テクノロジー
「プロデル」「なでしこ」「ドリトル」三大日本語プログラミング言語を解説

「プログラミング言語のソースコードに何が書かれているのか、どうしても理解できない」
「英語のエラーメッセージを読み解くのがどうしても苦手」

そんな悩みを抱えている方は、多いのではないでしょうか。大人、子どもを問わずソースコードの解読に苦手意識を持つ方は少なくありません。英語の理解も同様です。

今回は、日本語でプログラミングができる「日本語プログラミング言語」を3つ紹介します。

日本語プログラミング言語では、普段話している日本語と同様の文法でコードを書くことができます。そのため、コードを見ると「どういう処理が書かれているのか」がひと目で分かります。複雑なプログラミングの知識が無くても、直感的にコードが理解できます。
また英語力に不安がある方でも、日本語さえ分かればコードを書き進められます。大人はもちろん、子供のプログラミング教育にも最適。アプリケーション開発もできます。

日本語プログラミング言語とは具体的にどのようなものか。どんなアプリケーションが作れるのか。どのような言語が存在するのか。
日本語プログラミング言語の世界を、徹底解説します!

日本語プログラミング言語とは

日本語プログラミング言語とは、日本語風のプログラミング言語です。

ひらがなや漢字などを使って日本語でソースコードを書き、アプリケーションを開発することが可能です。

Pythonに代表される従来のプログラミング言語の学習や開発では、プログラミングスキルに加え一定の英語力も必要です。「for」「while」「continue」「break」など、ソースコードには英単語が多数含まれるほか、エラーメッセージも英語で表示されます。

英語を苦手とする方が、プログラミングを1から学習する場合「ソースコードに何が書かれているのか分からない」「エラーメッセージが読み解けない」という問題が発生しやすい傾向にあります。

日本語プログラミング言語には、日常的に日本語を使っている人であれば、ソースコードを見ただけでどのような処理が書かれているのかを直感的に理解しやすいという特徴があります。

また日本語プログラミング言語には、自然言語としての日本語に近い文法や構造を持つものもあります。日本語の知識を、比較的スムーズにプログラミングへと反映できます。

そうした日本語話者にとってのプログラミングの学習コストの小ささも、日本語プログラミング言語を学ぶメリットです。

日本語プログラミング言語の歴史

日本語プログラミング言語の開発は1980年代から各分野で進められています。

例えば1988年に登場した日本語プログラミング言語「Mind」はソースコードを自然な日本語で記述しつつ、大規模開発にも耐える堅牢性を持つコンパイル言語。Mindで開発された「MindSearchII」は、レストラン情報検索サイトぐるなびの全文検索エンジンとして2004年から6年間採用されました。

画像出典:AKIBA PC Hotline

1982年にトミー(現・タカラトミー)から発売されたホビーパソコン「ぴゅう太」には、日本語BASICであるG-BASICが搭載されていました。

G-BASICは従来のBASICの英語コマンドを日本語に置き換えただけのものでした。例えば「GOTO」は「ニイケ」と書きます。

そのためMindや、以下で紹介する3つの言語と比べると、日本語プログラミング言語としての完成度では劣ります。しかし、ぴゅう太とG-BASICは「日本語プログラミング言語」の先駆けとして、未だに大きな歴史的意義を持つ存在です。

日本語プログラミング言語のいま

日本語プログラミング言語は日本語の知識をプログラミングに大きく活かせることから、教育向けのプログラミング言語として大きな存在感を発揮しています。

ブラウザベースでの実行環境を提供する日本語プログラミング言語も増えてきており、かつてのような複雑な環境構築は学習用途では不要になりつつあります。

また言語としての完成度も徐々に向上しています。教育目的に留まらず、本格的なソフトウェア開発を志向する日本語プログラミング言語も登場し、着実なバージョンアップを重ねています。

以下では、精力的な開発が行われている日本語プログラミング言語を3つご紹介します。

プロデル

プログラムを自然な日本語でかけるオブジェクト指向日本語プログラミング言語

プロデルはオブジェクト指向の日本語プログラミング言語。

プロデルにはプロデルWebサーバという、プロデルで開発されたWebアプリケーションを動作させるための専用Webサーバが用意されています。プロデルWebサーバを使うことで、プロデルでWebアプリケーション開発を実施。サービスを公開することが可能です。

・公式ウェブサイト

プロデルのダウンロード

Windows向けに、プロデルでは公式ウェブサイトにインストーラを公開しています。

・ダウンロードページ

macOS、Linux向けには、mono版のプロデル コンソール版およびコンパイラが提供されています。

monoとは.NET Framework互換の環境を実現するソフトウェアです。mono版プロデルの使用には、プロデルとは別途にmonoのインストールが必要です。

・ダウンロードページ

プロデルの文法

「こんにちは」と表示する

プロデルで「こんにちは」と表示するためのコードは、以下の通りです。

「こんにちは」を表示する

配列

プロデルでは、日本語で配列に価を格納できます。要素の番号は、1からカウントします。

駅は、{「新宿」,「代々木」,「原宿」,「渋谷」}
駅(4)を表示する // 渋谷

より詳しい文法や言語仕様は、プロデルの公式ウェブサイトにマニュアルとしてまとまっています。

・日本語プログラミング言語「プロデル」ワンページマニュアル 文法編

プロデルは前身「TTSneo」から数え、10年以上の歴史を持つ言語

プロデルは同じく日本語プログラミング言語の「TTSneo」を前身とし、仕様を一新。アップグレードする形で公開された言語です。

TTSneoの前身であるTTSが公開されたのは、2000年。TTSneoの公開は2002年です。TTSの公開から数えると、プロデルは18年の歴史を持ちます。

・TTSneo 公式ウェブサイト

プロデルの由来はフランス語で「造る」「生産する」

プロデルの由来はフランス語の”Produire”。”Produire”は「造る」「生産する」という意味です。

プロデルは「教育向け言語」ではなく、汎用的なソフトウェア開発を目的としている

日本語プログラミング言語はその学習コストの小ささから、教育向け言語としての適正が注目されがちです。

しかしプロデルは「教育向け言語」として開発されたものではなく、汎用的なソフトウェア開発を目指しています。

プロデルには様々な実用的なプラグインが用意されている他、API連携も可能です。

プラグインでFelicaとの連携機能を利用可能

プロデルの魅力的なプラグインの1つに、Felicaポートプラグインがあります。

FelicaとはSuicaなどの交通系ICカードに採用されている、データ通信技術です。

Felicaポートプラグインを使うと、FelicaポートにおいたFelicaの情報を取得できます。Suicaを活用した入退出管理アプリなどが開発できます。

・Felicaポートプラグイン

またプラグインはC#で自作が可能です。既存のプラグインを使うだけでなく、自ら機能を拡張していくことも可能です。

なでしこ

日本語に近い語順で書ける、オープンソースの日本語プログラミング言語

なでしこはオープンソースの日本語プログラミング言語です。開発者はクジラ飛行机氏。クジラ飛行机氏は、なでしこの前身である日本語プログラミング言語「ひまわり」の開発者でもあります。

なでしこはひまわりを改良し、より日本語に近い語順でのコーディングを可能とすることを目標の1つとしています。

クジラ飛行机氏はオンラインソフトの開発者であると同時に、多数の技術書も出版しています。近年ではPythonの入門書やNode.js、Reactに関する書籍の執筆を手がけています。

またテキスト音楽「サクラ」の作者としても、クジラ飛行机氏は非常に有名です。サクラはエディタに「ドレミ」を書くと、そのとおりに演奏可能なアプリケーションです。クラシックからポップス、童謡まで幅広くワープロ感覚で入力、演奏出来るのが特徴です。

MML表記にも対応している他、自作スクリプトの実行も可能です。

・テキスト音楽サクラ

最新版「なでしこ3」はブラウザで動作可能

なでしこは2018年現在、精力的な開発が行われています。2017年2月からは、なでしこをブラウザベースで動かすことを可能とする「なでしこ3」の開発がスタート。HTML/JavaScriptによるブラウザでの実行環境の整備が進んでいます。

2018年4月現在、下記URLでなでしこ3の簡易エディタが公開されています。

・なでしこ3 簡易エディタ

なでしこの文法

Hello,World

なでしこ3で「Hello,World」と表示するためのコードは、以下の通りです。

「Hello World!!」と表示。

計算

なでしこで15-5を計算するためのコードは、以下の通りです。

15-5を表示。

変数

値段という変数に「2000」を代入。文字列に変数を埋め込み、表示させるコードの例は以下の通りです。

値段は2000。
「ステーキは{値段}円です」と表示。

より詳しいなでしこの文法は、公式サイトのリファレンスにまとまっています。

・文法 なでしこ3

なでしこ3はローカル環境での開発にも対応

HTML/JavaScriptをベースとするなでしこ3は、Node.jsが動く環境であればローカルにも開発環境を整えることが可能です。

なでしこのダウンロード

なでしこ3のソースコードは、GitHubに公開されています。

・GitHub

なでしこ3のリポジトリをcloneするためのコマンドは、以下の通りです。

$ git clone https://github.com/kujirahand/nadesiko3
$ cd nadesiko3
$ npm install –no-optional

より詳細な、セットアップの手順は以下のURLを御覧ください。

・なでしこ3 – 開発環境のセットアップ方法

なでしこ3はElectronにも対応しています。

ElectronはAtomエディタを開発するために生まれた、HTML5とCSS3、JavaScriptでデスクトップアプリケーションを作成可能なツールです。Node.jsとChromiumをランタイムとしています。

つまりローカルになでしこ3の開発環境を整えることで、なでしこ3を使ってデスクトップアプリケーションを作ることも可能になります。

情報処理機構の2004年未踏ソフトウェア創造事業「未踏ユース」に採択

なでしこは情報処理機構の2004年未踏ソフトウェア創造事業「未踏ユース」に採択。その独創性が公的にも高く評価されています。

2005年にはなでしこのガイドブックが発売。

2017年には同ガイドブックをベースに、なでしこのver1.5に対応させた改訂版が出版されました。

コミュニティが活発

プログラミング初心者にも分かりやすい日本語に近い文法を持ちつつ、なでしこ3ではブラウザベースの実行環境を整備。Electronにも対応するなど、最新のWeb技術にキャッチアップ。精力的なバージョンアップが続くなでしこ。

なでしこは非常に多くのファンを持ち、コミュニティの活動が活発な言語でもあります。

なでしこでのシューティングゲームの作り方や、Word/Excel連携のテクニックなどをまとめたユーザーズガイドも、有志によって電子書籍版が配信されています。

ドリトル

教育向けに特化した日本語プログラミング言語

ドリトルは中学校や高校の教科書や副教材に採用されている、教育向けの日本語プログラミング言語です。プロデルやなでしこと比べ、より教育用途に特化し、教育現場を中心に普及が進んでいるのが特色です。

リファレンスやマニュアルも主には授業用テキストや教師向けの授業資料という形で整備され、配布されています。

・公式ウェブサイト

オブジェクト指向の思想を日本語プログラミングで学べる

ドリトルはオブジェクト指向の日本語プログラミング言語です。

初心者にも分かりやすい日本語プログラミングで、オブジェクト指向の思想を身につけることを目指して設計された言語の1つと位置づけられます。

ドリトルではオブジェクトを作成し、動かすことを最初に学ぶ

多くのプログラミング言語では、初心者はまず「Hello,World」の文字列を画面に表示させる方法を学びます。

一方、ドリトルの一般的な教材では「タートルオブジェクト」の作り方を最初に学びます。

タートルオブジェクトとは、亀を模した緑色の丸のオブジェクトです。

ドリトルのダウンロード

ドリトルは公式ウェブサイトからダウンロード可能です。

・ダウンロード

ダウンロード不要で、ブラウザ上で実行できるエディタも公開されています。

・オンライン版ドリトル

ドリトルの文法

ドリトルでタートルオブジェクトを作るコードは、以下の通りです。以下のコードではタートルオブジェクトに「かめた」という名前をつけています。

かめた=タートル!つくる。

コードを実行すると画像の通り、緑色の丸(タートルオブジェクト)が生成されます。 このタートルオブジェクトに、動きを付けるコードの一例は以下の通りです。

かめた!100 歩く。

このようにオブジェクトに動作を付けたり繰り返し処理を書いたりすることで、オブジェクトの動きを視覚的に確認。

難解とされることも多いオブジェクト指向を、直感的に学べるのがドリトルの長所です。

まとめ

ぴゅう太、Mindの時代から30年以上に渡って続く日本語プログラミング言語の歴史。その歴史は長く、奥深いものです。

教育用途として注目されることが多い日本語プログラミング言語ですが、プロデルやなでしこなど本格的なアプリケーション開発用途に使われる言語も登場。Electronなど最新のフレームワークに対応し、精力的な開発が続いています。

一方、教育用途でも日本語プログラミングでオブジェクト指向を本格的に学べる「ドリトル」が登場。

日本語プログラミングの直感性と、視覚的な要素をうまく組み合わせ、オブジェクト指向を理解しやすい形に落とし込むことに成功しています。

日本語プログラミング言語に触れたことが無い方は、気になったものがあれば是非インストールしてみてください!

テクノロジースクールTECH::CAMPで
10年後も仕事に困らないスキルを身に着けませんか?

テックキャンプ体験会

TECH::CAMP』はこれからのテクノロジー時代で結果を出せる、次世代のビジネスパーソンを育成するスクールです。以下のような方におすすめです。

  • 今の職場でキャリアアップ、年収アップしたい
  • エンジニア以外の職種でIT業界に転職・就職したい
  • ビジネスパーソンとして総合的にスキルを高めたい

まずは無料体験会に参加してみてください。体験会は月に1000名以上のお申し込みをいただいているため、ご希望の日が埋まることがあります。今すぐのご予約をおすすめします。

体験会について詳しくみる

Kazuto Seki Kazuto Seki
音楽ライターとしてエイベックス、ビクター、トイズファクトリー等に所属するアーティストの取材を担当。2016年に開催された『Bjork Digital』の取材経験から、VR×音楽に関心を抱く。2017年よりテクノロジーに関するライティングを開始し、TECH::NOTEにジョイン。猫とウサギを飼っています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

  • カテゴリー