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サーバー上でPCの運用を集中管理する「デスクトップ仮想化」を解説

更新: 2018.05.25

社員が持つ一つひとつのPCに対して、ソフトのインストールやトラブル対応など、やることが多くて管理が大変と感じていませんか? もしくは、社員全員のPCソフトをアップデートするのにコストがかかり過ぎると感じていませんか?PCの管理やコストを大幅に改善してくれるのが「デスクトップ仮想化」という技術です。デスクトップ仮想化を導入すれば、PCの運用・管理を効率化し、コストを削減することができます。この記事では、デスクトップ仮想化について詳しく見ていきます。

デスクトップ仮想化(VDI)とは

デスクトップ仮想化(Virtual Desktop Infrastructure)とは、OS、アプリケーション、データなどをサーバー上の仮想化基盤に集約して処理を行う仕組みのことです。これによりユーザーが使用する端末の機能を最小限に抑えることができ、クライアント端末の運用管理が容易になります。

クライアント側のパソコンに最小限の機能しか搭載しないシンクライアント環境を構築することができます。

IT専門の調査会社であるIDC Japanによると、2021年までにクライアント仮想化ユーザーは745万人、モバイル仮想化ユーザーは1100万人にまで拡大するとしており、デスクトップ仮想化が広まっていくことが予想されています。

参照:IDC Japan

そもそも仮想化とは?

仮想化とはハードウェアのリソースを物理的な構成にとらわれずに統合や分割をすることです。ハードウェアのリソースとはCPU、メモリ、ディスクなどです。

仮想化技術を利用している代表的なものはサーバーの仮想化です。サーバーに仮想化技術を応用すると、サーバーの中で未使用となっているリソースを他のサーバーに割り当て効率的な運用が可能となります。

また、1台のサーバーに複数の環境を構築することができるため(例えば、WindowsのPCにLinuxの環境を構築するなど)、コンピュータの設置台数を必要最小限に抑えることができます。

仮想化には、サーバー仮想化、ストレージ仮想化、ネットワーク仮想化などがあり、デスクトップ仮想化はその中の一つです。

各端末で稼働させていたOSやアプリをサーバー上に統合。一括管理する仕組み

通常は、社員一人ひとりにパソコンやタブレットなどの端末が与えられ、それらの端末にはOSやアプリケーションが入っています。社内の共有データを使用する時には端末からサーバーにアクセスします。

デスクトップ仮想化では、社員の端末に入っているOSやアプリケーションをサーバー上の仮想化基盤に配置します。社員はサーバー上に構築されたデスクトップにアクセスして操作を行います。

ネットワーク接続と画面表示機能さえあれば、型落ちパソコンでも活用可能

デスクトップ仮想化では、ユーザーの所有するパソコンには最小限の機能しかありません。例えば、マウスやキーボードで入力を行うと、サーバー上のデスクトップが処理を行い、ユーザーの端末に結果を表示します。

このように高度な処理はサーバー上のデスクトップが行うため、ユーザー側の端末ではネットワーク接続と画面表示機能さえあればよく、型落ちした古いパソコンを活用することもできます。また、スマートフォンやタブレットからでも操作することができます。

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デスクトップ仮想化(VDI)の3つの方式

デスクトップ仮想化を実現するには、ターミナルサービス方式、仮想PC方式、ブレードPC方式の3つの方式があります。

ターミナルサービス方式

サーバー上の1つのOSを複数のユーザーで使用する方式です。システムの管理工数を削減し、最もコストを抑えられる方式です。

ただし、OSが一つであるため、ユーザーが多様なアプリケーションを使用したいなどといった場合には向いていません。

柔軟性はないけれど決まりきった業務しか行わないといった場合に有効です。コールセンターなどの定型業務などで採用されることが多い方式です。

仮想PC方式

仮想PC方式では、ユーザーそれぞれに一つのOSが与えられています。ユーザーごとにOSが独立しているため、業務に応じたアプリケーションを使用できます。

ブレードPC方式

OSに加えハードウェアも専有する方式です。専用のシャーシに複数のPCブレードを格納して仮想化環境を構築します。

通常のPCを一人ひとりが占有している状態なので、最も柔軟性が高く、他のユーザーの異常動作の影響を受けることがありません。しかし、ユーザーが多い場合には高額になってしまいます。

オンプレミスとクラウド

近年では、デスクトップ仮想化をクラウドで提供する事業者も出てきました。クラウド型ではシステム運用をアウトソースできるというメリットがありますが、自由に設定の変更をすることができないといったデメリットがあります。

オンプレミス型では、自社ですべて構築するため費用がかかりますが、システムを柔軟に変更できるというメリットがあります。

デスクトップ仮想化(VDI)のメリット

クライアント端末の運用の効率化

通常はソフトのインストールやトラブル対応などPCごとに行わなければなりませんが、デスクトップを仮想化することで効率的な運用をすることが可能になります。

企業のコンピュータ台数はサーバーよりもクライアント端末が圧倒的多数

クライアント端末が多ければ多いほど、管理の手間やコストが増加します。

クライアントの機能を最小限にすることで、管理やコストの問題を解決することができます。

クライアント端末ごとのアップデートは大きなコスト

デスクトップを仮想化すれば、仮想化されたデスクトップにだけOSやソフトウェアのアップデートを適用すればよく、コストを大幅に削減することができます。

セキュリティ対策の強化

クライアントの端末にデータを残さないため、システムを安全に運用することができます。端末を紛失してしまっても情報漏えいを防ぐことができます。

ユーザーの業務効率アップ

システムの管理はサーバー上のデスクトップで行うため、ユーザーはPCのメンテナンスにかかる手間を省くことができ、業務に集中することが出来ます。

災害時の事業継続が可能に

仮想化技術が広まった一つの背景には東日本大震災があります。震災後にシステムがダウンし業務を停止せざるを得なかった企業が、災害時にも事業を継続することが可能なシステムに注目し始めました。

デスクトップ仮想化は、いつでもどこからでもデスクトップ環境を利用できるため、事業継続性を高める有効な手段の一つとなっています。

リモートワーク、テレワークの推進につながる

ネットワーク接続さえあればどこからでも業務を行えることから、リモートワークなど遠隔で仕事を行えることもメリットの一つです。

現在、広まりつつある多様な働き方を実現する一つの手段となります。

リモートワークについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

リモートワークとは?向いている職種やテレワークとの違い、助成金を解説」

既存のビジネスPCを引き続き活用可能

端末側にデータが残らない上に、PCに求められる性能はネットワーク接続と画面表示だけなので高性能PCを必要としません。

既存PCを活用しつつ、必要に応じて段階的に新たな機器を導入することができます。パソコンではなく軽量なタブレットで業務を行うなど幅広い働き方を実現できます。

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ユーザー、管理者、経営者の目線から見たメリット・デメリット

さらに詳しく「ユーザー」「システム管理者」「経営者」というそれぞれの立場から見た、デスクトップ仮想化のメリット・デメリットを見ていきましょう。

ユーザーにとってのメリット

安全なデータ利用が実現

社外、社内のどちらでも安全なデータ利用が可能となります。

通常は、クライアント端末ごとにアプリケーションやデータをインストールします。端末を社外に持ち出し、リモートワークなどをする場合は、認証の多重化やデータ持ち出しの許可取りなど非常に煩雑になります。

デスクトップ仮想化では、端末自体にはデータが残らないため、仮に端末を紛失したとしてもリスクが低く、社外での安全な作業が実現します。

 タブレット、スマートフォンで業務が可能

タブレットやスマートフォンでも業務が可能となります。

社用端末として導入したタブレットやスマートフォンを業務効率の向上に役立てることができていない企業は、デスクトップ仮想化を検討すると良いでしょう。

ユーザーにとってのデメリット

ネットワーク接続に依存する

パソコンの主要な機能がサーバー上に配置されているため、ネットワーク環境が十分でない場合、作業に支障が出てしまう可能性があります。

大きな企業では多数の仮想マシンが稼働することになり、十分なネットワークの帯域を確保する必要があります。

また、遠隔で作業する場合には快適に動作するネットワーク接続が必要となります。 

システム管理者にとってのメリット

端末故障時の負荷軽減

クライアント端末ごとにOSやアプリケーションを入れると、その都度データ復旧作業などが必要となります。一方、デスクトップを仮想化をすると、端末自体にはデータが残らないので故障しても復旧が早くなります。 

システム管理者にとってのデメリット

リモートワークなど多様なワークスタイルへの対応が求められる可能性がある

デスクトップ仮想化を実施した企業は、多様なワークスタイルを社員に認める可能性が大きいです。そのため、遠隔で働く社員からの質問への対応など、それまでになかった業務が増えることも考えられます。

経営者にとってのメリット

事業の継続性が飛躍的に高まる

災害時などにクライアント端末が損傷してしまっても、迅速にデータ復旧することが可能です。またオフィスが甚大なダメージを負ったとしても、パソコン、タブレットなど端末さえあれば遠隔で業務継続が可能となります。 

経営者にとってのデメリット

データが一箇所に集中する

データが一箇所に集中するため、ハッキング対策には資金を投入するなどしてしっかり対応しなくてはなりません。 

まとめ

以上、デスクトップ仮想化の仕組み、方式、メリットなどについて見てきました。

デスクトップ仮想化を導入することで、コスト削減、運用の効率化、セキュリティ強化、事業継続性の向上、多様な働き方を可能にするなど、多くのメリットがもたらされます

もし、自社がクライアント端末ごとにアプリケーションをインストール・更新するなど煩雑な作業をしている場合は、デスクトップを仮想化することを検討してみましょう。

最新の技術を導入することで、リモートワークなどをしやすい柔軟な職場環境作りに取り組んでみましょう。

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この記事を書いた人

Yoshi Otobe
アメリカの大学でジャーナリズムを専攻。帰国後、医療、教育、ビジネス、ITなどの分野でライティング、編集、翻訳業務に携わる。現在はITとプログラミングについて勉強中。「基本情報技術者試験」「ITパスポート」「Webクリエイター能力認定試験」などの資格を所有。

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