かつて話題となったGoogle Glass(グーグルグラス)。その後継機となる「Glass Enterprise Edition 2」が米Googleより発表されました。
この記事では、「Glass Enterprise Edition 2」の特徴や販売価格、先代のGoogle Glassと比較してどのように変わるのかを解説します。
この記事の目次
Google Glass新モデル「Glass Enterprise Edition 2」が発表
Googleは5月20日(米時間)、Google Glassの新モデル「Glass Enterprise Edition 2」を発表しました。
2012年に発売されたAR機能を搭載したカメラ型コンピュータのGoogle Glassの後継機にあたり、デザイン・スペック・機能が大幅にアップデートされています。
Glassの開発チームは2017年にAlphabetのX部門に移りましたが、今回の最新版に伴って、再びGoogleの管轄下に戻る運びとなりました。
価格は1500ドル→900ドルへ
2012年に発表されたGoogle Glassの販売価格は1,500ドル。日本円でおよそ17万円ほどとかなり高価でした。後ほど説明しますが、この値段の高さもGoogle Glassが一般消費者にあまりヒットしなかった要因ではないかとされています。
新モデルの「Glass Enterprise Edition 2」は初代から大幅に値下げ。価格は999ドル(日本円でおよそ11万円 2019年5月21日時点)と発表されました。
GoogleはGoogleマップへのAR機能の導入など、ARの実用化に力を入れている企業。Google Glassのターゲットをビジネス用途にフォーカスしたことで、ARのウェラブルデバイスの分野において企業から注目されることが予想されます。
パートナー企業から購入可能
「Glass Enterprise Edition 2」は一般販売はされず、企業を対象にパートナー企業(AGCO、DHL Group、HB Fuller、Sutter Healthなど)から購入が可能です。
Google Glass新モデルの特徴
「Glass Enterprise Edition 2」の特徴や、搭載されている機能について紹介します。
軽量で音声コマンドに対応しワークフローを邪魔しない
Glass Enterprise Edition 2は、軽量の設計なので1日中装着していても負担がかかりにくいです。
また、音声コマンドによるハンズフリーの操作も可能。工場などのデバイスが持ち込みにくい場所での強力なパートナーになるでしょう。
Snapdragon XR1搭載
AR/VRに特化したクアルコムのSoC「Snapdragon XR1」を搭載。これにより、節電とパフォーマンス向上を実現しました。
USB-Cポートが搭載によりバッテリー寿命の伸びが予想されるため、長時間の使用も快適に行えるでしょう。
8MPカメラ搭載でビデオストリーミングがスムーズ
Glass Enterprise Edition 2は8MPカメラによる映像で、リアルタイムの映像共有がスムーズに行えます。
開発が行いやすい
Glass Enterprise Edition 2はAndroid Oreoで動作するので展開が容易である点もポイント。Android Open Source Platform上で動作するため、開発も行いやすいです。
ライバルとなるHoloLens 2よりも安価
けして導入しやすい価格とは言い切れませんが、HoloLens 2と比較するとGlass Enterprise Edition 2は安価。HoloLens 2は3500ドルです。
Glass Enterprise Edition 2は価格の面でより多くの開発者や企業に受け入れられるでしょう。
HoloLens 2—価格と予約 | Microsoft HoloLens
「Glass Enterprise Edition 2」のスペック
・重量:46グラム
・プロセッサ:Qualcommの「Snapdragon XR1」(先代 「Snapdragon 710」)
・メモリ/ストレージ:3GB/32GB(先代 2GB/16GB)
・ディスプレイ解像度:640×360ピクセル
・カメラ:800万画素(先代 500万画素)
・ネットワーク:802.11acとBluetooth 5をサポート
・バッテリー:820mAh(先代 780mAh 充電ポートがType-Cになり急速充電に対応)
・OS:「Android 8 Oreo」
・フレーム:黒縁タイプとメタリックタイプ(発表時点)
フレームは、メガネやスノボ用ゴーグルなどで有名なアメリカのSmith Opticsが制作。今後は新タイプも発表を予定。よりメガネに近い目立ちにくいフレームが完成する可能性も。
「Android Enterprise Mobile Device Management」もサポートするとのこと。
先代Google Glassの主な機能
先代のGoogle Glassは、発表された時点で以下のような機能を搭載していました。
・道案内(地図機能)
・Google検索(撮影した写真の検索など)
・写真撮影/ビデオ撮影
・Google+との連動(撮影した写真の投稿など)
メガネをかけるだけでパソコンのような機能が使える、当時としては最新鋭のデバイスだったことでしょう。しかし一般消費者からの人気を集めることはできず、3年ほどで発売は打ち切りとなってしまいました。
黒歴史とされたかつてのGoogle Glass
先ほども説明しましたが、Google Glassが初めて発売されたのは2012年。しかし一般販売は2015年1月で終了となりました(企業向けのEnterprise Editionは2014年から開発)。
発売前は多くの人々から期待を集めたGoogle Glassでしたが、いざ発売してみると売り上げや評判はいまいち。ネット上では「Googleの黒歴史」とさえする声も見られます。
当時の最新技術を搭載し、注目されていたはずのGoogle Glassがヒットしなかったのはなぜだったでしょうか。
プライバシーや著作権の問題(Google Glassをかけたまま写真や動画が撮影できたため)や、運転中に使用することへの懸念など理由は様々ありますが、以下のことが大きく影響したとされています。
価格の割に機能が不十分だった
先ほど説明したように、Google Glassの販売価格は1,500ドル(約17万円)。非常に高額で、一般ユーザーが簡単に手が出せる代物とは言えません。
最新ガジェットに対して強い興味の持ち主でなければ、購入を見送ってしまう人が多かったでしょう。
もっと低価格でパソコンやiPhoneを購入することができます。十数万円をGoogle Glassに支払うよりも、汎用的に使えるパソコンやiPhoneを優先して買うという声が多かったようです。
Google Glassは、例えば外出中に両手が使えない時(自転車に乗っていたり、荷物を持っていたり)ならパソコンの代わりとなるでしょう。
しかし、限定的な状況で使うGoogle Glassを十数万円で買う一般消費者は限られていたと見られます。
企業向けにEnterprise Editionを開発
2014年から、Google Glassは「Enterprise Edition」として企業向けに開発が進められています。今回発表になった「Glass Enterprise Edition 2」も、企業向けに販売予定です。
一般消費者にこそウケなかったGoogle Glassですが、物流業や製造業などといった企業向けには役立つ場面が多いため、導入されています。
例えば、仕事に必要な作業中に連絡を取ったり、調べ物をしたくなたっときなどは、その場でパソコンを使えないことも考えられるでしょう。
そんな時にGoogle Glassをかけていれば、パソコンのある場所に戻らなくてもその場で連絡も調べ物も可能になるわけです。
企業にとってGoogle Glassは、業務効率化に必要なツールだったということになります。ニーズがあったのは一般消費者ではなく企業の方だったようです。
さいごに
「Glass Enterprise Edition 2」の発表により、一時は黒歴史とされてしまったGoogle Glassにまた注目が集まっています。一般販売の予定などは特にされておらず、基本は企業向けデバイスとして販売される見込みです。
一般化は難しいとはいえど、技術の進歩を感じさせられるニュースです。そう遠くない日、私たちがスマートフォンやパソコン、スマートウォッチを使わずとももっと楽に機能を使えるツールが発表されるかもしれません。
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