スマートフォンやノートPCなどのデジタル機器は、現代の生活には欠かせない必需品です。
そして、デジタル機器の充電やデータ通信に使われるUSBケーブルに関しては、種類が多くてどれを使えばよいか分からなくなるという方も多いでしょう。
そこで今回は、特に混乱しがちな「Thunderbolt3」に関して、USB-Cとの違いやケーブルの種類などを解説します。
この記事の目次
Thunderbolt3とは
本章では、Thunderbolt3とは何かを分かりやすく解説します。
Thunderbolt3は高速通信規格の1つ
「Thunderbolt(サンダーボルト)」は、コンピュータに周辺機器を接続するための高速通信規格のことです。
そして、Thunderbolt「3」とあるように、これまでに「Thunderbolt1」「Thunderbolt2」が登場しています。
日本語で「稲妻」とある通り、大容量の画像・動画ファイルなどを大量に高速通信できます。
Thunderbolt3に対応するケーブルには、稲妻のアイコンが表記されており、ノートPCの場合はUSBポートの周辺に表記されています。
ただし、中には表記されていない機器もあり、統一化できていないのが現状のようです。
Intelが開発しAppleが商品化
Thunderboltは、半導体メーカーのトップシェアを誇るIntel(インテル)社が開発しました。
もともとは「Light Peak」という名称で開発され、その後はAppleと連携しながらThunderboltに改称されます。
そして、2011年2月に登場したMacBook Proで初めてThunderboltが採用され、その転送速度の速さから世界中で注目を浴びました。
その後、2013年末にはThunderbolt2、2016年末にはThunderbolt3といったように、年々アップデートを重ねています。
Thunderbolt3対応のノートPCはおすすめ
MacBookを中心にThunderboltに対応したパソコンは増えており、現在はWindowsにも搭載されているモデルが多く存在します。
前述したように、Thunderbolt3は大容量のデータを大量に高速通信できる技術です。
加えて、ディスプレイやSSDなどの接続にも柔軟に対応していることから、Thunderbolt3に対応するノートPCは利便性が高くおすすめです。
ただし、Thunderbolt3に対応する機器は高価格帯のモデルが多い傾向にあるため、選ぶときはお財布事情と相談しながら決めましょう。
ハブや拡張カードでポート増設が可能
Thunderbolt3を使いたいけどノートPCが対応していない方は、専用のハブや拡張カードでポートを増設する方法を取りましょう。
手っ取り早く増設したい方やパソコン初心者の方は、Thunderbolt3専用ハブもしくはドッキングステーションを用意するのがおすすめです。
また、パソコンにある程度詳しい方や自作PCを持っている方は、マザーボードに差し込んで増設する拡張カードを使うのもおすすめです。
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2020年にはThunderbolt4を発表
また、2020年7月にはIntel社より最新の「Thunderbolt4」が発表されました。
転送速度はThunderbolt3と同様であるものの、ケーブルの長さによる速度変化が緩和され、より使いやすく進化したようです。
そして、Thunderbolt4を搭載したパソコンおよび周辺機器は、すでに2020年末頃に販売された模様です。
したがって、2021年はThunderbolt4の登場により、さらに快適なデータ通信環境が整うと予想されます。
Thunderbolt3の特徴
本章では、Thunderbolt3の特徴を4つのポイントで解説します。
最大で40Gbpsの転送速度
1つ目は、最大で40Gbpsの転送速度を誇ることです。
ちなみに、Gbps(Giga bits per second)とは1秒あたりに転送できる通信容量を表す単位です。
Webサイトを閲覧したり、YouTubeで動画を視聴するのに快適な通信速度が10〜100Mbps程度といわれていますから、40Gbpsがいかに桁違いの速度か分かると思います。
したがって、Thunderbolt3を活用すれば、ハイレゾ音楽の視聴や4K動画の編集などの非常に重たい作業も、快適に行えるでしょう。
ケーブルの長さとタイプで転送速度が変わる
2つ目は、ケーブルの長さとタイプによって転送速度が変わることです。
ケーブルの長さでは、以下のように転送速度が変わります。
- 0.5m未満:40Gbps
- 0.5m以上:20Gbps
そのため、Thunderbolt3の転送速度を最大限に活かすには、0.5m未満のケーブルを用意しなければなりません。
また、ケーブルのタイプが「パッシブ」か「アクティブ」によっても、転送速度が変わります。
パッシブケーブル
パッシブケーブルとは、信号の増幅・調整のないケーブルのことで、ケーブルの長さにより性能が変わります。
つまり、0.5m未満のパッシブケーブルは40Gbps、0.5m以上のパッシブケーブルは20Gbpsで動作します。
また、アクティブケーブルと比較して価格が安く、USB 3.0/3.1との互換性をもつ製品が多いのが特徴です。
アクティブケーブル
アクティブケーブルとは、信号の増幅・調整機能を持つケーブルのことで、ケーブルの長さによる転送速度の制約がありません。
つまり、長さが2m近くで40Gbpsの転送速度を出せるThunderbolt3ケーブルは、アクティブケーブルと考えてよいでしょう。
ただし、アクティブケーブルは信号の増幅・調整を行う都合上、後述するUSB 3.0/3.1との互換性やDisplayPortなどの機能を使えません。
したがって、実質的に「アクティブケーブル=Thunderbolt3専用ケーブル」であるため、汎用的に使う場合はパッシブケーブルを選ぶのが無難です。
USBとDisplayPortの機能を搭載
3つ目は、USB 2.0/3.0/3.1などの互換性やDisplayPortの機能を搭載していることです。
ちなみに、DisplayPortとはモニターや液晶ディスプレイに映像を出力するインターフェースのことです。
つまり、ノートPCにThunderbolt3のポートが搭載されている場合、1つのポートで充電・USB・モニター接続の役割を柔軟に果たせます。
最大100Wの高速充電が可能
4つ目は、最大で100Wの高速充電が可能であることです。
具体的には、「USB Power Delivery」の機能を搭載したThunderbolt3ケーブルであれば、最大100Wの充電を実現できます。
ちなみに、一般的なスマートフォンの充電器が5W程度といわれているため、Thunderbolt3は単純計算でその20倍の出力を叩き出します。
しかし、中には「USB Power Delivery」に非対応のThunderbolt3ケーブルもあるため、ケーブル選びには注意が必要です。
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Thunderbolt3とUSB-Cの違い
本章では、よく間違えやすいThunderbolt3とUSB-Cの違いについて、分かりやすく解説します。
USB-Cは端子の形状のこと
前章にて、Thunderbolt3は高速通信規格の1つだと説明しました。
これに対して、USB-Cはコネクタ(端子)の形状を表しています。
つまり、Thunderbolt3はソフト側、USB-Cはハード側を表す用語のため、そもそもまったく別物なのです。
それでも両者の違いを説明しづらい背景としては、Thunderbolt3がUSB-Cの中で実現されるものだからなのかもしれません。
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Thunderbolt 3(USB-C)の表記について
ノートPCのスペック表を見ると、たまに「Thunderbolt 3(USB-C)」と表記されている場合があります。
こちらについても、Thunderbolt 3とUSB-Cの違いが分からなくなる要因の1つでしょう。
この表記を変換すると、「Thunderbolt 3の通信規格にも対応したUSB-Cポートを搭載している」です。
したがって、「Thunderbolt 3(USB-C)」とある場合は、USB-Cポートが搭載されており、なおかつThunderbolt 3に対応した高性能なノートPCだと覚えておきましょう。
ちなみに、USB-Cは必ずしもThunderbolt 3に対応しているわけではないので、注意してください。
USB-Cとは
本章では、前章のThunderbolt 3との違いを踏まえて、USB-Cとは何かを分かりやすく解説します。
USB 3.1で登場したコネクタ規格
USB-C(USB Type-C)とは、USB 3.1の通信規格とほぼ同時に登場したコネクタ規格です。
2015年に発売されたMacBookにUSB-Cが採用されたことで、一気に脚光を浴びました。
USB-Cの特徴をまとめると、以下の通りです。
- 小さな楕円形の形状で、コネクタの表裏に関係なく挿入できる
- 転送速度がUSB 2.0の約20倍と超高速
- 「Alternate Mode」「USB Power Delivery」などの機能を搭載
形状がコンパクトで転送速度が速いことから、スマートフォンやタブレット型端末など、さまざまなデジタル機器に採用されています。
USBの通信規格について
現在までのUSBの通信規格をまとめると、以下の通りです。
- USB 2.0
- USB 3.0:USB 3.1 Gen 1(旧称)、USB 3.2 Gen 1(最新の名称)
- USB 3.1:USB 3.1 Gen 2(旧称)、USB 3.2 Gen 2(最新の名称)
- USB 3.2:USB 3.2 Gen 2×2(最新の名称)
上記の通りで、2020年時点で最新の通信規格は「USB 3.2」です。
そして、USB 3.2の登場に伴い、これまでのUSB 3.0とUSB 3.1は、名称が変更されました。
このような度重なる名称の変更により、スペック表や製品パッケージごとに表記がバラバラなため、混乱した経験のある方も多いでしょう。
Alternate Modeについて
USB-Cの特筆すべき特徴の1つが、「Alternate Mode(Alt Mode)」で、USB以外の信号も流せる機能を指します。
これまでのコネクタ規格では、USBの信号しか通信できませんでした。
しかし、USB-CのAlternate ModeでHDMI・DisplayPort・Thunderbolt 3などの信号も流せるようになったことで、パソコンの小型化・簡素化などに役立っています。
USB Power Deliveryについて
USB-Cの特筆すべき特徴のもう1つが、「USB Power Delivery(USB PD)」です。
これは、USB-Cに対応した充電規格の1つで、デジタル機器を最大100Wで急速充電できる非常に強力な技術です。
また、前章で説明したように、Thunderbolt 3ケーブルにもUSB Power Deliveryに対応した製品が存在します。
ただし、USB Power Deliveryの恩恵を受けるには、充電機器・ケーブル・デジタル機器の3点がすべて、USB Power Deliveryに対応していなければなりません。
Thunderbolt3とUSB-Cのケーブルの種類
本章では、Thunderbolt3とUSB-Cのケーブルの種類を紹介します。
Thunderbolt3 パッシブケーブル(0.5m未満)
- 転送速度:最大40Gbps
- コネクタの形状:USB-Cのみ
- 価格帯:中
- スマートフォンやノートPCなどの持ち運びできるデジタル機器の充電・接続用におすすめ
Thunderbolt3 パッシブケーブル(0.5m以上)
- 転送速度:最大20Gbps
- コネクタの形状:USB-Cのみ
- 価格帯:中
- デスクトップパソコンや据え置き型のデジタル機器の充電・接続用におすすめ
Thunderbolt3 アクティブケーブル
- 転送速度:最大40Gbps
- コネクタの形状:USB-Cのみ
- 価格帯:高
- Thunderbolt 3専用として、高解像度・高フレームレートの4Kディスプレイの接続用などにおすすめ
USB-C 2.0
- 転送速度:最大480Mbps
- コネクタの形状:両端ともUSB-Cまたは片方がUSB-C以外の形状
- 価格帯:低
- USB 2.0に対応するスマートフォンやパソコンの充電・データ転送などにおすすめ
USB-C 3.0
- 転送速度:最大5Gbps
- コネクタの形状:両端ともUSB-Cまたは片方がUSB-C以外の形状
- 価格帯:低
- USB 3.0に対応するスマートフォンやパソコンの充電・データ転送などにおすすめ
USB-C 3.1
- 転送速度:最大10Gbps
- コネクタの形状:USB-Cのみ
- 価格帯:低
- USB 3.1に対応するApple製品や最新のデジタル機器の充電・接続用におすすめ
USB-C 3.2
- 転送速度:最大20Gbps
- コネクタの形状:USB-Cのみ
- 価格帯:中
- USB 3.2に対応する最新のデジタル機器の充電・接続用におすすめ
Thunderbolt3とUSB-Cの違いを理解してPCを賢く使おう
Thunderbolt3とUSB-Cとの違いやケーブルの種類などを解説しました。
再度まとめると、Thunderbolt3は高速通信規格の1つであり、USB-Cはコネクタの規格の1つです。
両者はまったくの別物なので、混乱しないように注意しましょう。
違いを正しく理解して、デジタル機器の急速充電やディスプレイの接続に役立ててみましょう。
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