この記事では、プログラミングにおけるデータベースの操作に使われる「SQL」について、概要や種類、勉強方法など初心者でもわかりやすいように解説しています。
「SQLを開発業務で使うので概要を知りたい」「具体的な勉強法を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
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この記事は現役エンジニアによって監修済みです。
この記事の目次
SQL(エスキューエル)とは
ここでは、SQLについて概要や普及率、基本の操作方法を紹介します。
- SQLはデータベース言語の1種
- マーケティング業務でも使われる
- SQLには2種類の操作方法がある
SQLはデータベース言語の1種
SQLは「Structured Query Language:構造化照会言語」の略称で、操作や定義を行うデータベース言語を指します。データベース(※)を扱うための言語という意味で、得られたデータの蓄積と検索を行う際にSQL構文が使われます。
SQLはデータベースの操作に特化した言語で、プログラミング言語とは異なります。命令文をデータベースに送って実行させていく処理で、1文のみで完結する形式です。
1970年代からアメリカIBM社が開発を続けてきた初期の言語がバージョンアップを経てSQLという名称に定まり、世界的に普及しました。1986年にはISO(国際標準化機構)によって「標準SQL」として規格化されました。
※データベース:検索・蓄積しやすいように整理されたデータの集まり
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SQLの普及率
SQLはデータベース(DB)製品として製品化され、販売されています。現在、世界的企業であるMicrosoft社をはじめ、複数の企業がSQL製品を販売しています。
2024年5月現在におけるDB製品のシェア上位5位は次のとおりです。※
ランク | DBMS(※) | 開発元 |
1位 | Oracle | Oracle Corporation |
2位 | MySQL | Oracle Corporation |
3位 | Microsoft SQL サーバー | Microsoft Corporation |
4位 | PostgreSQL | PostgreSQL グローバル開発グループ |
5位 | MongoDB | MongoDB, Inc. |
※参考元:DB-Engines「DB-Engines Ranking」
※DBMS:データベース・マネジメント・システム
マーケティング業務でも使われる
SQLは、実はマーケティングなどの業務でも利用されます。例えば、顧客データの分析をするときなど、顧客情報のデータベースにアクセスする際に使われているでしょう。
SQLには2種類の操作方法がある
SQLには、対話型と埋め込み型の2つの操作方法があります。
対話型
対話型とは、ユーザーが直接SQLの命令文を入力して操作するタイプのことです。ひとつひとつ処理結果を待ってから、次の命令を送ることになります。
埋め込み型
埋め込み型とは、ソースコード内にSQLのコードを埋め込むタイプのことです。C++、COBOL、Javaなどの手続き型プログラミング言語に埋め込まれます。
SQLを用いて操作する「データベース」とは
SQLが操作する「データベース」とは、コンピューターに集められた情報のまとまりのことです。
データが一つの土台(Base)の上で管理できるという意味でデータベースと呼ばれ、身近な例としては検索エンジンや音楽配信サービスにおけるデータベース(アーティスト名や曲名の情報を格納)などが挙げられます。
管理される情報は一定のルールのもとに整理されます。データ自体が大量である場合は、ルール決めと整理が重要です。何もせず集めるだけでは情報が散らばってしまい、分かりにくくなるためです。
データベースの種類は、必要な情報を見やすくして取り出しやすくするため、ツリー状に構成する「階層型」と、網状に構成する「ネットワーク型」、全体を表として構成する「リレーショナル型」があります。
SQLの種類
SQLは、機能によって3つの種類に分けることができます。
- データ定義言語
- データ操作言語
- データ制御言語
DDL(データ定義言語)
1つ目は、データ定義言語です。略してDDLと呼ばれることも多く、主に次のような命令文があります。
- CREATE(テーブルの作成)
- ALTER(テーブルの設定変更)
- DROP(テーブルの削除)
- TRUNCATE(テーブルデータの削除)
データを入れる箱となるテーブルに関しての命令文が該当します。
DML(データ操作言語)
2つ目は、データ操作言語です。略してDMLと呼ばれることも多く、主にデータを追加・削除する際の命令文を指します。
- SELECT(データの検索)
- INSERT(データの追加)
- UPDATE(データの更新)
- DELETE(データの削除)
データを操作する際の基本的な命令文となるため、利用頻度が高いのが特徴です。
DCL(データ制御言語)
3つ目は、データ制御言語です。略してDCLと呼ばれることも多く、主に次のような命令文があります。
- GRANT(権限付与)
- REVOKE(権限剥奪)
- commit(トランザクション処理の確定)
- rollback(トランザクション処理の取り消し)
データベースの権限に関するものや、トランザクション(※)に関する命令文のことを指します。
※トランザクション→関連する複数の処理を1つのまとまりと捉えたもの
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SQLで何ができる?
SQLでは、大きく3つのことが実行できます。
- データベース・テーブルの作成
- データの検索
- データの整形
データベース・テーブルの作成
新規作成や追加の作業として、新しいデータベースを作成できます。データベース内に格納されているテーブル(※)を追加・削除することもできます。
データベースを新しく作成したら、そこに集まる情報を一定の規則にしたがってテーブルで管理します。つまり、データベースを作成したあとはそれぞれのデータを正しく管理する必要があるのです。
SQLでは、テーブルのカラム数(列)や形式を指定することも可能です。
※データの種類ごとに格納されている表形式の単位
データの検索
データベースに集められたデータは、条件指定によって検索ができます。
データが存在しているフィールド・テーブル名を指定し、WHERE句と呼ばれる構文を使って、抽出条件を細かく指定します。指定箇所のデータがWHERE句と重なったところが抽出されるので、データ数が数百万件など膨大になってもすばやく検索できます。
企業では、販促活動の一環としてユーザーの中から条件に合致する対象者をピックアップし、メールマガジンやキャンペーンのお知らせを送付しています。ユーザーの絞り込みにはリストが活用され、リストの作成にデータベース検索が活用されています。
データの整形
データの整形では、格納済みデータの値の変更や削除といった操作が行われます。膨大なデータを取り扱う場合は、テーブル自体を結合して一つにまとめたり、反対に複数のセグメントに分割したりする作業も重要です。
商品のデータを登録し、売上の結果から人気商品を抽出してデータの詳細を分析するといった手法では、登録済みの商品から人気商品を抽出します。
目的のデータにすばやくアクセスできるように、条件を正しく指定してテーブルやデータを整形する必要があります。
SQLが使える代表的なデータベース管理システム
データを一括管理するためのソフトウェアのことを、「データベース管理システム(DBMS)」と言います。DBMSを利用しデータ一括管理をすることで、データの共有・保護・検索・更新などが容易になるというメリットがあります。
DBMSには、商用ソフトウェアとオープンソースソフトウェア(OSS)の2種類があるので、本章ではそれぞれ代表的なものを紹介します。
商用ソフトウェア
商用ソフトウェアは、基本的に高品質で、メーカーサポートが受けられるのが特徴です。商用利用をする際には有料で高額なため、コストが膨らんでしまう点に注意が必要となります。
代表的なものは、以下の3つです。
- Oracle Database
- SQL Server
OSS(オープンソースソフトウェア)
オープンソースソフトウェアは、無料で利用できる点が特徴です。
ソースコードが公開されており、改良や再配布が許可されています。無料ではあるものの、最近では機能面が優れているものも増えています。代表的なものは以下の3つです。
- MySQL
- PostgreSQL
- SQLite
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SQLを学習するメリット
SQLを学習するメリットは以下の3点です。
- 汎用性が高い
- キャリアの可能性を広げられる
- 需要がある
汎用性が高い
SQLはISOによって標準化され、世界共通かつIT業界の共通言語として用いられています。基本的な構文や記法がひとつに指定されているため、身につけたSQLの知識と経験がそのまま業務に活かせます。
国や地域、製品が異なっても基本的な部分は同一のため、ひとつのSQLを覚えておけば他のSQLの学習や取り扱いにも応用可能です。
たとえば、RDBMS(リレーショナル・データベース・マネジメント・システム)として「Oracle Database」の取り扱いを学んでいれば、IBM社のRDBMSである「DB2」にも移行しやすくなります(※)。
※共通言語としてSQLが使われているため基本は同じですが、それぞれのRDBMS製品ごとにオリジナルの機能や記述方法の違いは存在します。
キャリアの可能性を広げられる
SQLはデータベースを操作するために作られたもので、標準化されているため汎用性が高い言語です。
SQLエンジニアとして知識と経験を積めば、データベースの設計から開発、分析やパフォーマンスの改善といったさまざまな業務が担当できるようになります。
エンジニアとして活躍することはもちろん、エンジニアのスキルを活かしてスペシャリストやコンサルタントを目指すことができます。
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需要がある
普及により、インターネットの利用者数は世界全体で50億人を超えるまでに普及しました。※
世界総人口の約3分の1に相当する人々はオフラインのままとされていますが、今後通信環境や通信品質が整備されれば、さらに多くのユーザーがインターネットにアクセスし、サービスを利用すると予測されます。
インターネット利用者数の増加によって集められるデータの数も膨大になることから、SQLの活用はこれまで以上に必要とされるでしょう。
膨大なデータを収集したものは「ビックデータ」と呼ばれます。このビッグデータの収集・整理・解析についても、データベースエンジニアの活躍が期待されています。
※参考元:国際電気通信連合「Global Connectivity Report 2022」
SQLの将来性について
データベース言語はデータ操作言語・データ定義言語・データ制御言語に分けられています。
言語ごとにいくつかの種類が存在していますが、すべての言語要素をまとめたものとしてSQLが普及しているため、SQLを除いたデータベース言語の選択肢は多くありません。
現状では、ほとんどのシステムや製品にSQLが使われています。今後さらにビッグデータが活用され、クラウドサービスの普及や高速通信化が進むことからも、データベースとSQLの需要が無くなる心配はないと考えられます。
初心者がSQLを学ぶ方法
ここでは、データベース初心者がSQLを学ぶのにおすすめの方法を3つ紹介します。
- オンライン学習サイトを利用する
- SQL関連の書籍を読む
- プログラミングスクールに通う
オンライン学習サイトを利用する
Progate・Udemy・Schooなどのプログラミング教材を扱うオンライン学習サイトでは、いつでも・どこでもSQLを学ぶことができます。
例えばProgateでは、スライドを用いて初心者でもひとつひとつ丁寧に理解しながら学習を進められます。単元ごとに小テストもあるので、インプットした知識をすぐに活用することも可能です。
また、Progateのサービス内で練習をするため、わざわざ環境設定をする必要もありません。10時間ほどあれば一通りの学習ができるため、どのサイトで学ぶか迷ったらProgateを検討してみましょう。
下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
▶️Progate(プロゲート)とは?評判・無料と有料の違い・使い方や「意味ない」と言われる理由を解説
SQL関連の書籍を読む
SQLは専用の書籍でも十分学べます。以下でおすすめの書籍を2つ紹介します。
- スッキリわかるSQL入門
- SQL ゼロからはじめるデータベース操作
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スッキリわかるSQL入門
もはやIT学習関連の書籍では王道と言っても過言ではない「スッキリわかる」シリーズの1冊。図解で概念的に理解できるのが特徴で、初心者でも抵抗なく学ぶことができます。
付録には256ものドリルが掲載されているため、アウトプットができるのも嬉しいポイントです。
SQL ゼロからはじめるデータベース操作
こちらの書籍は、CodeZineでも取材を受けているプロのデータベースエンジニア・ミックさんが執筆した1冊。
Oracle・PostgreSQL・MySQLなどの各種DBMSでの違いや初心者が陥りやすい注意点までしっかりと解説されているため、読了時には一定以上の知識を身につけられるでしょう。
プログラミングスクールに通う
プログラミングスクールのなかには、SQLの講座を開いているところもあります。スクールで学べば、わからないところを質問できるほか、周囲の受講生から刺激を受けてモチベーション高く学習に取り組むことができます。
最近では、通学型だけではなくオンラインで学べるスクールも増えています。「どのスクールが良いのかわからない」という方は、以下の記事も参考にしてみてください。
▶️【オンライン可】社会人向けのITスクールおすすめ12選!エンジニアを目指せるプログラミングスクール
取得しておくと有利なSQL関連の資格
SQLを取り扱う際に役立つ資格として、次の3種類が挙げられます。
- OSS-DB技術者認定試験
- ORACLE MASTER
- データベーススペシャリスト
OSS-DB技術者認定試験
OSS-DB技術者認定試験は、特定非営利活動法人 LPI-Japanが主催し、認定するデータベースの民間資格です。
オープンソースデータベースであるPostgreSQLを基準とする基本知識と技術力が問われます。
ORACLE MASTER
ORACLE MASTERは、Oracle社が主催し認定している資格制度の一種で、データベースの管理とSQLを記述する能力を認定する民間資格です。
世界的に活用されているDBMS製品・Oracleの習熟度を試すもので、グレードは下位からブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナと4段階に分かれています。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストは、経済産業省管轄の情報処理推進機構(IPA)が実施・認定するIT系の国家資格です。
データベースに関する知識と能力を十分に備えており、利用者からの要求に基づいて分析やデータモデルが作成できるかを問われます。
【まとめ】SQLはデータベースを扱う言語のこと
SQLは、データベース言語の1つです。エンジニアだけではなく、マーケティングなど、データを扱う仕事で頻繁に利用されます。
シンプルな命令文が特徴で、プログラミング言語とは異なり独学でも十分学習が可能です。
興味のある方は、まずは学習サイトや本などで学んでみてください。
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