あなたは「Webプロデューサー」という職種について、ご存知でしょうか? Web 、IT関連の求人情報でよく見かけますが、実際のところ、どのような仕事なのでしょうか。
現在では趣味の一環としてだけではなく、ビジネスの場でもインターネットは必須のツールの一つ。Webプロジェクトの総責任者として働く、Webプロデューサーは、高い需要と注目を浴びている職種の一つとなってきています。
今回は、このWebプロデューサーの仕事内容、気になる年収から必要資格まで、詳しく紹介します。
この記事の目次
Webプロデューサーとは?
仕事内容
そもそもプロデューサーという言葉は、どのような意味を持って使われているのでしょうか。
テレビ番組のプロデューサーという言葉があるので、言葉だけは知っているけれど本当の意味までは知らないという方も多いと感じます。
英語圏で使われている本来のproducerは「製作者」や「生産者」の意味しか持ちません。
しかし、日本で使われているこの言葉には、制作活動における「制作全体を統括する責任者」という意味を持たされています。
このことからWebプロデューサーの仕事は、制作物の管理、制作はもちろん、プロジェクトにかかわる人材の選別、クライアントとの交渉、予算の確保に至るまで多岐にわたることがわかります。
一文だけで説明するなら「Webに関するプロジェクトの全てにかかわる統括者としての仕事」ということになります。
Webディレクターとの違い
また、Webプロデューサーと対をなすように、よく見られる言葉に「Webディレクター」があります。よく似た仕事だと思われがちですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?
まず、Webプロデューサーがプロジェクトを統括する責任者ならば、Webディレクターは「プロジェクトの実行者」です。
自社のECサイトを立ち上げるプロジェクトを例として見てみましょう。
Webプロデューサーは計画の立案から、マーケティングの調査、人材の確保などサイト設計の前段階から動き出します。
反してWebディレクターは、実際にサイトを立ち上げるに当たって、プロデューサーやクライアントの案を、実行可能なレベルに調整していく事から始まります。
また、サイトを構築していく作業者やエンジニアへのマネジメントなども主となる業務です。
簡潔に言えば、Webプロデューサーがプロジェクト全体の総監督ならば、Webディレクターはプロジェクトの現場監督といったところでしょう。
Webプロデューサーに求められるスキル
Webに関する知識
必須となるスキルになります。Webに関する深い知識があることを前提にした仕事になるので、Web知識は何よりも必須になります。
知識がないままにプロデュースをしようとすれば、今ある予算でどこまでのことができるのか。予算を都合してでもこだわるべきところなのか、そもそもできないことを指示してしまったなど、要所要所での判断を誤る危険性があるのです。
コミュニケーション能力
プロジェクトを動かす立場となるのですから、多くの方たちをまとめていく必要があります。
また、チーム内だけの話ではなく、クライアントとも密なコミュニケーションをとる必要があることも。
自分以外の人へ情報を正しく伝達させる、また、人と人の間を取り持つといった立ち位置になることもあるので、高いコミュニケーション能力を必要とされます。
管理能力
プロジェクトを成功に持って行くために、こちらも必須のスキルになります。制作の進行具合や、人材を適材適所に置くなどあらゆる面で必要になるスキルでもあります。
また、管理能力は大きくとらえると「問題回避・処理能力」にもつながります。あらかじめ考えられる不安因子を取り除く、問題があった際に速やかにフォローを行うためにも大切なスキルだといえます。
交渉力
プロジェクトにクライアントがいる場合は、特に必要となるスキルです。
クライアントが欲している事柄を的確に把握、魅力的だといってもらえる提案をすること。また、費用やスケジュールを都合してもらう際など、さまざまな場面で多用するスキルになります。
総合的にはマネジメント能力
管理能力や交渉力、これらすべてをまとめて一言で表そうと考えるのならば、マネジメント能力が必要になるということです。
Webプロデューサーはクライアントとの交渉などでは前面に出ますが、実際の制作に関してはむしろ裏方になります。
全体を広い目線で見通し、プロジェクトがうまく回っているか、滞りそうなところはないのかと常に目を光らせる立ち位置になることが求められるのです。
必要な資格はあるの?
資格よりも経験
Webプロデューサーになろうと考えた際、何か必須の資格などがあるのかと聞かれれば、答えはNOです。
もちろん有効な資格などもありますが、Webプロデューサーに求められる資質は、実際的な制作能力よりも、上記で紹介してきたようにマネジメント能力です。
問題が起こりそうな箇所を早期に解決することができる、または、実際に問題が起きた際に速やかに対処ができる。こういった能力のほうが求められますが、資格試験で培われるようなスキルではありません。
資格そのものよりも、むしろどれだけの経験をしてきたか、ということが問われる職業だといえます。
柔軟な思考と勉強を続ける勤勉さ
Webの世界は技術の進歩が速い世界です。
一時期最先端と言われていたことが、1年後にはすでに古い技術であることも往々にしてあります。
学び続ける勤勉さと、流れていく情報を柔軟に取り入れ理解することこそ、必要なことだといえるのではないでしょうか。
専門外から目指すなら「Webクリエイター能力認定試験」
ここまで資格よりも経験だと紹介してきましたが、webプロデューサーを目指す際に、いくらかの指針がほしいのも事実です。
WebやITとは関係なかった業界からWebプロデュサーを目指そうと考えるのなら、おすすめは「Webクリエイター能力認定試験」です。
こちらはホームページを作る際に必要になる、基礎的な知識を問われる試験となります。HTMLのタグの知識などを勉強、技術を習得することになるので、Webの業界が初めての方には、最初のとっかかりとしてピッタリです。
合格基準は正答率65%以上となり、比較的に取得の容易な試験でもあります。
スキルアップを目指すなら「Web検定Webプロデューサー」
試験名の通りに、Webプロデューサーとして求められる、企画立案から、マーケティング、サイトの設立、サイトのプロデュースまでを問われる試験になります。
Webプロデューサーとして働く際に問われる、資質そのものの試験とも言えます。試験内容の範囲の広さから、Webプロデューサー以外の方にもお勧めしたい試験です。
合格基準は正答率70%以上。範囲が広いこともあり、合格率は低い試験といえるでしょう。
Webプロデューサの気になる年収・求人は?
平均年収は約400~500万円
IT業界の中でも、これからの伸びしろが高いといわれているWebプロデューサー。平均的な年収は400~500万円となっているようです。
ただ、現在までの実績や個人の腕によっても大きく上下するので、あくまで平均値としています。
1社に1つはサイトがほしいといわれている現在、Webプロデューサーの需要は年々高まっています。
多岐にわたる業務内容や、すべての責任を取る立場であることも加味して、今後に期待できる職種とも言えます。
需要は高いが求人数は少なめ
やはりそれ相応の経験を積んできた方が、Webプロデュサーになることが多いので、元々はディレクターをしていた方が持ち上がりでプロデューサーになることが多いようです。
この背景もあって、需要は常にあるのですが、求人数自体は少なくなるよう。
また、Webプロデューサーの下に、複数のディレクターを抱えるということもよくあること。優秀なプロデューサーがほしいという需要はあっても、絶対数は少なくなります。
Webプロデューサーを目指すなら読んでおきたい本3選
「ウェブの仕事力が上がる標準ガイドブック 4 Webプロデュース」
Webプロデューサーを目指す方が、最初に読む指南書のような位置づけにある本です。
情報量が多いですが、表面だけを紹介するような内容なので、Webプロデューサーの全体像を把握することに向いています。全くの初心者でも楽しく読めるのではないでしょうか。
「熊とワルツを – リスクを愉しむプロジェクト管理」
題名通りにプロジェクトのリスク管理に関しての本。さまざまなところでリスク管理の重要性が説かれていますが、実際問題リスク管理とはどのようにすべきなのか、という点をわかりやすく説明されています。
時にユーモアを挟むなど、堅苦しい文章ではありませんので、ちょっとしたときに読み進めやすいというのもおすすめの理由になります。
「ユーザ中心ウェブビジネス戦略 顧客心理をとらえ成果を上げるプロセスと理念」
webプロデューサーのみならず、ウェブ上での仕事をされている方に絶賛されている本です。
ユーザーの行動原理を徹底して調査することの重要性や、ノウハウを積み上げていくためのやり方など、思いもつかないような考え方に触れることができます。
まとめ
webプロデューサーとはどのような仕事をするのか、ということが端的にでもわかっていただけたでしょうか。
Webプロデューサーは、Webでのプロジェクトに置けるすべてにかかわる統括者であり、総責任者としての仕事です。
そして総責任者であるだけに、Webの知識をはじめとして、交渉力や管理能力など、さまざまな面において高いポテンシャルを要求される仕事でもあります。
しかし、Webプロデューサーになるために必須の資格などは存在しないのです。
今までの経験を活かし、プロジェクトにかかわる方たちのマネジメントや、クライアントとの折衝を行う方が主な業務になります。
実際、Webプロデューサーになるまでは、Webとは関係のない、まったく別の業界にいたという方もいます。
高い意欲を持ち、勤勉に勉強し続けることでWebプロデューサーへの道が開くのではないでしょうか。
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