2016年7月22日に日本で配信開始した「ポケモンGO」。Ingressを開発したナイアンティックと株式会社ポケモンが共同開発したビッグタイトルです。
2017年8月に横浜・みなとみらいで開催された「Pokemon GO PARK」では、これまでヨーロッパに行かないと入手できなかったレアなポケモンが期間限定で解禁され、前月と比較してユーザー数が150パーセント増加。ポケモンGOの人気は、リリースから1年が経過しても衰えてはいません。
みなとみらいで開催されたPokemon Go Parkの様子。多くのポケモントレーナーがポケモンGOで、ポケモンを入手しています。
ポケモンGOには、AR(Augmented Reality 拡張現実)という技術が使われています。ARにはARマーカーという印があり、マーカーを認識することによって、拡張する付加情報や位置を計算しています。
ARマーカーは難しいプログラムを組まなくても、自作できます。今回は、ARマーカーの仕組みや簡単なARアプリについてご説明します。
▼VR/AR時代に求められる人材とは?
VR/AR時代には、どのような技術とマインドを持った人材が必要とされるのでしょうか?株式会社gumi 國光氏とテクノロジースクール テックキャンプ プログラミング教養代表の真子が対談を行いました。記事はこちら!
ARとは
AR(Augmented Reality、アグメンティッド・リアリティ)とは、拡張現実と呼ばれ、現実の世界にコンピュータによる仮想の情報を重ねて映し出される技術です。
例えば、街を映したときに建物の情報を反映させたり、紙に印刷された情報を読み取り、立体的に映し出すなど現実の世界を拡張して写し出すことができます。
AR・VR・MRのちがい
ARの他にVR(仮想現実:Virtual Reality)・MR(複合現実:Mixed Reality)という映像技術があります。ARとの違いを簡単に説明します。
AR | 拡張現実 | 現実世界がベース | 現実世界の一部が拡張されて写し出される |
VR | 仮想現実 | 仮想空間がベース | 仮想空間に入り込んだ感覚 現実世界は反映されない |
MR | 複合現実 | 仮想空間と現実世界が融合 | 仮想空間と現実世界で同時進行の作業が可能 |
ARとは?VR・MRとの違いや活用事例を紹介
ARの認識方法
出典:photo AC
ARには現実世界を拡張する仮想のオブジェクトを付加するため、標識を用います。
標識を認識する方法には、ロケーションベース型、ビジョンベース型、空間認識型などがあります。
ロケーションベース型(位置情報認識)
スマートフォンなどのGPS機能によって緯度と経度を認識し、その場所に反映させているものです。
近くに来たユーザが反応するように、位置情報を取得したデバイスがアラートなどを出して気づかせるような仕組みです。
位置情報に加えて、周りの明るさや速度など、デバイスのセンサを活用して、その場の環境やいろいろな状況にあわせて複雑な情報を組み込むことも可能です。
スマホを片手に街でポケモンのキャラクターを発見できるのは、この位置情報による「ロケーション型AR」です。
ビジョンベース型(画像認識)
ビジョンベース型は画像を認識するものです。画像認識には、マーカー型とマーカーレス型があります。
マーカー型
黒い枠のN:Nの正方形に、特定のルールで黒と白のパターン化した図形をマーカーとして使用します。
このQRコードのような図形、または普通の写真や画像自体をマーカーとして使用する場合もあります。マーカーから3次元の付加情報を得ることができるのです。
Nintendo 3DS向けダウンロードソフト「ポケモン全国図鑑Pro」のAR機能は、図形を利用した「マーカー型AR」に該当します。
ポケモン全国図鑑ProのARファインダー機能を使うと、マーカーをカメラで認識するとポケモンが本当にその場にいるかのように出現します。
マーカーレス型
特定のマーカーを利用せず、空間自体を認識する方法をマーカーレス(特徴点抽出)といいます。建物・景色・物などに付加情報を加えることが可能です。
マーカーのような図形を配置することは、景観的には不適切な場合があります。反面、マーカーレス型では特定のマーカーを用意することなくARの情報を取り込むことができるのです。
SmartAR マーカーレス型
このキャラクターはちゃんと床や台の上を歩いています。床や台をマーカーレスで情報を得て認識しているのでちゃんと歩いているように見えます。
ポケモンのキャラクターを発見したあと、捕獲の画面になるとロケーション情報ではなくなり、現実の背景でキャラクターが動きます。空間を認識して動いているのです。これは空間認識での「マーカーレス型AR」です。
ARマーカーの特長
ARマーカーは一見、QRコードに似ています。ARマーカーとQRコードの1番大きな違いは、扱うことが出来る情報の幅にあります。
QRコードはWebのアドレスなど文字データの情報を扱いますが、ARコードは動画や画像、音声など多様化した情報を取り扱うことができます。
またARマーカーは、マーカーに付加する情報の書き換えができるところが特長です。常に新しい情報を付加することができるというわけです。
いろいろなAR技術
出典:photo AC
AR技術自体は古くから研究開発されていました。町の景色を写すと建物や場所の情報が付加されて浮かび上がってくる「セカイカメラ」が有名でした。
ポケモンGOのブームでさらに注目されるARですが、ゲームだけでなくさまざまな開発が進められています。
いま、人気のAR技術にはどんなものがあるかをご紹介します。
ルームコーディネート
「IKEAカタログ」、島忠の「シマホAR」、「Roomco」ではAR技術を使い、さまざまな家具でいろいろな配置を試すことができるアプリを展開しています。
これで思う存分ルームコーディネートをしてから、家具を購入することができますね。
IKEAカタログ
Trying on(試着)
KENTEX 腕時計試着アプリ
アプリをインストールすると、時計を自分の腕に試着することができます。
気に入った時計がみつかるまで、ほとんどの商品の試着が可能です。
出典:KENTEX
ゲーム
不動の人気を誇るポケモンGOの他にも、AR技術を利用した楽しいゲームをご紹介します。
Ingress
2015年にゲームデザイナーズ大賞を受賞したIngress。世界規模で人気の陣取りゲームです。
ポケモンGOの前身となったゲームです。ポケモンGOの位置情報はIngress時代のデータを元にしています。
Dragon Spotting
Disney ARのゲーム「Dragon Spotting」が人気です。
日常の生活空間にドラゴンが隠れています。
出典:THE VERGE
AR.Free Flight
スマホでラジコンヘリのリモコン操作ができます。ARゲームも搭載していて、簡単にラジコンを操れます。
出典:Google Play
「飛び出す教科書」「トレーニング教材」「立体マニュアル」など
教科書AR
「教科書AR」は、教科書の図形や写真が立体的に飛び出し、詳細情報をビジュアルとともに提供してくれます。学習者の知識や理解が向上するような仕組みの研究開発が進んでいます。
出典:東京書籍
Hyundai’s wild augmented reality owner’s manual — CES 2016
ヒュンダイ ARマニュアル
スマホで見られるデジタルオーナーズマニュアルです。車の特長・使用方法・仕様・メンテナンスまでいつでも瞬時に確認できます。
Medical training Augmented reality
医療用のトレーニングツールで人体の組成や器官に対して薬や手術がどのような働きをするのか、AR(拡張現実)の技術で理解を深めることができます。
観光ガイド・ナビアプリ
観光ARアプリケーション かんぷら
訪日外国人の増加に伴い、多言語対応でルート案内・動き出すパンフレット・ARでスタンプラリーなど、便利で楽しいアプリです。
AR山ナビ -日本の山16000-
アプリを起動して山にかざすと、山の名前がARで表示されます!
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ARマーカーを作ってみよう
出典:photo AC
AR作成の流れ
ここでは、「Vuforia」というAR制作用のライブラリを使用した一例をご紹介します。
○Vuforiaのデベロッパー向けサイトへアクセス
https://developer.vuforia.com/
○VuforiaのUnity向けSDKをダウンロード
Vuforia TOPページ> SDK > Download for Unityを選択。
UnityではAR/VRの映像を制作可能です。
▼ Unityのインストール~使い方は下の記事で解説しています。Unity初心者の方は参考にお読みください
○ライセンスキーの登録
○ターゲットの認識
現実の映像を取り込み、取り込んだ映像からロケーション・マーカー・特徴点(マーカーレス)のどれかの方法で対象の認識をします。こちらのサイトではマーカーレスを選択します。
○Assetsのダウンロード
UnityではAssetsという素材を、Unity上にダウンロードが可能です。Vuforiaでは、AR制作用のAssetsが配布されています。
Assetsを使用することで簡単にARの映像を作成していきます。
▼ Unityのアセットストアから、素材をインポートする方法は下の記事で詳しく解説しています。
○AR映像の作成
先程のAssetsを使用して、現実の対象が拡張されて写し出されるテキスト・画像・3Dなどのオブジェクトを作成します。
対象のオブジェクトの位置を決めて360℃映像を計算し、動きや音声などをコンピュータで作成します。その後、ディスプレイに映像を映し出すプログラムを作成します。
代表的な例として、1つの平面のオブジェクトに別の立体のオブジェクトが出現するというARを映像をお見かけするかもしれませんが、前者の平面のオブジェクトにマーカーを指定して、後者は配置するだけという作成方法が多いです。
○お手持ちの携帯用にBuild
iPhone/Androidの画面で確認ができるように「Build」という行為を行い、作成したARをファイル出力をします。出力されたファイルを携帯の画面で開くことによって、ARを確認することができます!
UnityによるARゲーム開発に関心がある方には、書籍「UnityによるARゲーム開発 ―作りながら学ぶオーグメンテッドリアリティ入門」がお勧めです。
同書ではポケモンGOライクなARゲームを実際に開発しながら、実践的なAR開発を学ぶことができます。ARの基礎知識に加え、実際の開発を体感したい方に最適です。
プログラミングを知らなくても作成できるお手軽なアプリもあります。次の章では、お手軽に使えるAR作成アプリをご紹介します。
ARナビキャラ
スマホやタブレットにARカメラアプリをインストールすると、紙面上にARが簡単につくれるアプリです。
参加型アプリなのでみんなが作成したマーカーや無料でサンプルマーカーも利用することができます。
Blippar
BlipparはAR技術と画像認識によってカメラをかざすといろいろな情報があらわれます。
wikipediaのように多様な情報を提供してくれます。
そして豊富なコンテンツでさまざまなARを自分でつくることができるのです。
Aurasma
なんと無料で簡単にARをつくることができるアプリです。
Aurasmaで作成されたコンテンツは、ほかの人が作成したものでもすべて同じサーバーで管理され、いつでもどれでもダウンロードして利用できます。
COCOAR(ココアル)
ARコンテンツが作り放題、活用事例も豊富にそろっているので販促ツールとして利用できる心強いアプリです。
「マーカーの画像」とARで表示される「オブジェクト(テキスト・画像・動画・3D画像など)」の2つを自分で用意すればAR作成が簡単にできます。
AR おすすめのアプリ
出典:photo AC
AR端末はスマホやタブレットだけでなく、スマートウォッチ・リストバンド・メガネ・指輪など新しいウェアラブル端末が続々と発売されています。
ゲーム・健康管理やスポーツ・コミュニケーションツール・ナビゲーション機能など用途も多種多様のARアプリがあります。これまでにご紹介したアプリのほかに今、おすすめのアプリをご紹介します。
【ウェアラブル端末とは】選び方と用途別ランキング決定版!
Face Swap
顔面交換で抱腹絶倒!いろんなパーツをつけてデコレートしたり、顔からいろんなものが飛び出します。
すでに大人気のアプリで、盛り上がること間違いなしです。
FACE SWAP IN PUBLIC!
AR Energy Ball (iphone)
気を伝えるすごいアプリ!最大の特徴は iPhone にタッチせずに遊べるという点。
手をかざすだけでターゲットにEnergy Ballをおくることができます。
利用者の”気”を感知する「Zシステム」という特殊な技術を利用しており、iPhoneに向けて”気”を送ることで必殺技が発動します。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(R)公式アプリ
最新アトラクションやイベント情報、キャンペーンやクーポン情報で何倍もお得に楽しめます。
ARカメラでウッディやミニオンと一緒にかわいいい記念写真が撮れます。
・iPhoneでダウンロード ・Androidでダウンロード
BOC-AR
BOC-ARは、BUMP OF CHICKENとAR三兄弟が共同プロデュースしたARアプリです。
ポスターやアルバムブックレットからムービーが飛び出します。
ニューアルバム「RAY」にほどこした仕掛けにファンから絶賛の声が。
良いですね! ARという技術のすごさを実感しました!
東京ドームの際に届いた画像は今でも宝物です笑笑引用:Google Play
出典:Google Play
・iPhoneでダウンロード ・Androidでダウンロード
気象レーダーARアプリ「アメミル」
マップにレーダーを表示し、5分ごとに更新します。台風や豪雨に対しても早めに情報を知ることができます。
出典:SBS気象情報
・iPhoneでダウンロード ・Androidでダウンロード
まとめ
AppleはたいへんARに力を入れており、2017年には誰でもAR開発ができる「ARKit」を発表しました。iOS11にはこの「ARKit」が搭載されており、気軽にARを楽しむことができます。
Appleを筆頭に多くの企業でARやVRの機能が強化されております。
医療や福祉では人体情報を有効に活用し、適格な治療や対応ができる場面が増えるでしょう。医療や防災の訓練やトレーニングのシーンでも大きな成果が期待できます。
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