内定が全くもらえない方がいる一方で、いともたやすく内定をもらえてしまう方もいます。「内定がもらえるかもらえないか」は何に関係しているのでしょうか?
経団連に並ぶ、国の経済三団体、日本商工会議所が行った調査のデータを分析すると、人手不足と内定率の間には深い関係があることがわかりました。
この記事では、どんな業種が内定を取りやすいかなどを含め、あなたにぜひ知ってほしいことを徹底解説します。
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この記事の目次
1.就職内定率とは?
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内定率というのは、内定に至った割合を示す値のことを言います。「就職決定者数÷就職希望者数」で計算された数値が、その企業の就職を希望している方の中からどれだけの方が内定をもらえたかを示しています。
2.近年の内定率推移
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ここ3年の就職内定率は以下のとおりです。
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 12月 | |
2016年 | 4.1 | 7.5 | 20.7 | 34.5 | 49.6 | 65.3 | 78.1 | 85.9 | 91.6 |
2017年 | 4.6 | 9.7 | 25.0 | 51.3 | 71.1 | 79.3 | 86.6 | 90.6 | 93.6 |
2018年 | 6.2 | 14.5 | 35.1 | 61.9 |
出典:リクルートキャリア
2-1 2018年の内定率の状況
2018年度の内定率は去年、一昨年よりも高く、6月時点で、61.9%となっています。
2016年、2017年卒業者の内定率がそれぞれ34.5%、51.3%であったことを考えると、内定率は上がっていることがわかります。
2-2 嘘の就職内定率に注意?
内定率を考える上で軽視できないのが、この値は調べ方によってかなり変わってくるということです。
上述の通り、内定率は就職決定者数÷就職希望者数で計算されます。この就職希望者数をどう定めるかで、内定率は大きく変わるからです。
上記の6月時点での61.9%という数字は調査モニターに登録した約6,000人の大学生を対象に行われた統計から算出したものです。
この数字から、就職希望者数約6,000人のうち、およそ62%にあたる約3,720人が内定を獲得している、ということがわかります。
もしこれが、例えば東大・京大の卒業予定者だけをサンプルとした内定率なら、数値は異なります。
ですから、内定率を参考にするときには、どれくらいの、またどのような就職希望者数をサンプリングしているかに着目する必要があります。
3.半数以上の企業が人手不足
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2,776社を対象にした東京都千代田区にある日本商工会議所の調査によると、今人材が不足している6業種は情報通信・情報サービス業、宿泊・飲食業、運輸業、建設業、介護・看護業、その他サービス業です。
これら6業種のうち、平成28年度と比べて、29年度の方がさらに人手不足という業種は、介護・看護業を除くすべての業種です。
宿泊・飲食 | 介護・看護 | 運輸業 | 建設業 | 情報サービス | その他サービス | |
2016年4月 | 79.8% | 77.5% | 72.3% | 63.3% | 59.6% | 59.6% |
2017年4月 | 83.8% | 74.1% | 70.0% | 67.7% | 62.3% | 64.1% |
つまり、情報通信・情報サービス業、宿泊・飲食業、運輸業、建設業、その他サービス業の5業種は2016年度より2017年度のほうが、さらに人手不足が深刻であるということです。
情報通信・情報サービス業を例に取ると、全体の62.3%が人手不足と感じているということがわかります。
この情報通信・情報サービス業の中には、プログラミングによりソフトウェア、Web、アプリ開発を行うエンジニアも含まれています。
また、エンジニアの有効求人倍率は6倍ともいわれており、この有効求人倍率の高さだけを考えても、エンジニアがどれだけ不足しているかがわかります。
有効求人倍率とは、仕事を探す方1人につき何人分の仕事があるかを示す指標です。有効求人倍率が2倍だと、仕事を探す方100人に対し、200人分の仕事があるということになります。
エンジニアの有効求人倍率は6倍なので、100人に対し600人分の仕事量が必要とされているということです。
3-1 人手不足と内定率との関係
ここで、人手不足と内定率の関係について考えてみましょう。
上述のとおり、プログラマーやエンジニアなどを含む5業種において、2016年よりも2017年のほうが、人手不足と感じる企業の割合が増えています。この調査は2017年3月末から4月末に行われたものです。
人手不足と感じる企業の割合が増えると、それにしたがって内定率が上昇するタイミングも早くなります。人手不足により、企業が早めに人材を獲得しようとして、早期に内定を出すようになるのです。
2017年4月末までの時点で人手不足だと感じている企業が、2018年卒の就職希望者に対して、より多くの内定を出すことは明らかです。
事実、2018年度卒業予定の内定率が高くなっていることは人手不足と内定率の間には大きな関係があることを証明しています。
しかしこれは、人手不足であれば、内定が楽に取れるということなのでしょうか?
3-2 人手不足の企業が求める人材
人手不足だから企業がどんな方にも内定を出すということはありません。
というのも、企業は「即戦力になる人材」また「経験のある若手社員」を求めているからです。
エンジニアを含む情報サービス業の62.3%が人手不足ですが、それら62.3%の企業の実に半数以上が「即戦力となる専門家」もしくは「一定の経験を有した若手社員(第2新卒等)」が必要であると述べています。
一定のキャリアを積んだミドル人材 | 即戦力となる中堅層、専門家 | 一定の経験を有した若手社員(第2新卒等) | 高卒社員 | 大卒社員 | 管理職経験者のシニア人材 | パート・アルバイト | |
2016年 | 69.0% | 41.2% | 33.0% | 15.2% | |||
2017年 | 62.0% | 60.3% | 40.3% | 37.9% | 15.3% | 37.1% |
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4.即戦力になる技術を身に着ける
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ここまでで、エンジニアを含む情報サービス業が必要としているのは、一定の経験を有した若手社員であるということがわかりました。
エンジニアに求められている「即戦力」や「経験」とは、どれだけのコンピューター言語がわかるか、どれだけ迅速かつ正確にコーディングできるか、実用的なプラットフォームをつくった経験があるかということです。
これからの就活は、ただ面接や入社試験を上手くクリアするだけではなく、即戦力となるために実際的なスキルを身に着けながら就活を行うことが重要になってきます。
内定が取れるのは、人手不足の企業が必要としている、即戦力を身に着けている就職希望者です。
5.大学別で見る就職内定率
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2016年度の大学別実就職率を見てみると、大半の理科大、工業大がいずれも95%を上回っています。
多くのエンジニアを輩出する工科系大学は実就職率、内定率が高いといえます。
大学名 | 実就職率(%) |
長岡技術科学大 | 97.4 |
高知工科大 | 97.0 |
福井大 | 96.8 |
東京薬科大 | 96.6 |
金沢工業大 | 96.5 |
愛知工業大 | 96.4 |
東北工業大 | 95.9 |
東京理科大 | 95.1 |
名城大 | 92.8 |
新潟大 | 90.9 |
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6.理想的な就活カレンダー
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2018年度から、経団連に加盟している企業は6月に選考を開始するようになりました。
今までは8月からだったので、例年より2か月も早く就活が始まるということになります。
インターンシップを終えて、翌年の3月頃にエントリーシートの提出、企業説明会への参加が始まります。
その後、各企業の試験や面接は6月頃にはじまり、9月頃には完結し、試験や面接のあと順次、内定が出されます。
6-1 就活を始めるタイミング
6月頃に多くの企業がインターンシップを募集し始めるので、なるべく早めに、どんな企業でインターンシップを行うかを熟考し、条件、内容などを参考に企業を選びます。
インターンシップにもサマー・インターンシップやウインター・インターンシップがあるので、じっくりと行きたい企業を選び、余力があれば、複数のインターンシップに応募してみましょう。
6-2 インターンは行くべき?
インターンには行くべきだと言う方もいれば、行かなくても大丈夫という意見もあります。
実際、筆者はインターンシップを経験していないのですが、結果的に希望の就職先から内定をもらえました。
インターンに行ったほうが良いという理由には、
インターンで頑張っている姿や能力を企業にアピールできる→結果、その企業から内定をもらいやすくなる。
という理由があります。
そのほか、どんな業種が自分に合っているのかがインターンを通して分かる、という理由もあります。
インターンシップを終えたら3月ごろにエントリーを出し始めます。場合によっては何十社もの企業にエントリーシートを提出します。
また、就職説明会はエントリーと同時進行です。自分の方向性が決まり、就職したい企業が決まったら、就職説明会に参加しましょう。
6-3 夏までに内定が決まっていれば安心
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内定をもらう時期は場合によって異なりますが、早い方は年明けの段階で内定をもらい始めます。
内定率が半数の50%を越えてくるのが例年6月頃なので、夏までに内定が決まっていれば安心といえます。
7.就活に出遅れたときの打開策
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周りが内定をもらっているのに、自分だけまだ面接を繰り返しているという状況だと、少し焦りも感じますよね。
「数撃ちゃ当たる」でどんどんエントリー、面接を繰り返すべきだという見方もありますが、企業が求めているのは即戦力です。
実践的なスキルを身につけることによって、自分が企業の必要とする人材になる必要があります。
7-1 就活はあせらずスキルを身につけることがポイント
下の表にある通り、エンジニアの有効求人倍率は6倍近く、この業界への転職者の年収が倍増したという話も現在ではめずらしくありません。
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このことを考えると、経験のあるエンジニアは企業にとって理想的な存在であることがわかります。まさに喉から手が出るほど採用したい人材なのです。
確実に内定を取るためには就活だけでなく、実際的なプログラミングスキル、Webスキルを身につけて、経験を積む必要があります。
8.最後に
近年エンジニアはさまざまな業種から必要とされています。
建設業や自動車産業なども人工知能(AI)やビックデータ分析に強い人材を必要としており、エンジニアの人手不足はこれからも続くと考えられます。
「就活」の字句にとらわれず、まずは自己投資し、即戦力レベルのエンジニアを目指すことによって自分の人材価値を向上させましょう。
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