あなたはオンラインで大学の講義を受講することができるサービス『MOOC』を知っていますか?
MOOCはMassive Open Online Coursesの略で、大規模に開かれたオンライン講義を意味します。
CourseraやUdacityといった英語圏の代表的なプラットフォームが、オンラインでコースを実施しています。また、日本でも東京大学が無償でコースを提供するなど、注目が集まっているサービスです。この記事では、MOOCのメリットやプラットフォームの詳細を徹底解析いたします。
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この記事の目次
MOOCとは?
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MOOCとは、大学などの高等教育機関がオンラインで開講している「講義・履修」コースのことで、主に講義の模様が映像コンテンツとして配信・公開されるサービスです。
「公開オンライン講座」とも言われています。
大半のコースは、無料で視聴することができます。
映像のほかには「履修内容を確認するテストを用意」されている場合もあれば、条件を満たした受講者に「履修完了を認定する証書の発行」を受けることができる場合があります。
高額な費用が不要なため「教育の民主化革命」といわれており、将来大学が不要になるとも考えられています。
MOOCを利用することで「地理」「時間」「金銭」「年齢」「学力」「学校の定員」といった条件に縛られることなく、世界トップクラスの大学の講義や著名や学者による講義などを視聴することができます。
なお、大半のコースは英語での視聴となります。
MOOCで開講されている講義の魅力とは?
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時間や場所を選ばない
講義への参加の仕方は、自由度が大きなものです。
「いつ」「どこにいても」オンライン環境さえあれば、誰でも開講されているコースを自由に受講できます。
気になる講義の一部だけを試し見してみたり、途中で「辞める」ことも可能となっています。
原則無料である
オンライン環境は必須になりますが、基本的には無料で利用することができるため、「学費を払えない方」「大きな負担と感じる方」にも学習機会が広がります。
「オンラインで本格的に参加者同士のディスカッションを行う」ことや、「課題を提出し、修了できたことを確かめる」こともできます。
ただ、このような本格的な講義参加や修了証などは一部有料の場合があるのできちんと確認してから使用するようにしましょう。
例として、Courseraは修了証書の発行を有料化しています。
また、Udacityは無料コースに加え、有料コースを用意しています。
この有料コースというのは、専属コーチからサポートを受けながら授業を進められる「FULL COURSES」というサービスのことです。
大学による公式の修了証を受けられる
Cousera・edXでは講座の修了後、大学による公式の修了証を受理することができます。
修了証はLinkedinをはじめとするSNSで証明書としてシェアできるほか、履歴書などへの添付も可能です。
大学の公式の修了証は、証明書として信頼性が非常に高いため、転職活動等の際に有効です。
ただし、修了証の発行は有料です。
またMOOCには修了証が発行可能な授業と、そうでない授業が存在しています。
修了証の取得を目的にMOOCのコースを受講する場合には、そのコースが修了証の発行対象となっているかどうか、事前に確認することをお勧めします
さまざまな分野の一流の講義を受けられる
「物理」「化学」「純粋数学」といったアカデミックなものから「コンピュータ」「音楽」「美術」といった身近なものまで、さまざまな分野の講義がオンラインで提供されています。
また、世界の大学で流行となっており、「スタンフォード大学」や「ハーバード大学」など超一流大学をはじめ、世界中の大学の講義が次々と公開され、これらの講義を受けることで単位を認定するという動きも進んでいます。
代表的なプラットフォームとしては、スタンフォード大学の教授によって創立した「Coursera」、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学による「edX」、スタンフォード大学の元教授達が立ち上げた「UDACITY」などがあげられます。
東京大学がMOOCの講座を開講
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東京大学では2013年9月に日本初の試みとして、Courseraで2コースの講義の提供を開始しています。
2016年12月時点で東京大学はCourseraで6コース、edXで4コース、計10コースの講義をオンラインで配信しています。
登録者数は世界185か国で累計32万人を超えています。
MOOC提供の成果について、平成27年9月25日時点のリリースで東京大学の武田展雄氏は「MOOCはこれまで東京大学の魅力を伝えることができなかった海外の学習者に直接教育を届ける手段として急速に発達しており、今後も東京大学のグローバル化に寄与することが期待できます」と述べています。
MOOCの日本語による講義が増加中
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「Coursera」「edX」ともに、講義のほぼ100%が英語での講義となっており、日本人にはハードルの高いものでした。
しかし昨今、日本語で受講が可能なMOOCが増加しつつあります。今後はより、日本人がMOOCが受講しやすくなると考えられます。
一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)は、日本初となるMOOC講義の提供を開始しました。
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NTTドコモとNTTナレッジ・スクエアが運営する「gacco(ガッコ)」と、放送大学が運営する「OUJ MOOC」がプラットフォームとして採用されています。
受講完了後、一定の条件を満たせば修了証が交付されます。
gaccoは、ネットで受講しやすいように「10分にまとめられた動画」「理解度を確認するクイズ」「ほかの受講生との交流を深めるディスカッション用掲示板」「生徒の相互採点によるレポート」「基準を満たした際に受け取ることができる修了証」といった特徴を持つMOOCとなっています。
MOOCの学習効果には、疑問の声も
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CourseaとUdacityのGoogleの検索トラフィックを調べると、2013年から2015年にかけて横ばいであり、新規ユーザーの獲得が順調ではないことが明らかになります。
またMOOCには「学習モチベーションの維持」という課題があります。
MOOCの修了率は、通学生の修了率を大きく下回るとされており、10パーセントを下回るケースが数多く報告されています。
Duke大の2012年秋・バイオエレクトリシティーのコースの修了率は2.5%、MITが実施した電気回路のコースでは4.6%を記録するなど、修了証の取得に至らずコースを離脱する受講生があまりにも多いことから、MOOCの教育効果には疑問の声も上がっています。
一方、2013年の東京大学のMOOCの事例では、そもそも修了証取得を目的に受講していない学生が一定数いることが明らかになっています。
MOOCの総登録者数に対する修了者の割合で、学習効果を測ることが有効か否か、評価手法について、議論が今後も必要だと考えられます。
おすすめMOOCサービス5選
おすすめのMOOCサービスを5つご紹介いたします。
Coursera
出典:Coursera
教育技術の営利団体で、世界中の多くの大学と協力して大学のコースのいくつかを無償でオンライン上に提供しています。
認証についてはCourseraが生徒の成績や修了の認可を立証可能な形で行っており、特定の場所で試験や本人確認などのサービスを行う事によって信頼のおける評価を得ています。
生徒の許可を得られる場合は、生徒やコースに関するデータを企業や雇用者に販売することもありますし、雇用者や教育機関が一定額を支払う場合、Courseraは生徒の適性評価を行います。
その他にもCourseraの従業員や契約者が個別指導を行い、生徒の勉強の達成度を評価するシステムもあります。
コースについては「コンピュータサイエンス」「医療・医学・生物学」「社会・ネットワーク・情報」「人文学・社会科学」「数学と統計学」「経済学・金融学・経営学」に分類されており、それぞれのコースでは、週ごとに様々なトピックに関する短いビデオ講義や演習問題があります。
「プリンストン大学」「スタンフォード大学」「ミシガン大学」「ペンシルバニア大学」の4校を提携・参加校としてMOOCのサービスを開始しました。
Courseraの発足前にスタンフォード大学で実験的に講義内容の無料配信を行い、配信開始してから1週間経たないうちに視聴者数は10万人規模に上ったという事例があります。
提携校は70校を超え、受講者数は400万人を超えています。
edX
出典:edX
マサチューセッツ工科大学とハーバード大学を中心として立ち上げられたMOOCのプラットフォームです。
他には「ボストン大学」「カリフォルニア大学バークレー校」「北京大学」「ソウル大学校」「京都大学」などがedXに参加しています。
学びの場については、オープンソースの形で開発される予定で、同じような内容を提供したいと考えている高等教育機関にもアクセスできるようにし、他の大学もedXを通じて授業を公開できるようにする計画もあります。
狙いとしては、オンライン学習ソフトをただのビデオ講義を超えて、より交流型のソフトへ進化させることにあります。
証明書の発行は少額でできますが、大学の単位は検討していません。
edXでは、これらの授業を通じて学びをより豊かなものにできるようにすると考えられており、教育を提供することに加え、このプロジェクトは「学習」や「遠隔教育」の研究にも貢献できるとされています。
Udacity
出典:Udacity
コンピュータサイエンスや数学の分野に特化しており、人工知能やアルゴリズムなどをテーマとした高度な授業を配信しています。
元は大学形式の講座を中心に配信していましたが、現在は専門家向けの職業教育に重点をおいています。
「技術未経験者」「初級」「中級」「ベテラン」の4段階に分かれてコースが用意されているので、スキルの心配は必要ありません。
テクノロジー業界が作る「新しい形の大学」といわれており、「web開発」「フルスタックエンジニア」「モバイル開発」「データ・サイエンス」に至るまで、今まさに注目されているテーマについて、ここでしか学ぶことのできない授業を提供しています。
これらの講座は「Google」「Facebook」「MongoDB」「Cloudera」「Salesforce」といった業界トップ企業と協業して設計しており、講師は業界の第一人者ばかりです。
最初に配信した2コースだけで、世界中から16万人のユーザーが受講したとされており、Udacityは代表的なプラットフォームの一つとして活躍しています。
また、高校生から年配の方まで使用しており、最も厚いユーザー層は25歳から30代後半のビジネスパーソンとなっています。
生徒には「自分の人生をもっとよ良くしたい」という思いを持ち、長期的なキャリアを見据える姿勢を持っているという共通点があります。
1つの講座を修了するには、平均1カ月から3カ月の期間がかかりますが、中にはUdacityの講座を1週間で集中的に受講してしまう生徒もいます。
社内の講座開発者や教育設計者と、さまざまな企業の専門家と組んで開発されているため、1つ1つの講座を丁寧に作成しています。
現在提供している講座の数は60種類ほどあり、パートナー企業は社内トレーニングや新規雇用のためにUdacityを活用してくれています。
中でも最も人気な講座は「コンピュータ・サイエンス入門」「web開発」「Androidの講座」です。
また、厳選した複数のカリキュラムをまとめて、1つの学位として提供する制度である「Nanodegrees」も開始され、仕事をしながら平均9カ月で修了することもできます。
Nanodegeesによって修了率は50~80%に上がりました。
この高い修了率にはプレミアム版の生徒がフォーラムや1対1のセッションでコーチとやり取りができる「コーチング」という機能が貢献しています。
1人きりで学習するのには限度があり、継続することが難しい中、一緒に見直したりフィードバックをもらうことで、生徒は自分の学習ペースを掴み、最後までやり遂げることができるのです。
JMOOC
出典:JMOOC
「オンラインで公開された無料の講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる」という教育サービスMOOCの日本版です。
一部のオプションは有料となっておりますが、修了証の取得まで無料で受講することができます。
生徒の学びたいという気持ちを支援するとともに、個人の知識やスキルを社会的な評価へ繋げていくことを目指していて、10代から80代まで幅広い年齢層の方々が受講しています。
「歴史」「統計学」「プログラミング」「心理学」等多岐にわたるジャンルの講座が選べます。
その他「簿記」や「宅建」などの資格に対応した講座もあります。
JMOOCには「gacco」「OpenLearning,Japan」「OUJ MOOC」「Fisdom」の4つのプラットフォームがあり、JMOOC認定講座は、このプラットフォームのいずれかから配信されます。
「gaccoはNTTドコモ社とドコモgacco社」「OpenLearning,Japanはネットラーニング社」「OUJ MOOCは放送大学」「Fisdomは富士通社」が提供しています。
JMOOCは複数のプラットフォームをまとめる、ポータルサイトの役割を果たしているのです。
schoo
出典:Schoo
株式会社スクーは、Web業界で働くためのオンライン動画学習サービス「Schoo」を運営しています。
こちらでは、プログラミングやWebデザインといった「Web/IT領域」や「マーケティング」「英語」など仕事に活きるさまざまな知識や技術が身につくコンテンツを提供しています。
講師は、各業界の第一線で活躍している方々ばかりで、最新の技術や話題のテーマなど、多岐にわたって展開しています。
インターネットに接続できる環境があれば、自宅や外出先はもちろん、世界中のどこにいても授業を受けることができます。
継続的な学習環境を提供し、社員のスキルアップをはかる「ビジネスプラン」と、未経験・新卒からのエンジニア・Webデザイナーの早期戦力化をはかる「マスタープラン」があります。
ビジネスプランは、「IT/Web専門スキル」「ビジネススキル」「英語」「PCスキル」などの毎日更新される最新のコンテンツが2700本あり、また見たくなる学習体験が可能となっています。
また、利用者に応じた月額制プランとなっており、活用例としては「社員研修」「新卒研修」「専門スキルの習得」「リーダー研修」「プロジェクトマネジメント研修」などがあります。
マスタープランは、未経験や新卒から、デザイン・開発チームに参加できるスキルの習得を目的とした研修プランで、実務経験のある講師が専任で付き、質問や相談に回数無制限でメールサポートを行いながら、実践型のカリキュラムに沿った「授業」「課題制作」「テスト」を通し、早期戦力化を目指すプランです。
1~3カ月のコース単位プランとなっており、活用例としては「未経験者研修」「内定者研修」「新卒研修」「専門スキルの早期習得」などがあります。
無料の会員登録をすると、放送授業は無料、録画授業はチケット1枚で1授業受講することができますが、その他、すべての授業が受講できる「プレミアムプラン」と「プレミアムプラスプラン」も用意しています。
プレミアムプランは、月額¥980円(税込)で「プレミアム限定の生放送」や「ターミナルへの参加」ができるようになっています。
まとめ
MOOCは、最近では日本語字幕のついた授業や、日本語授業も増えてきているので、さまざまな分野から選択することが可能となってきました。
自分に合ったサービスを選び、自分の不得意分野を克服する時や、新たなスキルアップに向けて活用してみて下さい。
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