20年以上に渡ってWeb上の動画やゲームなどのリッチコンテンツを支えてきたAdobe Flash Player。そのAdobe Flash Playerのサポートが2020年12月で終了します。
今回は、Adobe Flash Playerがサポート終了することで発生する影響、終わる理由、代替となるアプリ、移行方法について解説します。
この記事の目次
Adobe Flash Playerが終了するのはいつ?影響は?
出典元:Adobe
Adobe Flash Playerの具体的なサポートの終了日時と、それによる影響について解説します。
そもそもAdobe Flashとは
Adobe Flashは、Adobeが提供するWeb上で動画やアプリを表示させたり、操作できたりといったWebブラウザ向けの機能を提供するツール。
Adobe Flash Playerは、そのようなリッチコンテンツを再生するソフトウェアです。Adobe Flash Playerは無料利用可能で、1996年のリリースから多くのユーザーに利用されてきました。
「Flash動画」「Flashゲーム」「Flash倉庫」など聞くと、懐かしいと感じる人も少なくないはず。そのため、Adobe Flash Playerのサポート終了に「Webの1つの時代が終わった」と何かしらの寂しさを感じる人もいるでしょう。
Adobe Flash Playerは2020年12月31日にサポート終了
Adobe Flash Playerは2017年の発表を行なった通り、2020年12月31日にサポートが終了します。
また、ユーザーのシステム保護のために2021年1月12日以降は、Adobe Flash Playerでのコンテンツの実行もブロックされるので注意してください。
Adobeが3年の猶予を設けたのは、HTML5・WebGL・WebAssemblyといった代替となるコンテンツの成熟を待ったためのようです。
2020年12月8日にAdobeが最後のアップデートを公開
12月8日にAdobeはAdobe Flash Playerの最後のアップデートを公開。機能面での不具合の修正が行われました。
Adobe Flash Playerのサポート終了が近づいていることを感じるアップデートです。
サポート終了までAdobeはアンインストールを推奨
サポートが終了するまで利用できますが、その前にAdobeはAdobe Flash Playerのアンインストールを推奨しています。
理由として、サポート終了日が近づくと対応するOSやブラウザが減ると予想されることを挙げています。
2020年12月31日以降はセキュリティアップデートの提供はなくなり、もしアンインストールをサポート終了までに行なっていない場合には、プロンプトが表示されるようです。
Adobe Flash Playerサポート終了 – Adobe
11月中旬頃からすでにアンインストールを促す表示がされている人もいるようで、SNSではAdobe Flash Playerのサポート終了を寂しがる投稿も見られます。
Macさん「文彦!アップデートじゃ。再起動せえや!」
は、はい
Docker「実は私も…」
WebEX「実は私も…」
Karabiner「実は私も…」
BetterTouchTool「実は私も…」
FlashPlayer「…シテ…私をアンインストールして…」Flashーーーーーッ!
— 父☁ (@fushiroyama) November 13, 2020
なぜAdobe Flash Playerのサポートが終了?原因はセキュリティ・利用率・スマホ対応など
出典元:Adobe
なぜ、Adobe Flash Playerのサポートが終了するのでしょうか。
主に以下の理由が挙げられています。
- セキュリティの脆弱性
- HTML5登場による利用率低下
- スマホが非対応化
セキュリティの脆弱性が深刻だった
Adobe Flashがサポートする大きな理由として、まずセキュリティの脆弱性が挙げられます。
Adobe Flashは、そもそもセキュリティ面が弱いという問題がありました。
何度もセキュリティアップデートを繰り返してきましたが、その度にセキュリティの問題が見つかるという残念な結果に。
2015年には、侵入が容易なセキュリティホールが見つかって、サイバー攻撃の標的になったこともありました。
そして、終了間近の今になってもアップデートを装ったマルウェアが見つかるなど、開発者を不安にさせる状態は続いています。
HTML5の登場で利用率が低下
HTML5の登場により動的なリッチコンテンツを提供可能になり、世界的に広く普及したことでAdobe Flash Playerの利用率は低下しました。
HTML5と比較するとAdobe Flash Playerはデータ容量が重くなる傾向があり、ページの反応や表示が遅くなることも利用率の低下を加速させる結果に。
HTML5を始めとする代替技術の進歩もAdobe Flash Playerの終了に大きく関係しているのです。
ちなみに、W3Techsによると、2011年には28.5%だった利用率は徐々に下降して、2020年11月現在は2.5%を切っているとあります。
スマホがFlashに対応しなくなった
スマホがFlashに対応しなくなったことも、サポート終了の理由の1つ。
モバイルフレンドリーなサイトであることを重視するとGoogleも発表していることからもわかるように、スマホで利用できるかはサービスとしてとても重要です。
まず、Adobe Flashに対応しなくなったのはiPhone。
上述のセキュリティの脆弱性とも関連しますが、Adobe Flashの衰退の大きなきっかけを作ったのはスティーブ・ジョブズです。
スティーブ・ジョブズは、「Thoughts on Flash」の中で、セキュリティの脆弱性を指摘しており、その結果iPhoneにはAdobe Flash Playerはインストールされませんでした。
それを受けて、Adobeは2011年にモバイルデバイス向けのAdobe Flash Playerの開発を終了。
AndroidもiPhoneに続く形で、Adobe Flash Playerはデフォルトでインストールされなくなりました。
Adobe Flash Playerの終了でどうなる?影響は?
Adobe Flash Playerの終了が終わることで、Adobe Flashで作成されたさまざまなコンテンツが利用できなくなります。
特にeラーニングやブラウザゲームへの影響が大きいでしょう。
例えば、タイピング練習ソフト。寿司打のようにWebGL版が提供されているものは問題ありません。
ただし、Flashで提供されているものの中には代替のサービスの提供が行われずに終了するものもあるでしょう。
また、文部科学省が子ども向けに提供していたプログラミング学習教材「プログラミン」も、Adobe Flash Playerで利用できたサービス。
プログラミンは、2020年12月31日でWebサイトを閉鎖することを発表しています。
Adobeは、2020年12月31日まで今までと同じようにセキュリティパッチの発行、OSとブラウザーの互換性の維持、機能追加を行ないますので、それまでは基本的に変わらずに利用できます。
それまでに、ユーザーはコンテンツをダウンロードしたり、管理者は代替技術への移行したりといった対応が必要です。
Adobe Flash Playerの代替となるアプリとコンテンツを楽しむ方法
以下でFlashゲームをプレイする代替となるアプリを紹介します。
Flashプレーヤーのエミュレーター「Ruffle」
出典元:Ruffle
Ruffleは、Rustで開発されたAdobe Flash Playerのエミュレーターです。
SWFファイルをWebサイト上にアップロードするとFlashゲームがプレイ可能。
Ruffle | Flash Player emulator written in the Rust programming language
今後は、拡張機能としてWebブラウザ上でFlashのコンテンツの再生を目指しているようです。
オープンソースのプロジェクトとして進行していて、GitHub上にはソースコードが公開されています。
GitHub – ruffle-rs/ruffle: A Flash Player emulator written in Rust
Internet ArchiveがFlashのコンテンツの保存を発表
インターネット上のWWWや情報のデジタルアーカイブ「Wayback Machine 」を運営するInternet Archive。
そのInternet Archiveが、FlashアニメやFlashゲームといったコンテンツの保存を発表しました。
800以上のコンテンツがダウンロード可能なので、上述のRuffleと組み合わせてAdobe Flash Playerのサポート終了後もコンテンツが楽しめます。
Software Library: Flash : Free Software : Free Download, Borrow and Streaming : Internet Archive
ランチャーからFlashコンテンツが楽しめるFlashpoint
ゲームメディアのBlueMaximaが運営するFlashpoint。
Flashpointは、Adobe Flashで開発されたものを含めたさまざまなWebゲームの保存と提供を行っているWebサービスです。
70,000を超えるWebゲームが保存されており、Flashpointランチャーをダウンロードして、ローカル環境でコンテンツを利用します。
ここで紹介した以外にも、Google Playなどでは「Flash Player」と表記されたアプリはあります。
Adobeは代替アプリの利用をセキュリティリスクの観点から推奨していません。利用する際は、慎重に判断して自己責任でお願いします。
クラフトボスの動画『Flash Back Memories』でAdobe Flashを振り返ろう
サントリー食品インターナショナルがクラフトボスのブランドにおいて、Adobe Flashの歴史を取り上げた動画「FlashBack Memories」を12月10日に公開しました。
動画内ではFlashコンテンツが人気だった当時の「テレホーダイ」「昔のWindowsの起動音」などリアルな様子が描かれていて、とても懐かしい気持ちになります。
Adobe Flashに対する大きなリスペクトが感じられ、いかに支持されたツールであったかが当時を知らない人でも実感できるでしょう。
特設サイトも追従するカーソルや来訪者のカウンター(しかも壊れている)といった小ネタが満載で楽しくなります。
Flash Back Memories | CRAFT BOSS – サントリー
Adobe FlashからHTML 5への移行方法
Adobe Flashで作成したコンテンツを移行させる上で、最も扱いやすいのはHTML5です。
以下で、Web担当者向けにAdobe FlashからHTML5へ移行するための基本的な流れを解説します。
WebサイトでAdobe Flashのコンテンツがあるか確認するには
移行が必要か判断するために、まず管理しているWebサイトでAdobe Flashで作成したコンテンツがあるか確認しましょう。
Webページ上でAdobe Flashによるコンテンツがあるか確認したい場合は、ソースコードを見てください。
拡張子が「.swf」のファイルを使用している場合には、Adobe Flashによるコンテンツと判断できます。
ただし、JavaScriptで外部ファイルを読み込んでいる場合には、HTMLのソースコードには上記の表示がされないので注意。
もしも、ソースコードで判断がつかない時は、ブラウザ上で対象のコンテンツを右クリック。
Adobe Flash Playerに関連したコンテキストメニューが表示されれば、それがAdobe Flashを使って作られたコンテンツだとわかります。
Adobe FlashコンテンツをHTML5に変換する
Adobe FlashのコンテンツのHTML5への移行は以下の流れで行います。
- 変換ツールをダウンロード(Web上で利用できるツールもあります)
- Adobe FlashのコンテンツをHTML5に変換
- WebサイトのAdobe Flashのコンテンツを差し替える
この他にも「swf2js.js」というファイルを利用して、swfファイルを置き換えずにJavaScriptで変換するという方法もあります。
もしも、自分で対応するのが難しいという場合は、業者に依頼するとよいでしょう。
近づくAdobe Flash Playerの終わり
2020年12月31日にAdobe Flash Playerのサポートは終了します。
少なからずAdobe Flash Playerのコンテンツを利用した人がある方は、それまでに歴史を振り返るのもよいでしょう。
最近では使う機会もなくなっていましたが、Webの発展を支えた1つのツールが終了するのは、少なからずサービスを感じるものですね……。
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