かつて、画期的な働き方改革として注目されたプレミアムフライデー。
現在は、その存在がフェードアウトしてしまいました。
そこで本記事では、プレミアムフライデーの現在と事実上終了してしまった理由を解説します。
※記事内の情報は2022年1月執筆時点の内容です。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
この記事の目次
プレミアムフライデーとは
出典元:プレミアムフライデー
プレミアムフライデーを簡単に説明すると、「月末の金曜日は15時に仕事を終えましょう」というキャンペーンのことです。省略して「プレ金」とも呼ばれました。
プレミアムフライデーはいつから始まった?
経済産業省と経済団体連合会が中心となって提唱・推進され、2017年2月より、民間企業などで導入されました。
義務化されたわけではなく、導入するしないは企業ごとに決められています。さらに、プレミアムフライデーの該当日に15時に帰るかどうかも、各社員が自分で決めるケースが多いようです。
個人消費を促すことが目的
プレミアムフライデーを実施した1番の目的は「個人消費を促すこと」とされています。
週末の金曜日というと、社内の同僚・上司と飲みに出かけたり、家族でレストランで食事や買い物をする方も多いでしょう。
つまり、金曜日は経済が活発になる曜日ともいえるので、仕事終わりの時間を早くすることにより、消費活動を促進しましょうという狙いがあったのです。
さらに、就業時間が短くなることで社員が体を休めたり、趣味や家族と過ごす時間に使ったりなどもでき一石二鳥の効果があると思われていました。
プレミアムフライデーの現在
「働く時間が短くなって、自分の好きに使える時間が増える…」
会社員の理想を実現したようなプレミアムフライデーは、発表当時大きく注目されました。
しかし、導入から2年がたった2019年の段階で以下のようなツイートが。
プレミアムフライデーって何?読み方は?本名は?残業との関係は?調べてみました!
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) June 28, 2019
この時点で、「プレミアムフライデーについて話しているのは、SHARPさんだけ」という意見もありました。
もうプレミアムフライデーの事を呟いているのSHARPさんだけな気がする。
— ぽん(ΦωΦ) (@rx00790083) June 28, 2019
そして2020年以降は、新型コロナウイルス感染症の蔓延を受け、プレミアムフライデーは事実上終了してしまいました。
この記事もオススメ
開始から5年・細々とキャンペーンは実施中
開始からはや5年。プレ金の熱がすっかり冷めてしまったように感じる2022年。
それでもキャンペーン運動は細々とではありますが実施されています。
プレミアムフライデーの取り組みを行う飲食店も
プレミアムフライデー推進協議会のサイトをのぞいてみると、ココスなどの一部の飲食店では、2022年以降もプレミアムフライデーの取り組みが行われているようです。
あるいは、非公式ながら各飲食店が独自のプレミアムフライデーを実施している場合も。
最終金曜日は「ちょっと一杯」や外食を楽しんでみてはいかがでしょうか。
串カツ田中はプレミアムフライデーで成功
プレミアムフライデーがはじまった当初から毎月最終金曜日は全店15時にオープン。串カツを100円で提供するなどのイベントを開催していました。
これはプレミアムフライデーにおける成功例と言えるでしょう。
ただし、2021年以降は実際されていないようです。
╲あと2日!!真夏の串カツキャンペーン╱
本日はプレミアムフライデー!
全店15時よりオープンしております!https://t.co/tQjeJNZpDX#串カツ田中 #真夏の串カツキャンペーン https://t.co/cXEnbjenn4— 串カツ田中【公式】@18時までハイボール・レモンサワーが50円 (@kushitanaka) August 30, 2019
デパートや百貨店などの小売店をお得に利用できる
西武・三越伊勢丹・イオンモールなどのデパートや百貨店、イクスピアリ・横浜ベイクォーター・マークイズみなとみらいといったショッピングモールでもキャンペーンがありました。
仕事終わりにショッピングに出かけて、その後に対象の飲食店を利用すれば、プレミアムフライデーを満喫できるでしょう。
ただし、2020年以降は大きな動きは見られません。
【予告:27日~開催】各百貨店では、月末の金曜日はいつもと違う豊かさを楽しむ日。それがプレミアムフライデーです。百貨店でプレミアムな週末をおすごし下さい。ご来店をお待ち申し上げています。《🈹割引🉐ポイントアップ・増量キャンペーンなど…各店舗にて開催します》https://t.co/Vr7UTcYY6W pic.twitter.com/MH8Abml5Nq
— 百貨店友の会 (@info_tomonokai) December 23, 2019
グラブルのプレイヤーに認知されているプレミアムフライデー
スマホなどでプレイできる人気ゲーム「グランブルーファンタジー」のプレイヤーに、プレミアムフライデーは広く認知されています。
なぜなら、毎月のプレミアムフライデーの時期にお得なイベントが定期的に開催されていたからで、参加プレイヤーも多数で賑わいを見せました。
FPF(ファイナルプレミアムフライデー)という新たな言葉も登場したほど。
名古屋といえばエビフライは有名ですが、グランブルーファンタジーの舞台のプレミアムフライデーではエビフライ討伐イベントが発生します🍤
今ならログインするだけで最低でも10連ガチャが回せる特別キャンペーンも実施中!#グランブルーファンタジー pic.twitter.com/jjgUJ87hUy— 名古屋OJA【公式】 (@Nagoya_OJA) December 23, 2019
プレミアムフライデー推進協議会は毎月情報を発信
プレミアムフライデー推進協議会では、キャンペーン情報を発信しています。
社会人向けの学習の機会となる「プレ金大学」など、お得な情報の入手が可能。
「失敗した取り組み」「プレミアムフライデーって、まだやってるの?」と思う方もいると思いますが、根強くお得なキャンペーンは続いています。2022年も細々と続くでしょう。
もしも、金曜日に早く帰ることができた場合には、プレミアムフライデーを思い出し、上手く利用するのがおすすめです。
終了してしまったプレミアムフライデーのキャンペーン
2017年の開始当初は多くの企業がビジネスチャンスと捉えて、さまざまな施策を実施しました。その中には、残念ながら終わってしまったものもあります。
カワチ薬品
出典元:カワチ薬品
カワチ薬品はプレミアムフライデーで10%の割引を行っていました。現在は、ポイントがお得にゲットできるキャンペーンを別で行っているようです。
デニーズ
出典元:デニーズ
デニーズは山盛りポテトが99円になるクーポンを配布していました。このクーポンの終了とともに、プレミアムフライデーの終わりを感じた方も多いようです。
ガスト
出典元:ガスト
ガストは生ビールが破格の99円になるクーポンを配布していました。
以上の企業では、現状はプレミアムフライデーという名目では施策は行われていないようです。しかし、月末のお得なキャンペーンを続けている企業は少なくありません。
プレミアムフライデーの導入企業について
プレミアムフライデーを実施している企業について以下で解説します。
プレミアムフライデーの導入企業は1割
出典元:ゼネラルリサーチ
ゼネラルリサーチが行った調査(2019年調査)によると、「プレミアムフライデーを知っている人」の割合は90%ほど。
社会人の多くがプレミアムフライデー自体は知っています。
出典元:ゼネラルリサーチ
一方、「勤め先の企業でプレミアムフライデーが実施されたか」という調査で「はい」と答えた人は10%ほど。
調査結果によると、2019年時点でプレミアムフライデーを導入している企業の割合は約1割ほどで、会社員の大半がプレミアムフライデーを経験していないということになります。
これでは注目度が下がってしまうのも仕方がないでしょう。
この記事もオススメ
それでも月末は検索する人が急増
出典元:Googleトレンド
Googleトレンドで「プレミアムフライデー」と調べてみると、2021年時点においても毎月末に検索数が大幅に上昇していることが分かります。
注目度が減ったプレミアムフライデーですが、まだまだ求めている人は多いようです。
なぜプレミアムフライデーは定着せず失敗したのか?
プレミアムフライデーを導入した企業は1割ほどで、ほとんど定着しませんでした。
その理由は大きく2つの理由が考えられます。
月末は繁忙期を迎える企業が多い
月末は決算の関係で繁忙期を迎える企業が多く、特に大手企業は作業量が膨大です。
3月の年度末は決算だけでなく、新入社員の受け入れ態勢を整えるなどやることは山積み。そのような状況で実施しても、15時で仕事を終わらせるのは難しいでしょう。
「月末は忙しいので月初の金曜日にしてほしい」という意見も上がったほど。
仕事の兼ね合いで早く帰れない業種がある
仕事内容から、早くに帰れない仕事もあります。
例えば、医療・介護関連は、プレミアムフライデーだからといって早く帰ることは難しいでしょう。患者や施設の入居者の体調に異常が出たら、即座に対応しなければなりません。
また、飲食店やデパートで働く人にとってはプレミアムフライデーは難しいはず。このような仕事をする人々が15時で終業してしまうと、消費する場が限られてしまいます。
プレミアムフライデーはどの職種でも利用できるキャンペーンではないのです。
「帰ってもいいですよ」くらいの認識
プレミアムフライデーの理想は、「月末金曜日は、社員の大半が仕事を終えて帰る」という状態を作ることだったと思われます。
しかし、プレミアムフライデーとして15時に帰るかどうかは各社員の判断次第。そうなると「帰りたくても帰れない」という人も出てくると予想できます。
仕事量や職務内容の関係で帰れないのはもちろん、上司が仕事をしているのに、部下が定時よりも早く帰るのは気が引けるもの。
そのような状況の改善がなされる前にプレミアムフライデーが導入されたことにより、「帰ってもいいですよ」くらいの認識になってしまったのでしょう。
「利用しない」という選択肢を残すことも、定着しなかった要因だと考えられます。
うれしいだけじゃない…プレミアムフライデーの裏事情
プレミアムフライデーによって個人消費が増えて経済が活発になる。
一方で、プレミアムフライデーが損になってしまう方もいるようです。
そこで本章では、プレミアムフライデーの裏事情について紹介します。
結局残業することになる
15時までに仕事が終われば、気分よく楽しめるプレミアムフライデー。
しかし、仕事が終わっていないのに15時で切り上げてしまっては、その分のつけが他の日に回ってくることでしょう。
仕事量が多い方は、プレミアムフライデーがあってもなくてもあまり関係ないと考えているようです。
この記事もオススメ
早く帰ってもやることがない
「楽しめる趣味がない」と悩む人も多いこの頃。早く家に帰っても何もすることがなく、時間を持て余してしまう人もいるようです。
それだったら定時まで働いて、いつも通りの生活をしたほうがいいと感じてしまうことでしょう。
お金を浪費してしまいそう
15時に仕事が終われば、夕方から飲み会もできます。お酒や宴会が好きな方にとって、これ以上うれしいことはないでしょう。
しかし、飲み会からの2次会・はしご酒が続くと浪費につながります。
飲み過ぎてしまいそのまま朝までコースになってしまった日には、翌朝、財布の中身を見て愕然とすることでしょう。
このように、会社や友人の誘いを断りにくい方にとっては、せっかくのお給料がプレミアムフライデーで浪費してしまうのがツライと感じるかもしれません。
頑張れ!プレミアムフライデー
プレミアムフライデーが定着するには、解決しなければいけない問題が山積み。
ただ、もし問題が解決でき誰もがプレミアムフライデーを利用できるようになれば、働き方改革も、個人消費の促進も、両方達成できるでしょう。
プレミアムフライデーのキャンペーンは完全に終わったわけではありません。これから改善し、より一般化することを願いましょう。
この記事もオススメ
はじめての転職、何から始めればいいか分からないなら
「そろそろ転職したいけれど、失敗はしたくない……」そんな方へ、テックキャンプでは読むだけでIT転職が有利になる限定資料を無料プレゼント中!
例えばこのような疑問はありませんか。
・未経験OKの求人へ応募するのは危ない?
・IT業界転職における“35歳限界説”は本当?
・手に職をつけて収入を安定させられる職種は?
資料では、転職でよくある疑問について丁寧に解説します。IT業界だけでなく、転職を考えている全ての方におすすめです。
「自分がIT業界に向いているかどうか」など、IT転職に興味がある方は無料カウンセリングにもお気軽にお申し込みください。