あなたは、ゲームが好きで自分でもゲームを作ってみたいと考えたことはありませんか?
しかし、ゲーム制作をどのようにはじめたら良いかわからず、諦めてしまった経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような場合におすすめしたいのが、ゲームを制作に最適な統合開発環境であるUnityです。
この記事では、Unity 2017の機能や学習方法をはじめ、Unity 5との違いについても解説します。
この記事の目次
Unity 2017とUnity 5
名前の通り、2017年にリリースをスタートしたUnity 2017。Unity 5はその1つ前のバージョンで、2015年にリリースされました。まずは、Unityの概要とその2つのバージョンの違いについて解説します。
Unityについて
Unityとは、ゲーム制作に必要な様々な機能を持ったゲームエンジンが搭載された統合開発環境です。Unityはゲームエンジンとして世界で最大のシェアを誇ります。
ゲームを1から作ろうとすると、多くの時間と手間が必要です。しかし、Unityにはそのようなゲーム制作に求められる機能が用意されており、必要に応じてアセットストアを使えば初心者でも簡単にゲームが作れるようになっています。
アセットストアには、3Dモデルの画像や音楽などのゲームの素材をはじめ、便利なプラグインも購入できるショップです。有料な素材だけでなく、無料で使える素材もあります。
シンプルな構造のゲームであれば、プログラミングなしでも作れる使いやすさもUnityの魅力と言えるでしょう。より複雑で高度なゲームを作る場合には、C#によるプログラミングを組み込む必要があります。
Unity 2017とUnity 5の違いとは
Unity 2017とUnity 5を比較して、どのように新しくなったのかご説明します。
Unity 2017はマルチスレッドに対応し、マルチコアのCPUを生かすことでUnity 5と比較してパフォーマンスが向上。開発者がストーリーや映像制作に注力できるようにTimelineやChinemachineなどの新しい機能も追加されました。
Nintendo Switch・iOS・Androidなどの最新のプラットフォームにも対応し、より利便性も高まっています。このようにバージョンが新しくなるごとに時代の変化にいち早く対応している点も、Unityが高い人気を保っている理由の1つです。
Unity 2017とは
次に、Unity 2017とはどのようなバージョンなのかについて紹介します。Unity 2017の概要やおもな特徴を理解して、ざっくりとその魅力を把握しましょう。
2017年にリリースされたバージョン
Unity 2017は2017年に新しいサイクルとしてリリースされたバージョンです。それまでのバージョンは、Unity 5.xのように表記されていました。それが変更になったリリースサイクルです。Unity 2017.xというようにバージョンが更新されていきます。
西暦が付くので、いつリリースされたバージョンなのかとてもわかりやすいです。ちなみに、現在の最新バージョンは2018年5月2日にリリースされたUnity 2018.1となっています。
Unity 2017の特徴
開発者とアーティストやデザイナーが共同開発しやすいように、様々な機能を充実させたことがUnity 2017の特徴と言えるでしょう。
Timeline・Chinemachine・Unity FBXエクスポーターといった機能により、強力で使いやすい開発環境を実現しています。それと同時にグラフィックスのクオリティとランタイムの性能の向上も目指したバージョンです。
VR・ARをはじめとするさまざまなプラットフォームの最新の機能を活用し、GPU性能とネイティブグラフィックスAPIに対するアップデートも継続。作業効率を高める新たな2Dツールも見逃せないポイントとなっています。
また、Unity 2017から開発者の生産性向上に役立つUnity Teamsのサービスが開始しました。
Unity 2017の新機能
Unity 2017の新機能について、上記の動画でハイライトでまとめられていますので参考にしてみてください。以下で、Unity 2017のおもな新機能について詳しく解説します。
パワフルなビジュアルツール
Timeline
Unity 2017の新機能として、直感的で素早く制作できるパワフルなビジュアルツールがまずあげられます。Timelineはソースコードをベースにするのではなく、シーケンスベースでシーンを制御できる機能です。視覚的にシーンを管理し、音声の再生タイミングなどを合わせるのに便利です。
時系列にAnimationClip・AudioClip・Cameraなどのシーケンスを組み、イメージするアニメーションを効率的に作成できます。
Chinemachine
映すポイントを元にカメラの動きをコントロールできるゲームの臨場感を高めるアセットです。Chinemachineは対象物の動きも同期可能。バーチャルカメラを複数セットすることもできます。Timelineとの親和性も高い機能です。
Post-Processing Stack
Post-processingは作ったゲームを華やかにしたり、雰囲気を合わせて統一感を出したりといったことが素早くできる後処理の機能です。
Unity 2017以前にも同様の機能はありましたが、仕組みが新しくなったことでチェックボックスにチェックを入れるだけで高いクオリティのビジュアルを簡単に得られるようになりました。また、処理の順番も正しく設定されているます。
これにより、ゲーム制作の知識が少なくても映像のクオリティの高い作品づくりができにるのです。
作業効率のアップ
.NET 4.6に対応
Unity 2017は.NET 4.6に対応しました。それにより、プログラミングにおいてC#6.0が使えるようになったのは大きな改善点と言えるでしょう。Unity 5は.NET 3.5に対応にしており、C#4.0が使用できました。C#6.0はC#4.0と比較して、とても利便性が高くなっています。
より詳しく改善点が知りたい場合には、Visual Studioがサポートしてくれるので使いながら確認すると良いでしょう。
分析ツール
すべてのデバイスのデータからユーザーが望む情報を導き出す分析ツールが改良されています。Remote Settingsによりリアルタイムで収集したゲームの使用状況を解析したデータに対して、スピーディーなカスタマイズが可能になりました。
この機能はゲームを公開した後はもちろん、テストの時にもとても便利です。
Unity Teams
Unity Teamsはチームでゲーム制作を行う際に、プロジェクトの保存・共有・同期がスムーズに行えるサービスです。Collaborate・クラウドストレージ・クラウドビルドなど、ゲーム開発の効率を高める多彩な機能が揃っています。
新しい2Dツール
Unity 2017には新しい2Dツールとして、タイルマップ機能が加えられました。このタイルマップを使えば、スプライトとゲームの素材を組み合わせて2Dのゲームのマップ作成が素早く行えます。
スプライトは、トランスフォーム、ライティング、またはエフェクトのためのパイプラインを使用しないでレンダリング ターゲットに直接描画される 2D ビットマップです。
引用元:Microsoft
FBX Import / Export
FBXは、3Dデータを違ったアプリケーション間でやりとりするためのフォーマットです。このFBXのサポートがUnity 2017で大きく向上。これにより3DグラフィックスソフトであるMayaや3dsMaxとシームレスに連携が可能になりました。
改良されたパーティクルシステム
ゲームのシーンで液体・火・大気などのシュミレーションを行うパーティクルシステム。そのパーティクルシステムがUnity 2017では基本的な機能の強化に加えて、スプライトの統合・ノイズモジュール・形状の改良などにより性能が向上しています。
より多くのエフェクトやアニメーションを表現できるようになりました。
VR・ARに対する機能強化
パノラマ360度動画
パノラマ360度・180度動画や2D・3D動画を制作におけるワークフローが改良されて使いやすくなっています。Unity 2017に動画を取り込み、没入感のある作品が制作可能。
ゲームの世界を覆うskyboxでも360度動画の再生できるようになったので、よりイメージ通りの作品が作りやすくなりました。
Apple「ARkit」とGoogle「ARCore」のプラグイン
Unity 2017ではARkitとARCoreのプラグインがリリースされ、ARアプリケーションのプラットフォームとして活用できるようになりました。
ARkitはAppleが提供する開発者向けのARフレームワークで、ARCoreはGoogleが提供するARプラットフォームです。プラグインのリリースにより、VRだけでなくARのコンテンツを作る上でもUnityは利便性の開発環境となりました。
上記の画像に各バージョンの新機能がそれぞれ記載されています。詳しく知りたい方はこの画像を参考にしてみてください。
Unity 2017.4が最新のLTS版
Unityは2018年から新たなリリースプラントして、TECHストリームとLTSストリームを導入しました。Unity 2017は2018年現在の最新のLTS版です。
LTS版は安定して使えるバージョン
LTSは「Long-Term Support」の略です。LTSストリームは、バグや不具合に対処することにフォーカスして長期サポートを提供しています。LTSストリームのサポートは2年間続きます。
LTS版は安定して使えるバージョンなので、業務での利用や入門に最適と言えるでしょう。現在のLTS版はUnity 2017.3をベースとした2017.4です。
最新の機能を使いたい場合にはUnity 2018がおすすめ
安定した稼働が魅力のUnity 2017のLTS版。しかし、サポートをメインとしているため新しい機能は追加されません。
LTSストリームに対して、TECHストリームとうリリースプランがあります。これは、年間に3回のメジャーリリースを行って、新機能を盛り込んでいくサイクルです。
Unityの最新の機能を求める場合には、現在のTECHストリームにあたる2018年5月にメジャーリリースされたばかりのUnity 2018.1がおすすめです。
Unity 2017のLTS版をダウンロード方法
実際にUnity 2017を使ってみたいという方のためにダウンロード方法と日本語のマニュアルについて紹介します。
Unityの公式サイトからダウンロード
Unity 2017のLTS版は、下記のUnityの公式サイトからダウンロードできます。好きなバージョンを選んでダウンロードしましょう。
Unity – Unity QA – LTS Releases
日本語のマニュアルについて
Unity 2017を使ってみたいという方は、初心者から上級者にまで役立つ下記の日本語のマニュアルを参考にしてみてください。
自分の使っているバージョンを選べば、それに合ったマニュアルがご利用いただけます。入門に最適なチュートリアルもあり、とても参考になります。
Unity 2017の学習に最適な書籍・本を紹介
Unityは利用するユーザーが多いため、インターネット上に豊富な資料があることが魅力です。また、それと同様に学習に最適な本も多く出版されています。
その中から、Unity 2017の入門にぴったりなおすすめの本を紹介します。
Unityの教科書 Unity 2017完全対応版
もっともおすすめしたい人気のUnity 2017の教科書です。C#のプログラミングの基礎から、アプリ作成までイラストを使ってわかりやすく解説。ゲーム制作の基礎がしっかり学べます。
Unity2017入門
「ひよこ本」とも呼ばれるUnityの定番の入門書です。プログラミングやゲーム制作の知識がなくても、0から学べるわかりやすが魅力です。
UnityではじめるC# 基礎編
Unityを使ったC#の学習に重点を置いている方におすすめの本です。簡単なゲームを作りながら学習できるので、挫折したり飽きたりせずに進められます。
Unity 5とは
Unity 5はUnity 2017の1つ前のバージョンです。このUnity 5について知ると、Unity 2017がどのように進歩しているのかがよくわかるでしょう。
2015年にリリースされたバージョン
Unity 5は2015年3月にリリースされたバージョンです。リリースされた時には、レンダリングの機能の著しい向上から「次世代ゲームエンジン」と称されました。2017年3月にリリースされたUnity 5.6を持って、開発サイクルは終了しています。
パーソナルエディションが登場
Unity 5はそれまでに「Unity Free」「Unity Pro」から、無料版の「Personal Edition」と有償版の「Professional Edithion」というライセンス体系に変更されました。
Personal Editionで提供される機能はプロフェッショナル版と同様。Unity 4では有償版と無料版では使える機能に違いがありました。このライセンス体系の変更は、Unity 4から大きく変わったポイントの1つと言えるでしょう。
Unity 5の新機能
Unity 5で搭載された新機能について解説していきます。
Web GL2.0の書き出し
WebGLは3DコンテンツをWeb上で使用するための技術。WebGL 2.0の書き出しができるようになったことにより、Webブラウザが動作する環境であればプラグインなしでUnityで作ったゲームが楽しめるようになりました。
IL2CPPの導入
IL2CPP(Intermediate Language to C Plus Plus)とは、C#をC++に変換する技術のことです。これによりC#で記述したコードをC++に変換して最適化が可能になるため、パフォーマンスの向上が期待できます。
物理ベースレンダリング
Unity 5は物理ベースレンダリング(PBR)の導入にされ、Standard Shaderだけで現実の世界と同じような素材感を表現できるようになりました。表現したい材質に合わせてShaderを選ぶことで全体の統一が難しくなるという問題を、物理ベースレンダリングの導入によって解決したのです。
物理ベースレンダリングとは、以下のような考え方です。
現実の物理現象を基準に、画風を統一しましょう!という考え方。現実世界は一つなので必ず統一されるし、物理現象を元にしているので結果リアリティも向上する。
引用元:UnityShader 入門
サウンド機能が向上
Unity 5はサウンド機能が大きく向上しました。オーディオミキサーの機能が導入。これにより、オーディオをグループとして管理が可能になりました。そのグループに対して、エフェクトを設定することもできます。また、PCM・ADPCM・Vorbis・MP3と幅広いデータフォーマットにも対応しました。
VRとの親和性が向上
Unity3Dのレンダリング機能をはじめ、VRゲームの制作に適した開発環境です。Unity 5はGoogleのスマートフォン向けのVRプラットフォーム「Cardboard」「Daydream」にネイティブ対応しており、VRとの親和性がさらに向上しました。
幅広いプラットフォームに対応
Unity 5はWebGL・IL2CPP・VRとの親和性の向上により、Unity 4以上に様々なプラットフォームに対応しました。これにより、制作したゲームを複数のプラットフォームに発信することが簡単にできます。1つの開発環境で幅広いプラットフォームに対応したことで、Unity 5はゲームの可能性を広げるために大きな役割を果たしてきたのです。
Unityの他のバージョンとの互換性について
Unityはバージョンアップを繰り返し、機能性を高めています。スピーディーな機能の向上は魅力ですが、その反面、Unityは前のバージョンと互換性が保たれない部分もあるので注意が必要です。
最新のバージョンに開発環境を移行する際には、再構築などを行う必要が生まれる場合もあるのです。業務で使うためにUnityを学習する場合は、使用するバージョンを確認しましょう。
また、Unityを学びたいと考えている方は、現在の最新バージョンであるUnity 2018の前に教科書となるサイトや本なども豊富なUnity 2017からはじめるのも1つの方法と言えるでしょう。
まとめ
今回はUnity 2018のメジャーリリースにより、LTS版への注目が高まるUnity 2017を中心に紹介しました。
Unity 2017とUnity 5を比較
Unity 5はWebGL 2.0やIL2CPPなど導入され、マルチプラットフォームへの対応が強化されました。また、物理ベースレンダリングなど性能面でも進歩が見られます。その流れをUnity 2017は引き継ぎ、ARや最新のプラットフォームへの対応が行われました。
それだけではなく、Unity 2017はビジュアルや作業効率において大きな性能の向上があった点がUnity 5との大きな違いと言えるでしょう。また、Unity Teamsへの対応によりチームでの作業もとても行いやすくなりました。
Unity 2017は初心者もゲーム制作がはじめやすくなった
Unity 2017は感覚的な制御ができるビジュアルツールやわかりやすいPost-Processingなど、初心者でもゲーム制作がはじめやすくなったバージョンです。
もちろん、高度なゲーム制作を行うためには、プログラミングの知識は欠かせません。そのようなプログラミングの知識を持つゲーム制作の上級者の方が、スピーディーで効果的に作業を行える環境もUnity 2017は提供します。
Unity 2017は初心者にはやさしく、プロには効率良くクオリティの高いゲーム制作が行える開発環境と言えるでしょう。
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