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みなし労働時間と裁量労働制。メリット・デメリット、働き方の実態を解説

作成: 2018.06.01 更新: 2018.05.29

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働き方改革についての報道で、よく耳にする「裁量労働制」と「みなし労働時間」。

裁量労働制は既に導入されている制度です。

これまでも情報処理システムの分析・設計など11の職種・業務に適用されてきました。

2000年4月の労働基準法改正では、ホワイトカラーの職種・業務にも適用が及びました。

今議論されているのは、より進化した裁量労働制の在り方についてといえます。

そもそも裁量労働制とはどのような内容なのでしょうか。みなし労働時間と裁量労働制について解説します。

裁量労働制とは

朝日新聞DIGITAL から引用してみます。

労働時間の規制を緩める制度の一つ。

実際に働いた時間でなく、あらかじめ定めた労働時間に基づいて残業代込みの賃金を払う。それ以上働いても追加の残業代は出ない。

仕事の進め方をある程度自分で決められる働き手に限って適用できる。

研究開発職などが対象の専門業務型と、企業の中枢で企画・立案をする人が対象の企画業務型がある。

政権は、残業時間の上限規制と抱き合わせで対象業種を拡大しようとしている。

つまり裁量労働制とは、賃金のベースが実働時間ではない働き方・労働のスタイルです。

みなし労働時間と裁量労働制(みなし労働時間制)の関係とは

裁量労働制とは会社が定めた「みなし労働時間」を労働とみなして、賃金が支払われる制度です。裁量労働制は、みなし労働時間制とも呼ばれます。

労働の例

労働の形の例を挙げてみます。

1日の「みなし労働時間」を8時間と定めてみます。

その場合9時間働いても、実働時間に関係なく「8時間働いた」とみなされます。

つまり8時間分しか賃金は支払われず、当該の1時間分の残業代は支払われません。

逆に7時間しか働いていない労働者がいても、1時間分の当該の賃金が差し引かれるされることはありません。

また、みなし労働時間が1日8時間以上なら時間外労働が認められて残業代が支給されることになっています。

1日の「みなし労働時間」が9時間と定められた場合は、実際は8時間しか働かなかった場合でも、1時間分の「時間外労働割増賃金」が支払われます。

深夜・休日労働に対しても、割増賃金が支払われます。これは忘れてはいけないポイントです。覚えておきましょう。

仕事の進め方が労働者に委ねられる労働時間制度

裁量労働制(みなし労働時間制)が導入されると、労働においてどんなメリットがあるのでしょうか。

それは何といっても、仕事の進め方が労働する当該の人物に委ねられる点です。労働に費やす時間や進め方を、自分の裁量で決められるということです。休憩時間の取り方も自分次第です。

裁量労働制(みなし労働時間制)では「定時」は存在しません。

求められている当該の成果を上げられるならば、何時から何時まで働くかはあなたの自由なのです。労働の進め方の自由度が大きいです。

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裁量労働制とフレックスタイム制の違い

裁量労働制(みなし労働時間制)よりも、私達になじみがある労働の形式はフレックスタイム制でしょう。

IT関連企業では、フレックスタイム制が多く採用されています。(「コアタイムとは?フレックスタイム制度で働くにはどの職種につけばいい?」

「フレックスタイム制と裁量労働制はどう違うの?」と思われるかもしれません。

2つの制度の違いをまとめてみましょう。

労働の進め方・働き方の自由度

フレックスタイム制:△(コアタイムがある場合があるため)
裁量労働制(みなし労働時間制):〇

実労働の時間での給与計算

フレックスタイム制:〇
裁量労働制(みなし労働時間制):☓

出社必須

フレックスタイム制:〇
裁量労働制(みなし労働時間制):☓

時間外労働

フレックスタイム制:〇
裁量労働制(みなし労働時間制):△(みなし労働時間が8時間以上なら時間外労働が認められる)

コアタイムとは

コアタイムとは、全員が集まる時間のことです。

フレックスタイム制でも、コアタイムがあるのと無いのでは自由度は全く違います。

裁量労働制(みなし労働時間制)にはコアタイムはありません。

フレックスタイム制が固定時間制と違うのは、出退勤時間の自由度のみということになります。

裁量労働制は、実労働時間で給与計算も行いませんし、出社も必須ではありません。あえていえば、常に携帯電話をつながる状態にしておくことは重要でしょう。ただ、ケースによっては深夜・休日手当はつく点は覚えておきましょう。

裁量労働制は、極端な話をすれば就労場所のしばりもありません。カフェや自宅でも就労可能だということになります。働きすぎでも手当はゼロというイメージがありますが、深夜手当や休日手当は支給されます。

会社から「裁量労働制だから時間外手当はない」と言われたとしても、時間外手当が発生している可能性があります。

まずみなし労働時間は何時間に設定されているのか知りましょう。

そして自分の労働時間は、本当にみなし時間内に収まっているのか確かめましょう。

みなし労働時間に収まっているか確認する方法

「労使協定」を確認しましょう。

裁量労働制は、書面による労使協定の締結がなければ採用できないように、法律で決まっています。裁量労働制だからと言って、労使協定の適用対象から外れるわけではなく、適切な当該の業務量に基づいた健康などは非常に大事です。みなし労働の悪用は厳禁です。

裁量労働制(みなし労働時間制)のメリット

裁量労働制のメリットは、やはり仕事・業務のやり方や時間に対する自由度の高さです。

自分の仕事・業務を遂行できれば良いわけです。

裁量労働制には「定時」という考え方もありません。自分の仕事・業務は終わったけど、誰も帰らないから気まずくて帰れない、といった考え方も存在しません。

ですので、能力の高い人には好条件の働き方ということになるでしょう。

裁量労働制(みなし労働時間制)のデメリット

反対に、裁量労働制のデメリットは何でしょうか。

それはやはり「みなし労働時間」を超過して働いた場合でも残業代が出ないことでしょう。

もし「みなし労働時間」だけではたりない成果が求められていたら、かなりの残業時間が必須になります。すると「タダ働き」になってしまう可能性があります。

みなし労働時間だけでは到底こなせない仕事をあてがわれる場合、金銭面・健康面などあらゆる点で損をしてしまいます。

当該の会社に対する不満やストレスもたまり、次第にモチベーションが失われて行ってしまいます。裁量労働制の実態が、あまりに事前の説明や元来の就業規則と乖離している場合は見直しを求めるべきです。

裁量労働制には2種類ある

前述しましたが、裁量労働制は2種類の職種で適用されています。

専門業務型:研究開発職などが対象
企画業務型:企業の中枢で企画・立案をする人が対象

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制は、下記のような19の専門職に認められます。

これらは、労働者本人のやり方で業務が進められる性格が強い専門職です。

雇用者側が監督・指示をするのも難しいこともあり、裁量労働制の導入が認められています。

専門業務型裁量労働制が適用される職種

厚生労働省ホームページ「専門業務型裁量労働制」によると

以下の19の職種で専門業務型裁量労働制の導入ができます。

・研究開発

・大学における教授研究専門業務型

・情報処理システムの分析・設計

・取材・編集

・デザイナー

・プロデューサー・ディレクター

・コピーライター

・公認会計士

・不動産鑑定士

・中小企業診断士

・システムコンサルタント

・インテリアコーディネーター

・ゲーム用ソフトウェア開発

・証券アナリスト

・金融工学による金融商品の開発

・建築士

・弁護士

・弁理士

・税理士

裁量労働制の導入には、労使協定が必要

これらの職種に裁量労働制を導入するためには、どのような条件が求められるのでしょうか。

まず、企業側は労使協定を締結する必要があります。

労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する従業員との間での締結が必要です。

また、苦情処理のための制度も設けられないといけません。

企画業務型裁量労働制

もうひとつは、企画業務型裁量労働制です。

これは企業の中枢にある労働者が対象で、企業の企画や立案などに関わるような層に認められます。

専門業務型の場合より、採用の要件が厳しくなっており、労使委員会で5分の4以上の多数決の賛成を得られなければ採用不可になります。

労働者本人の同意も必要になります。

裁量労働制は残業時間増大の温床となるリスク

裁量労働制(みなし労働時間制)の導入によって、不利な働き方を強いられるようになる。

これは、誰もが避けたい状態です。

もし、時間内では終わらない仕事を任せられたら「タダ働き」「不払い残業」になる可能性があります。

過労死ラインを超えるリスクも

また、これも絶対に避けたいことですが、実働時間が「過労死ライン」を超えてしまう可能性も出てくるのです。

過労死ラインとは、過労死を「労働災害」として認定する時間外労働時間の基準を指します。

超過労働によって脳出血や心筋梗塞にみまわれ 、命を落とした方々の訴えや補償の問題が報道され、社会問題化しました。

裁量労働制では仕事の成果が賃金のベースとなるのですが、それがかえってプレッシャーになる場合もあります。

そしてプレッシャーから実労働時間で過労死ラインを超えるような働き方をしてしまう可能性もあります。

金融やITでも導入が検討される

労働基準法の改正により、裁量労働制の適用範囲の拡大がありました。

これにより、「企画業務型」に一部の営業職などが追加されました。

「裁量労働制といっても自分には関係ない」と思っていた人も、適用の対象となる可能性があるのです。

法人を相手にする営業職が新たに対象となる可能性

特に、新たに裁量労働制の対象として検討されている『法人を相手にする一部の営業職』には、具体的には金融やITといった業種が含まれます。

販売する商品が既製品のみではなく、顧客のニーズに基づいてカスタマイズし、商品を開発・販売するような『提案型営業』の職種が想定されているからです。

そうなると、顧客のニーズに合わせシステムやWebサービスを開発するIT企業は対象に含まれます。

この『提案型営業』の範囲の詳細はまだ分かりません。

しかし広く解釈すれば、ハードウェアの法人営業や外回りの銀行員なども、裁量労働制の対象者に含まれる可能性があります。

そうなると、とても身近な問題に感じられます。もしあなたの職場に裁量労働制が導入されたら、働きやすくなるのでしょうか。

実労働時間が見えづらい

裁量労働制(みなし労働時間制)の制度自体には、どのような課題があるのでしょうか。

裁量労働制には、実労働時間での給与計算がありません。

ですのでみなし労働時間を下回った場合も、大幅に超過した場合も、実労働時間が見えづらいという問題があります。

健康管理やワークライフバランスがないがしろにされる危険

裁量労働制への最大の懸念は、みなし労働時間と仕事のバランスが取れるかどうかです。

うまく行かなければ、社員の「健康管理」や「ワークライフバランス」が著しく損なわれる可能性があります。

これらの実現のためには、各会社がルールを設定して社員の労働時間の短縮を目指していかなければいけません。

例えば、育児や介護をしながら働く社員についてです。

裁量労働制は、育児や介護を抱える社員にとってはライフワークバランスを実現できる好制度であると考えられますが、

もし任される仕事が大きすぎたらどうなるでしょうか。

彼らの労働時間と仕事内容は、育児・介護休業法にのっとり検討されなければいけません。

また、短時間勤務制度を利用する期間は裁量労働制の適用から外すことも検討されなければいけません。

会社側が裁量労働制の施行について誤解している場合もあります。

「裁量労働制の労働者には労働時間短縮制度は適用されない」というのは大きな誤解です。

労働者が自分の持つ権利について良く知り、自ら主張することが必要な場面もあります。

残業時間の縛りがある人の仕事をカバーせざるをえない場合も

実際に裁量労働制が職場で適用された人の声です。

裁量労働制が採用されたら、残業時間が増加したそうです。

その方は昇格されたという要因もあったのですが、かえって様々な仕事を与えられるようになってしまったそうです。

裁量労働制の建前は、自分の仕事が終われば早く帰宅できることになっています。

しかし実際には、どれだけ早く自分の仕事を終わらせても結局上司から次々と仕事を与えられるだけだというのです!

仕事の出来ない人の方が、毎日残業するので高収入になるのも不公平です。

しかし、収入の不公平の是正は実現できても、仕事が振り分けられる量が能力の差によってかなり違ってきてしまいます。

違った不公平を生み出しているという事です。

仕事が出来ない人は残業してでも仕事を終わらせていたのが、残業のしばりがあるとそれが出来ません。

結局仕事の早い人が片付けに忙殺されるという構図が出来てしまうようです。

裁量労働制の企業に転職したら気をつけるべきこと

裁量労働制に対する理解不足や誤った解釈から、労働者が違法な長時間労働をさせられることも起こり得ます。

そういった状況を避けるために、私達に出来ることが2点あります。

仕事内容と成果の評価基準を明確にすること

裁量労働制は、成果が賃金評価のベースになります。

それでは具体的にどのような成果が求められるのか知りましょう。

その基準はあいまいにせず確認して明確化しましょう。

そして、その成果を自分には出せるのか、キャパオーバーではないか考えてみましょう。

みなし労働時間と実際の労働時間を確認すること

もう一点は「みなし労働時間」の設定の確認です。

その時間内で成果を出すのは可能か考えてみましょう。

実際に働いている人達の状況を確認出来るなら是非しましょう。

人事の話だけでは不十分です。

裁量労働制は、企業が『労使協定』を結んでいることが必須の制度です。

何かあったら、労働組合や労働者代表に相談してみることも出来ます。

もし社内は難しい場合や、会社に相談しても解決しない場合は、労働基準監督署に相談することも出来ます。

このように解決の道はありますので、一人で抱え込んだりしないようにしましょう。

裁量労働制に向いている仕事・人

これまで、裁量労働制の問題点を挙げてきました。

しかし、裁量労働制に向いている職種も事実存在します。

ソフトウエア開発者(エンジニア)も、その一つです。

システム開発業は、労働時間の長さと成果が直結しないといえるからです。

労働時間の長さと成果が直結しない仕事

開発の現場を見れば、熟練と経験の浅いエンジニアとの間は、生産性において大きなギャップがあります。

熟練エンジニアは、質が良いものを作る上に短時間で仕上げてしまったりします。

このように歴然としたエンジニア間の能力差があります。それゆえに、IT企業では年俸制のような裁量労働制を既に導入しているところがあるのです。

しかし強制ではなく、従業員の任意によって裁量労働制を採用するか決めることができます。

すると、固定時間制やフレックスタイム制に交じって、裁量労働制で働くエンジニアがいるという現場になります。

働き方の自由を実現した環境ではありますが、いろいろと難しさは生じてくるでしょう。

例えばコアタイムがあれば、皆で顔を合わせて情報共有の時間を持てます。

しかし、裁量労働制のエンジニアがコアタイムにいなくても文句は言えないという事になります。

裁量労働制を採用した現場では、乗り越えていくべき課題に既に直面しています。

しかし、働き方の自由の実現に向けて前進しているといえます。

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この記事を書いた人

椎名 妙子
2016年までは小さな英会話スクールで働く。システム開発業の夫を手伝ううちに、IT業界に魅せられる。夫と育児系のiphoneアプリをリリースしたことも。2017年からIT関連のライティングを開始。日々いろいろ勉強中。最近は、子供達と動画チャンネルを作っています。