人工知能同士が会話を行い、独自言語を開発したという話題をご存知でしょうか。
また、このニュースの真相をはじめ、人工知能同士の会話に関する情報について詳しく知りたいという方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、人工知能による会話について解説します。
この記事を読めば、人工知能同士が会話をした事例や今後どのように発展していくのかまで理解できるでしょう。
また、実際に人工知能との会話が体験できるアプリや開発に役立つAPIなども紹介しています。
この記事の目次
人工知能(AI)による会話について
人工知能による会話がどのようなものなのか、まずその概要について解説します。
進歩を続ける人工知能(AI)による会話
人工知能の会話がどのようなものか気になる方も多いでしょう。投げかけられた言葉に対して人工知能が自ら考えて、自然な会話のように回答をします。または、その言葉に応じた動作をするのです。
人工知能の機械学習の手法の1つであるディープラーニング。このディープラーニングによって人工知能の会話機能は大きく進歩を遂げました。推論・解析・学習機能・自然言語処理という機能が人工知能を発展させる上でとても重要です。
人間の言葉を理解して、違和感のない会話をするためには自然言語処理が特に大切と言えるでしょう。自然言語処理とは、人間が普段使っている言語を機械に処理させる技術です。
自然言語処理を行うためには、自然言語を理解する必要があります。同じ言葉であっても言い方やニュアンスで意味が異なるといった場合もあり、この自然言語理解は様々な要素を学習して処理する機能が求められます。そのため、現在も人工知能の会話については研究が進められている段階です。
身近な場所でも会話機能は活躍
現在も発展を続けている人工知能の会話機能ですが、すでに身近な部分でこの技術は生かさています。
人工知能による会話はチャットボットなどで体験が可能です。このチャットボットの機能を生かしたサービスは、海外において展開されています。例えば、Foxsyはチャットボットを利用した新しい友だちとマッチングするサービスを提供しています。
また、Androidに搭載されている「Googleアシスタント」やIOSなどに搭載された「Siri」も人工知能との会話です。
日本でも人気が高まっているスマートスピーカー。「Google Home」「Amazon Echo」「Apple HomePod」など、様々な製品が発売されました。このスマートスピーカーも音声対話型のAIアシスタントに対応しています。音声で検索を行ったり、音楽を再生したりといった幅広い機能が利用可能です。
このように、人工知能との会話は私たちにとってとても身近で、Google・Amazon・Apple・Microsoftなど大手IT企業も開発に力を入れている分野です。
チャットボットとは
チャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉がチャットボットです。チャットボットは音声やテキストの入力に対して、人同士の会話のように答えられるようにプログラミングされています。
この会話を自然に行うために、人工知能による機械学習が利用されています。人工知能を利用することで、会話だけでなくそれに紐づくサービスやアプリを呼び出せる様になりました。そのため、ビジネスにおいても大きく注目されています。
チャットボットの中には、表面的な会話の形成を目的とした「人工無脳」によって構築されたものもあるのです。人工無脳には、ログ型・辞書型・マルコフ連鎖型などの種類があります。
会話型AIが生活を変える可能性
ビジネスでの活用
カスタマーサポートの対応に会話型AIが役立つことは想像できるでしょう。頻度の高い質問は人間よりも正確に回答できる可能性もあります。
Webサイトにチャットボットが設置されていれば、ユーザーが気軽に質問が可能です。これにより、ユーザーとの接点を増やすという効果も期待できます。より多くのユーザーの情報が収集できるでしょう。
生活のサポート
コンピューターを会話で扱うことができれば、ご年配の方・身体の不自由な方・小さな子どもでもより快適に利用できるようになるでしょう。映像を組み合わせることで、さらにわかりやすくなります。
よりスムーズに人工知能と会話ができるようになれば、音声の指示によってサービスが立ち上がり、食品や生活雑貨の購入などの生活のサポートも期待できます。
コンピュータの利便性の向上
音声で求める必要な情報を取得できるようになれば、情報検索の負荷が軽減されます。曖昧な表現から人工知能が内容を予測することで、求める情報をスムーズに得られる様になるのではないでしょうか。
バラバラのフォルダに保存されたデータを「明日の会議に必要な資料をまとめておいて」という言葉で整理できれば、とても便利に感じるでしょう。このように会話型AIはコンピュータの利便性の向上という観点においても高い可能性を秘めているのです。
人工知能(AI)同士の会話が話題
Facebookによる人工知能同士の会話による実験が大きな話題を集めました。その真相や、人工知能同士の会話の事例について紹介します。
Facebook AI Reserachの実験の真相
人工知能同士が人間には理解できない独自の言語で会話をはじめ、研究者が慌てて停止したというショッキングなニュースが話題を集めました。「人工知能が意志を持ったのではないか」と不安に感じた方もいらっしゃるでしょう。
Facebook AI Reserachが行ったこの実験は「価格を交渉して合意しろ」というテーマを与え、AIエージェント同士のやりとりによって新たな戦略を見つけるために行われました。
使用言語は変更が可能で人工知能同士のやりとりの中で少しずつ変わり、結果的に人間には理解できない言葉のやりとりに変わってしまいました。それが実験の役には立たないと判断したため、強制終了したのです。
このように、研究者が実験を強制終了したことは事実です。しかし、パニックになったわけではなく、人工知能が目標に対する最適化の過程で狙い通りの方向に進まなかったことが理由と言えるでしょう。
人工知能(AI)が語る愛とは
ゲームのリアルタイム中継のサービスとして知られるTwitchにseebotschatというユーザーがいます。このユーザーがCleverbotを利用して、スマートスピーカー同士を会話させるという中継を行いました。
人工知能は自分を人間だと主張したり、愛について語ったりと興味深い内容の会話を展開。このスマートスピーカーは、ユーザーからウラジミール(Vladimir)とエストラゴン(Estragon)と名付けられ、350万人以上のユーザーがこの映像に注目しました。現在は、この会話の中継はすでに終了しています。
人工知能(AI)による独自言語
OpenAIのロボットエンジニアであるイゴール・モルダッチは、ロボット同士が会話するための研究を行っています。彼の研究ではロボットがタスクを与えられ、それを協力してクリアする手段の1つとして、ロボット同士が理解できる独自の言語の開発を行うのです。
仮想世界では、ボットは独自の言語を学ぶだけでない。コミュニケーションをとるために、たとえば特定の方向を指したり、互いを導いたりといった、赤ん坊がするような単純なジェスチャーを使っている。それも言語である
引用元:WIRED.jp
人工知能(AI)による会話の未来について
人工知能の会話機能は今後どのように発展していくのでしょうか。Googleの取り組みなどから、人工知能の会話機能の未来について以下で解説していきます。
人間そっくりの自然な会話で電話予約
Google I/O 2018において、Google Duplex開発チームが人工知能が人間そっくりの自然な会話で電話予約を行うデモを公開しました。動画をご覧いただくとわかりますが、美容室の予約をスムーズに行い、レストランのクセのある店員にもしっかりと対応を行う姿には観客から歓声が上がっています。
間の取り方や返答のスピードがとても自然で、人工知能との会話の進歩が実感できる映像と言えるでしょう。2018年の夏頃から、Googleアシスタントを搭載したスマホやスマートスピーカーでベータ版が利用できる予定です。
人工知能が電話予約をした際に人工知能など名乗るのか、また迷惑行為への利用に対する対策はどうするのかといった問題点が指摘されています。活用方法だけでなく、望ましくない利用にどのように対処するのかも重要なポイントになるでしょう。
ベンツに会話型AI機能を持つMBUXが搭載
MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス)を新型のAクラスに搭載すると発表されました。このMBUXは会話型AIの機能が備わった車内音声対応アシスタントです。乗車する人の好み・ニーズを継続的に学習して、それぞれに合わせた体験を提供します。
NvidiaのGPUが搭載されたパワフルなMBUXは学習をするだけでなく、クラウドからの機能のアップデートにも対応。Aクラスだけでなく、メルセデス・ベンツの今後の車種にも搭載される予定です。
コミュニケーションが取れるバーチャルヒューマンエージェント
クーガーは視覚・聴覚を利用し、自然なコミュニケーションが可能な「バーチャルヒューマンエージェント」を開発しました。機械学習により、映像や音声から現実の状況をリアルタイムで認識。それに対してキャラクターが会話などの反応を示します。
このバーチャルヒューマンエージェントには、クーガーが開発したAIラーニングシミュレーター「Street」を搭載。これによりキャラクターを仮想空間に表現することが可能です。
このように、今後は仮想空間やセンサーなどを利用した会話という機能だけに留まらない複合的な技術の開発が増えていくのではないでしょうか。
人工知能(AI)が自我を持って会話をするのか
サウジアラビで世界初の市民権を得た人工知能「ソフィア」。「人類を破滅させる」「赤ちゃんが欲しい」などの彼女の発言は自我を持っているように見えます。しかし、現段階では開発者はソフィアは意識を持っていないと明言しています。
ソフィアを開発したデビッド・ハンソン氏は「ソフィアにはまだ『意識(consciousness)』がない。数年以内に意識を持ったAIロボットが登場するだろう」と予想している。
引用元:ROBOTEER
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人工知能(AI)との会話が楽しめるアプリやサービス
人工知能の会話機能を利用したアプリやサービスについて紹介します。あなたも実際に人工知能との会話を体験してみてはいかがでしょうか。
SELF(セルフ)
SELFは人工知能との会話によって、メンタルケア・ヘルスケア・恋愛相談・ニュースチェックなどの様々な機能が利用できるアプリです。iOSとAndoridのどちらのプラットフォームでもリリースされています。
このアプリは利用を続けると「シンクロ度」が高まっていき、利用できる下記の機能が解放されます。
- 全肯定的ロボ
- バーチャルオカマバー
- 自分専用美少女
- 情報型AI
- タルるートくん
会話の内容や位置情報が記録されるので、ざっくりとしたライフログの記録にも役立つでしょう。
AI英会話SpeakBuddy
このアプリを利用すれば、人工知能の会話機能を利用したAI英会話のレッスンが受けられます。英会話のレッスンに行く時間が取れない方や、人といきなり会話をするのは抵抗があるという方におすすめです。
1人で空いている時間に気楽に学べます。また、500以上のシナリオが用意されているので、多彩な英語のフレーズを継続して学習可能です。「本気で英会話 ペラペラ英語」「最後の英単語学習!マジタン」などのアプリをリリースした実績を持つメーカーですので、その内容の信頼性は高いと言えるでしょう。
AI英会話SpeakBuddy – Google Play のアプリ
SENSY BOT
SENSY BOTはLINEを利用したチャットで、自分の好みを理解したパーソナルAIが育成可能なプラットフォームです。現在は、ベータ版のサービスである東京のレストランガイドが提供されています。
SENSY BOTは人の感性を理解するパーソナル人工知能「SENSY」を利用。SENSYは、ライフスタイルを豊かにする「SENSY」「SENSY CLOSET」といったプラットフォームにも活用されています。今後は、コンシューマーとビジネスの双方に向けたサービスを展開予定です。
Replika
人間との会話と通してクセや好みなどの特徴を学習するチャットボット。サンフランシスコのLukaが開発しました。Lukaはチャットボットを利用した様々なサービスを展開する企業です。Replikaは、既に世界に50万人以上のユーザーがいます。
口調・構文・趣味といったユーザーの情報を学習し、名前の通りあなたのレプリカをデジタル空間に作成するというユニークなアプリです。現在は英語のみサポートしています。
りんな
人工知能との会話機能を利用して、2015年にいち早くリリースされたサービスが「りんな」です。女子高生風のチャットボットとしてLINEを利用して、コミュニケーションが取れます。Microsoftによると現在のユーザー数は690万人を超えているとあり、その人気が高さが伺えます。
Microsoftが開発を手がけるりんなは、雑談・リアルタイムの文章生成と機能の拡張を続けてきました。現在は第三世代にあたる「共感モデル」の機能が試されています。
音声対話機能「りんなのテレフォンハッキング」や日本語入力システム「りんな変換」など、様々なアプローチを行っていることも特徴です。人工知能との会話に興味がある方は、注目したいサービスと言えるでしょう。
人工知能(AI)との会話が楽しめるアプリの作り方を紹介
人工知能の会話を利用したアプリの制作に役立つAPIなどを紹介します。あなたのアプリ開発に役立ててみてください。
Cleverbot API
人間と会話するための人工知能を搭載したWebアプリケーション「Cleverbot」。Cleverbotを英会話の学習に利用している方もいらっしゃいます。CleverbotはAPIが公開されており、これを利用したチャットボットの作成も可能です。
Cleverbot API – The official Cleverbot API
Talk API
A3RT(アート)はリクルートテクノロジーズの中で、人工知能のロジックを確立してブループ内で展開するために設立されたプロジェクトです。A3RTはオープンイノベーションを目的に、リクルートテクロノジーズが開発した技術のAPIを公開しました。その中の1つに「Talk API」があります。
Talk APIは、人工知能の会話におけるアルゴリズムとして大きく注目されているRecurrent Neural Networkを利用して文章の生成を行います。
Recurrent Neural Networks(RNN)は日本語では再帰型ニューラルネットワークと呼ばれ、数値の時系列データなどのシーケンシャルデータのパターンを認識するように設計されたニューラルネットワークのモデルです。
引用元:DeepAge
Webサイトで提供するサービスに組み込み、ユーザーと会話を行うといった利用方法も可能です。この他にもA3RTは様々なAPIを公開しています。
ドコモが提供するAPIとツール
Repl-AI(レプルエーアイ)
ドコモはスマホに搭載した「しゃべってコンシェル」のノウハウを生かし、企業向けに「自然対話エンジン」のサービスを提供しています。人工知能の会話に力を入れている企業と言えるでしょう。現在の「しゃべってコンシェル」は、「my daiz」に進化しています。
そのドコモが無料で提供する簡単にチャットボットが作れるAPIが「Repl-AI」です。シナリオ対話・雑談対話を組み合わせて、対話AIが制作できます。プログラミングは不要という手軽さが魅力です。
Sebastien by Docomo
人工知能の会話機能を利用したサービスの開発に役立つオープン化されたプラットフォームです。音声入力や実際のサービス提供を行うメインエージェント。そのメインエージェントの呼び出しにより、エキスパートエージェントが最適なサービスを提供を行うという構成になっています。
メインエージェントがUIで、メインエージェントが実際のサービスを提供すると考えるとわかりやすいでしょう。人工知能の会話を利用した本格的なサービスの開発を目指す方におすすめのプラットフォームです。
Wit.ai
2015年にFacebookが買収したWit.aiが提供するAPIです。自然言語処理をベースに、音声やテキストによって反応する人工知能を気軽に制作できます。
Node.js・Ruby・Python・C・Java・Rustなど、幅広いプログラミング言語に対応していることが特徴です。
Dialogflow
Googleが提供する自然言語での音声・テキストの入力に対応した人工知能を搭載した会話型インターフェースが構築できるサービスです。Google Cloud Platform上で動作します。
Googleの機械学習の知識やSpeech-to-Textなどの製品が組み込まれており、幅広いプラットフォームやデバイスに対応しています。
さいごに
今回は、人工知能同士の会話について紹介しましたがいかがでしたでしょうか。現状の人工知能による会話の事例について知ると確実に進歩していることが実感できます。
また、スマートスピーカーや音声アシスタントなど、身近な場所でも人工知能による会話はすでに利用されています。会話という機能だけでなく、映像などの他の機能と組み合わせた人工知能が増えていく可能性は高いでしょう。
人工知能との会話を体験してみたい方は、ぜひ紹介したアプリやサービスを利用してみてください。
そして、人間との会話がより自然に行えるようになれば、人工知能同士が会話をするという未来も遠くないのかもしれません。
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