2018年9月に開催されるAppleのスペシャルイベントで、Apple Watch Series 4の発表が確実視されています。
バージョンアップを重ねて端末性能が飛躍的に改善するApple Watchには、ウェアラブル業界を牽引する存在として期待が集まります。
一方でウェアラブル端末には、まだ解消されていない様々な問題があるのも現実。市場規模はApple Watch Series 1が登場したときの期待ほどには、拡大していません。今回はウェアラブル端末の普及の壁となっている「問題点」を徹底解説します。
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この記事の目次
主要なウェアラブル端末
Apple Watch
Appleから2015年に発売されたスマートウォッチのシリーズが「Apple Watch」。バージョンアップを重ねて現在は「Apple Watch Series 3」が発売中です。Apple Pay、Suicaに対応しており、内蔵したeSimによる端末単体での通話も可能です。
またiPhoneと連動することで、iPhone内の音楽の再生や画像表示もできます。ロケーションベース型ARの金字塔「ポケモンGO」のプレイも可能です。
ただしApple Watch版「ポケモンGO」は、iPhoneと連動させないとポケモンの捕獲ができないなど操作性に難があり、単体での使い勝手の悪さが度々指摘されてもいます。
Fitbit IONIC
フィットネストラッカーの代表的メーカー「Fitbit」が手がけるスマートウォッチです。
Fitbitは電子ペーパー搭載スマートウォッチメーカー「Pebble」を買収しており、FitbitとPebble双方の良い点を活かしたバランスのとれた端末に仕上がっています。
特に「電池の持ちの良さ」と「単体での音楽再生への対応」「フィットネス機能の豊富さ」が大きなポイント。電池の持ちは最大5日間とされています。単体で音楽再生に対応しフィットネス機能も豊富なため、ランニング時の使用に特に適しています。
もちろん普通の時計として使うことも可能です。
ReconJet
2015年に発売された眼鏡型のウェアラブル端末です。主にアスリート向けのスマートグラスで、主に屋外での使用が想定されています。
基本操作は端末に内蔵されたタッチセンサーで行い、音声コマンドには対応していません。使用イメージは以下の動画の通りです。
アスリート向けスマートグラスがまだニッチな市場ということもあり、日本での普及はまだこれからという段階です。
ウェアラブル端末の形状・デザイン
ウェアラブル端末の形状・デザインには、以下のようなものがあります。
- 腕時計型
- リストバンド型
- 指輪型
- メガネ型
- 腕時計型
最も主要なウェアラブル端末の形状です。代表的な腕時計型のウェアラブル端末は、Apple Watchです。腕時計型のため、手首に常に装着。腕時計を普段からつけている方であれば、特に違和感なく日常のアイテムとして使えるのが特長です。
腕時計はファッションアイテムでもあることから、高機能かつハイブランドとのコラボレーションによる高価格帯のラインも発売されるケースがあります。
リストバンド型
腕時計型と並んで人気があるのが、リストバンド型です。こちらはFitbitをはじめとするフィットネストラッカーに多く採用されています。
ランニングを日課としている方に愛用されており、防水性能にも優れています。デフォルトで組み込まれたアプリの利用が前提とされているケースがほとんどで、サードパーティー製アプリのインストールによる機能拡張などには向いていません。ですが、代わりに最安で1万円以下から購入できる安価さが魅力。
ウェアラブル端末に安さと最低限の機能を求める方におすすめです。
指輪型
指に装着し、スマートフォンと連携するだけでGoogle アシスタントやSiriの音声コントロール、楽曲の再生やスキップ、さらにはクレジットカードの支払いにまで対応するのが指輪型のウェアラブル端末です。
指輪型端末はまだ黎明期ですが、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」のプロジェクトなどで先進的な事例が登場しつつあります。
例えばスマートリング「Token」はスマートフォンの専用アプリと連動させ、クレジットカードや交通系ICカードを登録すれば、1つの指輪を装着するだけで支払いにクレジットカードが不要に。さらに自宅の鍵をスマートロックにすれば鍵も不要となる端末です。
Tokenは防水対応のためシャワーの際に指輪を外す必要は無く、バッテリーも2週間持続。指輪を外した際には自動的にロックがかかり、再度のアクティベートは指紋認証が必須。そのため他人が勝手にTokenを使うことはできません。
日本ではまだ普及が進んでいない指輪型端末ですが、数年以内の本格的普及に期待が集まります。
メガネ型
メガネ型の代表的な端末は、2013年に開発者版が発売されたGoogle Glassです。
キラーアプリの不足や端末性能の限界、カメラのプライバシー面への危惧から2015年に一旦プロジェクトが終了。2017年に法人向け製品として復活し、現在は各ビジネスソリューションとセットで提供されています。
Google Glassは消費者向けには普及していませんが、スマートグラス自体は各メーカーで機能を制限したり、特定の用途に特化する形で開発が続けられ、販売もされています。
例えば骨伝導メガネのKiwiSoundは、メガネに骨伝導機能を追加。見た目は普通のメガネですが、LINE音声の通知や音楽再生が可能。耳をふさぐことなく音声を聞くことができます。
ウェアラブル端末の問題点5つ
便利なウェアラブル端末ですがいくつかの問題点もあります。
- バッテリー駆動時間
- 用途の不明瞭さ
- デザイン性
- プライバシー保護対策の不十分さ
- ウェアラブル市場の未熟さと低迷
バッテリー駆動時間
最大の問題はバッテリー駆動時間です。スマートウォッチはあくまで「腕時計」としての機能も求められる存在です。ですが日常的に「腕時計を充電する」という習慣は多くの人に無く、充電が煩わしいという問題があります。
加えて充電を忘れてしまった場合「時計であるにも関わらず時間を確認できない」状態になります。またバッテリー駆動時間が1日未満の場合、朝に充電しても夜にはほとんどバッテリーがないか、バッテリーが切れてしまう可能性もあります。
高機能である一方で、通常の時計のような連続使用に耐えるバッテリー性能にはまだ難がある状態です。
用途の不明瞭さ
スマートウォッチはウェアラブル端末の代表格ですが、特に若者の間では必ずしも大きな支持を得られていません。
調査会社・IDCの2016年12月時点の発表によると、同年7月〜9月のウェアラブル端末出荷台数は2300万台。「Apple Watch」を販売するAppleが大幅減少する一方で、「Fitbit」などフィットネストラッカーが大幅に台数を伸ばしました。
フィットネストラッカーはサードパーティーのアプリがインストールできない代わりに、健康管理に特化した機能が充実し、安価なことが売り。用途が明確に整理されています。
一方でスマートウォッチは成長が期待されてはいるものの、現時点ではまだ「何ができるのか」「どういう用途に適しているのか」という用途が不明瞭。スマートウォッチがとても好きな一部の層以外にとっては、購入しづらい状況が続いています。
デザイン性
時計やメガネ、指輪はファッションアイテムとしてもとても大事な存在です。格好良くない時計やメガネ、指輪はその人を「ファッションセンスが無い人」のように印象付けてしまいます。
そのため、ウェアラブル端末にはデザイン性も重要です。例えばAppleでは、エルメスとコラボレーションしたApple Watchを発売するなどしてデザイン性の高い端末を製造しています。
ですが、一方でウェアラブル端末の用途にはまだ不明瞭さも残っているのが現実です。ハイブランドとのコラボなどによってファッション性を高めると価格は上がります。しかし、用途が不明瞭な端末に高価なお金を支払う人はごく一部です。
そのため高いデザイン性と安価さの兼ね合いに、難しいバランス感覚が求められます。
プライバシー保護対策の不十分さ
ウェアラブル端末はバッテリー駆動時間の問題こそありますが、基本的には「身につけたまま」にしておくものです。特にヘルスケアとの相性は良く、睡眠時間や血圧など健康状態に関するデータ取得に長けています。
逆に言えば、ウェアラブル端末は繊細な個人情報を大量に扱う端末でもあります。そのため情報流出などセキュリティ対策には万全の姿勢が求められます。
またメガネ型端末の場合は「盗撮」リスクへの対応も必要です。メガネにカメラが搭載されていると、誰にも気づかれることなく他人を撮影することが可能になるからです。
このようにウェアラブル端末は生活により身近に馴染む存在だからこそ、綿密なプライバシー保護対策が必要なのです。
ウェアラブル市場の未熟さと低迷
アメリカの市場調査会社・eマーケターによると2016年の成人人口に占めるウェアラブル端末の利用者比率は全体の15.8%。今後数年の伸び率も鈍く、2020年になっても20%程度と予想されています。
同社の調査ではウェアラブル端末の主要なユーザーは20代の若者で、若者の支持を集めているのは安価なフィットネストラッカー。一方でスマートウォッチはごく一部のアーリーアダプター層が利用する端末という域を出ていません。
一方で2022年までの中長期的な目線に立つと、さらなる技術発展や商品ラインナップの多様化も注目です。特に腕時計型、リストバンド型に続く新たなデバイスとして成長が期待されるのは耳掛け型。
IDC Japanによると耳掛け型のウェアラブル端末の出荷台数は、2022年末までに1330万台。
ウェアラブル端末全体の出荷台数が2億1940万台と予測されているため、耳掛け型のシェアは小さいですが、以後の成長が見込めます。
さいごに
代表的なウェアラブル端末と、各端末の問題点やリスクを解説しました。
ウェアラブル端末は今後の成長がほぼ確実に見込める分野であり、Apple Watchやスマートリングなど期待が高まる製品も続々出ています。
今後のさらなる成長には紹介した各種問題のクリアが不可欠です。今後のウェアラブル業界の成長に期待大です。
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