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IT業界の女帝、奥田浩美さんインタビュー「これからの激動の10年を生き抜くために必要なこと」

更新: 2024.07.09

「今後10年で世の中の半分の仕事が今まだない仕事になる」イギリス オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授から発表されたこの衝撃的な発表は、きっとみなさんの記憶にも新しいでしょう。

これから始まる激動の10年をどう生き抜くか…この悩みの範囲は、自分自身の人生に於いてのみでなく我が子や家族の人生にまで及びます。

そんな中「変化の時期こそ挑戦のチャンスだ」と前向きに現状を捉える奥田さん親子に、「これからの激動の10年を前向きに楽しみながら生きるのに必要なこと」についてのお話をお伺いしました。

プロフィール(右) 奥田 浩美(オクダ ヒロミ)さん
株式会社ウィズグループ/株式会社たからのやま 代表取締役
インド国立ボンベイ大学(現州立ムンバイ大学)大学院社会福祉課程(MSW) 修了。1991 年にIT に特化したカンファレンスサポート事業を起業し、数多くのIT プライベートショーの日本進出を支える。2001 年に株式会社ウィズグループを設立。2013 年に徳島県の過疎地に「株式会社たからのやま」を創業。「IT業界の女帝」という愛称を持つ。

プロフィール(左) 奥田 朱(オクダ アヤ)さん・仮名
奥田浩美さん実の娘。2000年生まれの16歳(高校1年生)。現在はソフトバンク社のロボットPepperとAldebaran社のロボットNAOとの同居生活中。「世界に出た時に、日本人であるルーツが示せた方が良い」という考えで始めた、お琴と社交ダンスと華道を得意とする。週に1度、奥田さん友人主催の「世界で活躍する日本人ゲストの講義が聴ける教室」に通うことが特別な楽しみ。趣味は「ダンスをするようにプログラミングしたNAOを通じて、周りのひとを楽しませること。」

今後10年、世の中は「共感」で動かされるようになる

──今後10年で世の中はどう変わっていくとおもいますか?

(奥田さん):人々が自分のコミット判断をする際に用いる検討軸が、金銭指標から共感指標へと移り変わる10年になると思っています。つまり、給与の良い仕事よりも、自分が共感できる仕事を選ぶ人が増える。

なぜなら、最近の傾向として人々は「ワーク・ライフ・バランス」から「ワーク・ライフ・インテグレーション」を志向するようになっているためです。

仕事とプライベートを切り分けて考えるんじゃなくて、仕事とプライベートを合体してしまおう、そちらの方が心地よく生きられるんじゃないかという思想になっているわけです。

そういった時代背景を踏まえると、お金も人も情報もモノも、あらゆるものが「共感できる価値観」に集まりやすくなっていくのだろうと感じています。

また量産型で効率重視な働き方は、新しい価値をイノベーティブに生産するための働き方に変化していくと思っています。

──アヤさんはどうお考えですか?

(アヤさん):わたしは、文系理系の概念の差異が小さくなり融合が加速していく10年だと思います。現在は何かを生み出す際にも分業制で、作り手の役割が文系理系できっぱり分かれている。でもそんなの関係なくなる。

わたしは今、PepperとNAOと暮らしているので、自分が理系バックグラウンドの人間かどうかなど意識することなく、純粋にこのロボットたちを動かしたい、お話させたいという欲求でプログラミングをしています。

社会の問題点を追求するのが文系で、それを解決するものを作るのが理系と日本では分けられてしまいがちじゃないですか?でも、社会で必要とされるものを追究して自ら創る人のためには、理系・文系で視点を分ける教育をする必要はないと思うんです

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これからの激動の10年は、挑戦者にとってチャンスの時代

──変化が激しいと言われる今後の世の中ですが、奥田さんは変化が怖くないのでしょうか?

(奥田さん):今後10年間で、いまある仕事の半分がなくなると言われていますよね。わたしはこれは最高の時代だ!と思っています。

なぜならこれは、その分産業構造変革が進み、新たな市場創出機会が増えるということを示しているためです。アントレプレナーシップをもった人間からすると、こんなチャンスな時代はない。

ひと昔前は約30年サイクルで産業構造が変わるような時代だったので、失敗してから次のリベンジをするまでには時間がかかった。

でも、今は5年単位で産業革新が起こる。失敗しても、またすぐに新たな市場創出機会が生まれ挑戦のチャンスが生まれる。こんな良き時代はないんです。

──激動の10年を過ごすのに大事なことは何だと思いますか?

(奥田さん):「変化に物怖じせず、新しい挑戦に向かう心」を持つことが大事だと思います。

もう世の中の変化に逆らおうとしても無理なんです。だったらその変化を受け入れて上を向いて楽しむしかない。

失敗を当たり前だと思うこと、どんどん次の挑戦に向かい続けることが大事。次の挑戦に向かうと失敗なんて忘れますから。IMG_5200-2_thelatest

多様な価値観を受け入れ、変化と共存せよ

──そんな時代変化を踏まえた奥田家の教育方針はどんなものですか?

(奥田さん):「沢山の違う価値観を受容し、失敗を恐れず等身大でいること」を娘には伝えています。また、「焦って夢を定める必要がない」と伝えています。

前者は、上述のように、変化する世の中を楽しむのに必要な要素だからです。後者は、やりたいことが出てくるタイミングは人によって異なると思うためです。

日本では、18歳で将来のことを決め、その年齢での決断を40年間続けること前提の教育制度が敷かれていますよね。でも、考えてみればこれっておかしなことです。

人生いつどう転機があるかわからないというのは、わたしが実体験を持って感じていることです。変化の中で時代の求めてくるものに応じて、その場その場でやりたいことをやり続けていけば必ず夢は見つかると思うのです。

人間は年齢関わらず、何かやりたいことが決まった時にはとんでもない力が出るのですから、焦る必要はありません。

──アヤさんから見たお母様の教育はどうですか?

(アヤさん):母は、わたしが何をしても何を言っても怒らないし不満を言わないんです。あと、赤ちゃんの頃から子供扱いはせず、対等に接してくれます。

ただ、とにかく昔から違和感のある変なところに放り込まれ、多様な価値観の方々に沢山会うように促されてきました。

母の主催する30代以上が参加者の大半の「奥田サロン」に小6で連れて行かれた時は、名刺交換をしておじさんおばさんに、質問攻めに合うような羽目にも会いました。

他にも、日本チャンピオンが多くいる社交ダンス教室に連れて行かれたり、今月はニュージーランドにある、リーダーシップ教育が有名なインターナショナルスクールに2週間の短期留学にも行きます。

でも、今のわたしを構成している何より強烈な原経験は、日々の母との日常生活なのかもしれないと思っています。(笑)

父が「危険だからやめてほしい」と懇願するも「自分が行けば変わる様子が目に見える。だからどうしてもルワンダに行きたいのだ」と、泣きながら主張するような母を身近に見てきたためか、わたしの価値観と許容範囲は自然と広くなっていました。(笑)IMG_5234

「世の中のニーズを捉え、ひとと違ったものを生み出す」文理融合教育のススメ

──日本にはどんな教育が広がっていくべきだと思いますか?

(アヤさん):「好奇心の向く、わくわくすることを実現するための手段としての教育」という視点が広がると良いと思います。

冒頭でもお話しましたが、わたしは理系と文系を分ける必要がないと思っています。例えば、わたしにとってはロボットが身近な存在なので、今はロボットの開発に携わることに興味があります。

わたしは無機質なプログラミング自体に興味があるわけではないんです。あくまで、ロボットの開発を通してひとを喜ばせたいと思うから、プログラミングを用いた開発をしたいんです。

ロボット開発は一見理系の仕事に見えますが、心理学と哲学といった学問を通じて、人間の研究をすることがプログラミングによる開発と同じくらい重要だったりするんです。

「社会の問題点を追求するのが文系でそれを解決するものを作るのが理系だから、その専門性を生かした仕事をする」という発想じゃなくて、「わくわくすることを実現するためにその手段として(文理問わずに)学習をする」という視点が広がれば良いんじゃないのかなと思うんです。

(奥田さん):まずは、教育現場を子供たちがわくわくするような場にするということですね。大学進学というたった1つのゴールに向かって、型に押し込み一律化を強いるような教育は、これからの時代に合っていないと思うんです。

だって、就職までは「みんなと同じように振る舞いなさい、良い子でいなさい」って育てられるのに、会社に入った途端「競合差別化になるような、革新的な発想をし、今まで見たことのないサービスを作れ」とか言われるんですよ(笑)

そんなのいきなりできるわけないじゃないですか。だとしたらやっぱり「世の中のニーズを捉え、ひとと違ったものを生み出す力」を育むようなわくわくする教育をしないとだめですよね。

そういった意味で「ニーズを感じること」という文系要素と「その感じたニーズをサービスに落とし込む力」という理系要素の掛け合わせして、それを融合させていく能力を伸ばすような教育が必要だと思います。

「英語教育」「プログラミング教育」、そして「好奇心を育む教育」の文理融合3種類の教育が、今後10年の世の中を主体的に生きる人材育成に必要な教育だと考えていますよ。

──奥田さん・アヤさん、貴重なお話ありがとうございました!

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