二足のわらじはあえて履かない 地方銀行出身・プログラミング未経験から超絶技術集団に飛び込んだ女性エンジニアの決意
更新: 2024.11.14
新卒で入社した地方銀行を、たった1年で退職した白柳 明香里(しらやなぎあかり)さん。
「地方銀行の仕事は自分に合ってない。かといって次にやりたい仕事もない」と悶々とし続ける中、たまたま出会った言葉が「プログラミング」。
「エンジニアって楽しそう」という直感に突き動かされるようにして、TECH::EXPERTを受講してプログラミングに没頭。
超絶技術集団・Automagi株式会社に転職を決めました。
そんな白柳さんは、もともとは「地方創生」「社会課題の解決」といったテーマに惹かれる人物。しかし、今回の転職では「社会課題の解決」とは別のテーマを持って仕事選びを進めました。
白柳さんはどのような決意のもとで、女性エンジニアとしての第一歩を踏み出したのでしょうか。白柳さんに話を聞きました。
この記事の目次
5分に1回電話を取り、メールしたら電話で「メールを見てください」と依頼し続けた地方銀行時代
ーー元々は地方銀行にお勤めだったそうですね。
大学の商学部を卒業して、新卒で入り、丸一年働いていました。入ってから半年はジョブローテーションで、窓口業務やオペレーションをして。10月から半年間は、法人営業をしてました。
そしてちょうど1年で退職しました。
ーー退職のきっかけは何だったのでしょう。
あまりにもIT化が遅れているのが大きかったですね……。
ーーというと?
やり取りは電話かファックス、郵送。新入社員なので電話を取る機会が多かったのもありますが、5分に1回電話を取り続けるような状態で。
もちろん「電話を取るだけ」が仕事ではないので、5分に1回電話対応をしつつ、自分の仕事もあるという。
仕事に集中できなかったですね。
ーー電話ではなく、メールを使うことは無かったのでしょうか?
メールもあるんですけど、全然活用されていなくて。メールを送ったら「メールを送っておくので、見ておいてくださいね」と電話で念押ししないといけないくらいです。
そうじゃないと、送っても返信がないことが多かったんですよ。
地方銀行の主な取引先は、法人営業の場合は地元企業の社長さんです。地方の企業って、本当に高齢化が進んでいるんだと実感しました。
ーーそもそも、白柳さんが地方銀行に就職した理由は何だったのでしょう?
大学で上京して地元を離れたので、一回地元に帰って仕事をしたいと思い、地方銀行に入ることを決めました。
あと商学部で経営を学んでいたので、そうした知識を生かしつつ、専門性が身につく仕事をしたいとも考えて。大学時代の私にとって、銀行業務はとても専門的でハイレベルな仕事というイメージが大きかったんです。
ーー地方銀行での勤務は、どんな経験になりましたか?
世の中でよく言われる「良い会社」と、自分にとっての「良い会社」は必ずしも一致しないんだなと思います。
良い会社には、2つのパターンがあると思います。
1つは出社すれば必ずお金がもらえて、なんかあっても面倒見てくれる。そういう「成果主義」ではない優しい会社。
もう1つは、社員の実力を重視する成果主義の会社です。自由に活躍できる環境があって、「やった分だけ評価される」会社。
どちらも良い会社だと思いますし、1つ目の基準で考えれば私が入社した地方銀行はとても「良い会社」でした。
でも私自身には、2つ目の基準の方が合っていると思います。だから、転職しようと決めました。
「ふと」興味を持ったプログラミング 次のキャリアを考え本気で学習をスタート
ーープログラミングに興味を持ったきっかけは何でしたか?
「ふと興味を持った」としか言いようがないです(笑)。
自分でもどうしてプログラミングを始めたんだろうと考えるんですけど、キャリアについて調べるうちに気づいたらもう始めてました。
ーー銀行を辞めた後のキャリアについて、色々考えていたのですね。
はい。銀行での仕事が向いていないのは間違いない。けれど、じゃあ次何をやりたいかというとなかなか見つからなかったです。
だから、いろんなことを試しました。ストレングスファインダーもやりましたし、転職サイトもたくさん登録して。でも出身が文系だと、紹介してもらえる仕事って事務職や営業、企画職が主で。どれもピンと来なかったんです。
ーーなるほど。
色んな仕事を調べるうちに、ふと興味を持ったのがエンジニアでした。何となく面白そうだったんですよ。
ただエンジニアと言うと「プログラミングの仕事」という程度の理解しかなかったので、そもそもプログラミングとは何かを調べ始めました。するとTECH::EXPERT(テック エキスパート)をはじめとするプログラミング未経験からエンジニアを目指せるスクールが、国内にたくさんあることを知って。
そして気づいたら、もうTECH::EXPERTに申し込んでました(笑)
※2020年3月2日、TECH::EXPERTは「テックキャンプ エンジニア転職」という名称に変わりました。最新のサービス内容は公式Webサイトをご覧ください。
ーー申し込んだ時「こういうエンジニアになりたい」という将来像のようなものはありましたか?
やるからにはトップ層に食い込むようなエンジニアになりたいとは思ってました。
ですが、具体的なビジョンはなかったですね。
ーーそれまでプログラミングをした経験はあったのでしょうか?
全くなかったです。
中学の時に、ガラケーでホームページを作った程度ですね。プロフィールサイトを作るサービスがあって、ガラケーのボタンでポチポチとHTMLを手打ちして(笑)
プログラミングというと、本当にそれくらいしかやったことがなかったです。
単に動けばいいのではなく「綺麗なコードを書く」 カリキュラムだけでなく読書も重要
ーー白柳さんはTECH::EXPERT受講中から、コードの品質の高さに定評があったそうですね。
私自身は、自分のコードが良いものかどうか良く分かっていないです(笑)。自分なりに綺麗なコードを書こうとトライして、うまくいかなかったらメンターさんに相談する。そうしてさらにコードを改善していくという繰り返しです。
ーーコードを書く際に、気をつけていることはありますか?
「このコードはどこに書くべき?」ということは常に考えてますね。コードにも、切り分けるべきコードとそうでないコードがあるんですよ。
よく「ファットな関数」と言うのですが、とりあえず動きさえすればいいというコードを書いてしまうとめちゃめちゃ重いサービスになってしまうので。
だからこそ、プログラミングは体系的な勉強が大事です。
今使っているフレームワークの仕組みは何か。そもそもウェブの仕組みって何なのか。そういうレベルから深く勉強して、カリキュラムだけでなく気になったことはどんどん新しい本を読んで知識を深めていく。
その積み重ねで、少しずつコーディングのスキルが上がっていくのだと思います。
ーー学習を始めて短期間で、それだけしっかりとした学習とアウトプットができるのは素晴らしいですね!
私、ストレングスファインダーで自己分析をしたら強みが「学習意欲の大きさ」だったんですよ(笑)
ーー(笑)
もちろん分からないところも多かったです。でも、分からないことを「分からないまま」放置して先に進むことはしなかったんです。
「分からないところがどこなのか」は常に分かった状態でいつも勉強できたのが幸せで、勉強していて楽しかったです。
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Airbnbのクローンサイトを開発 チーム開発で学んだこと
ーーTECH::EXPERTには「チーム開発」のカリキュラムがあります。チーム開発では何を作りましたか?
Airbnbのクローンサイトを作りました。友達がAirbnbが好きで良く使ってますし、私自身もAirbnbのサイトデザインが好きなので。
ーーチーム開発は、個人でカリキュラムを進めて開発をするのと全く別物だったのでは?
一人で開発するのとは違って、他の人に共有しておかないといけないことが多くて大変でしたね。
しかもいまでこそチーム開発の進め方もわかるのですが、当時は何もかもが初めてで。開発前に何をどう共有しておいて、すり合わせないといけないのかも分からなかったんです。
そのまま開発を進めると、CSSの命名規則が統一しきれずに干渉しあってデザインが崩れてしまったり。
チーム開発で必要なスキルをしっかり学べた時間だったと思います。
※テックキャンプ エンジニア転職のチーム開発は80期(2020年6月20日開催)をもって終了となりました。今後も受講生にとって最適な学習スタイルの提供を目指していきます。
ーーカリキュラムとは別に、個人でテクノロジー関係のコンテストにも作品を出展しているそうですね。
TECH::EXPERTで知り合った他の受講生の人とアプリを作り、社会課題とテクノロジーにフォーカスしたコンテストに出しました。
大人が「夢中になっていること」に関する記事を書くと、それを小学生の子供らが読むことができるというSNSです。フレームワークはRuby on Railsです。
職業選びに関する子供向けの本って色々ありますけど、ほとんどは子供にとって身近な切り口ではないと思うんですよね。
だから、それらの本を読んでも子供は「自分は将来、何になりたいか」なんて分からないんじゃないかという気がして。
子供たちが将来の夢や仕事について考える手助けになればいいなと思います。
二足のわらじを履くなら「まずエンジニアになれ」徹底的に技術を磨くための決意
ーープログラミング学習を始めてから、転職活動を始めるまでの期間はどれくらいでしたか?
2ヶ月です。
ーー会社選びの軸は何でしたか?
はじめは「社会課題の解決」を重視していました。前職を選んだのも、自分の中では「地方創生」というビジョンがあったんです。
なので最初はスタートアップも大企業も問わず、医療・農業・教育などに関連した事業を手がける企業に履歴書を送っていました。
ーー「はじめは」ということは、途中で軸が変わったのですか?
そうですね。
というのも「エンジニアになって」「社会の課題を解決する」には、まずは正真正銘のエンジニアになることが先決だと思ったんです。
ーーもう少し詳しく聞かせてください。
転職活動を始めたばかりの頃は、エンジニアではない人に仕事選びに関するアドバイスを聞くことが多くて。すると、ほとんどの人は「ビジョンが熱い会社に行くべきだよ」と言ってくれるんですよね。
でも、技術職の人やエンジニアに話を聞くと「ビジネスサイドのことは後からいくらでもできるよ」と。
私の父親もコンピュータエンジニアではないですけど、元々技術者で。父も「たとえエンジニアとして技術の仕事ばかりをしていても、自然と経営サイドの考え方が身についていく」という意見でした。
ーーなるほど。
いまって「二足のわらじを履く人」が、求められる時代だと思うんですよね。でもさすがに小学校中学校からばちばちプログラミングをやってる人とは、すぐには同じ土俵では戦えないです。
「これまでやってきたビジネスと技術の観点を両方いかせたらいいな」と思っていたのですが、そのためには技術が大事です。
技術をもっともっと磨くには「まずはエンジニアになれ」と。
まだプロのエンジニアでもないのに「エンジニア」を語るべきではないなと思ったんです。いまはまだ自分は若いですし、学習意欲もまだまだ尽きません。吸収できるうちにあらゆる技術を吸収したいです。
まずは純粋にエンジニアとして頑張って、吸収できるものをすべて吸収したら、その時に初めてビジネスサイドのことを考えるというのでも遅くはないという考えに至りました。
ーー白柳さんはTECH::EXPERT卒業後、Automagi株式会社に入社されます。Automagiとはどのような会社でしょうか?
人工知能(AI)や機械学習ソリューションに強みを持つ企業で、自社サービスを複数展開しています。
特にAIチャットボット「AMY Agent」はカスタマーサービスの自動化を目的に導入事例が増えていて、今後も注力していく事業の1つです。
ーーAutomagi株式会社に入社を決めた理由はどういうものですか?
Automagiは少数精鋭で、本当に優れたエンジニアが集う会社です。
キャリアアドバイザーさんやメンター(講師)さんの間で、Automagiのエンジニアの技術力に関する評判はとにかくピカイチでした。
実際に面接などでお会いして話をしてみても、私が想像する「すごいエンジニア」よりもさらに一個上のレベルの人たちばかりが集まっていて。
面接の時に、担当者の方に「エンジニアの方が書いている技術ブログなどのURLがあれば教えて欲しいです」と聞いたことがあって。ブログ記事を読めば、社内の開発チームの雰囲気がなんとなく分かるじゃないですか。
ですが「うちのエンジニアはそういうブログは書いていないんだよね」と答えがあって。何故かというと、Automagiのエンジニアが外部に向けてアウトプットをする機会って基本的に「研究発表」なんですよね。なので書いているのは「ブログ」ではなくて、論文なんです。
間違いなく大きな試練が待っていることは覚悟の上で飛び込み、技術を磨くにはAutomagiは最高の環境だと思って、入社を決めました。
やりたいことが見つからないなら「何も考えずにまずはやってみよう」後ろのブレーキを踏むのは無駄
ーー今後、具体的に学びたい技術などはありますか?
吸収できることは、すべて吸収したいです!
その上であえて言うなら、AWSのスキルを磨きつつ、人工知能開発も学んでいきたいですね。
ーー未経験からのエンジニア転職を検討している人に、アドバイスをお願いします。
まだやりたいことが見つかっていないけれど、何となくプログラミングという言葉が引っかかっている人っていると思うんです。まさにTECH::EXPERT受講前の私が、そんな一人でした。
そういう人はまず何も考えず、プログラミングをやってみることが大事です!
何かを始める時は、何も考えない方がいいと思うんです。新しいことを始めて、知識を吸収している時にあれこれ考えるのは無駄が多いです。後ろのブレーキばかりを踏んで、タイヤが回っているのに前に進めない状態になってしまいますから。
まずは車を走らせてみて、道が見えたらそのまま進めばいいですし、走った先がいばらだったら引き返せばいい。ただそれだけです!
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