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退職金の相場とは?退職金についての基礎知識や年代別相場を解説

更新: 2023.09.05

退職金の相場を知りたいと考えていませんか。

「仕事を辞めようか」「転職したい」と考える際など、今の仕事の退職金の有無や額が気になるところでしょう。退職金は企業規模や勤続年数によって異なります。また金額や退職金の種類によって、かかる税金も変わってきます。

この記事では、退職金の相場や、退職金についての基本的な知識を紹介します。

退職、転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

退職金の相場

ほとんどの場合、退職金の金額は、会社の在籍期間によって決定されます。

ここからは、厚生労働省が行った「平成25年 就労条件総合調査」と、東京都産業労働局による「中小企業の賃金・退職金事情調査」をもとに、退職金の相場を紹介しています。以下の数値は大学卒の場合となっています。

勤続10年の自己都合退職の場合、

主に中小企業を対象とした東京都産業労働局の調査によると、勤続10年で自己都合退職した人の退職金の相場は114.8万円となっています。

自己都合退職ではなく、会社都合の退職だった場合は、152.7万円と金額が上がります。

勤続3年と短い場合でも、自己都合退職の場合23.6万円の退職金があります。年齢が若く勤続年数が低い人が自己都合退職した場合でも、ある程度まとまった金額が支給されることがわかります。

ただしあくまでこの金額は調査対象企業の平均であり、すべての企業や人に当てはまるわけではありません。

勤続年数が少ないと退職金が出ないケースも多い

退職金受給のために最低勤続年数が設定されている企業もあります。同調査によると、自己都合の場合、50%の企業が「3年」、16%の企業が「1年」が16%、14%の企業が「2年」と設定していることがわかりました。

つまり、最低3年勤続しないと退職金が支給されない企業が半数存在するということになります。勤続年数が3年以内の人は、退職する前に一度よく考えてみましょう。

勤続25年の自己都合退職

上記の調査によると、勤続25年で自己都合退職した人の退職金の相場は562.6万円となっています。

また厚生労働省が行った調査では、以下の通りになっています。

勤続20~24年の場合 826万円
勤続25~29年の場合 1083万円
勤続30~34年の場合 1856万円

厚生労働省の調査は「日本全国の企業」「大企業から中小企業まで」と幅広く対象としています。さらに調査対象を「勤続20年以上、かつ45歳以上」に絞っていることや、支払い実績であることなどが東京都産業労働局の調査とは異なります。

定年退職金

上記の調査によると、定年退職の場合の退職金の相場は1,941万円となっています。

この金額は厚生労働省のアンケート調査によって算出されています。上記の通り「勤続20年以上、かつ45歳以上」を調査対象とした平均値です。「40歳で転職して、60歳で定年退職になった人」の退職金額も含まれています。

企業規模による差が大きい

定年退職金は、企業規模によって大きな差があります。

東京都の中小企業 1383.9万円
上場企業 2357.7万円

また学歴によっても若干の違いがあり、高専・短大、高校卒の定年退職金は、大学卒の定年時の金額の86~91%程度となっています。ただ大卒以外で入社した場合、数年大卒者より早く働いていることになるため、勤続年数は大卒者より多くなります。そのため退職金の額にそれほど大きな差は生じません。

このように、学歴や勤続年数、企業規模などにより、退職金額が大きく変わってきます。退職金を決定する要素は他にも「自己都合か、会社都合か」などが関わってきます。

業界によっても相場は異なる

退職金の相場は業界によっても異なります。

高卒で就職し、60歳まで働いた場合の「事務技・術職(総合職)の調査産業計」と「生産の調査産業計」それぞれの退職金相場を比較してみると、業界によって退職金の相場が異なることがわかります。

「事務・技術職(総合職)の調査産業計」での平均退職金額は、2,5781,000円であるのに対し、「生産の調査産業計」のケースでの平均退職金額は2,0614,000円となっています。業界が異なるだけで退職金の相場が約500万円ほど変わっています。業界の違いもまた退職金の相場には大きく影響するといえるでしょう。

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退職金に関する法律はない

退職金の支給自体は、給与と異なり法律で定められたものではありません。あくまで企業ごとに制度が定められているものであり、退職金の支払いがないことは違法ではなく、退職金に関する記述がなければ、会社としては支払う義務はありません。

退職金を受け取れるかどうかや、いくら支払われるかは、会社の就業規則の内容によって異なります。

退職金制度がある企業とない企業の傾向

退職金があるかどうかは、勤めている企業自体が退職金制度を取り入れているかどうかによって決まります。

厚生労働省が発表している平成25年『就労条件総合調査結果の概要』では以下のようなデータがあります。

・従業員数1,000人以上の企業が93.6%の割合で退職金制度を導入している
・従業員数30人から99人の企業は72.0%の割合で退職金制度を導入している

このことから退職金は企業規模が大きいほどもらえる可能性が高く、規模が小さい会社では退職金制度がない企業も少なくなることがわかります。

退職金制度とはそもそも、終身雇用の風習が根強い日本において、ずっと長く働いてくれた社員への慰労・感謝の意味を込めて支払われるというものです。そのため、同じ企業でも勤続年数が長くなるほど退職金は高くなる傾向があります。

退職金制度の種類の仕組み

退職金には、いくつかの種類があります。多くの企業が採用しているのは、「退職一時金制度」か「企業年金制度」です。数はそれほどありませんが、中には「前払い制度」を採用している制度もあります。

退職一時金制度

退職一時金制度は、退職する際に一括で会社側から退職金が支払われるという制度です。企業の規定に沿って支払われます。そのため退職までに規定変更などがない限りは、支払いが確約されているものです。確定給付企業年金などの制度へ移行する企業もあります。

企業年金制度

「確定給付企業年金」「確定拠出型年金」「厚生年金基金制度」の3つの企業年金制度の種類について、それぞれ解説します。

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金は、退職金を一時金として受け取るのではなく、年金として受け取る制度です。こちらも企業の規定に沿って金額が決められます。退職一時金と年金のどちらで受け取るかを選択できる企業もあります。

確定拠出型年金(DC)

確定拠出型年金は、外部機関が掛け金を運営する年金です 。確定給付型と異なるのは、受け取る年金額が個人の運用実績によって決まる点です。

厚生年金基金制度

厚生年金基金制度は、基金を企業が設立し、運用を行います。国民年金や厚生年金に上乗せされるものであるため、3階部分と呼ばれることもあります。

前払い制度

前払い制度は、退職金が月々の給与やボーナスなどに上乗せするかたちで支給されるものです。

約7割の企業が「退職一時金制度」と「退職年金制度」を併用している

「退職一時金制度」と「退職年金制度」の併用は全体の7割を超えています。

しかし、従業員10~300人未満の中小企業を対象にした調査では「退職一時金制度のみ」という企業が70.4%と最も多い結果となっています。

退職一時金制度のみを採用している企業と、両方を採用している企業では支給金額に大きな差が生まれるので、その辺りも確認しておきましょう。

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退職金を算出する方法

退職金は以下の方法で算出されます。ですが企業によって算出方法は様々なので、詳細は企業の規定を確認しましょう。

退職時基本給

勤続年数や退職理由による支給率などを退職時の基本給に掛け合わせて、退職金を算出する方法です。

別テーブル方式

別テーブル方式は、等級に応じた基準額に、勤続年数別の支給率を掛け合わせて算出する方法です。賃金とは別の要素を掛け合わせることが特徴です。

ポイント制

役職や勤続年数などそれぞれの要素にポイントを設定しておき、退職金額を算出する方法です。

定額方式

あらかじめ勤続年数に設定された退職金額を算出する方法です。定額方式で退職金額を算出する企業はそれほど多くありませんが、一部の中小企業などで採用されています。

自社の退職金制度を調べる方法

自社の退職金制度を調べるには、会社の就業規則に書いてある退職金規定を確認するのが確実です。

退職金規定は退職金に関係する様々な決まりを記載しているもので、支払われる金額や支払い日などもこの規定に従って決定されます。退職金規定は、会社の経営状態などによって変更することもあるので、入社時と変わってしまっていることもあるかもしれません。不安な方は確認しておきましょう。

退職金にかかる税金

退職一時金は大きな額になるため、支給額によっては税金がかかることがあります。退職所得控除や他の所得と別にして課税されるなど、過剰に税収されない仕組みになっています。

確定拠出年金などの場合は、月々の掛金が所得控除の対象となるため、所得税や住民税が軽減されることもあります。注意点としては前払い制度の場合は、月々の給与と同じように所得税がかかります。

退職所得控除を受けるためには、退職所得申告書を会社側に提出します。退職所得申告書は所得税法第203条1項各号に定められている申請書です。

提出すればそのあとは会社側で手続きを進めることになります。退職一時金を受け取った時点でその他の申請をする必要はありません。

退職所得控除額

・勤続年数が20年以下の場合 40万円×勤続年数
・勤続年数が20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職金にかかる所得税の計算方法

[退職金]-[退職所得控除] × [1/2] = [税金がかかる退職所得金額]
例:32年勤務、退職金1600万円の場合
例:25年勤務、退職金500万円の場合

退職所得控除:800万円+(70万円×5年)=1150万円

退職金の給付を受けるときの注意点

退職金を受け取る際には、以下の点に注意してください。

  • 退職金規則に変更がないかどうか確認しておく
  • 退職理由によって支給額が変わることも
  • 税金がどれくらいかかるのか把握しておく

退職金規則に変更がないかどうか確認しておく

前述の通り、退職金規則は企業の経営状態や社会情勢などの影響で変更される可能性があります。支給を受ける段階になって、認識していた規則と異なるという場合も。

退職金の支給を受ける際は、退職金規則を確認し、変更がされていないか確認しましょう。

退職理由によって支給額が変わることも

定年退職やリストラなどの退職理由であれば、勤続年数に合った退職金を受け取ることができます。ですが、自己都合退職や自身の過失による解雇などの場合、退職金は減額、あるいは全く支払われないということもあります。

退職理由が退職金額に大きく影響するということを認識しておきましょう。

税金がどれくらいかかるのか把握しておく

前述の通り、退職一時金は課税対象となります。退職金の給付を受ける際にはどれくらいの税金がかかるのかを把握しておきましょう。

国税庁は、退職金への税金負担を軽減できるように配慮されています。そのため、通常の給与とは別の計算方法を設けています。

最後に

退職金の相場や、基礎的な知識について解説しました。

普段働いている時にはあまり意識しないかもしれませんが、勤続年数が少ない場合でもある程度大きな金額が支給されることもあります。一度退職金規定を確認しておきましょう。

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この記事を書いた人

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