旅行など初めて海外旅行をする人向けに24時間日本語電話サポートを提供するなど、幅広い層が旅行しやすい環境づくりをしています。
エイチ・アイ・エスの注目事業の1つが、インバウンド事業。訪日観光向けの事業強化に取り組んでいます。背景にあるのは中国、東南アジアからの訪日観光客の増加。2020年にはオリンピックを控えていることもあり、今後数年に渡ってさらなる訪日観光客数の伸びが予想されます。
エイチ・アイ・エスの訪日観光客向け事業の柱は、世界39カ国で展開するオンライン宿泊サイト「hisgo」。訪日観光客が国内の宿を予約しやすい仕組みを整えつつ、国内の地元ガイドと外国人旅行客のマッチングサービスも運営。さらなるインバウンド市場の拡大を試みています。
2017年前半に初めてインバウンド消費の額が2兆円を突破。2017年は「インバウンド元年」とも言うべき一年で、7ヶ月連続で訪日観光客数の伸びが続くなど、市場の急拡大が続きました。
外貨獲得手段の要であるインバウンドを支える中心的な企業として、エイチ・アイ・エスは改めて注目すべき一社です。
市場情報
東証1部 9603
1995年3月30日上場
翻訳センター(2483)
急増する訪日観光客。街中の広告や看板の英語・中国語対応や、国内の観光地やイベント情報の海外向け発信。英語や中国語が話せる観光ガイドの育成などは、さらなるインバウンド市場の拡大にとって欠かせません。海外企業とタッグを組み、日本への観光プランを練り上げることができるインバウンド特化型のプランナーも必要でしょう。
そこで改めて重要視されるのが、通訳・翻訳スキル。
多くの人にとって、第二言語でのネイティブレベルの会話は困難です。ですが第二言語でのやり取りが必要になる場面は多く存在します。
近年では機械翻訳の精度が向上し「ili」に代表されるウェアラブル翻訳デバイスも登場しています。しかし、これらの翻訳ツールは長文の訳や専門性の高い翻訳には非力です。細かな言葉のニュアンスを汲み取るレベルには達していないのが現実です。
今後、翻訳や通訳は「道に迷ったので正しい道順を尋ねる」程度の簡単なやり取りは機械翻訳で行い、精密な訳が必要な時はプロの翻訳家・通訳を利用するという棲み分けが進むでしょう。
そして拡大するインバウンド市場を背景に、プロレベルの通訳らに仕事を気軽に依頼できるプラットフォームなども登場してくると予想されます。
翻訳センターは、専門性の高い翻訳サービスの提供と翻訳家育成を行う企業です。特許翻訳やローカライゼーションなど高い英語力と専門性を要する翻訳に対応しつつ、質の高いスクール事業を展開しています。
グローバル化やインバウンド史上拡大といった社会の潮流を踏まえつつ、堅実なサービス運営をしている玄人好みの企業と言えるでしょう。
市場情報
東証JQ 2483
2006年4月28日上場
人材派遣業界
第一次ベビーブームに当たる団塊の世代が定年退職を迎えた日本では、慢性的な人員不足に苦しめられている業界も少なくありません。例えば2020年のオリンピックに向け、建設案件が多数発生している建設業界では作業員が不足しています。
そこで働き手と企業を結びつける役割が期待されるのが、人材派遣業界です。
人材派遣業界が注目される理由は「転職の一般化」と「人余りの業界から、人手不足の業界に働き手の移動を促すこと」にあります。
かつての日本社会では、一度入った会社には定年まで勤め上げる「終身雇用」が一般的でした。ですが、現代はキャリアパスが多様化。正社員だけでなく、派遣や契約社員、フリーランスとしての独立など様々な働き方が広まっています。
ただし、キャリア選択の自由度の高まりはマクロな視点で見ると必ずしもいいことばかりではありません。その典型的な例が、先にも紹介したような「一部業界の人手不足の慢性化」です。
そこで人材派遣業界では、新たな市場開拓や採用サービスの開発、様々なユニークな取り組みなどが始まっています。
人材派遣関連のサービスを展開する注目企業を紹介します。
LITALICO(6189)
「障害のない社会をつくる」をビジョンとする株式会社LITALICO。LITALICOの社名の由来は日本語の「利他」「利己」からきており、身体障害や知的障害などを抱える方向けの就労支援や、発達障害の子供向けの学習塾サービスなどを提供しています。
日本の総人口に対して、障害を抱える方の比率はおよそ6%と言われています。人口にすると約800万人。障害を持つ方は家族など介助者と共に行動することが多いという特徴もあり、それらも含めるとポテンシャルとしては1000万人越えのマーケット規模が存在します。
ですが、多くの企業はこれまで障害者の方々を対象とするサービスにはあまり注力してこなかったのが現実です。また障害者採用も、一部では雇用水増し問題が明るみに出るなど本格的な浸透には課題が残ります。このことの裏には障害支援などの施策は国や自治体、NPOなどが中心で、企業の進出が立ち遅れてきた背景があります。
マクロな観点で見ると、障害を持つ方々を対象とするサービスはいわば「手付かず」の状態です。800万人の障害者市場の先駆者としてビジネスモデルを確立しているLITALICOは、企業と障害者の方々を結びつける存在として要注目です。
市場情報
東証1部 6187
2016年3月14日上場
ウォンテッドリー(3991)
ウォンテッドリー株式会社はソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」を中心に、ビジネスSNSの運営を行うIT企業です。
Wantedlyの特徴は既存の求人情報サイトと異なり、応募者が会社訪問を簡単にできることです。一般的な転職サービスや新卒向け求人サイトでは、興味を持った企業があっても「社員の話を聞く」機会は限定的。その企業のミッションや社員の人柄、社風などへの理解を深められないまま面接に臨むこととなるケースが少なくありません。
その点、Wantedlyはサイト上の「話を聞きに行く」ボタンを押すだけで、興味を持った企業への会社訪問が可能です。「話を聞きに行く」とは文字通りの「話を聞く機会」で、ボタンを押すことと採用への応募はイコールではありません。
「話を聞きに行く」は応募者にとって、社員に気になることをフランクに質問できる機会になります。企業サイドにとっては「面接」とは違う形で応募者の日常的な話し方やスキル、思考力などを見極めることが可能。結果的に高いコストをかけることなく、自社のビジョンに真に共鳴する社員を採用することができます。
ビジネスSNSを活用した会社訪問と採用へのニーズは国内外を問わずに高く、ウォンテッドリーは既にシンガボールに進出済み。今後もさらなる海外展開を予定しています。
市場情報
東証マザーズ 3991
2017年9月14日上場
ジェイエイシーリクルートメント(2124)
ジェイエイシーリクルートメントは外資系企業転職に強みを持つ転職エージェントです。
日本国外に幅広くネットワークを持っており、イギリスをはじめ、シンガポール、マレーシア、韓国、ベトナムなど海外転職の支援にも対応しています。
日本の転職市場では、転職可能な年齢のリミットは「35歳」とされるケースが多いです。日本社会ではもともと、転職は一般的なことではなかったため「転職=自分のキャリアをリセットし、出直すこと」という印象を受ける人が多いのがその一因でしょう。35歳という年齢は全くの別業種にゼロからチャレンジできる、ぎりぎりの年齢と言えます。
一方でジェイエイシーリクルートメントでは、転職者の70%が35歳以上。50代の転職の成功実績もあります。転職市場が発展してくる中、20代前半から後半までの若手だけでなく「35歳以上」の転職は大きな課題。いち早く35歳以上の社員のキャリアを評価し、中堅〜ベテラン社員の転職で大きな実績を残しているジェイエイシーリクルートメントは今後さらに存在感を増してくる企業です。
市場情報
東証1部 2124
2006年上場
医療・介護業界
高齢化が進む中で重要性が増すのが、医療・介護業界。近年は医療・介護ロボットの製造に企業が乗り出すなど、民間企業の進出が続いている領域でもあります。注目企業を紹介します。
オムロン(6645)
家庭向けの血圧計など、ヘルスケアで有名なオムロン。自動券売機や自動改札機の製造も手掛け流、センシング&コントロール技術に強みを持つ世界規模の電気機器メーカーです。
近年は、医療機器分野で製品を投入しています。
特に注目はスマートフォンアプリ「OMRON connect(オムロンコネクト)」。
オムロンコネクト対応製品で計測した最新の血圧データなどを、スマートフォンに転送。さらに記録データをPDF化し、測定結果を印刷して主治医と相談ができる機能を追加しています。
服薬時間を教えてくれる「服薬時刻お知らせ」機能も注目。毎日の服薬時間になると、オムロンコネクトのアラームが動作するものです。
シニア層のスマートフォン利用率は48.4%と言われており、スマートフォンは「若者だけ」のアイテムではなくなりました。スマートフォンを活用したヘルスケアは今後成長が期待される分野で、そのパイオニアとしてオムロンは注目です。
市場情報
東証1部 6645
1962年4月上場
日機装(6376)
日機装は、特殊ポンプや血液透析装置などを手掛けており、人工肝臓分野で国内トップの実績を誇る企業です。
注目製品は、マイクロ波を使った外科手術用デバイス「アクロサージ」。ギリシャ語で「最高の」を意味する「アクロ」と「外科」を意味する「サージ」を合わせた造語です。アクロサージは世界初の「血が出ないメス」として知られ、ハサミ型とピンセット型の2種類を展開しています。
アクロサージの仕組みは「切離と同時に止血をする」こと。デバイスの先端から放射するマイクロ波で、血管や組織を凝固させ、出血なしに血管を切離することを実現しています。
今後、外科手術の分野でスタンダードになるデバイスとして期待が高まっています。
市場情報
東証1部 6376
1961年10月2日上場
デンソー(6902)
国内最大の自動車部品メーカーのデンソー。カーエアコンや燃焼噴射装置を主力製品としているほか、自動運転分野にも進出。人道運転関連の半導体開発を進めています。
デンソーは2012年から医療分野に進出。特に「手術」に着目し、医師を支える手術支援ロボット「iArms」の開発に取り組んでいます。
医師が動く際にはしっかりと追従し、施術中には医師の腕から手首を支えています。医師の腕を支えることで、腕の震えと疲れを軽減し、手術ミスなどを未然に防止します。
モーターを使わずに動作する安全性の高さもポイント。手術支援分野でデンソーは、医療とテクノロジーのパイオニア的存在へと発展しつつあります。
これから廃れる業界とは
伸びる業界と注目株を見てきました。
では反対に、廃れる業界とは何でしょうか。2つ紹介します。
AI(人工知能)に代替される事業
まず1つはAI(人工知能)に代替される事業です。例えば、近年AI(人工知能)やチャットボットへの代替が進んでいるのがコールセンターです。コールセンター業務は海外移転も続いています。例えば、世界的な潮流となっているのがアメリカをはじめとする英語圏企業のコールセンターのフィリピンへの移転です。
現地在住の日本人スタッフの雇用や少数の日本人スタッフの派遣によって、海外コールセンターで日本語対応を可能とするケースも増えています。
つまりAI(人工知能)で多くのコールセンター業務を代替しつつ、人間の手がどうしても必要なポイントは海外アウトソーシングで安価に済ませるという形です。
出版
出版はいまもっとも危機に瀕している業態の1つです。
2017年のデータでは、出版業界は前年比6.9%減の1兆3701億円。さらに業界全体が衰退する中でも好調をキープし続けていた漫画販売も衰退トレンドに入り「業界全体が沈み行く」様が明るみになりました。
海外に目を向けると、出版業界の変化がより詳しく見えてきます。
アメリカの出版大手「ハーパーコリンズ」は、紙の書籍の衰退をオーディオブックや電子書籍をはじめとする新たな分野で見事にカバー。8月9日の四半期決算発表で、4億9000万ドルの売上を報告しました。前年の四半期から8300万ドルの上昇です。
一方で海外でも先行きが見えない状態にさらされているのが、作家。イギリスのレポート「Authors’ Licensing and Collecting Society」によると過去10年で作家の収入は42%減少し、平均収入は1万500英ポンド(約148万円)以下。
つまり、出版社は過去の名作のオーディオブックやスキャンダラスな暴露本の電子書籍などで利益を上げており、自社の長期的な知的財産(IP)となり得る漫画や小説などのフィクションは全く売れていない状況です。
日本の出版社も、海外と同様に「スキャンダラスな電子書籍やオーディオブック」を中心に巻き返しを図るのか。それともこのまま沈んでいくのか。まさに岐路に立たされています。
廃れる業界で独自性を打ち出す注目企業
このように書くと、コールセンター業務や出版業を手がける企業には未来がないと感じる方もいるかもしれません。
ですが実際にはそうした事業分野でも、独自性を打ち出すことで成長を続けている企業もあります。
事業の独自性や、多角化に伴う事業同士のシナジーを武器に成長を続ける注目企業を紹介します。
イー・ガーディアン(6050)
イー・ガーディアンは掲示板の投稿監視やコールセンター業務、広告入稿業務のアウトソーシングを受け付ける企業です。また薬機法に照らし合わせたネット広告の審査サービスも提供しており、修正が発生した場合の修正サポートも行っています。
イー・ガーディアンの強みはAI(人工知能)、RPAの活用による業務自動化と24時間体制のオペレーション体制の組み合わせで、高品質な顧客サポートを実現していること。1998年創業の老舗IT企業でもあり、膨大な投稿監視データをディープラーニングに活用できることも強みです。
自社にセキュリティやゲームなど各分野に精通したプロフェッショナルが在籍していることもポイントです。近年はYouTubeはオンラインゲーム、ウェブサイトに子供達がアクセスするのが当たり前となっています。しかしアクセスした先に有害コンテンツやウィルスが仕掛けられているケースもあります。コンテンツに問題はなくとも、配信広告に問題があるケースもあります。
そうしたリスクを「完璧に取り除く」には、やはりプロフェッショナルの手動による監視や広告審査、Webアプリケーションの脆弱性診断などもまた欠かせません。
確かな技術力と、オペレーション力を武器に「信頼性の高いサービス運営」を重視する顧客から信頼を勝ち得ているイー・ガーディアン。ネット社会の発展を、セキュアな運用によって支えていく存在です。
市場情報
東証1部 6050
2010年12月1日上場
RIZAP(2928)
積極的なM&Aによって急拡大を続けるRIZAP GROUP。特にRIZAPが力を入れているのが、出版や広告をはじめとするメディア企業の買収です。
2016年4月18日には健康関連の書籍出版などを手がける日本文芸社を買収。2017年3月31日には地域向けフリーペーパーの発行と配布などを行うぱどを買収しています。
さらに直近では2018年3月30日にサンケイリビング新聞社を買収。サンケイリビング新聞社もフリーペーパー「リビング新聞」を発行しており、ぱどとリビング進分を合わせると合計発行部数は2000万部。RIZAPは実質的に2000万部の発行部数を誇る、日本のフリーペーパー発行企業としてNo.1の存在へと躍り出たのです。
RIZAPはこれらのメディア買収について、一括での広告枠契約に伴う安価な広告展開を行うとしています。また買収しているメディアのコアターゲットは20代〜40代前後と、RIZAPの主要顧客との共通性もあります。
また出版社買収については、今後RIZAPのノウハウを集約した健康関連の書籍出版が予想されます。
いわばRIZAPは積極的なM&Aによって、日本有数の「オウンドメディア構築」に成功している企業と言えるでしょう。特に2000万部のフリーペーパー発行数は圧倒的です。
買収から日が浅いこともあり、今後の展開には不透明な部分もありますが「一括広告枠契約による、メディアの持続的成長」など「オウンドメディアとしての出版・広告」だからこそできる新たなことも見え出しています。今後の展開に期待大です。
市場情報
アンビシャス 2928
2006年5月30日上場
さいごに
伸びる業界と廃れる業界、そして各業界の注目株を紹介しました。各業界のトレンドや、衰退する業界でも独自性を打ち出して成長している企業の情報をチェックすることで、正確な市場予測が可能です。
またコロプラやRIZAPなど、投資やM&Aに積極的な企業の投資先を常にチェックしておくこともとてもおすすめです。
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